學vol.63

二松学舎教員エッセイ 山﨑貴大 教諭

二松学舎教員エッセイ 山﨑貴大 教諭

二松学舎教員エッセイ 山﨑貴大 教諭

長野県松本市出身。高校まではバスケットボール中心の生活を送った。二松学舎大学進学を機に千葉県へ引っ越し、現在に至る。目標である「ダンディーな大人」になるため、日々試行錯誤しながら職務に邁進中。

紡がれていく物語

 大学時代、上代文学の『古事記』に興味を持ちました。勉強熱心ではなかった私も、気づいたら物語の世界に引き込まれ、当時の風習や文化に思いを巡らせていました。自分で調べたり考えたりした内容を友人と話す時間はとても楽しかったです。

 そんな私の趣味は「神社巡り」。神社巡りといっても、その流儀は十人十色。人それぞれの楽しみ方があるのも面白いところです。私の場合、堅苦しいことが苦手なのでルールは一つだけ。それは、祀られているのがどんな神様なのかを事前に調べないというもの。祀られている神様を選んで参拝しに行くというのは、なんだか失礼な気がしますし、そうすることによって自然と縁が増えていくのではないかと思うからです。

 私は、何となく訪れた神社と過去に参拝した神社との関係に気づけた時こそ、神社巡りの醍醐味だと考えています。以前、実家の近くの神社で祀られている神様と現在住んでいる家の近くの神社で祀られている神様が同じだと知った時には感動を覚えました。また、訪れた先での御朱印集めも神社巡りを加速させてくれます。もともと収集癖があった私ですから、このような活動を始めるのも必然だったのかもしれません。神社ごとに個性があり、見ていると一種の癒しを感じるのです。

 昨今、日本人らしさ(アイデンティティー)の重要性が唱えられています。自分たちの文化について改めて聞かれると意外と答えられないもの。神社の歴史を知ることは、そこに祀られている神様について知ることはもちろんのこと、その土地の歴史を知ることにもつながります。それは、自分のルーツを知ることにもつながるはずです。古から、現代にいたるまで語り継がれてきた日本の文化や歴史。時代が移るとともに口伝え、紙、デジタルとその形態は大きく変わってきています。しかし、『古事記』に描かれている「日本人らしさ」は今もなお変わらない部分がほとんどです。

 仕事の合間を縫ってということもあり、私が神社巡りに出かけられる回数は多くありません。それでも、大学時代にはなかなかできなかった教室の外での学びはとても新鮮で楽しいです。そして、私の趣味がこれからも紡がれていく物語に携わっていると考えたら、なんだか壮大で面白いと思うのです。

二松学舎教員エッセイ 山﨑貴大 教諭

「欲しいもの」が手に入るといわれる、茨城県「ほしいも神社」にて

學vol.63

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。