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2021年度 二松学舎大学入学式 式辞

― 2021年4月5日 ―

 ご入学おめでとうございます。二松学舎大学に入学されるにあたり、本年度の入学式は、密を避けるために、規模を縮小して実施せざるを得なかったこと、誠に申し訳なく思います。新型コロナウイルス感染症の社会への影響は、すでにご承知の通り、大きなものとなり、私たちは社会との連携の下に、さまざまな対応を繰り返しています。本学の教育研究活動は、こうした大きな社会環境の変化のなかでも、一私学として、学生と教員、職員や関係者との強い協力によって維持されております。

 ご入学にあたり、新入生の皆さんはどのような期待と希望をお持ちでしょうか。もちろん私どもは、三島中洲師が1877年、この九段の地に開かれた漢学塾二松学舎以来の、長く蓄積されてきた二松学舎大学の知を身につけて大きく社会で活躍していただきたいと願い、また期待をしています。君たちが専攻する本学での学問領域の勉学は当然のこととして、それ以外にも、ご自身のさまざまな可能性に挑戦してもらいたいとも思います。すでに存在する価値や意味、そして序列や体系も、それは今までのものでしかありません。君たちは、新しいそれらを、生みだし、組み立てていかなければならないのです。それは、国境を越えた世界の若者たちの役割でもあり、私たち先行する世代からのより大きな期待でもあります。新しいものとは、どこからかやって来るものではなく、先人からの知性を基に、君たちが努力して生み出すものだと思います。

 世界と連帯するためのコミュニケーション能力、諸問題を分析できる洞察力、さらによりよい社会を築くための創造力を、自分自身を律する公共心とともに、二松学舎大学での古典学と新しい知の領域での学びのなかで、ぜひ手に入れていただきたいと思います。

 最後に、この新型コロナウイルス感染拡大により失われた多くのものを、私たちは決して忘れることなく、また新しく得た知見を礎にして、これからの社会をより豊かにものにしていこうではありませんか。ここからの学びが、君たちにとって、大きな一歩になることを願う私たちの気持ちを、入学式の式辞とさせていただきます。

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