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2021年度 二松学舎大学・大学院学位記授与式 告辞

― 3月16日 ―

 学部を卒業される皆さん、そして、大学院を修了される皆さん、二松学舎大学教職員を代表しまして、ここにご卒業のお祝いを申し上げます。本日は、誠におめでとございます。そして、君たちがここまで学びを続けることに、ご理解とご声援をなされてきたご家族やご関係の皆様にも、心からお祝い申し上げます。

 近年の新型コロナウイルス感染拡大の危機、また具体的な事例を取り上げるまでもありませんが、アジアそしてヨーロッパ各地での民族国家間のさまざまな対立のなかで、こうした社会的な困難というものを乗り越えなければならないという課題が、私たちに突きつけられています。

 それは、人間の知性が幾つもの困難に打ち勝つための努力をこれまでも重ね、そして大きな犠牲をはらってきたという記憶を、呼び起こすものでした。

 それでも私たちは、さまざまな危機や困難を前にして、人間の知性を信じることを、そして知性でそれらを乗り越えなければならないことを、強く決意しなければなりません。大学での教育研究とは、まさに知性が、その理想を求めて考究する知育の場であり、皆さんがここで学ばれ、また考えられたことは、これまでの人間の知性を皆さんが受け継ぐということでもありました。さらに、大学での学びは、知性だけでなく、これからの社会は人間にとってどうあるべきかを考える徳育の場でもあるのです。特に漢学塾として出発した二松学舎大学には、漢学文化の徳育が根幹を成していたと思います。

 今日の社会的な危機と困難さのなかで、尊い命を落としていった多くの地上の仲間たちの残された想いを、私たちはしっかりと受けとめ、これからの社会をさらに良いものにしていかなければなりません。社会人となられる皆さんには、二松学舎大学で学ばれたことを生かしながら、さらなる危機や困難を乗り越えて、豊かな世界を築いてもらいたいと思います。

 二松学舎大学は、1877年の漢学塾としての出発以来、九段の地で東洋文化圏の叡智を背景とした教場を開いてまいりました。そして、これまでの数多くの先輩方がさまざまな領域で活躍され、社会貢献の責務を果たされてきました。そうした伝統ある大学で学ばれたひとりであることを誇りに持たれて、そして諸先輩方からの期待のなかで、これからの皆さんの新たな挑戦に向かって、しっかりと歩き始めてください。皆さんへの声援をここに書き記すことで、告辞とさせていただきます。

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