學vol.58

ゼミナール探訪 Vol.19

ゼミナール探訪 Vol.19

文学部国文学科 五月女肇志ゼミ【中世文学】

多様な視点で交わす議論 古典を学び豊かな発想力を身につける

 五月女ゼミでは『百人一首』を中心とした和歌文学について学びます。四年次の後期になると、春セメスターでの講義を踏まえ、ゼミ生それぞれが研究対象として選択した和歌について資料を作成し口頭発表を行います。自ら問題点を見出し、考察を進めて行う発表内容に対して、他のゼミ生が意見や質問を投げかける。それに対して発表者が回答する。議論を通して、原典となった作品をより正確に読解できるようにするのが五月女ゼミの特徴です。

 卒論のテーマとして『新古今和歌集』にある和歌を選び、その中に出てくる「花の香」という言葉について研究したというゼミ生に話を聞くと「桜なのか梅なのかを調べるうちに、どちらともとれる日本語の表現に多様性を感じたことが新しい発見だった」とのこと。

 他にも、古典を学ぶ意義について、ゼミ生たちからは「古典を学ぶことで豊かな発想力が身につくと思います」「国際社会で活躍するためには、古典を通して日本人としてのものの見方を学ぶことも必要」など、自分たちの経験に基づいた、たくさんの声があがりました。五月女先生は「一昨年実施した『百人一首』の舞台ともいえる京都嵯峨嵐山での合宿、古典文学が登場するアニメ・映画の鑑賞等様々な方法で古典に接して来た四年間の学びが反映していると思います」と語ります。

 五月女ゼミの魅力とは? との問いには、「先生が優しくて質問に対してとても丁寧に説明してくれます」や「古典嫌いだったのが、五月女ゼミに入り、自分の知識が体系化できたことで好きになりました」という声も。

 「ブレーンストーミングを中心に一人一人の関心に応じたゼミ運営を心がけています。卒業研究のテーマも和歌文学にとどまらずに、『源氏物語』、古典文学と現代文化、服飾の歴史等幅広い分野にわたっています」と五月女先生。これも多様な議論の場の賜物といえます。

文学部国文学科 五月女肇志ゼミ【中世文学】

国際政治経済学部  国際政治経済学科 戸辺玲子ゼミ【金融・ファイナンス】

専門知識をわかりやすく 株式市場を身近なものに

 戸辺ゼミの三年次では『新・証券投資論Ⅰ』をテキストに金融・証券市場の投資理論ならびにデータ分析を扱います。今年度のゼミ生は二名。少数精鋭の体制はなかなかハードのようで、二人が口を揃えて言うのは「口頭発表が輪番制なので大変」。

 とはいえ、二人とも将来の仕事に役立つことを学びたいという目的が明確なので、モチベーションは高く、「証券や株式についての新しい知識が毎回増えていく」し、「ゼミでデータ分析ができるので、社会人になっていざ取り組む際に困らないと思う」としっかり自信もついているようです。

 今年度最後のゼミでは「コール・オプション※1」や「プット・オプション※2」が取り上げられ、二人の発表をフォローする戸辺先生の解説はわかりやすく、株式市場が自分の身近なこととして理解できるようになります。

 「今学んでいることは、どんな職業についたとしても実経験として役に立ってきます。ゼミでは、新しいことや難しいことにもチャレンジしてほしい。じっくりと継続して取り組むことができるのは学生のうちだからこそです」と戸辺先生。

 ゼミ生二人に、どのようなテーマで卒論に取り組む予定か聞いてみると、「ネットにおいて発信される情報が株式市場にどのような影響を与えるのか、株価動向の分析を通して研究したい」「メーカーの販売戦略について。各社の違いを比較し分析する予定です」とのこと。これまでにゼミで学んだことが大いに生かされそうです。

 「ゼミ合宿ができるようになったら、泊まりがけの『データ分析&プログラミング道場』をやってみたい。個人で学ぶこともスキルアップの一つの手段ですが、ゼミ生同士で互いに教え合いながら学ぶとより効率的です。ワイワイ楽しく学ぶことで、データ分析やプログラミングがもっと身近に感じられたら良いな、と思います」。(戸辺先生)

※1 株式市場において、あらかじめ決めた行使価格で商品を買う権利
※2 同売る権利

国際政治経済学部  国際政治経済学科 戸辺玲子ゼミ【金融・ファイナンス】

學vol.58

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。