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理事長トピックス

平成25年 新年のご挨拶

 教職員の皆様、卒業生の皆様、本学関係者の皆様に、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 今年の干支は癸巳(みずのとみ・きし)、十干の癸(みずのと)は「原理原則を立てて、順序に従って計画を一致協力して進めていく」ことを表し、十二支の巳(み)は「物事が終結して新たに出発する」ことを示すのだそうです。
 昨年は、百三十五周年を一つの節目として、二松學舍創設の原点に立ち返り、本学の将来を見直すこととし、教職員等の200件に亘る提言を纏め、長期ビジョンを作成、公表しました。

 今年の干支に倣えば、長期ビジョンという原理原則を打ち立て、このビジョンを二松學舍構成員が一致協力して進めていくこと、すなわちアクションプランの作成に向かって新たに出発することになります。
 ご承知のとおり、少子高齢化の加速等により、わが国を実質的に支えている中間層大卒の枯渇化、すなわち労働力の減退が、先行きの国力そのものを低下させていく懸念が大きくなってきており、この層の人数に限りがあるとすれば、質の引き上げが必要なことは、昨年の国家戦略会議や年末に行われた衆議院選挙での各党の公約などでも大きく指摘され、国民の大学教育改革面への要請が高まってきております。
 教育機関としての社会的責任を果たす意味でも、また長期ビジョンに基づいた人材育成の面でも、本学はこうした要請に応えていく必要があります。具体的には、大学学部4年間の教育で身に付ける「学士力」について、実社会で必要な一般的教養や各学部の専門知識・学力に加え、コミュニケーション能力は基より、答えのない問題に解を見出していく批判的、合理的な思考等の認知的能力(課題解決力)やチームワークでリーダーシップを発揮し、社会的責任を担う倫理的・社会的能力、総合的かつ持続的な学修経験に基づく想像力と構想力等も併せて身に付けさせて行く必要があります。そのためには先ず、米欧に比較し6分の1以下という、極端に少ない我が国大学生の授業時間外学習時間を改善していくことが必要です。大学教育課程の開講科目を難易度や期待能力形成別に体系化する、いわゆるナンバリング化や、履修学生の学習成果の可視化(どのような知識・学力、能力がついたか)、またシラバス(授業計画)についても、学生の学習支援的なツールとして活用できるように改善が必要です。授業方法についても、双方向授業やアクティブラーニング等の展開、さらには一番大事なことですが、これらの教育方法を、教職員間の連携と協力による教学マネージメント体制として定着させ、授業展開等を通じて、学生に自主的な学修慣行を身につけさせ、実質的な学修時間を増やしていくなど、教育方法の質的転換が求められています。
 中学校、高校教育においても同じことが言えます。生徒が、きちんと予習、復習をするような授業を展開し、学力に加え、生き抜く能力を身に付けさせる教育を行っていくことが肝要です。そして、大学、高校、中学校の各設置校で、自主的に責任を持って行う教学マネージメント(大学)、教育マネージメント(中・高校)体制が定着し、授業展開されてくれば、中・高接続や高・大接続問題また大学と職業との接続の問題は、解消され、入試のあり方も変容してくるものと考えられます。
 本年度から始まるアクションプランの主要課題の一つが、かかる教育マネージメント体制の構築、定着を進め、各設置校で実施していくことです。そして、長期ビジョンの目的である「道徳心を基に、国際化、知的基盤社会化が進む中で、自分で考え、判断し、行動する,各分野で活躍できる人材」の養成を図っていくことが、本学に与えられた使命であるといえます。
 関連する教職員、卒業生の皆様に対して、引き続きご支援、ご協力をお願いして、巳年、新年のご挨拶と致します。