理事長トピックス
水戸英則理事長 2025年 年頭所感
「不確実性の時代へ向けて教育・研究機関としての使命」
はじめに
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、日頃より本学の教育研究活動にご支援賜り、感謝申し上げます。
本年二松学舎は創立148周年を迎えます。この間、本学は常に時代の変化に対応し、社会に貢献できる人材を育成してまいりました。
さて、2025年を迎えた今、世界は大きな転換期を迎えています。生成AIの急速な発展や、気候変動問題の深刻化、そしてパレスチナ・ウクライナ危機、米中、中台対立など地政学リスクの高まり、米国の政権交代など、私たちを取り巻く環境は不確実性が増しており、かつ変化しています。我が国においても、少子高齢化の加速や、デジタル化の進展が社会構造を大きく変えつつあります。
このような不確実性の時代において、本学の役割はますます重要になってきています。今後も明治10年創設の漢学塾以来の建学の精神を継承しつつ、時代の要請に応えるべく、使命とする教育・研究活動を通じて社会に貢献してまいる所存です。
148周年と長期ビジョン「N’2030Plan」これまでの歩みと課題
こうした中、二松学舎では、長期ビジョン「N’2030Plan」も8年目を迎え重要な局面に差し掛かっております。これまでの間、関係者の皆様のご尽力およびご支援の元、統括目標である「東京所在の中堅私立大学からさらに優れた私立大学へのブランドアップ」を標語に掲げ、附属中高と一体で教育面、経営面で改革に取り組んでまいりました。具体的には、国際経営学科や今年度に完成年度を迎える歴史文化学科等新学科の開設、数理データサイエンス教育を加味した新カリキュラムの展開、教育成果の可視化と校務の効率化に向けた各部署におけるDXの推進、文理融合型の新分野の検討など計画は順調に推移しております。この点は学校法人の格付けを行うR&I(格付投資情報センター)からも高い評価を頂いているところです。
現代社会の課題解決のための人文社会科学の知見とその重要性
これまでも申し上げてきましたように二松学舎大学の使命は、人文社会科学系大学として、その学問の存在意義を改めて社会へ問いかけ、重要性を示し続けながら、数ある私立大学においても独自の個性を放つ唯一無二の存在へと更に価値を高めることにあります。
人文社会科学は、人間や社会の仕組みを解き明かす学問です。歴史、文化、社会、経済のあり方などを研究することで、私たちは自分自身や社会をより深く理解することができます。
現代社会が抱える様々な問題、特に近年は、CO2による地球温暖化等の環境問題や、貧困や社会の不平等性等という「外部不経済」すなわち、資本主義が取り残してきた課題が山積しています。かかる課題解決のための主役は「人的資本=人」です。これらの問題がなぜ起こり、どのように社会に影響を与えるのかを理解する必要があり、そのためには、人が築いてきた歴史を振り返り、社会、経済の仕組みを解き明かす学問である人文社会科学の知見が不可欠です。二松学舎大学では、人文社会科学の知見を涵養するための人材育成について以下の取り組みを進めてまいります。
これらの取り組みを通じて、二松学舎大学は、人文社会科学の重要性を社会に発信し、より良い社会の実現に貢献していきます。
両附属高等学校・中学校の教育改革
『論語』をもとにした人格教育
両附属高等学校・中学校の教育改革については、『論語』に基づく人格形成を基本に、学力向上を主眼とした教育を行うこととし、具体的には①文系・理系のコース別選択制の再検討(高等学校)、②アクティブラーニングを通じた教育体制の充実、③グローバル化・ICT化の推進等の施策を進めていく方針です。
学校法人の取り組み
法人としては、安定した財務基盤の維持(R&I格付投資情報センターの財務格付けはA-と良好かつ安定的)、規則・規程等法に則った民主的な理事会運営、風通しの良い法人運営、教職員の資質向上促進のための人材育成体制整備などの課題に引き続き取り組みます。また基幹ネットワークや教務各システムの高度化やDXを通じて、内部統制上重要な業務の効率化、教育の質保証、学習成果の可視化の実現に重点を置いていく所存です。
いつも選ばれる大学・高等学校・中学校としての地位確立
創立150周年を目指して確実に着実にステップアップ
今後、少子高齢化が急速に進む厳しい経営環境の中、大学、両附属高等学校・中学校を更にレベルアップし、いつも選ばれる大学、高等学校、中学校としてのゆるぎない地位の確立を目標に、創立150周年を目指して、皆様とともに、確実に着実に歩んでいきたいと考えております。引き続き皆様のお力添えを切にお願いして、新年のご挨拶といたします。何卒よろしくお願い申し上げます。