本日は、秋晴れのよき日となりました。

　本学ではグローバル化の促進という目的もあり、セメスター制を導入しておりますが、その導入の際に9月卒業の制度を設けました。本日は、二松学舎大学国際政治経済学部１名、大学院文学研究科博士前期課程3名を社会に送り出すことになりました。

　本日ご卒業される皆さん、誠におめでとうございます。今日の晴れの日を迎えられた保護者の皆様には心からお慶び申し上げます。

　さて、皆さんにとって、大学を卒業すること、あるいは大学院の課程を修了することは、大学や大学院での学業の終了を意味していると思いますが、決して学びの終了ではありません。むしろこれからが始まりであって、これまで学んだことを基礎にこれからの自分の人生をスタートさせることであり、学びも続いていくことになるでしょう。

　皆さんが就職して仕事に就けば、そこで新たに学ばなくてはならないこともたくさんあると思います。また、将来、大学で学んだこととは全く違う分野での学びに興味をおぼえるかもしれませんし、博士前期課程を終えられた皆さんは改めて後期課程での研究に入られるかもしれません。私は学ぶということは、自らを成長させ、自らの未来を切り開いていくための最大の手段だと思っています。皆さんには是非、生涯を通じて学ぶ姿勢を持っていただきたいと思います。

　これから皆さんは社会人となり、自らの人生を自身の力で歩んでいくことになります。人生の中ではさまざまな問題に直面することでしょう。そのような時に求められるのは、自らの力で解決方法を見出すことです。そこで問われてくるのは、主体的に取り組む力、自ら考える力です。私は、皆さんがこうした力を本学で身につけて下さったと確信しています。また、在学中は学業だけではなく、サークルやアルバイト、あるいはボランティアなどのさまざまな活動を通して、視野や人間関係を広げ、たくさんの経験を積まれたことでしょう。そうした経験の一つ一つがこれからの皆さんの人生の中で、大きな糧となって必ず活きてくるのです。どうぞ自信を持って、新たな一歩を踏み出していただきたいと思います。

　本学の学祖である三島中洲先生は、本学の前身である漢学塾二松学舎を開いた時に、「己ヲ修メ人ヲ治メ一世ニ有用ナル人物ヲ養成スル」という理念を掲げられました。今の言葉に直すと、「自ら考え行動できる能力を鍛え、社会のために貢献できる人物を養成する」となります。大学や大学院で学んだことは、社会に出てすぐ役立つものばかりではないかもしれません。ただ、ものの考え方や自ら学ぶ姿勢は身につけてくださったと信じています。皆さんには、これからは、本学で学んだことをどのように社会に還元していくのか、ということを考えていただきたいと思います。

　情報が溢れ、社会が急速に変化している時代の中で、皆さんが社会人としての自覚と責任を持って、社会に貢献してくださることを期待いたします。

　そして最後に、これまで皆さんを支えて下さったご家族に是非感謝をして頂きたいと思います。

　さまざまな可能性を持っておられる皆さんの前途が、希望に満ちたものであることを祈念して、私の告辞と致します。本日は誠におめでとうございます。