學vol.67

ゼミナール探訪

ゼミナール探訪

国際政治経済学部 国際政治経済学科/白石まりもゼミ【健康スポーツ】

スポーツを通して、
幅広い分野を掘り下げる

 国際政治経済学部に、スポーツのゼミ。一風変わった取り合わせのようにも見えますが、非常に幅広い分野を学ぶことのできるゼミです。

 「例えばスポーツによる経済効果を調べたり、スポーツ関係の法律を研究したり。スポーツと心理学や栄養学、物理学を組み合わせてもいいんです。柔軟な発想を持ち、スポーツを通して自分の関心のある分野を深めてほしいですね」と白石まりも先生は語ります。

 その懐の深さが人気を集め、ゼミ生数は26人の大所帯。定員オーバーになりそうな年もあるそうです。ゼミ生の一人は「スポーツが大好きなので、このゼミに決めました」と笑顔で語りました。彼の研究テーマは「交通死亡事故」。人々の身体能力や健康状態など、交通事故とスポーツが関連する面を考察したそうです。

 別のゼミ生の研究テーマは「高校野球の球数制限」「陸上競技のギャンブル化」など多岐にわたります。この日、発表した学生は「食品添加物の認識と安全性」について、文献調査や学生アンケートに基づいてじっくりと研究していました。

 「3年次生ではアンケートを取ることに慣れてもらいます。数字に裏打ちされた考え方を身につけると、社会に出てから必ず役に立ちます。みんな私とやりとりを重ね、自分で考えながら2万字超の卒論を書きます。その過程が非常に大事だと思います」(白石先生)

 また、ゼミ生全員が普通救命講習を受講。模擬面接や自己分析など就職対策も手厚く、卒業後を見据えたフォロー体制があります。

 ゼミの雰囲気はにぎやかで、のびやか。それでいて、スポーツマンシップのような礼節を感じられる一面もあります。自分の興味とは違う分野の研究発表も、ゼミ生たちは真剣に聞いていました。

 ゼミの魅力について、ゼミ生たちからは「通常の授業のほかにコーチングのような指導もあり、ゼミ生一人ひとりに向き合ってもらえる」「白石先生は“人”をすごく大切にされています。研究室には、学生との思い出の品がたくさん。温かさを感じます」といった声が挙がりました。その表情からは、ゼミの楽しさと、白石先生への厚い信頼感が溢れていました。

国際政治経済学部 国際政治経済学科/白石まりもゼミ【健康スポーツ】

文学部 中国文学科/和久希ゼミ【中国哲学①】

和気あいあいの中での深い学び
世界と自分の距離を言葉で紡ぐ

 「大学に入るまで古典に興味はなかったのですが、2年次生になって必修で和久先生の授業を受けたとき、答えのないことに向き合って学ぶ楽しさを知りました。そして、大学生活を本気でやるならこのゼミだと思ったんです」

 和久ゼミを選んだ理由をこう話してくれる学生がいました。それを受けて和久先生は、次のように言います。

 「高校までの学びは正解の用意されたものが基本です。しかし、これから学生の皆さんが出ていく社会では『正解はひとつ』という場面はほとんどありません。答えの定まっていない問いに対して考え続ける。そうした姿勢を身につけてほしいと思います」

 中国哲学を学ぶ本ゼミでは、唐代以前の古典資料をテキストにしています。その一つ、春秋戦国時代の思想家・荘子について論考した阮籍「達荘論」の演習では、「政治は何も手を加えないのが一番、家は賢い子どもによって損なわれる――」などの記述があり、その本意はどこにあるのか、丹念な読み込みと解釈が求められます。

 とはいえ、ゼミの雰囲気はとても穏やか。和久先生と学生がテーブルの紅茶を囲んで議論を進めます。

 「中国哲学というと『とっつきにくい学問』と思われがちですが、和久ゼミではリラックスしながら考えを深めていけます」とは別の学生の弁。和久先生は「今日は取材だから緊張気味。本来はもっとにぎやかですよ」とにこやかに話しました。

 学生の皆さんからは、「面白い先生。どんな質問にも丁寧に答えてくださる」「人柄にも惹かれました。先生みたいに周りから頼りにされる人間になりたい」といった声も聞かれました。また、卒業後の進路は大学院進学が最も多く、教員や、児童福祉に関心があると言う学生もいました。

 「哲学の原動力は『感動』」と語る和久先生。中国哲学を通して、世界が輝いて見えること、自分がかけがえのない存在と思えることを言葉で紡いでほしいと、学生たちにメッセージを送りました。荘子の哲学では、目の前の現実の外にも可能性を広げる想像力の大切さが説かれているそうです。人生を豊かにすることを学べるゼミでもあります。

文学部 中国文学科/和久希ゼミ【中国哲学①】

學vol.67

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。