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理事長トピックス

水戸英則理事長 2025年度卒業生への祝辞

二松学舎大学・大学院

2026年3月17日

AI時代における「人間知」の真価 未来を拓く「羅針盤」に

 卒業生、修了生の皆さん、本日のご卒業、誠におめでとうございます。また、今日まで温かく見守ってこられた保護者の皆様、ならびに薫陶を授けられた教職員の皆様にも、心より慶賀の意を表します。

 さて、皆さんがこれから漕ぎ出す社会は、AIによる知能と産業の革命という歴史的な大転換の入り口にあります。このキャンパスで研鑽を積む間にも、世界は劇的な変容を遂げました。生成AIをはじめとするテクノロジーは加速度的に進化し、数年前には想像の域を出なかった技術が、今や日常の風景の一部となっています。こうした激動の中、「自分の仕事がAIに奪われるのではないか」「大学での学びは役立つのか」といった意見や不安の声を、耳にしたこともあるでしょう。

 しかし、デジタル化が急速に進むこれからの社会で、最も必要とされる能力。それはまさに、皆さんが本学で身につけた『人文社会科学の知見』です。なぜなら、現状AIと人間の役割は両者に明確な境界線があり、人間にしかできない領域があるからです。

 AIは、膨大なデータを分析し、最も効率的な手段や最適解を提示することはできます。しかし、そもそも「何を目指すべきか」という目的設定や、その選択が「社会にとって善いことなのか」という価値判断は不可能です。ビジネスや行政の最前線で求められる最終的な決断とは、作成されたデータの優劣ではないのです。データの背後にある歴史的背景、文化的配慮、人の機微や感情、そして社会正義への適合性などこれら複雑な判断を読み解き、進めることこそが不可欠なのです。

 このようにAIが出力したデータに、人間的な意味を与え、倫理という命を吹き込む。これこそが、人文社会科学が担う役割です。「人間とは何か」「幸福とは何か」「正義とは何か」。これら正解なき問いに向き合い、古典や歴史、社会科学を通じて涵養してきたその力こそが、AIには不可能な高度な意思決定を可能にします。AIという強力なエンジンを制御し、正しい方向へ導くための羅針盤は、皆さんの手の中にあります。この学び舎で積み重ねてきた知性に対し、揺るぎない自信を持って、堂々と社会へ歩み出してください。

 そして、その上で、皆さんに期待すること。創立者・三島中洲先生が東洋と西洋の学知を融合させた如く、温故知新の精神で様々な変革にトライしてください。大切なのは、大学・大学院で培った「人間知」というOSを土台に、最新の知見というアプリをアップデートし続ける姿勢です。卒業証書はゴールではなく、未知への通行手形です。変化を恐れず、リスキリングを羅針盤として自らを進化し続けるならば、いかなる激動の時代に於いても、皆さんは社会の第一線で輝き続けることができるはずです。

 「人文社会科学の知見という不変の知見」と「変革への適応力」、この二つの翼を大きく広げ、新しい時代の天空を、高く、力強く飛翔されんことを。また皆さんの洋々たる前途が、希望と光に満ち溢れんことを祈念し、私の祝辞といたします。

二〇二六年三月吉日



二松学舎大学附属高等学校 卒業式 祝辞

2026年3月1日
 
AI時代を拓く「仁愛の心」と「温故知新の叡智」

 卒業生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。また、今日までお子様の成長を温かく見守り、支えてこられた保護者の皆様、ならびに熱心にご指導いただいた教職員の皆様に、心よりお慶び申し上げます。

 春の気配が感じられる今日の佳き日、伝統ある二松学舎大学附属高等学校を巣立ちゆく皆さんの眼差しは、未来への希望に輝いています。

 さて、皆さんがこれから歩み出す社会は、まさに歴史的な転換点にあります。生成AIをはじめとするテクノロジーの進化は、かつての産業革命を凌ぐスピードで世界を変えつつあります。「AIが人間の仕事を奪うのではないか」「学校での学びは役に立つのか」――そんな不安の声が、皆さんの耳にも届いているかもしれません。

 しかし、私は断言します。AI時代だからこそ、二松学舎で学んだ『人間としての知』が、最強の武器になると。

 なぜなら、AIは計算はできても、心を持つことはできないからです。AIは過去の膨大なデータを分析し、効率的な正解を導き出すことにおいては、人間を遥かに上回ります。しかし、データの背後にある人の痛みや悲しみに共感し、数値化できない正義や倫理を判断することは、人間にしかできません。

 二松学舎の創立者・三島中洲先生は、明治という激動の時代に、東洋の道徳(精神)と西洋の芸術(技術・知識)の融合を掲げました。これを現代に置き換えると、AIという最新鋭の西洋の技術を使いこなすために、その土台として、確固たる東洋の精神(モラル)が必要だということです。

 皆さんが本校の『論語』の授業や古典の学びを通じて培った、「仁(他者を愛する心)」や「義(人として守るべき道)」。この精神的支柱さえあれば、テクノロジーに振り回されることなく、AIを良きパートナーとして使いこなし、社会を幸福な方向へと導くことができるはずです。

 予測不能な時代をこれから歩む皆さんに、私から二つの言葉を贈ります。

 第一に、「温故知新」の姿勢です。新しい技術を恐れず、しかし古い知恵を軽んじないでください。本校で学んだ古典の叡智は、古びた知識ではなく、数千年の風雪に耐えた人間学の真髄です。この普遍的な「人間知」というOSの上に、それぞれの進路で必要となる専門性や最新のテクノロジーというアプリケーションを実装する。そのハイブリッドな知性こそが、これからの時代に求められる真の教養です。

 第二に、問いを立て、知的冒険を続ける意志です。本日手にする卒業証書は、学びのゴールではありません。これから通う大学や専門学校、職場は、答えの用意された教室から、正解のない荒野への旅立ちを意味します。AIは答えを出すのは得意ですが、問いを立てることはできません。「自分は何のために生きるのか」「どうすれば平和な社会を作れるのか」。立場や環境が変わってもAIには決して代替できない人間ならではの問いに向き合い続けてください。どうか、二松学舎で培った「知行合一」の精神を胸に、変化を恐れず、しかし人間として大切なものは変えることなく、堂々と未来を切り拓いてください。

 皆さんの前途が、希望と光に満ち溢れんことを心より祈念し、私の祝辞といたします。

二〇二六年三月吉日

二松学舎大学附属柏高等学校 卒業式 祝辞

2026年3月3日
 
AI時代を拓く「仁愛の心」と「探究する知性」

 卒業生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。また、今日までお子様の成長を温かく見守り、支えてこられた保護者の皆様、ならびに熱心にご指導いただいた教職員の皆様に、心よりお慶び申し上げます。

 春の光が緑豊かなこの柏のキャンパスに降り注ぐ今日の佳き日。伝統ある二松学舎大学附属柏高等学校を巣立ちゆく皆さんの眼差しは、未来への希望に輝いています。

 さて、皆さんがこれから歩み出す社会は、まさに歴史的な転換点にあります。生成AIをはじめとするテクノロジーの進化は、かつての産業革命を凌ぐスピードで世界を変えつつあります。「AIが人間の仕事を奪うのではないか」「学校での学びは役に立つのか」――そんな不安の声が、皆さんの耳にも届いているかもしれません。

 しかし、私は断言します。AI時代だからこそ、二松学舎で育まれた『人間としての知』が、最強の武器になると。

 なぜなら、AIは計算はできても、心を持つことはできないからです。AIは過去の膨大なデータを分析し、効率的な正解を導き出すことにおいては、人間を遥かに上回ります。しかし、データの背後にある人の痛みや悲しみに共感し、数値化できない正義や倫理を判断することは、人間にしかできません。

 二松学舎の創立者・三島中洲先生は、明治という激動の時代に、東洋の道徳(精神)と西洋の芸術(技術・知識)の融合を掲げました。これを現代に置き換えると、AIという最新鋭の西洋の技術を使いこなすために、その土台として、確固たる東洋の精神(モラル)が必要だということです。

 皆さんがこの緑豊かな学び舎で、『論語』の授業や日々の生活を通じて培った、「仁(他者を愛する心)」や「義(人として守るべき道)」。この精神的支柱さえあれば、テクノロジーに振り回されることなく、AIを良きパートナーとして使いこなし、社会を幸福な方向へと導くことができるはずです。

 予測不能な時代を歩む皆さんに、私から二つの言葉を贈ります。

 第一に、「不易流行」の姿勢です。本校は、豊かな自然の中で豊かな情操を育むことを大切にしてきました。新しい技術を恐れず、しかし古い知恵を軽んじないでください。ここで学んだ古典の叡智は、古びた知識ではなく、数千年の風雪に耐えた人間学の真髄です。この普遍的な「人間知」というOSの上に、それぞれの進路で必要となる専門性や最新のテクノロジーというアプリケーションを実装する。そのハイブリッドな知性こそが、これからのグローバル社会で求められる真の教養です。

 第二に、自ら問いを立てるアカデミックな探究心です。本校が重視してきた問う力。これこそがAI時代の鍵です。AIは答えを出すのは得意ですが、問いを立てることはできません。「何のために生きるのか」「どうすれば平和な社会を作れるのか」。皆さんがこれから通う大学や専門学校、職場は、知識を蓄える場所ではなく、新たな知を創造する場所です。正解のない問いに向き合い続ける力は、皆さん自身が学び続ける中でしか磨かれません。本日手にする卒業証書は、学びのゴールではなく、生涯にわたる探究の旅へのパスポートなのです。

 どうか、二松学舎で培った「知行合一」の精神を胸に、変化を恐れず、しかし人間として大切なものは変えることなく、堂々と未来を切り拓いてください。

 皆さんの前途が、この柏の森の若葉のように、希望と光に満ち溢れんことを心より祈念し、私の祝辞といたします。

二〇二六年三月吉日

二松学舎大学附属柏中学校 卒業式 祝辞

2026年3月19日

 卒業生の皆さん、本日はご卒業誠におめでとうございます。

 保護者の皆様におかれましてもこの佳き日を無事に迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。

 また、教職員の皆様には、日頃より温かく、熱心なご指導を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

 皆さんの中学校生活三年間を振り返ると、楽しいことばかりではなく、時には苦しいことや困難に直面したこともあったでしょう。しかし、それら全てを乗り越え、心身ともに一回りも二回りも大きく成長した姿は実に頼もしく、また誇らしくも感じています。

 さて、皆さんは二松学舎大学附属柏中学校で多くのことを学び、四月から高校生として新しい道への第一歩を踏み出します。高校入学後も本校で学んだ、建学の精神「東洋の精神による人格の陶冶(とうや)」「己ヲ修メ人ヲ治メ一世ニ有用ナル人物ヲ養成ス」そして校訓である「仁愛・正義・誠実」の教えを忘れないでください。

 人に対する思いやりの心を持ち、道徳やルールを守って行動し、誠実な態度で生活すること、そうした教えを日々の行動として実践しながら、自信と誇りを持って学びを継続していただくことを心から願っております。本校での学びは、これから皆さんが遭遇する数々の困難を乗り越える力となってくれるものと確信しています。

 そうした力を胸に、皆さんがこれから向き合っていく社会は、まさに歴史的な転換点にあります。生成AIをはじめとするテクノロジーの進展は、かつての産業革命をしのぐスピードで世界を変えつつあります。AIが人間の仕事を奪うのではないかと不安に感じているかもしれませんが、AI時代だからこそ本学で育まれた「人間としての知」が最強の武器になると信じています。AIは計算や分析を得意とし、効率的に正解を導きだす点では人間を遥かに上回ります。しかし、データの背後にある人の痛みや悲しみに共感し、数値化することのできない正義や倫理を判断することは人間にしかできないからです。

 だからこそ、『論語』の授業や日々の学校生活で培ってきた、「仁(他者を愛する心)」や「義(人として守るべき道)」が、これからの時代において一層重要になるのです。この精神を日々発揮していくことで、テクノロジーに振り回されることなく、AIを良きパートナーとして使いこなし、より幸福な社会を築いていくことができるはずです。

 皆さんが二松学舎で培った「建学の精神」と「校訓」を胸に、自覚と責任を持ち、大きく羽ばたいていくことを期待してお祝いの言葉とさせていただきます。

二〇二六年三月吉日