理事長トピックス
平成30年度 『論語』の学校 ―RONGO ACADEMIA― 開会挨拶
皆さんこんにちは。今年も「論語の学校」に、ご参加いただき、誠にありがとうございます。「論語の学校」は、今年で14回目の開催となります。また、本学は昨年創立140年を迎えましたが、今年は附属高等学校が、70周年を迎えました。これまでの長い間、教育機関としての使命を果たしてこられたのも、社会からご評価を頂いた結果といえます。今後も、教育の質を引き上げていくべく努力を重ねていく所存であり、引き続きご支援をお願いする次第です。
さて、皆さんは、第4次産業革命という言葉をお聴きになったことがあるかと思います。蒸気機関の発明が第1次、電力や石油による大量生産時代が第2次、コンピュータによるデジタル革命が第3次、そして、近年のAI、IOT、ビッグデータ等から構成されるネット社会、サイバー社会の到来が第4次産業革命ということです。すなわちAI、IOTなどが各業種の先端技術とむすびついて、イノベーションを起こしています。例えばAIと運転制御、地図データが結び付いて車の自動運転、AIとゲノム理論、疾患生命情報等ビッグデータが結合し、新しい創薬が可能となり、これまで克服できなかった病気を治すことができ、長生きになってきている、今現在我が国の男女合わせた平均寿命は84歳ですが、2045年には100歳を超えるそうです。こうしたAI社会、ネット社会、サイバー社会を政府は「Society5.0」の時代と呼んでおり、2030年頃に実現するだろうと予測しております。
こうした時代になると仕事の在り方も大きく変わってきます。昨年も似たような話をしましたし、皆さんもいろいろお聴きになっていると思います。AIが人間の仕事を代替していく、マニュアル化やルーティン化される仕事、調査や分析業務はどんどんAIに置き換わっていく訳です。一方AIではできない仕事、芸術、哲学、神学など抽象的な内容を整理・創出するなど創造的な知性を要する仕事、例えばデザイナー、ディレクター、各種コーオーディネーターなどです。また豊かな人間性を元とした、すなわち他者への思いやりや他者との協調、理解を通じ、その上で説得する、交渉するような社会的知性を要する仕事、医者、学校の先生、各種コンサルタント、介護・看護士などの仕事はAIが代替できないといわれています。
この社会的知性は、人間が身に付けるべき徳目の一つであり、論語等にも仁愛、(思いやりの心)、誠実(真心を以て人に接する心)、弘毅(意思が強く精神が安定していて相手に安心感を与える心)として、社会的知性を身に付けることの大切さをその教えとして位置づけられています。論語が体系づけられたのは、紀元前4~5世紀と言われており、このように2400年から2500年もの長い間、その教えが脈々と受け継がれてきました。またこれから始まるAI社会においても、AIに代替できない、この教えが大切であると、改めて再認識されており、論語の教えの不朽性、永続性、現実的・実践性の力に驚かされる次第です。
さて、本日の「論語の学校」では、講演者として、本学の町泉寿郎教授、ゲスト講演者として新潟県の実業家で、NSGグループ代表、アルビレックス新潟会長、新潟総合学園 総長・理事長等50以上の多種の企業を経営しておられる池田弘先生をお招きしております。先生は「新潟の渋沢栄一」を目指しておられるとのことです。興味深い話が多々あると思いますので、皆さん最後まで、ご静聴頂ければ幸甚です。どうか宜しくお願いいたします。