學vol.56

二松学舎教員エッセイ(56)関沢修子専任講師

二松学舎教員エッセイ(56)関沢修子専任講師

「法や政治」の現場に足を運ぶ楽しみ

 2019年に二松学舎大学に着任しました。大学では憲法をはじめ法学系の科目を教えています。法は自分たちから遠いものというイメージを持たれがちなので、少しでも興味を持ってもらいたくて、授業では裁判所や国会などの見学をすすめることにしています。ただすすめるだけでは無責任なので、たまに自分でも時間を作って実際に足を運ぶようにしています。

 裁判というのは広く国民に公開されていて、いつでも自由に傍聴することができます。お金もとられませんし、入り口で住所氏名を書かされるようなこともありません。本当に身一つで傍聴することができます。裁判所は全国にたくさんありますが、大学から近くて行きやすいのは東京地方裁判所ではないでしょうか。ここでは毎日非常に数多くの裁判が行われています。法廷のなかこそ静かですが、建物内は結構ざわついていて、事件を傍聴に来た人、弁護士たち、それから報道関係者など、多くの人が足早に廊下を移動するのを目にします。また、明らかに関係者ではない裁判傍聴マニアと思しき人たちもよく見かけます。世の中いろんな趣味があるのだなと思って見ていますが、法や裁判は決して一部の人だけのものではないのだと感じることができます。

二松学舎教員エッセイ(56)関沢修子専任講師

現代の憲法問題を考えるために、制定当時の資料や本をみることもあります。

 ほかにも法や政治に関係するいろいろな施設を見学しますが、いずれも大変面白いものです。例えば国会は、衆議院と参議院をそれぞれ見学に行くことができますが、テレビ中継でよく見る本会議場を実際に見るとやはり感動します。ただし、見学は二階の傍聴席から遠く眺めるだけなので、帰りに近くにある憲政記念館の議場体験コーナーで遊びたくなります。なお、国会見学は平日日中のみなのですが、いつ行ってもそれなりに見学者がいます。真面目そうな大学生から旅行客のグループまで、一体どういう気持ちで見学に来るのか大変気になるところです。

 あらためて考えると、私がこういった場所へ出かけるのが好きなのは、ひとつには法や政治それ自体に興味があるからですが、それ以外に、そこに来る〈人〉に興味があるからという理由があるのかもしれません。このエッセイを執筆している現在は、新型コロナウイルスの影響で裁判傍聴や施設見学は制限されている状況です。事態が収まりまた自由に見学できる日がくることを願っています。

二松学舎教員エッセイ(56)関沢修子専任講師

新潟県長岡市生まれ。専門は憲法。東北大学大学院法学研究科博士課程満期退学。2019年本学に着任。最近行って面白かったのは領土主権展示館。子どもにせがまれれば、普通に水族館や動物園にも行きます。

學vol.56

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。