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理事長トピックス

長期ビジョン検討委員会 ワーキング・グループ慰労会挨拶

6月5日、二松學舍長期ビジョン検討委員会、ワーキング・グループ委員の慰労会が、13階ファカルティー・ラウンジで行われました。
委員の方々への、水戸理事長のご挨拶を掲載いたします。


 長期ビジョンプロジェクトの要となる各ワーキング・グループでの熱心かつ時間をかけた真剣な議論、大変ご苦労様でした。教職員が長期ビジョンの作成という共通の目的をもって、議論し、共同作業を行ったのは、本学にとって創めての試みであり、画期的なことです。文字通り教職協働体制が開始されたわけで、こういう動きが定着していくことを期待しています。なぜなら、大学・高校改革に成功して、学生募集力を引き上げてきている先は、教職協働体制が組み込まれている先が多いとの事実があります。今後長期ビジョンとして取り纏められることになりますが、本学を今後20~30年後支える層が、自ら未来を切り拓く形で、作成した課題を克服していくわけであり、当然当事者意識が働くものと期待できますし、達成されれば、大学、両高校、中学校のブランドアップと共に教育・研究環境など皆さんの諸待遇が改善される筋合いのものと考えています。

 さて、過日私が出席した文部科学省高等教育局の会議の席上配布された4月9日開催の国家戦略会議の資料で、大学の人材育成について、「次世代の育成と活躍できる社会の形成」と題して、わが国国力を支えている中間層大卒の「層の厚みと質の強化」が提言され、この部門への財政手当ての充実が謳われています。これまで、エリート教育の在り方に偏り勝ちであった提言が、初めて中間層大卒の国家、国力を維持する面での重要性が説かれたのは画期的であります。言うまでも無く、こうした中間層大卒を供給してきたのは、主に私立大学であり、私大の果たす役割の重要性が、見直されてきているわけです。ただ、この見直しには、前提として、国公・私立大学の統廃合等の促進を含む高等教育の抜本改革を標榜していて、その内容はこれから詳細が決められる予定ですが、先ず平成25年度から国公立大学の地域を越える統廃合を皮切りに、次は私学について、学生募集力が定常的に低下ないしは低水準で推移している先は、他大学への吸収等の手段を含めて検討される可能性が高く、そういう点でも大学自身が、常日頃諸改革について切磋琢磨していく必要性があることを示唆しているようです。

 もう一点は、23年度から文部科学省が開始した経営基盤強化に貢献する先進的な取組み事業についてであります。この事業は、他大学においてモデルとなる先進的なガバナンス改革等を行い、経営改革、教学改革を通じて、経営基盤強化が期待できる取組みを実施し、学生募集や財務の状況等が堅調に推移している大学等が採択の対象となっており、23年度は明治、中央、金沢工業、関西各大学12校が採択されました。そのうちの一つに本学が「中小規模私立大学の戦略的経営モデルの構築と長期ビジョンの作成」というテーマで応募し、採択されております。採択された場合、その内容を公開し、他の大学の範とする義務があり、配布した資料は、その公開資料になります。内容は、本学のこれまで展開してきた戦略的経営についてそのポイントを解説し、その考え方をもとに長期ビジョンプロジェクト策定を行っていることについて説明したものとなっております。既に、私学事業団のHPには公開済みですが、本学HPにも今後掲載予定です。
 最近の私学経営は、少子化を背景として、とくに中小規模私大の経営悪化が進んでおります。中小規模私大とは、1学年在籍1000人未満の大学を指し、二松学舎大学もこの中に入りますが、私大総数577大学の8割467大学を占めており、内4割の230大学が定員割れという状況です。文科省もこうした私学の建直しを図るべく様々な対策を講じてきており、その一環として、今回の新規事業を企画したわけです。

 いずれにしろ、本学にとっては、今後、大学、両附属高校、中学校が、現在以上にブランドアップするためには、長期ビジョン達成が名実共に必要不可欠な対応であり、このプロジェクトの確実な遂行が期待されるところでありますし、これは皆さんの将来のためでもあり、引き続き皆さんのご努力を必要とすることになるので、宜しくおねがいする次第です。