學vol.61

八幡寿人さん/職業:落語家(柳亭燕三)

八幡寿人さん/職業:落語家(柳亭燕三)

2005年3月 二松学舎大学文学部中国文学科卒業/2005年9月 柳亭市馬に入門/2006年4月 前座となる 前座名「市丸」/2009年6月 二ツ目昇進 「市江」と改名/2021年3月 真打昇進 「柳亭燕三」と改名

道のりや目的地は1つだけではない

 私は二松学舎大学に在学中は中国文学科に在籍いたしておりました。中国文学と落語…全く関係がないように思われますが「饅頭こわい」や「三軒長屋」等、中国の小噺を原話としている落語が多くございます。卒論は中国文学と落語の繋がりをテーマに執筆しました。

 大学卒業後に師匠・柳亭市馬に入門いたしましたが、まずは「見習い」として、休みなく師匠の家で掃除や買い出し等の下働きをしたり、太鼓の叩き方や着物の畳み方等を覚えたりと慌ただしい生活が始まりました。それから約1年で「前座」として寄席に楽屋入りすることを許され、太鼓を叩いたり着物を畳んだり、楽屋働きに勤しんでおりました。

 入門しましてから16年。昨年、真打に昇進いたしました。2021年3月21日から上野鈴本演芸場・新宿末廣亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場・国立演芸場で、同期5人の真打昇進襲名披露興行が行われました。しかし、ご承知の通り、一昨年から続いておりますコロナ禍における緊急事態宣言により、この真打昇進襲名披露興行も座席数の制限や物販の中止等、多くの規制が設けられました。自分が見習い・前座の修行期間中に経験したことやこれまで学んできたことだけではどうにも太刀打ちができず、右往左往し戸惑うことが多い披露目となってしまいましたが、その時に気づかされたことがございます。それは、一つのことに正解を求め過ぎたり、固執したりせず、柔軟な頭でいつでも「学ぶ姿勢」を持つことです。

 人生、常に勉強です。これからも新鮮な気持ちで色々なことに挑戦していき、何か吸収していきたいと思っております。皆さまも健康第一に、楽しいことも勉強、辛いことも勉強、広い視野を持って今しか経験できないことを大事に、学生生活をお過ごしくださいませ。

頑張っています、卒業生。八幡寿人さん/職業:落語家(柳亭燕三)

學vol.61

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。