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江藤茂博学長 2020年度 入学生への祝辞

2020年4月1日

 ご入学おめでとうございます。二松学舎大学に入学されるにあたり、まず本年度の入学式を予定通りに開けなかったことを、誠に申し訳なく、そしてとても残念に思います。現在の世界的な社会及び生活環境の混乱によって、私たち、二松学舎大学でも、教育活動持続のためのさまざまな対応を行っているところです。しかし、どのような混乱にも打ち勝つことこそが、教育研究機関としての自負であり、志を同じにしたものが集まる私立学校の強さであると私は思います。

 漢学塾二松学舎創設以来、本学の教育研究環境が社会情勢により揺らいだのは、歴史的に一度や二度のことではありませでした。しかし大きな戦争や社会変革の波を乗り越えてきたのは、私たちの先輩教員たちの教育への情熱であり、当時の学生たちの学びたいという意欲でした。それは、どのような混乱のなかでも、二松学舎は教育研究の場で在り続けようとする強い意思と言い換えても良いかもしれません。そして、その意思は、今日の二松学舎大学まで脈々と受け継がれてきたものです。学ぶということは、どんな困難にも打ち勝ち、しっかりと生き抜くことだと、学問からだけでなく、この二松学舎の140年以上の歴史もまた私たちに教えてくれます。

 漢学者である三島中洲自身、「学舎を開き」、「義利合一と云ふ四字を標準とし、自分にも学びがてらにし、門人をも導き、日夜此に従事せり」と、学問思想の現実的な活用を基に、学び合う場としての二松学舎を開いたことを記しています(『中洲講話』)。漢学塾二松学舎は、二千年以上続く中国古典思想をその教育に継承する学校ですが、三島中洲が法律家でもあったので、明治という新しい時代に必要な実務的な表現や考えを漢語から手に入れる教場でもありました。皆さんには、三島中洲と漢学塾の精神を受け継ぐ大学で、東西思想文化の今日までの長い営為を手にすると共に、最新の学問研究がもたらす知識・技能もぜひ自分のものにしていただきたいのです。そして、強く生き抜く力を手に入れていただきたいと思います。

 入学にあたり、皆さんにはいろいろな思いがあることでしょう。また、迷いもあるかもしれません。しかし、この大学生としての第一歩は、皆さんの学びへの決意でもあるわけです。まずは、何のために(学問を)学ぶのかを考えて欲しいと思います。そして、人間の文化的な長い営為を言葉で学びそして考えることで、皆さんが文化の新たな継承者としての成長をしていくことを私どもは期待しています。やがて君たち自身で豊かな社会を切り開いていただくために、二松学舎大学の学びを十二分に手に入れて欲しいのです。

 最後に、国境を超えた共同社会のなかで、人間はどのように生きていくべきなのか、新入生の皆さんと、この学び舎で一緒に学び考えていくことにしたいと思います。

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