學vol.65

特集:ロシア・ウクライナ問題から考える―世界の中にいる私 国境とアイデンティティ

特集:ロシア・ウクライナ問題から考える―世界の中にいる私 国境とアイデンティティ

ロシアによるウクライナ侵攻から1年以上がたちました。終わりの見えない戦いは、日本にも無関係ではありません。二松学舎大学では、国際政治経済学部において国際関係や歴史を学びますが、これからの時代は学部を問わず、だれにとっても重要なテーマになりそうです。そこで、本学国際政治経済学部の合六強先生と、ヨーロッパの国際政治が専門の東野篤子先生、ロシアの軍事情勢に詳しい小泉悠先生に、「国際関係を学ぶ意義」について語り合っていただきました。

「疑問」や「観察」から
国際関係を学ぶ道へ

―先生方が国際政治や国際関係論を学ぼうと思われたきっかけから教えてください。

合六 2001年、高校2年生の夏にアメリカにホームステイしていたんです。帰国した直後に同時多発テロ事件が起きて、訪問した場所が攻撃を受けた衝撃と、「何でこんなことになっているの?」と疑問を抱きました。それが、国際政治に関心を持ったきっかけです。
 その後のイラク戦争では、アメリカの武力行使についてフランスは慎重な立場をとりました。ここでまた「フランスはなぜ同盟国に楯突いているんだろう?」と疑問を持ち、そこから一貫してアメリカとヨーロッパの同盟関係について研究してきました。
 ウクライナに関心を持ち始めたのは、2015年から1年半、妻の仕事の関係で首都キーウに滞在していたからです。2022年2月にロシアがウクライナを侵攻して、自分が住んでいた街を戦車や空爆、ミサイルが襲うかもしれない恐怖。現地の知り合いが無事なのかという不安から、開戦当初は眠るに眠れないような状況が続きました。

小泉 僕は、もともとミリタリー物のライターでした。ロシアの軍事に詳しい人があまりいないので、割とそちらをメインに書いていて。やがて「なぜロシアは冷戦後も100万人の軍隊を持ち、新型核ミサイルを作っているのか?」と疑問が湧き、世界の研究者が書くものを読んだりしているうちに、だんだん自分も研究者のようなことになってきたんです。

東野 私はEUの対外政策を研究してきました。その原体験となったのは、1980年代に小学校6年生から高校1年生までイギリスのロンドンで過ごしたことです。そこで日本でイメージされるヨーロッパ像とは全然違う、いろいろな矛盾を目の当たりにしました。例えば、郵便局でホームレス状態の人たちが手当を求めて行列を作っていたり、駅はお酒や排泄物のにおいが充満していたり。この頃のヨーロッパは格差が激しく、観光に出掛けたフランスですられそうになったり、スペインでジプシーに取り囲まれたりもしました。
 一方で、1986年は欧州にとって節目の年で、ECが単一欧州議定書を締結し、市場を一つにして人、物、お金、サービスが自由移動できるように取り決めました。当時の混沌とした様子を興味深く観察したことから、ヨーロッパやEUについて学ぶようになりました。
 ウクライナにたどり着いたのは、2004年のEU拡大がきっかけでした。ポーランドやスロバキアなどが加盟し、ウクライナはEUの隣国になったわけです。当時EUの反応は、汚職や組織犯罪などの問題を抱えていたウクライナが、欧州に不安定さを持ちこむことを警戒するものでした。そういうニュアンスは、日本から見ているだけではわからない部分があるんですよね。

プーチン大統領は
何を考えているのか?

―今回、ロシアがウクライナを侵攻した背景について、どのようにお考えでしょうか。

小泉 これは非常に難しい質問だと思います。一つ言えるのは約30年前のソビエト連邦の崩壊が、ロシアにとっては非常に気に入らないのだろうと思います。それまでソ連は、ウクライナを含む15の共和国から構成されていたわけですから。ロシアの右派論壇の中では「ウクライナも、ベラルーシも回収すべし。カザフスタンの一部も本当は我々のものだ」という論調がありました。だからロシアは、2014年にウクライナ南部のクリミア半島と、東部のドンバス地方に軍事介入を起こしました。一方、ウクライナでは、2004年の大統領選挙で、親ロシア派候補に不正があったと抗議する「オレンジ革命」が起きました。プーチン大統領がウクライナに選挙干渉をしていたからです。このように、ロシアとウクライナにはさまざまな経緯があり、それがドカンと爆発したのが2022年の戦争なのではないかと思っています。
 でも、普通はこのような抽象的な理由で戦争を起こさないですよね。ロシアが西側諸国から受けている経済制裁や、外交的孤立を考えると、なぜこのタイミングで戦争を始めたのか不可解なんです。

合六 この戦争を語る際にまず認識しなくてはいけない点は、2014年にロシアが力ずくでウクライナとの国境線を変更したことです。以来、両国間ではずっと戦争が続いています。
 その上で、プーチン大統領がなぜ今回の戦争を起こしたかを考える時、彼の個人的な世界観や、ロシアが抱える歴史を抜きにしてはなかなか理解できません。彼は2021年7月に論文『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』を発表しています。そこには「本来、ロシア人とウクライナ人は一体の民族であって、ウクライナが外国であることはおかしい」という趣旨のことが書かれています。ある種、歪んだ認識が戦争につながった部分はあると思います。
 また、ロシアは過去にもウクライナや他の旧ソ連諸国に軍事介入をしています。その時、西側諸国は適切に対応してきたのか? という問題もあります。

東野 EUやNATO(北大西洋条約機構)加盟国のリーダーたちの意見を見ても、先ほど合六先生がおっしゃったプーチン大統領の論文について、しっかりと問題視していた人は当時多くはなかったんですよね。ヨーロッパとロシアでは「国家」に対する意識が完全に異なっていたことを、西側は長いこと見て見ぬふりをしてきたと思います。ロシアの安全保障認識について、深刻度を持って分析しようとする人が少なかったことは、大きな反省点だと言えます。

小泉悠先生(東京大学先端科学技術研究センター専任講師)

こいずみ・ゆう●東京大学先端科学技術研究センター専任講師
民間企業、外務省専門分析員等を経て、2009年未来工学研究所に勤務(~2019年)。この間、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所に滞在したほか(2010~2011年)、国立国会図書館調査及び立法考査局でロシアの立法動向の調査に従事(2011~2018年)。2019年3月、東京大学先端科学技術研究センター特任助教。2022年1月より現職。東大先端創発戦略研究オープンラボ副代表も務める。専門は安全保障論、国際関係論、ロシア・旧ソ連諸国の軍事・安全保障政策。

日本にいては気づかない
「国境」の曖昧さ

小泉 今の話に関して思ったのは、国境って実は曖昧なものなんですよね。日本の場合は、海を越えたら言葉も通じないし、文化も違うのでわかりやすいのですが、大陸の国境はそうではありません。
 僕が、ロシア・中国の国境に行った時、ロシア連邦の国章が入ったポールが立っていました。周りには国境警備隊がいて、事前に許可を得なければ通れません。国境は非常に厳粛なものだなと思う一方で「こういう人為的な装置を全部外してみたらどうだろう?」とも考えるわけです。中国とロシアの国境の場合は向こうには全然違う人種・言語・文化の人がいますが、ロシアとウクライナの場合、ひょいっと国境を越えて向こうへ行っても、地続きの景色、同じような人種がいて、言葉も通じる。きっと家ではボルシチを食べているのでしょう。だから、ロシア人の中には「ウクライナ人は別の国の人」と思えない人たちがいるのも、素朴な人間の感覚としてわからないでもないんです。

合六 僕は、そうした「国境」での感覚を知ってもらいたいので、机上での勉強だけではなく、旅行などで体験してほしいと学生に常々話しています。

東野 国境のポールを取り払ったら似たような地域というのは本当にその通りです。ただ、ヨーロッパでは隣接した国や地域間の紛争や侵攻をなくすためにも統合を進め、それを定着させてきました。だからこそ、ウクライナとの一体性を主張して「似ているから侵攻する」というロシアの発想は、本気で理解できないものだと思います。

―ウクライナの人たちは、どのような気持ちなのでしょう?

合六 2014年のクリミア半島への侵攻以降、ウクライナの人達の中で「ロシア人と我々は違う」というアイデンティティが盛り上がり、西側を向くようになってきました。さらに今回の戦争が起きて、ますますウクライナ人であると強く意識せざるを得ない状況だと思います。前述のプーチン大統領の論文が発表された直後に実施されたウクライナの世論調査では、「プーチン大統領のテーゼには賛成できない」という人が多数でした。当然ですよね。
 そうした社会的風潮を象徴するのが対独戦勝記念日※。ロシアを含めて旧ソ連諸国は、毎年5月9日に祝うんです。ウクライナも長らくそうでしたが、2015年以降は5月8日も記念日にしました。時差の関係で西ヨーロッパにとっての戦勝記念日は5月8日だからです。今年、それを正式に変えるための法案を議会に出すそうです。自分たちのアイデンティティをいっそう塗り替えているのでしょう。
 ウクライナにとって、今回の戦争は祖国防衛戦争です。それも単に領土を守るだけじゃなく、自分たちの歴史、存在意義、未来の子どもや孫たちを守るために戦っているのです。

小泉 そもそもロシアは、ウクライナが独自のアイデンティティを持っていることが気に入らないわけですね。とすると、ウクライナ側から見た場合に、この戦争には妥協の余地がないわけです。仮にロシアが一時的な停戦を要求してきたとしても、いずれまた軍隊を再建して攻めてくるだろうから、まったく気が抜けない。おそらく、戦ってロシアにダメージを与え続けている方が、まだ安全だと感じているのではないでしょうか。だから、この戦争はなかなか終わらないのだと思います。

※第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利したことを祝う日。

今すぐ「停戦すべき」との
思いは30年先を見越しているか?

―今回の戦争が始まった当初、「短期間でロシアが勝つ」という予測が報道されていました。

東野 ここまでウクライナ人が抵抗するとは、ほとんどの人が想定していなかったのだと思います。プーチン大統領はゼレンスキー政権がすぐに降伏すると見ていましたし、EUがこれほど制裁してくるとは全く意識していなかったのでしょう。制裁があったとしても、親ロだと思っていたドイツやフランスなど懐柔すれば済むだろうと踏んでいた。そうした深刻な計算ミスがありながらも、すぐに終わりにはできないのだと思います。

小泉 ウクライナは国土が大きく、軍隊も巨大です。開戦前で約20万人の兵力があり、旧ソ連ではロシアの次に大きい規模です。2014年にクリミア半島を侵攻された時、ウクライナ軍は手も足も出ませんでしたが、それから8年かけて相当〝筋トレ〟をしました。兵力を増強して、有事に民間人を呼び集められる制度も整備し、指揮統制系統はNATO式に改めました。ロシアはそれを知りつつも、張り子の虎だと思って「短期間で勝てる」と踏んだのでしょう。

―西側がウクライナに武器を供給しているため、戦争が長引いているという見解もあります。

小泉 仮にどこも武器を供給せずに短期間で戦争が終結するとしたら、ウクライナがロシアの侵略に屈するということですよね。それはあまり望ましいことではないと思います。それに、ウクライナ軍に武器を供給したことによって、22年秋にはハルキウをほぼ全域奪還したし、ヘルソンのドニプロ川右岸も取り返しています。これは価値のある軍事援助だと思っています。

東野 ヨーロッパの一部においては「武器の供給が足りな過ぎるから戦争が長引いている」という議論があることは、日本ではほとんど伝えられていません。例えば、ポーランドやバルト諸国は「次は自分たちかもしれない」という危機感が強く、ウクライナの運命に無関心ではいられません。ロシアの反応を窺いながら少しずつではなく、ウクライナの求めに応じて一気に武器を提供したほうが戦争は早く終わるという議論が、非常に高まっているということも知ってほしいですね。

東野篤子先生(筑波大学人文社会系教授)

ひがしの・あつこ●筑波大学人文社会系教授
慶應義塾大学法学部卒業。同大学大学院修士課程修了。英国バーミンガム大学政治・国際関係研究科博士課程修了(Ph.D)。外務省OECD日本政府代表部専門調査員、バーミンガム大学政治・国際関係学部専任講師、広島市立大学国際学部准教授などを経て2022年より現職。専攻は国際関係論、ヨーロッパ国際政治。主な関心領域は、EUの拡大、対外関係、国際統合理論。ウクライナ研究会副会長。

合六 仮に3日でロシアの侵攻が終わっていれば、かぎ括弧つきの「平和」は訪れます。だけど、ウクライナの人にとっては不当です。目の前でばたばたと人が亡くなっていく状況は見るに耐えない。だからといって、ここで無理やり停戦しても、ウクライナにとっての本当の平和が来る保障はないのです。開戦から1年がたち、すでにロシアの占領地ではさまざまな非人道的なことが行われています。例えば、ウクライナの子どもたちをロシアに強制連行して、ロシア化教育をしているのです。若ければ若いほど、ウクライナで過ごした記憶がなくなります。ウクライナは、今の被害だけではなく、将来に向けた時間軸を意識して、犠牲を覚悟してでも戦い続けなければならないと考えているのだろうと思います。

小泉 平和学には「構造的暴力」という概念があります。物理的な暴力が行使されていなくても、構造的に抑圧があればそれは暴力であり、平和ではないという考え方です。ロシアの占領地では、降伏したウクライナ人をロシア軍に徴兵し、ウクライナ人同士で戦わせることもしています。

東野 私も停戦が実現したらすぐに平和が来るという前提は、捨てたほうがいいだろうと思っています。子どもを引き離されたウクライナの人たちに、「ここはロシアになりました。亡くなった人のことは忘れてください」と言ったところで、納得できるはずがない。いつかやり返したいという敵愾心だけが残るのです。もし、「この戦争は停戦すべき」と思ったなら、自分が悲惨な戦争を見たくないから言っているのか、20年後、30年後、あるいは100年後まで見通した上での意見なのかを、我が身に置き換えてじっくり考えてほしいと思います。

―本日はロシアとウクライナについて語っていただきましたが、日本とアジアの関係について、先生方はどうお考えですか。

合六 日本の周辺には3つの核保有国があります。中国、北朝鮮、そしてロシアです。中国が自己主張を強めている中、アジアが何もないまま済むとは言い切れません。ロシアとウクライナの話でわかるように、一度起こってしまった戦争を終わらせることはとても大変です。だから、戦争を起こさせないことが非常に重要で、そのためにどうしたらいいか。それは、我々のような専門家だけでなく、学生も含めた国民一人一人が考えていくことだと思います。

合六強先生(二松学舎大学国際政治経済学部准教授)

ごうろく・つよし●二松学舎大学国際政治経済学部准教授
パリ政治学院留学を経て、慶應義塾大学法学部卒業。同大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。同法学研究科助教(研究奨励)、EUSI(EU Studies Institute in Tokyo)研究員(ウクライナ滞在)、海上自衛隊幹部学校非常勤講師などを経て、二松学舎大学国際政治経済学部専任講師(2017〜2022年)、2022年4月より現職。専門は国際政治学、米欧関係史、ヨーロッパ安全保障。

小泉 核保有国が暴れ出さないように、もし暴れ出したとしても、核戦争にエスカレートさせないためにどうしたらいいのかを考えなくてはなりません。現段階でロシアは核を使えていません。これは、ロシアの核が西側を抑止しているのと同じように、ロシアもまた西側の核によって抑止されているからで、「危機安定性」は機能していると言えます。日本も危機安定性を高める方向で考えたほうがいいと思います。
 現行の日米安全保障条約は1960年に締結しましたが、100年は持たないかもしれません。もしもアメリカの核抑止力のない状況で、日本の安全保障をゼロから考えるとすると、まさに今の学生世代が頭をやわらかくして考える必要があります。

東野 最終的には、自分の身は自分で守るしかないと思うんですよね。ウクライナは、ロシアに侵攻されても降伏せず、絶対に屈しないという強い意思を持ち、戦ってきました。それを見て、国際社会も援助を始めたわけです。何もしない人たちを助けるほど、国際社会は甘くありません。日本も、東アジアで有事の時に助けてほしいと思う人はたくさんいるでしょう。まずは自分たちで国土を守る行動に出て、その意思をしっかりと示すことが重要です。だから、あらゆるオプションを俎上に載せて議論していくことが問われてくるのだろうと思います。

より良く生きるために
国際関係を理解する

――最後に、若い世代に向けてメッセージをお願いします。

東野 なんのために学ぶかといったら、やはり自分や周囲の人がより良く生きるということではないでしょうか。そのためには、多様な考え方や経緯、出来事、オプションがあることを集中的にインプットすべき時期があります。学生のうちは、それができる貴重な時期です。
 社会に出て困難に行き当たった時、それまで学んだことが頭の中でつながることがあります。学生時代に学んだ経験が多いほど、「あっ」と思うヒントも多くなります。より豊かな心を持ちながら生きるためにも、今は貪欲に吸収する時間に使ってもらいたいですね。

小泉 国際関係論や歴史の知識を身につけることは、基礎的な公衆衛生や消費者教育に近いと思うんです。300年前の人間は手指衛生の大切さを知らなくて、手を洗わないまま食べ物をつかんだりしていたわけじゃないですか。だけど、今は手洗いが必要だと理解して、昔に比べたら感染症の流行を抑えられています。あるいは、あからさまな詐欺の手口はみんな何となく知っていて、被害を逃れていますよね。
 これまでは国際関係の知識がなくてもさほど困らなかったかもしれませんが、今の日本は第二次世界大戦後、最も緊迫した安全保障環境の中にあります。危険から守る〝無菌ドーム〟があちこち破れてきているような状態で、このままでは大きな〝病気〟になるかもしれません。それを予防する手段の1つが、国際関係論や歴史を学ぶということなのかなと思っています。

合六 国際政治やその歴史を勉強したら、社会に出てすぐ役立つわけではありません。でも、歴史から学ぶことはたくさんあります。単に年号や用語を暗記するのではなく、「なぜこうなったのか?」というプロセスを考えること。長い時間の幅でものごとを捉え、地域を超えて比較することで、国際問題をより深く理解できるようになります。そのためにも、日常の中で感じた疑問、今日ここにいる3人がこの世界に踏み込んだきっかけにもなったような素朴な疑問を一つ一つ大切にしてほしいです。

特集:ロシア・ウクライナ問題から考える—世界の中にいる私 国境とアイデンティティ(小泉悠先生×東野篤子先生×合六強先生 )

「国際的」な視野で物事を見つめ、日本の安全保障について考察したい。国際政治経済学部 国際政治経済学科4年次生 松田 雄樹 さん

 日本では、現在ウクライナで起きている戦争が「対岸の火事」として捉えられてしまうことがあるようです。しかし、ロシアとウクライナの戦争は、他人事ではないと思います。はじめの頃は、この事態に漠然とした不安を感じていましたが、1年以上が経過し、日本もこうした国際情勢に今後さらに巻き込まれていくのではないかと考えるようになりました。なぜならこの戦争は、二国間だけでなく、アメリカやヨーロッパ諸国、そしてNATOといった、さまざまな国や同盟などが協調や抑止を通して関係し合っているからです。

 私は中学生の頃、社会の授業で環境問題を学んだことをきっかけに「政治」に関心を持つようになりました。政治を学ぶことは、日本も含めた世界レベルの危機をくい止めるための一つのアプローチになると考えたからです。二松学舎大学に入学してからは、「国際的」な視野で物事を見たいという気持ちが高まり、合六先生のゼミに入りました。卒業論文もロシア・ウクライナ戦争をテーマに取り上げる予定です。起こっていることを冷静に受け止め、抑止力の面などから日本の安全保障についても考察したいです。

 今こそ、一人一人がそういった問題と真剣に向き合い、考えることが必要だと思います。

文学・史学・哲学を網羅した漢学の伝統は本学科にも生きています。(王 宝平教授/専門分野:中国史学・日中交流史)

合六先生のゼミでは、ヨーロッパの国際政治を中心に、歴史や安全保障問題、欧米諸国が抱える社会問題などを扱います。

頭で考え、心で感じる学問 歩きながら考え、読んで聞いて歴史を語ってみませんか。(林 英一専任講師/専門分野:日本近現代社会史)

學vol.65

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。