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理事長トピックス

水戸英則理事長 評議員会・理事会報告 「創立145周年を迎えた二松学舎とN’2030 PLANの課題」

2022年3月22日

創立145周年を迎えた二松学舎とN’2030 PLANの課題

 皆様こんにちは。本日はご多忙のなかご出席いただき、大変感謝しております。二松学舎は今年145周年を迎えますが、私の方から本学の最近の活動状況、重点施策などをご報告申し上げます。
 先ずは、ロシア連邦のウクライナへの軍事侵攻の結果、罪のない多数の市民が死傷するなど、信じられないような暴挙が行われております。全ての人々が法の下に平和に自由に生活する権利を持っている状況下、今回の暴挙は、いかなる理由があろうとも、決して許されるものではなく、全ての行動を即座に停止するよう求めたいと思います。 

 さて未曾有のコロナ禍長期化の中、法人も、そして社会も、国も大きな試練に立たされ、未だ試行錯誤の状態が続いております。本学においても大学、附属高校等の卒業式・謝恩会・入学式等の中止や規模を縮小して行うなどの事態がもう2年間続いております。大学は、対面・オンライン等ハイブリッド方式の授業を展開、昨年4月から入学生一人一台PCの貸与を開始するなど、可能な限り「学生の学びの機会」を確保致してきました。
 また、両附属高校、中学校でも1人1台、モバイル端末を既に配布済みでオンライン授業の実施のほかあらゆる防疫対策を展開しながら、対面での授業展開が行えるよう施策を講じて参りました。
今後引き続き「withコロナ」の環境下を前提に学校法人全体の事業展開を行っていく方針であり、本年度は特に次の点に注力していきたいと考えています。 

 先ず大学においては、2点あり、その第一点は「教学事務DX」の推進です。従来導入の教務支援システムの「Live Campus」の機能をLMS(e-learningを行う上で、学科教材配信、成績の統合管理するシステム)へ移行・拡充し、学生ポータルサイトを活発化、学生と教職員間のコミュニケーションツールの一層の充実を図り、利便性を向上させて参ります。同時に九段及び柏キャンパスの高速化・大容量化する通信ニーズへの対応のため、毎年2億円ほどの投資でICTネットワーク環境を大幅に拡充し、教務・入試・キャリア等分散している関連データベースの統合も推し進めて参ります。このLMSの利用促進・普及が進めば、大学の先生方においては様々な校務・雑務時間の削減が期待でき、先生個人の研究活動や学生への教育・指導に充てられることになり、その結果は第二点目の重点活動である「教育の質保証」をさらに推し進めていくことにつながります。詳しくはこの3月に発行した広報誌「學」に掲載しておりますので、ご参照ください。

 この「教育の質保証」については、5年前の創立140周年時策定の「N’2030Plan」では、「2030年型教育体制の構築」を目標に掲げています。大学においては、このために必須のインフラである「新カリキュラム」——これには、全入学生が履修可能となる教養科目を初年次に配置し、習熟度に応じた語学教育や数理・AI・データサイエンス教育のための授業科目等が包含されており、本年4月から導入致します。また、学長のもと教学部門で推し進めてきた3ポリシーに基づく教育方針、特に出口の学位授与方針である「ディプロマポリシー」においては、各学生に4年間で身についた力、「学修成果」を見える化するツールである「ディプロマサプリメント」を作製しており、今後信頼性を引き上げることが課題です。
 このように大学は漢学塾以来の伝統である少人数教育を質的に、そして近代的にレベルアップして真に学生に選ばれる大学であり続けることを目標としています。

 次に両附属高校と柏中学校の重点施策は、引き続き「生徒募集力の強化」です。アクティブ・ラーニング中心の授業展開を通じて難関大学への進学実績をさらに引き上げること、各種奨学金の拡充など制度を見直すことが必要です。また「Society 5.0」時代に求められる「人材育成のための基盤整備と充実化」についても、既に全生徒に配布済みのタブレットPCを駆使し、アクティブ・ラーニング中心の学習指導・進路指導を行っております。さらにこのコロナ下にありましては、生徒及び保護者を対象に、学校運営上の問題点やニーズの把握・改善を図るための定期的なアンケート調査を実施し、満足度向上を図るなど生徒募集力の強化へと繋げる好循環を生み出していきたいと考えています。
 学校法人部門では、法人全体の財務状況につきましては、良好な状態を維持しております。次に法人運営の見える化のため昨年10月に公表した「学校法人二松学舎 二松学舎大学ガバナンス・コード」に一部改正を加え、「ダイバーシティ・インクルージョン(多様性の受容、女性、外国人、シニア等が働きやすい社会の実現)」、「サステナビリティについての方針」等を記載、昨年12月21日から施行、学内関係者への周知徹底を図ってまいります。また「SDGs」については、今や企業だけでなく学校についてもこうした取り組みへの関与が、受験生にも評価される時代が来ています。本学全体の組織活動がどの程度「SDGs」の理念に合致しているか調査を行っており、各設置学校の具体的な目標を抽出、「全学アクション・プラン」の課題として織り込む方向で検討中です。

 なお、最後に私立学校法改定を目途とした学校法人制度改革の動きですが、私立大学連盟、同協会等の意見も纏まりを見せてきており、先週17日の会合で細目を除き次期改正私学法の基本の枠組みを了承し、本日午後最終調整を行い、その後、私学行政課で法案作りに入っていく予定であると聞いております。現行制度と異なる点は、評議員会に最重要案件の議決を義務化、監事等の機能不全の場合の評議員会の理事会等への一部監督機能を持たせること、また評議員と理事の兼務の禁止、評議員定数の引き下げ、監事の監査対象が理事の執行状況に加え評議員も対象になるなどの変更がなされるようです。詳細決まりましたら、またご報告していきたいと考えております。
 以上、今後の重点施策と最近の動きについて説明させて頂きました。
 今年も同様に皆様のご協力、ご指導を引き続きお願いする次第です。よろしくお願いいたします。

以上