學vol.61

ゼミナール探訪 Vol.22

ゼミナール探訪 Vol.22

文学部 中国文学科・都市文化デザイン学科共通/仙石知子ゼミ【中国語学・中国女性史・グローバル・コミュニケーション】

東アジアの隣国を知ることが
グローバル時代を生きる糧になる

 この日のゼミは、学生が中国近世に書かれた小説『東周列国志』の原文を音読し、それを日本語に訳していくことから始まりました。このテキストは「白話文」といって、訓点を振ることができない口語体の文章。丹念に読んでいこうとするとその難しさは大学院レベルという仙石先生は、学生の中国語の発音と日本語訳に耳を傾け、丁寧に指導していきます。

 「本ゼミには都市文化デザイン学科の学生もいますので、語彙一つ一つにこだわって訳していくことよりも、そのように描かれていることが、当時の社会の中ではどのように受け取られたのかを考えることに重点を置いています」

 仙石先生は高校を卒業後、中国の大学に留学。中国文化をまるごと体感したことが同国の社会を研究するきっかけとなったそうです。

 「本ゼミのテキストの一つである劉向『列女伝』は、女性の訓戒書ともされていますが、同書を通じて、『中国で理想とされる女性とはどんな人だったのか。そのような女性像がなぜ必要とされたのか』を理解することは、現代の日中の女性の違いを知ることにもつながるのではないでしょうか」

 「中国語をマスターするために二松学舎に入学した」、「中国に対して偏った印象をもっている人に、この国の現実を知ってもらいたい」というゼミ生たちからは、東アジアの隣国をもっと知りたいという意欲が伝わってきます。卒論では「日本のアニメや漫画が中国ではどのように受容されているのかをテーマにしたい」という学生も。

 仮に卒業後に中国と直接関わる仕事に就かなくても、日中の文化の違いやジェンダーに関する研究は、グローバルな時代を生きていく上で大きな糧になることでしょう。

文学部 中国文学科・都市文化デザイン学科共通/仙石知子ゼミ【中国語学・中国女性史・グローバル・コミュニケーション】

国際政治経済学部 国際経営学科/今井悠人ゼミ【ファイナンス・データサイエンス】

主体的な学びの姿勢を身につけ
関心と仕事の幅を広げていこう

 それがESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資)だとしても正しいのだろうか――今井先生の問いかけに学生たちは日経平均株価や米国金融情報サービス大手ブルームバーグから取得した情報などを参考にしながら最適解を考えます。今井ゼミの第1期生は3人。先生とゼミ生のやりとりが自然な感じで続くのは「少数精鋭な構成が議論を進めやすくしているからだと思う」とはゼミ生みんなの声。

 今夏に締め切りだった前述のブルームバーグ主催「ESG投資コンテスト2021」へ3人一組で参加する、という共通の目標があったことも結束力を生んだそうです。この日のゼミは提出レポートをベースとした各人の卒業論文執筆に対する今井先生の指導が中心でした。

 株式に興味がある、将来の資産運用に役立てたい、金融について学びたい、などがゼミ参加の動機ですが、「ぼくが扱える分野であれば、何を研究テーマにしてもいいよ」(今井先生)という自由な環境の下、学生たちは主体性をもって学びに取り組んでいます。研究の対象以外のことでも、悩みがあると丁寧に聞いてくれる優しさも。

 「自分ひとりだと挫折したり、視野が狭くなったりしやすい。そうならないように手助けしたい」

 今井先生に学んだ企業分析の手法は就活の面接時にも活きたそうです。

 「卒業後は自分でやっていて楽しい働きかたをしてほしい。仮に転職をすることになった場合、それまでの学びが大事になる。たくさん本を読み、興味を広げていけば、自身のアンテナにかかるものが多くなります」

 社会人にとって大切な「主体性のある学び方」を身につけることができるのも、今井ゼミの特徴です。

国際政治経済学部 国際経営学科/今井悠人ゼミ【ファイナンス・データサイエンス】

學vol.61

広報誌 『學』アジアと世界の架け橋へ。