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平成26年度 『論語』の学校 -RONGO ACADEMIA- 開会挨拶

平成26年11月15日(土)、九段1号館中洲記念講堂において、「『論語』の学校-RONGO ACADEMIA-」が開催され、460名を超える多くの方にご参加頂いた『論語』の学校-RONGO ACADEMIA-。
水戸理事長の開会のご挨拶を掲載いたします。

 皆さんこんにちは。今年も「論語の学校 ―RONGO ACADEMIA―」にかくも多くの方々にお集まりいただき、誠にありがとうございます。開会に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきます。

 この「論語の学校」は学校法人二松學舍の主催で、平成17年度を皮切りに本年で10回目の開催となります。本学は今年で創立137年目を迎えました。今年の本学の大きな話題の一つ、それはこの夏、私どもの設置校の一つであります二松學舍大学附属高等学校野球部が夏の甲子園に出場したことです。試合結果は全国16強ということで、東京都下、関東一円いや全国に二松學舍の名前が、知れ渡り、大変に光栄なことであり、その際には各界、各層から大きなご支援・ご声援をいただき、大変有難いことと感謝いたしております。

 さて、本日の「論語の学校」は、例年通り、本学の名誉教授、教授の講演などを予定しておりますが、今回は、ゲスト講師として安岡定子先生をお招きしております。安岡定子先生は 二松學舍大学文学部中国文学科卒業 で、現在「銀座・寺子屋こども論語塾」、「湯島 聖堂こども論語塾」などで活躍されております。安岡先生のおじい様は、昭和の大陽明学者、大思想家で、多くの政治家や財界人の精神的指導者やご意見番として知られた、あの 安岡正篤(まさひろ)先生です。安岡正篤先生を師と仰いだ政治家には吉田茂、福田赳夫、池田勇人、大平正芳など歴代首相も名を連ね、我が国政界の黒幕と呼ばれたこともありますが、ご本人は「単なる教育者に過ぎない」と語られたとのお話しもあります。その安岡正篤先生の著書『論語に学ぶ』の中に「論語読みの論語知らず」という記述があります。その一節(42p)を読むとこう書かれています。「現代を最もよく把握し、最も正しい結論を得ようと思えば、論語で十分である、と言うても決して過言ではありません。ただ皆がそれほど読まないだけのことであります。論語を知らぬものはない、また読まぬものはないけれども、大体は論語読みの論語知らずに終わっておる。これは決して他人を責めるのではない、お互いにそうだということです。そうして本当の事がよくわからぬ人間が集まって、てんやわんやと騒いでおる、というのが今日の時代であります。そこでこの時代、この人類は如何にすれば救われるかとなると、やはり学ばなければならない。正に論語に言う通り「学ぶに如かざるなり」であります。終日物を思えば何にもならん、お互いに大いに学ぼうではないか」と。この一節から、安岡正篤先生の名言「人間は学び続けなければならない。学ぶことをやめたら人間でなくなる」という言葉が生まれたのだろうと思います。

 さて「論語読みの論語知らず」の意味するところは、皆さん既にご存知のとおり「論語を読んで内容を知ってはいるが、その教えを実践することのない人。転じて学問はあるが実行の伴わない人を、嘲っていう言葉であります。

 この安岡正篤先生の言葉を肝に銘じて、論語の秘める力を学び、論語を読み解く力、論語リテラシーを涵養して、日々の生活にこれを実践して行くとい心構えを持って行きたいものだと思う次第です。本日は、どうか最後までご静聴いただき、質疑応答にも積極的にご参加頂きたいと存じます。これを以って開会の挨拶とさせていただきます。