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理事長トピックス

水戸英則理事長の教職員研修挨拶

皆さん、本日は恒例の教職員研修に大変ご多忙のところ、お集まりいただきご苦労様です。本日は桜美林大学教授の篠田先生をお呼びして、教職協働についてご講演をお願いしておりますのでよろしくお願いいたします。私からは、この機会を利用して、現在作業中のN'2030Plan、皆さんにドラフトをお配りしていますが、その後皆さんからいただいた意見を反映させつつ作業を急いでおります。今回作成の意図や考え方を含め中間報告をさせていただきます。

ご案内のとおり、本学は、創立135周年時に、N'2020Planを策定公表、5年間のアクションプランに従い、改革を実現してきました。
しかしこの5年間で、私学経営を取り巻く環境は大きく変化しています。18歳人口の更なる急減(31年には100万人、40年には80万人台へ)、AI、IOT等第4次産業革命の進展等経済・社会環境が大きく変化するとの予想がでてきていること、(AIの研究開発は、現在、グーグルやフェイスブックなどの大手が大きく先行しており、メインフレーム型といってもいいが、将来はネットワークが発達し、個人のPCとAiが直結し、様々な加工が可能となるいわゆるオープンソース・エンドとなると、世の中が大きく変わっていく)、次に大学政策面では定員管理の厳格化、東京23区内大学の増員抑制、実践的な職業大学の出現、法人経営面でのガバナンスや情報公開の更なる充実・強化等私学法の改正見通し等から、新たな長期計画N'2030Plan策定の必要が出てきました。

新プラン策定にあたり、教職員を初め全ステークホルダーにアンケート調査を実施しました。600先に対し306の有効回答を得た結果、①旧プランの5つの基本理念とそれを実現する改革5本柱、その中心となる基本フレームワークは新プランに引き継ぐこと、②旧プランの成果は十分に挙がっていること、③全体の進捗状況がわからないなどいくつかの課題があるとの回答を得ました。

新プランに引き継ぐ基本理念と改革すべき5本柱ですが、先ず基本理念は、建学の精神に基づく二松学舎憲章の制定、全構成員が参加する学舎創造への意識改革、教育・研究体制の充実、ガバナンスとコンプライアンス、情報公開と透明性であり、これを受けて改革すべき5本柱、①基本フレームワーク、②教育・研究の質的改善、③学生支援、④キャンパス整備、⑤財務や人事制度等法人運営面の課題とから構成されています。
ビジョンの根幹である基本フレームワークは、本学の建学の精神、「東洋の精神による人格の陶冶」「己ヲ修メ人ヲ治メ一世二有用ナル人物ヲ養成スル」を基本とし、これを現代的に解釈して育成する人材像を定義したところです。すなわち「日本に根差した道徳心を基に、国際化、高度情報化など知識基盤社会が進む中で、自分で考え、行動する、各分野で活躍する人材」と定義し、この人材像実現のため、大学であれば、「国語力」を、高校であれば、「論語」を主軸に据えた教育ビジョンを置き、教育を展開してきました。

アンケート結果による旧プランの成果については、建学の精神の浸透、新学科の開設、教育の質的改善、奨学金制度の充実、グローバル化対応、キャリア教育、学生支援、キャンパス整備等計画した改革事項はほぼ完了しております。
一方、指摘された課題の第一は、全体の進捗状況が把握できない、改革事項が多すぎて、課題疲れが見られる等の意見です。従って、新プランは、アンケート提案事項を盛り込んだほかこれら課題を解消すべく、策定しました。

新プラン策定の前提となる2030年のマクロ環境、人口動態や私学経営環境面では、18歳人口の急減、私立大学の規模格差の鮮明化、定員未充足先は全体の約6割以上に増え、倒産大学が増加。また国公私の枠組みを超えた経営・教学面の連携は進み、改正私学法下、経営指導層の質的な引き上げの必要性等ガバナンスの更なる強化、情報公開が求められることになると予想されます。
経済環境では、我が国GDPは世界第4位に後退、アジア地域は成長し、我が国企業のAI投資は進捗、現在の仕事は、定型業務等を中心に5割近くは消滅する可能性ありとし、ヒューマンプレミアム度(社会的・創造的知性を擁した人間力)の高い仕事が残ると想定されます。

こうした未来予測の下、新プランの育成する人材像は、時代の変化を鑑み、旧プランの考え方に加えOECD教育部会2030年の高等教育に求められる3つの能力、多様な協力関係を結び管理する能力、情報収集力と新たな価値を見つけ出す能力、専門・教養知識の涵養に加え、高いヒューマンプレミアム度、厳しい時代を生き抜く復元力(resilience)を加味、修正を加え、新たな育成する新たな人材像を定義しました。詳しい内容は省略しますが、(「日本に根ざした道徳心を基に、良質な知識と英語・中国語等語学力を身に付け、我が国の歴史と文化を理解し、かかる知識を背景として、よりよき社会を実現する目標を持って、グローバルに活動する逞しい人材」)この人材像実現のため、学力の3要素である『知識・スキル・人格』を特定・再定義し、これらを三位一体とした総合能力を育むために必要な教育体制「2030年型教育」構築を目指していくこととしました。

また旧プランでは、改革項目毎にKPI(業績目標値)を置かなかった(一部置いたものもあるが)ために、全体の進捗状況が、わからないという課題が指摘されたところです。従って、新プランでは、進捗状況の可視化を進めるため、各設置校の総括目標、大学はさらに優れた大学、附属高校、中学校も同様の目標を置き、これを実現するため、学校運営上の戦略指標を入学、在学中(教育段階)就職(出口)、卒業後、経営資源面の5局面に分けて、合計30余りのKPIを定め、各KPIは目標値 実績値、同乖離値、過去10年間平均値、ピーク値、ボトム値、を各々算出、ダッシュボードに一覧に収め、これら計数等分析しつつ進捗状況を管理していく方式としました。

新プランの柱ごとの説明は省略しますが、プランの課題の実行には教員・職員の皆様方の協働体制が必須であり、この点で、本日の篠田先生のお話は有益であると期待されます。是非皆さん最後までご清聴頂き、活発な質疑応答を期待するところです。なお、新プランの概要は今後9月末ごろを目途に、完成させ、皆さんにお配りし、周年記念日の10月10日に公開する予定です。
今後とも皆さんの引き続くご協力をお願いしたいと思います。どうか宜しくお願いいたします。