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水戸英則理事長 2022年度両附属高校・中学校初任者研修会開校式挨拶

2022年4月1日

2022年度 両附属高校・中学校初任者研修会開校式挨拶

 コロナ禍が長期化し、通常の教育活動を行うことができない中、オンラインでの対応も含め、先生方には様々な取り組みを行って頂き感謝しております。

 さて、アクティブラーニングの導入を主眼とした学習指導要領の改訂も中学校で昨年、高校では今年度逐次導入される形で実施されております。この改定は非常に重要で、なぜアクティブラーニングかという背景には、すなわちここ30年間におけるニューテクノロジーの出現、気候変動、カーボンゼロ等様々な大変革やその中でのわが国の国際的かつ経済的衰退等、それらを教育から立て直そうという意味合いがあるわけです。この研修では、その意義等を再度先生方の意識をリマインドするということを目的の一つとして、今年度より新しく研修の講師になられた田村幸子先生には、是非講義を行ってほしいと思っています。

 次に、このコロナ禍を契機として、多くの学校ではオンラインと対面のハイブリッド授業を展開する等、ICT活用の課題と可能性が明らかになったと思います。学習等のログが残り支援しやすい、時間と空間の制約を受けずに教育活動が可能になる、不登校の生徒の学習機会が充実する等、個別最適な学びと協働的な学びに資するとのメリットがみられた一方、オンライン対応の遅れや ICT 学習環境の格差、データ収集・活用の不十分さ、先生方の ICT 活用指導力向上の必要性などの課題も同時に指摘されているようです。

 こうした状況下、これからの先生方は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図りながら、教育データを効果的に活用し、生徒の学びをファシリテート(促進)することが求められてきます。そしてさらには、先述しました学校における ICT の活用も今後の課題として実際にあがってくるでしょう。

 二松学舎の教育は、先生方が真摯に教育活動に取り組んでいることによって支えられています。先生方には、生徒すなわち「学習者主体の視点」を強く意識した教育活動を展開して頂ければと思います。これまでは一斉授業を前提としたいわゆる 「チョーク・アンド・トーク」の指導力が重視されてきました。勿論こうした力は基本的に必要ですが、今後、ICT も活用した協働的な学びが増えていく中で、生徒同士の議論をファシリテートする力や ICT 活用指導力がこれまで以上に重要になっていくと考えられます。

 学校運営には、教員の皆さん以外にスクールカウンセラーやソーシャルワーカー、ICT支援員、事務職員等多くのスタッフが関わっています。学校が社会の変化に適切に対応していくためにも、先生方が全ての業務を行うという発想から、校長の下で多様なスタッフが専門性を生かしつつ協働して学校を運営する体制へ、「チーム二松学舎造り」も検討していく必要があります。 ICT活用による校務の効率化は、先生方の様々な負担を軽減し、ひいては教育の質を高めることにつながります。このコロナ禍を機に、法人としましても、学校とともに組織的な意識改革を促し、教育現場にBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を図る取り組みを進めていきたいと考えております。

 最後に、この研修が実り多きものであるように祈念して挨拶といたします。

以上