學vol.57

二松学舎教員エッセイ(57)鈴木佳子教諭

二松学舎教員エッセイ(57)鈴木佳子教諭

人と人とのつながり 言葉の大切さ

「佳子さんは教えるのが上手だから先生になるといいね」そう言われたのは小学校6年生の時、当時の担任の先生からでした。小学校の卒業式では将来の夢を宣言しましたが、「学校の先生になりたい」と言ったことを今でも鮮明に覚えています。その頃から教師を志し、社会人4年目でその夢を叶えることになります。振り返ってみると、私が人生の大切な選択をする時にはいつも誰かが言葉をかけてくれました。いつしか自分も同じように誰かに言葉を発することでその人に人生に関われたら、と思うようになりました。

 中高一貫校での6年間は吹奏楽部に所属し、休みも返上して活動に明け暮れました。自らの技術の向上とともに、「指導力を磨き、部に貢献しなさい」と言われ、顧問から金管楽器のリーダーに任命されました。「ひとりよがりではいけない。ハーモニーが大事」と呼びかけ、最後の定期演奏会を成功に導くことができました。

 大学では言語学を専門に研究しました。人間がことばを習得する過程には母語が必ず存在します。生まれたばかりの赤ちゃんは言語習得の機能自体は備わっていますがその時点ではまだ何語の話者になるのか決まっていません。当たり前のように思えるかもしれませんが、人間は話しかけられる経験を通じてコミュニケーションに欠かせない言葉(母語)を習得できるのです。

 また、言葉以外にもコミュニケーションには大切な要素があります。6年前に新婚旅行で訪れたアフリカでは、英語でもうまく話が通じない場面がありました。しかし伝えたいことをジェスチャーで表現したり、アイコンタクトを使ってなんとか乗り切ることができました。国籍はもちろん、育ってきた環境や文化も全く異なる現地の人たちと触れ合えたことはとても貴重な体験となり、コミュニケーションの偉大さを再認識することとなりました。

 私はこれまでも言葉のありがたみを実感してきましたし、これからも大切にしていきたいです。コミュニケーションをとることで人と人とのつながりが生まれます。それは間違いなく自分や大切な人の人生を豊かにし、自己実現を可能にするものだと思います。今後は、一教育者として一人でも多くの生徒たちの人生に関わっていきたいです。

二松学舎教員エッセイ(57)鈴木佳子教諭

アフリカ大陸ザンビア共和国にて。
世界遺産のモシオアトゥニャ国立公園でヴィクトリアの滝をのぞむ。

二松学舎教員エッセイ(57)鈴木佳子教諭

英語科主任。高校2年担任。慶應義塾大学文学部人文社会学科教育学専攻卒業。英会話スクールで営業職を経て教職の道へ。2008年、附属高等学校に赴任。附属柏中高に勤務して10年目となる。未就学児2人の子育てに奮闘中。

學vol.57

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。