学長室から
学長トピックス
学長トピックス一覧
- 2024年度「夏休み子ども研究会」学長ご挨拶
- 2024年度 二松学舎大学入学式 式辞
- 2023年度 二松学舎大学・大学院学位記授与式 告辞
- 2023年度 二松学舎大学入学式 式辞
- 2022年度 二松学舎大学・大学院学位記授与式 告辞
- 2022年度 二松学舎大学入学式 式辞
- 2021年度 二松学舎大学・大学院学位記授与式 告辞
- 2021年度 二松学舎大学入学式 式辞
- 2020年度 二松学舎大学卒業生・大学院修了生への告辞
- 江藤茂博学長 2020年度 入学生への祝辞
- 2019年度 二松学舎大学卒業生・大学院修了生への告辞
- 江藤茂博編『文学部のリアル、東アジアの人文学』(新典社)が刊行されました
- 2019年度 二松学舎大学入学式 式辞
- 二松学舎大学附属高等学校入学式
- 明秀学園日立高等学校入学式
- 二松学舎大学附属柏中学校・高等学校入学式
- 学長 江藤茂博「小津安二郎 神戸 もしもの三人」が掲載されました
- 平成30年度 二松学舎大学卒業式 告辞
- 平成30年度 二松学舎大学卒業生名刺交換会 挨拶
- 「千代田区内近接大学の高等教育連携強化コンソーシアム」開設記念 シンポジウム開会挨拶
- 平成30年度 二松學舍大学 春セメスター卒業式 告辞
- 平成30年度 二松學舍大学入学式 式辞
- 平成29年度 二松學舍大学卒業式 告辞
- 平成29年度 二松學舍大学卒業生名刺交換会 挨拶
- 平成29年度 二松學舍大学 春セメスター卒業式 告辞
- 平成29年度 二松學舍大学入学式 式辞
- 平成28年度 二松學舍大学卒業式 告辞
- 平成28年度 二松學舍大学卒業生名刺交換会 挨拶
- 二松學舍大学創立140周年記念事業 二松學舍大学私立大学戦略的研究基盤形成支援事業主催シンポジウム 「「論語」と「算盤」が出会う東アジアの近代 渋沢栄一と三島中洲」閉会挨拶
- タイ出張記 11月11日(金)~15日(火) チュラーロンコーン大学における漢文ワークショップについて 副学長 磯 水絵
- 柏市と包括的な連携に関する協定を締結しました
- 中国文化大学日本語学科3年江さんとの道中記 付 第1回 台日大学学長フォーラム参加顛末記 副学長 磯 水絵
- 平成28年度 二松學舍大学入学式 式辞
- 平成27年度 二松學舍大学卒業式 告辞
- 二松學舍大学と倉敷市との連携協力に関する協定調印式 挨拶
- 二松學舍大学卒業生名刺交換会<異業種交流会> 挨拶
- ハンガリー エトヴェシュ・ロラーンド大学のイムレ・ハマル人文学部国際担当副学部長が本学を表敬訪問されました
- フランス リール第3大学 リチャード・デイヴィス副学長が本学を表敬訪問されました
- 菅原淳子学長がIAUP(世界大学総長協会)50周年記念式典・記念国際学会に参加しました
- 平成27年度 二松學舍大学入学式 式辞
- 第17回 IAUP(世界大学総長協会)2014横浜総会に出席しました
- 平成26年度 二松學舍大学入学式 式辞
2024年度 二松学舎大学入学式 式辞
― 2024年4月8日 ―
東京各地の桜も満開を迎え、生命の息吹が感じられる季節となりました。新たな挑戦にふさわしいこの日に、多くの新入生を迎え、また多くの関係者の皆様にご臨席を賜り、令和6年度二松学舎大学入学式を挙行できますことに深く感謝いたします。
二松学舎大学に入学された皆さん、また大学院に入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますとともに、皆さんを支えてこられたご家族や関係者の方々にお祝い申し上げます。
晴れて大学生、大学院生となられた皆さんに二松学舎大学の一員として、精一杯勉学に励んでいただくために、これから少しばかりお話ししたいと思います。
二松学舎大学は1877年、現在の九段キャンパス1、2号館の地に、漢学塾二松学舎として、三島中洲によって創設されました。 今年、創立147年という歴史あるこの二松学舎からは、文豪夏目漱石、柔道の創始者嘉納治五郎、女性の権利拡大に努めた平塚雷鳥、さらには国際ビジネスマンの先駆けでアメリカでポテト王と呼ばれた牛島謹爾など、多くの著名人が輩出されてきました。
また、この長い歴史の中で、「自ら考え判断し行動できる能力を鍛え、社会のために貢献する人物を養成する」という「建学の精神」に共感し、多くの人々が本学の運営を助けてくれました。今年から新1万円紙幣に描かれる渋沢栄一も、創設者三島中洲の考えに共感して本学第三代舎長となり、本学の運営に助力してくれた人物の一人です。渋沢は、大河ドラマでも紹介されていたように、近代日本の社会や経済を築いた実業家でありながら、教育・福祉・国際親善などの公共性のある社会活動にも尽力しました。
その渋沢は著書「論語と算盤」の中で、学生に対していくつかアドバイスをしています。その中で、学問と社会の実務について、おおよそ次のように述べています。すなわち、学問とは地図であり、社会での実践は実地を歩くという関係にあると言っています。私もトレイルランニングで山の中を走りにいきますが、アプリの地図をパッと見たら簡単に目的地に着けそうに思えます。しかし、実際に山の中に分け入ってみると急な坂や階段があったり、大きな倒木が道を塞いでいたり、足元が岩についているコケやドロドロの地面で滑ったりと、地図からの情報ではわからない予想外の事態に苦戦することがしばしばあります。皆さんが実際に社会に出た時には、同様に予想もしていなかったさまざまな困難に遭遇することでしょう。
しかし、だからと言って地図としての学問、特に理論的な学問が役に立たないと渋沢は述べているのではありません。逆にそうした遭難しかかったような困難に際しては、むしろどっちに行けば助かるのかといった大まかな方向性を身に付けていることが不可欠だというのです。もし、地図に相当する学問的知識がないと、どちらに進めば大丈夫だという信念が持てず、頑張って藪を進んでいこうという勇気も出ず、ぐるぐると道に迷うばかりで結果として不幸な結果となるとまで言っています。
学問の理論は一見すると難しそうで、皆さんの今後の学生生活においてもそうした理論が何の役に立つのかわからず、そんな小難しいことより現実の社会での役立つスキルを教えてほしいと考えるかもしれません。しかし、実際の社会は極めて複雑で変化するスピードも速いため、皆さんが実際に社会に出た時には、今のスキルは時代遅れになっているといった状況に陥っている可能性があります。そうした時に、世の中の本質的な仕組みや動きを単純化、体系化、理論化してくれている、さまざまな学問が地図のように進むべき方向性を示してくれることになるのです。こうした社会に対する理解を身に付ける最適の期間は、実社会に出る前の今からの4年間以外にありません。我々教員、友人達と一緒に多くの学問を身に付けていきましょう。
さて、近年の二松学舎大学は、2017年に「都市文化デザイン学科」、2018年に「国際経営学科」を開設し、2022年には「歴史文化学科」と「国際日本学研究科」を開設するなど、教育研究の幅を広げてきました。そして、皆さんがこれから学ぶカリキュラムも、社会の変化とともに新たな内容を盛り込みながら改革が続けられています。
現在のカリキュラムでは、皆さんが希望されている学び、各学科等の専門的な科目はもちろんのこと、両学部共通の初年次教育における数理・データサイエンス科目、各種語学科目など、多くのバリエーションを備えています。皆さんには、あえて、これまで苦手、不得意だと思っていた科目にこそ力を入れて挑戦してほしいと思います。なぜなら、こうした科目で少しでも成長を実感し成功体験を積み、自分の中に眠っていた能力に気づくことこそが、何にでも挑戦してみよう、そして思い切りやったらひょっとしてできるのではないかという自信を身に付けていくきっかけとなるからです。
最後になりますが、自分の将来のために必要な知識を身に付けるには、主体的に勉強に取り組むことが必要です。本学は、その要望にこたえる体制を整えています。大学では、学修はもちろん、課外活動などを含めた大学生活の全般において、皆さんの挑戦をサポートする準備ができています。これからの4年間、自分の目指すものに向かって勉学に励み、二松学舎大学の学生として充実した学生生活を送っていただきたいと思います。そして我々もまた、全力で皆さんを支えたいと考えております。
無限の可能性を持っている皆さんが、本学での学生生活を経て大きく飛躍されることを祈念して、学長の式辞とさせていただきます。
二松学舎大学学長 佐藤 晋