學vol.55

吉田ゆか里さん

吉田ゆか里さん

1963年 東京生まれ カリタス学園小学校、中学校、高校卒業
1981年 二松学舎大学文学部国文学科入学(専攻は国語学)所属:平家物語研究会・狂言研究会
1985年 同大学卒業
1994年 ヤバネ株式会社提物屋入社
2006年 同社代表取締役社長就任

根付の魅力を世界の人々へ

 現在、新宿御苑にある日本で唯一の根付提物専門古美術商「提物屋」(SAGEMONOYA)で仕事をしております。
 この会社は、フランス人ROBERT FLEISCHEL氏(国際根付ソサエティ日本支部代表)が日本で創業し、江戸時代の根付、印籠、矢立(筆入と墨壺をともなう携帯用筆記具)、煙草入、煙管等を扱い、鑑定のほか、ボストン美術館やエルミタージュ美術館等で開催される展覧会で協力もしております。
 二松学舎で学んだことが、どれほど仕事に役立っているかは、はかり知れません。蒐集家は欧米の方も多く、漢字や崩し字は時に解読困難ですので、作品の銘を読んでさしあげることだけでも大変喜んでいただけます。
 大学時代は赤塚忠先生、宇野精一先生の講義で漢字や中国哲学の奥義に触れ、雨海博海先生、神作光一先生、剣持武彦先生等には「文章の行間を読む」楽しさ、大切さを学ばせていただきました。
 そのおかげか、根付や印籠の意匠に潜む謎解きに興味を持ち、自社で図録を発行する他、美術雑誌『目の眼』に「根付の意匠」を連載(現在書籍の準備中)、またNHKの「美の壺」の「根付」では監修をし、シリーズ本も出版していただきました。
 昨年からは『根付の図鑑』という英訳付きの本のシリーズもスタートしています。
 なお私が入社したときから御縁を賜り、御尊敬申し上げていた根付愛好家の高円宮殿下が47歳で御旅立ちになられたことは本当にショックでしたが、その後妃殿下が殿下の根付コレクションの御研究で大阪芸術大学で博士号を取得され、それ以来根付の素晴らしさを若い世代のかたがたに直接お伝えくださいますことを、この上なくありがたく思っております。

頑張っています、卒業生。吉田ゆか里さん 頑張っています、卒業生。吉田ゆか里さん

學vol.55

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。