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2022年度 二松学舎大学入学式 式辞

― 2022年4月6日 ―

 ご入学おめでとうございます。

 二松学舎大学は、1877年に、三島中洲先生が、現在の校舎と同じ九段の坂上の地、先生のお邸に開かれた漢学塾として出発しました。それ以前、中洲先生は1861年から11年間ほど故郷で漢学塾を開かれていましたので、併せますと、本学は160年くらいの学びの伝統を持つ教場となります。決して規模が大きいわけではありませんが、漢学塾、旧制専門学校、新制大学と、それぞれに数多くの有為な人材を輩出してきました。長い伝統を持つ二松学舎の仲間として、新入生の皆さんがご入学されること、うれしく思います。

 皆さんはそれぞれに、いろいろな思いを持って二松学舎大学の門を潜られたことでしょう。夢や希望には、それを大きくかなえる力を、躊躇やためらうことには、それを見極めて自信にも変える力を、あきらめや投げ出しそうなことには、それに幾度でも挑戦する力を、二松学舎大学での学びから手に入れてもらいたいと思います。

 この数年、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの社会は疲労し、さらに国家や民族を巡る対立によって私たちの社会はリスクが高まっています。日常の世界化、つまりグローバル化した日常が、もはや当然のことになっているのです。こうしたグローバル化の状況は、逆に人類にとって良いことを発信し、それを広く伝える力にもなるはずです。世界を結びつけるためのコミュニケーション能力、さまざまな出来事を分析できる洞察力、さらによりよい社会を築くための創造力を、自分自身を律する公共心とともに、二松学舎大学での古典学と新しい知の領域での学びのなかで、手に入れ、そして発信していただきたいと思います。

 最後に、日々の様々な困難に立ち向かう人々の努力に敬意を払い、私たちが共に学問と向かい合う時間を手に入れることができることに感謝したいと思います。また、この4年間で得ることができる新しい知見は、これからの社会をより豊かにものにしていくものでなければなりません。そのためにも、まず皆さんは、さまざまな思いをさらに前へと乗り越えて、大きな一歩を、この二松学舎大学から始めていただきたいと思います。

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