ものごとを深く知るために
思想、文化を掘り下げる
政治思想・経済思想・教育思想、宗教思想などの思想史と、教育・建築・メディア・宗教などの文化史を総合的に扱う本ゼミでは、麻生将先生の指導のもと、ゼミ生は多岐にわたる分野で研究に取り組みます。
あるゼミ生は、自分が選んだテーマについてこう語りました。
「私はクラシック音楽が好きで、芸術や文化に関心を持ち始めました。知っていくうちに、その本質を知るためには、キリスト教の文化を学ばなくてはいけないと思い、麻生先生のゼミを選びました」
ものごとを深く突き詰めるには、その背景にある思想や文化を知ることが欠かせない――そうした麻生先生のスタンスに共鳴したゼミ生が集まっています。興味の先が違っても、研究対象への取り組み姿勢やモチベーションは皆同じ。「いろいろな意見が飛び交うことで、自分の知らない知識や持っていない見方を得られるので、それが研究の参考になります」というゼミ生の声も。
この日の授業は、卒業論文を執筆するにあたって重要なことや注意すべきことに関する講義が中心となりました。独自のテーマを挙げて先行研究や史資料にあたり、自分の研究が、学術的に、そして社会にとってどのような意義があるかを考える。歴史研究としてはもちろん、社会人として何かの仕事に従事する際にも通底するプロセスを、先生は丁寧に教えます。
「課題への取り組み方の手法は同じだと思います。論文を読むこと、書くことの経験は社会人になってからこそ役立つのではないでしょうか」(麻生先生)
また、麻生先生が専門とする人文地理学は、地表における人の営みを研究対象とした学問です。それを空間で捉えると地理学、時間という視点で見ると歴史学になるとのこと。歴史を学ぶ魅力について、麻生先生は「過去を学ぶ際、書物や日記、手紙などを手掛かりに当時の人々のことを理解する作業はとても大事です。現代に生きる私たちの価値観とは大きく異なる部分もありますが、共通するところも多くあります。時代を超えて色々な人たちと出会える。それが、この学問の面白さの一つではないでしょうか」と語ってくれました。

古典を通して、現代社会を生きる
言葉の力を身につけよう
『古事記』『日本書紀』「風土記」などを分析し、歴史や神話・伝説がどのようにつくられているのかを考えるゼミです。例えば、文章と歌で構成されている『日本書紀』は、なぜこのような形で歴史を示しているのか? 口承する側と記録する側という関係なのか、それとも双方が一緒に物語を編んでいるのか? といった問いを立てて、議論を深めていきます。
「古典を単に古典として学ぶのではなく、古典を読むことを通して現代社会の見方を磨いてほしい」という長谷川豊輝先生。その教えは浸透しており、ゼミ生からは「教職実務研修に行った際、『万葉集』を教えていた先生が『この歌、エモい』と表現されていて、古典を今の感覚に引き寄せて味わう楽しさを感じました」 「ゼミでの学びを活かして、上代文学をモチーフにしたゲームのシナリオを書きたい」という声が聞かれました。
ゼミ生たちは、積極的に自分の考えを述べます。どうしてこのゼミを選んだのかという質問には、ゼミ説明会や授業に参加したことを挙げ、「とても楽しそうだった」「教員免許をもつ長谷川先生が教職課程のバックアップもしてくださると話されていたので心強く感じた」という答えが返ってきました。
長谷川先生はどんな意見も否定せず、みんなに目配せしながら発言を促します。その成果なのか、あるゼミ生はこんな経験をしたそうです。
「企業のインターシップに参加した時、担当の方に『あなたは自分の考えをまとめて発表する力がある』と言われました。このゼミで思考力が鍛えられたからだと思います」
就職活動では企業の早期選考が行われることもあり、ゼミとの兼ね合いが難しいという悩みも。長谷川先生は、そうしたゼミ生の気持ちも理解し、こうエールを送ります。
「古典の学びは、作品を読んで知識を増やすだけではなく、言葉の力も伸ばす。つまり、社会人として生きていく力も養います。言葉を学んだ学生達の活躍を楽しみにしています」










