學vol.65

ゼミナール探訪

ゼミナール探訪

文学部 国文学科・中国文学科/塩田今日子ゼミ【日・韓比較言語・文化】

好きなことを堂々と学ぶ
生きる自信につながります

 4年次生のこの日の授業は韓国の小説やドラマのシナリオを韓国語で読み、それを逐次翻訳するというものでした。意味の正しさもさることながら、「『勝負欲』よりも『心に火がついて』という表現の方がいいのではないか」といった意見が出るなど、日本語力も欠かせません。

 「“国語力”を重視している二松学舎の学生は日本語の感性が豊かなんです」と塩田先生。その際に駆使するのが「ソクラティブ」というアプリケーションです。授業中に質問やコメントをウェブ上に配信し、それへの回答をスマートフォンやタブレット、PCでリアルタイムで共有するというもの。

 「人前で発言する環境だと正しい答えしか返ってこない。ソクラティブだと気軽にやりとりできるので間違うこともある。それがみんなの学びになります」

 ゼミ生の多くは二松学舎で韓国語を学びたいと入学してきたそうです。

 塩田先生が韓国に留学したのは1980年代後半。軍政が終わり、ソウル五輪が開催されるという同国が世界に向けて開いていく時代でした。いまとは隔世(かくせい)の感がありますが、学生の多くがKーPOPや韓国ドラマに関心をもつ理由を塩田先生はこう語ります。

 「朝鮮半島の分断はすでに70年以上続いています。家族や親戚が離れ離れになってしまった人も少なくありません。それゆえ韓国のドラマや音楽には人々の心の傷を癒そうとするものを感じます。たとえば、ドラマには、勧善懲悪ではない、悪役にも共感する部分を描くといった精神的な深さと感性がある。そういうところに惹かれるのではないでしょうか」

 「深さと感性」はゼミにも反映されています。ゼミ生からは、細やかな感性で表現された韓国語をきちんと理解したいという真剣さが感じられます。

 塩田先生はこう言います。「うちの学生は社会に出ても大丈夫。好きなことを堂々とやっているから。それが生きる自信につながります」

文学部 国文学科・中国文学科/塩田今日子ゼミ【日・韓比較言語・文化】

国際政治経済学部 国際政治経済学科/関沢修子ゼミ【憲法】

自分なりに考え、行動する
社会人になると活きてきます

 「当学部の特性でしょうか。法学部で交わされるような議論よりも、テーマ設定が自由なので多様な意見が出されます」という関沢先生のゼミでは、3年次に判例の精読を中心に、検討と議論の経験を積んでいきます。4年次になると、個人が自分のテーマを追究し、卒業論文の執筆に取り組む、という進み方になります。

 「したがって私から一方的に説明しないよう心掛けています」

 研究テーマとその進捗状況を報告する場では、先生と学生との粘り強いやりとりが行われます。教育権は国家に在るのか、国民が有するのか、戦時下における法律について、死刑制度の存置論と廃止論、象徴天皇制とは、など取り上げられる内容は多岐にわたります。研究は端緒についたばかり。他の学生からの質問や意見、関沢先生によるいろいろな角度からの助言を受けることで、対象の絞り込みがなされていきます。

 「国際政治・経済を学ぶなかで生まれた興味をもって入ってくるからか、憲法に対する関心の幅はとても広い。それを大事にしてあげたいですね」と関沢先生。多くの判例を取り上げるのは、「過去にあった事件に対する裁判所の判決とはいえ、批判や議論がないわけではありません。それを丸ごと呑み込むのではなく、自分なりの考えを持ち述べられることが大切です」

 2019年に着任した関沢先生の学生たちに対する当初の印象「真面目で大人しい」は、じっくり話してみることで、「ユニークな学生が多い」に変わっていったそうです。

 Slack※などを利用し、授業以外の時間でも質問しやすい環境を整えている関沢先生に学生たちの将来に望むことは? とお聞きしたところ、「どんな仕事に就くにせよ、自分で考えて動く人になってほしい」とエールが返ってきました。

※チャットツール

国際政治経済学部 国際政治経済学科/関沢修子ゼミ【憲法】

學vol.65

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。