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理事長トピックス

水戸英則理事長 評議員会、理事会ご挨拶

2021年5月25日

144年目に入った二松学舎とN‘2030 PLANの課題

 二松学舎評議員、理事・監事の皆様には本日ご多忙の折から、本会へご出席いただき、大変感謝しております。私の方から、本法人設置各校の昨年度の主要実績と新年度の課題など一言ご挨拶申し上げます。

 二松学舎は今年144年目の年を歩んでおります。昨年来、新型コロナウイルスは依然猛威を奮っていますが、ワクチン接種の進捗や治療薬、治療手順等が進むに従い、我々の普段の生活が戻ってくるものと確信しております。こうした中で、教職員の皆様が、大学、両付属高校、中学校において卒業式や入学式、オンライン授業や対面授業、これら授業への諸準備や新入生へのキャンパス案内、また教職員への感染リスク削減対策を講じる等、各部署で初めて直面する様々な仕事に挑戦し、工夫しながら、幾多の困難を乗り越えて来られたこと、まずもって感謝する次第です。また本学に通学する学生・生徒の皆さまやその保護者の方々には、修学や学生生活について、種々ご心配されたことと思います。学校法人としましても、学生生活支援のため給付金・奨学金の支給や増額など、数々の支援措置を取らせていただきました。

 さて本学の長期ビジョン「N’2030 Plan」も今年で4年目に入りました。本ビジョンでは建学の精神に基づいた育成する人材像を、SDG’sの達成等時代の先行きやAI等ニューテクノロジーによる経済・社会構造の大変革や多様性を展望し、「道徳心を基にした良質の知識と英語・中国語等語学力を身に付け、我が国の歴史と文化を理解し、かかる知識を背景として、よりよき社会を実現する目標を持って、グローバルに活動する逞しい人材」としています。この人材育成実現のため、「2030年教育体制」の構築という目標の下、大学をはじめとするカリキュラム改革を進めております。

 まず、2020年度の業績を簡単に振り返りますと、大学では、新カリキュラムの検討が進み、数理データサイエンスを含む教養科目を両学部の初年次教育で実施することでその概要が纏まりました。また文学部・都市文化デザイン学科が4年目(完成年度)、国際政治経済学部・国際経営学科が 3 年目を迎えました。昨年は新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、卒業式、入学式(本年度遡って実施)は中止、授業はオンライン中心となり、教育研究大会、学園祭、生涯学習講座など対面形式によるイベントは中止や縮小、開催イベントの多くはウェブ上での実施となりました。大学では、秋セメスターから教育研究活動等について、学長を中心として「新型コロナウイルスの活動基準」を策定、状況等を勘案しながら、対面・オンラインなどハイブリッド仕様で適切に対応できるよう措置を講じております。また大学基準協会による認証評価につきましては、適合の評価を獲得しております。学生募集対策としては学部学科ごとの情報発信など受験生への早期アプローチを図るなどの対応を取りました。

 両附属高等学校および中学校では、遠隔授業、分散登校といった対策を経て、ソーシャルディスタンス確保、感染防止対策を徹底し、第 2 学期をスタートさせました。 学生生徒募集対策として、オープンキャンパスをはじめオンラインでの学校見学会、電話やWeb会議アプリによる個別相談会のほか入試説明会の実施や学校案内パンフレットやホームページのリニューアル、柏のスクールバスのラッピング広告のほか、ブランドイメージ動画の作成、配信などによる広報活動を行いました。

 施設設備整備については、国際交流センターの移転や九段・柏校舎の定例のメンテナンスを行った他、附属柏中学・高校ではスクールバス(千葉県北総方面便)の増車などの環境整備を行ったところです。また、両キャンパスとも新型コロナウイルス感染症対策として、wifi等ネットワークの充実強化など遠隔授業のインフラ対応と各種会議のオンライン化のほか、サーモグラフィー、飛沫防止パーテーション、換気設備、消毒液の設置などを実施したところです。

 次に新年度2021年度の課題については、「N’2030 Plan」のアクションプランに記載されているとおり、先ず大学では、一昨年の学部の入学定員引き上げ(文学部は440 名、国際政治経済学部は240名、両学部合計 680 名、各学部40名増、計80名増)に伴い、収容定員が年次進行で増加、在籍ベースでは2640名と240名の増員となります。また文学部では、新学科である歴史文化学科が、来年4月スタート、4学科体制となり、また大学院での新たな修士課程の新設等が計画されております。また来年度導入予定の新カリキュラム開始に向けた諸準備を行うほかICT教育環境の拡充を図って行くため今年度から学生1人1台PC配布を開始したところです。さらにWithコロナ時代の学生支援、就職支援の拡充・強化を図り、大学の使命の一つとしての産業界、地域社会等との連携強化を図って参ります。

 なお、本年の大学志願者減少対策としては、現在関係部署で、本学志願者や受験者動向、他大学情報、入試広報の在り方等を詳細分析中であり、纏り次第、法人も一体となって実施していく方針です。

 次に両附属高校の課題は、引続き進学実績の向上を図るため難関大学への入学実績の引上げ、生徒募集力の強化、コロナ禍における生徒・保護者満足度の向上、奨学金制度の見直しと効果的な運用を図ってまいります。附属柏中学校については、生徒募集対策の見直し(1クラス生徒20名程度の徹底した少人数教育の展開等)・特待生制度の改善、コロナ禍における生徒・保護者満足度の向上などが課題であり、随時解決をしてまいる所存です。なお両附属高校の志願者動向は、好調に推移していることを、申し添えておきます。

 法人部門では、適切なガバナンスの充実・強化策として、学校法人二松学舎・二松学舎大学ガバナンスコードの策定・公表、重要な使命である財務の安定的な管理・運営、教育環境整備や奨学金基金として活用するための恒常的な寄付金募集体制の強化、改革総合支援事業等補助金の獲得、規程に基づいた慎重な資金運用、外部格付機関による学校法人財務格付の実施(R&I・A-)などにより各種改善を図ると共に、文科省、内閣府等行政や連盟・協会等の動きも睨みつつ、情報収集を図り、施策に反映させながら長期ビジョンの最終目的である設置各校のブランドの向上を通じて、志願者・入学者の増加・安定を図り、長期ビジョンが描く育成する人材像の実現を図ってまいりたいと考えております。

 以上、2020年度の実績、2021年度の課題をお話ししました。本年度も理事・監事・評議員の皆様には、それぞれご精励して頂きたくお願い申し上げます。また、卒業生、保護者、父母会や関連するステークホルダーの皆様に対しましても、引き続きご支援・ご協力をお願いして、挨拶といたします。