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『論語』の学校-RONGO ACADEMIA- 開会挨拶

平成24年11月17日(土)、九段1号館中洲記念講堂において開催され、あいにくの雨天にもかかわらず300名近くの方にご参加頂いた『論語』の学校-RONGO ACADEMIA-。
水戸理事長の開会のご挨拶を掲載いたします。


 みなさんこんにちは。学校法人二松學舍理事長の水戸でございます。本日はあいにくの天気ですが、かくも多数の方々にお集まりいただき、誠にありがとうございます。開会に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきます。

 私ども学校法人二松學舍では平成17年度から、毎年11月に本講演会を開催してきており、本年で第8回目の開催となりました。本学は今年10月10日に創立135年目を迎えております。135年前にこの同じ地に当時の漢学者であった三島中洲先生が漢学塾二松學舍を設立したのがその始まりです。爾来135年が経過、漢学塾設立時の建学の精神「東洋の精神による人格の陶冶」、「己を修め人ヲ修め一世に有用なる人物を養成する」は、現在でも本学の建学の精神であります。この建学の精神の意味するところは、詰まる所、中国の孔子、孟子など儒教の先師の教え「人として踏み行うべき正しい道」すなわち、「道徳を身につけ、倫理観を醸成することが、人材育成上不可欠ということ」を意味しており、本学は、大学、2つの附属高校、中学校において、この教えを原点において、教育を展開しております。具体的には、各設置校で毎週論語の授業を展開しております。

 ご存知のとおり論語は、わが国で1500年以上(伝来したのは、大和、飛鳥、奈良時代と諸説ある)に亘り親しまれてきた、日本人の精神と道徳の根幹であり、これを通じて正しい生き方や人との付き合い方などを知らず知らずのうちに学んできております。その500以上の短い章句の中に、「人生の目的、教育と学問、道徳の大切さ、家庭生活の心得、人間の品位、国民と政治活動、経済活動における留意点、老衰、病、死等々」文字通りゆり篭から墓場まで、人が遭遇するあらゆる局面における教えが鏤められております。そういう意味では、論語はまさに「社会的資源」、しかも人生の局面ごとに必要に応じて形を変えることのできる、万能細胞がごとき貴重な資源であると言えます。

 本講演会は、このような論語の素晴らしい教えをわかり易く解説するとともに、この教えを元に諸活動を実践している各業界(教育現場、実業界、奉仕活動など)の方々をお招きして、論語の秘める力などをご紹介頂き、論語を読み解く力、論語知力と申しますか、論語リテラシー(内容を噛み砕いて実践へと導くこと)と申しますか、これを深め、論語がその目的とする人生の諸局面における実践的かつ現実的な教えを理解して頂く一助となればという考え方で開催しております。

 さて、今年は、後ほど司会から紹介がありますが、本学文学部中国文学科教授で、論語を専門としている家井真(いのい・まこと)氏による講演「論語をどのように読むか」に加えて、民間からは、元東京海上日動火災保険株式会社の社長、会長、相談役を歴任後、慶応義塾大学大学院経済学研究科で山田方谷を研究された、樋口公啓(ひぐち・こうけい)先生に「山田方谷と王安石の財政改革」と題しての公演を行っていただきます。山田方谷先生は備中高梁、松山藩の有名な陽明学者で、藩内に設立した牛麓舎には、本学の創始者三島中洲先生が若年時代師事し、大きく影響を受けた先生です。本日はどんなお話を頂けるのか、期待しております。

 ご来場の皆様にもどうか最後までご静聴いただき、質疑応答にも積極的にご参加頂きたいと存じております。どうか皆様の論語知力、論語リテラシーを深める機会となりますよう祈念して開会の挨拶とさせていただきます。