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平成30年度 二松學舍大学入学式 式辞

千鳥ヶ淵の桜も満開を過ぎ、春本番の季節を迎えました。

二松学舎大学に入学された新入生の皆さん、また、二松学舎大学大学院に進学された皆さん、おめでとうございます。本日、皆さんをお迎えできたことを、教職員および在校生一同、大変嬉しく思っております。また、これまで支えてこられた保護者の皆さま、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。

 初めに二松学舎大学の歴史と建学の理念について、お話ししたいと思います。

 二松学舎大学は明治10年に、明治を代表する漢学者であり、明治法曹界の重鎮であった三島中洲先生が、現在の千代田区九段の土地に漢学塾二松学舎を創設したことに始まります。明治維新から10年、西洋化の波が押し寄せる中で、中洲先生は「西洋文明の進んだ部分を自分たちのものとするには、まず東洋の文化を学ぶことが重要である」と主張して、新時代を担う人材の育成を目指しました。建学の理念は、「東洋の精神による人格の陶冶」そして「己ヲ修メ人ヲ治メ一世ニ有用ナル人物ヲ養成スルニ在リ」、すなわち日本に根ざした道徳心を基に、自ら考え行動できる能力を鍛え、社会のために貢献する人物を養成するということです。漢学塾二松学舎は昭和3年に、中学校・高等学校の国語科教員を養成する二松学舎専門学校となり、戦後の昭和24年に新制大学へ移行しました。戦前より「国漢の二松学舎」と謳われ、今日まで日本全国の中学校や高等学校に大変多くの国語の教員を送り出し、また書家を輩出してきました。長いこと文学部だけの大学でしたが、平成に入り、戦後の冷戦が終結して国際化が進む中で、平成3年に国際政治経済学部が新設され、現在は文学部と国際政治経済学部の2学部、約3,000名の学生が九段にある校舎で学んでいます。昨年、創立140周年を迎えた本学は、文学部に新たに「都市文化デザイン学科」を、そしてこの4月には国際政治経済学部に「国際経営学科」を開設いたしました。学科が増えることで学問分野も広がり、皆さんにさらに魅力的な講義を提供できることになりました。

 次に、二松学舎の名前の由来についてご説明しましょう。「二本の松」とは、学問をする場所の象徴で、「二本の松を向い合せに植え、日々その松の樹の下で書物を読んだ」という中国は唐の時代の故事によります。自宅で漢学塾を開かれた三島中洲先生のお庭にも、二本の松が植えられていました。二本の松は、校舎が新しくなっても受け継がれ、現在も九段キャンパス2号館前に植えられています。

 さて、二本の松は学問をする場所の象徴と申し上げました。皆さん、高校までの学習とは異なり、大学は学問の場です。高校までは教えられたことを素直に受け入れれば良く、そして必ずと言ってよいほど明快な答えがありました。これは学習です。これに対して、学問は自発的な行為です。通説に対して自ら疑問点を見出し、自ら検討し、考察し、自分なりの見解を示すことが求められます。大学での学びでは、自分に問いかけ、試行錯誤を続けながら自身の力で自分なりの答えを導き出します。そして自分なりの見解、自分の考えをしっかり持つためには、確かな知識を多く身につける必要があるのです。

 本学では文学部、国際政治経済学部共に、豊富なカリキュラムが準備されており、ゼミナールを中心に少人数教育を行っています。1年生から早速、基礎ゼミナールがあります。20名前後からなるゼミナールでは、他人の考えを尊重しながらも自分の考えをしっかり伝え、互いに理解し合うことを学んでください。両学部とも学科の中に複数の専攻が置かれ、皆さん自身で専攻を選ぶことになります。4年間を通して、基礎からしっかり学んで専門的な知識をつけていただきたい。そして専門的な知識と並んで自然科学等も含めて幅広い教養も身につけ、是非視野を広げていただきたいと思います。私達教員も、皆さんに知的刺激を与え学問の面白さを伝えることで、皆さんが主体的に学ぶことを促していきたいと思っています。
先ほど大学とは学問の場と申し上げましたが、大学は自分自身を発見し自分を育てる場でもあります。まさに皆さんの年代は、自己を確立する時期でもあります。教室の中の学びだけではなく、サークル活動やボランティア等の社会活動にも参加してみてください。本学は都心にありますので、博物館、美術館やコンサート会場も近くにあります。アルバイトをしたり、国内外を旅してみることも良いでしょう。生涯の友人やパートナーに出会うかもしれません。こうしたさまざまな活動を通じて、多くの人と出会い人間としての幅も広げ、人格の陶冶に努めてください。何事にも誠実に取り組む姿勢や、相手の立場を思いやる優しさなど、人間性を養ってください。皆さんには大学時代に自分自身をしっかり確立して、社会に巣立っていただきたいと思います。

 皆さんを取り巻く社会は急速に変化しています。人工知能AIやロボット技術を軸とした第4次産業革命の時代とも言われる現代。AIはディープラーニングという新しい技術によって自ら学習を深められるまで進化しています。皆さんが社会に出ることになる4年後には、今ある職業の一部がAIに取って代わられているかもしれません。では、人工知能AIに対抗して、人間だからできることは何でしょう。新しいものを生み出す、作りだす創造力や、他人とコミュニケーションを取り協働していく力などは人間にのみ与えられた能力でしょう。コミュニケーションの基礎にあるものは言葉の力です。言葉の力は本学が強化に取り組んでいる「国語力」につながります。皆さん、4年間でコミュニケーション力を十分に養ってください。
また本学では、中国や韓国などアジアの国々からを中心に留学生が学んでいます。中国の北京大学をはじめ、アジアやヨーロッパの複数の大学と協定を結んでおり、交換留学も行っています。今日、グローバル化の時代です。皆さんには是非、異なった言語、文化、価値観を持つ多様な国々からの留学生と積極的に交わり、また自らも世界に出てほしいと思っています。4年後、皆さんが卒業して社会人になる時期には、さらにグローバル化が進んでいることと思います。変化の速い、グローバル化した社会をたくましく生きていくために、4年間に主体的に学び、自分の考えをしっかり主張できる論理的な思考を身につけてください。

 大学院に進学された皆さん。皆さんは研究者としての第一歩を踏み出されたことになります。日々研鑽に努め、日本の学術研究に寄与できる成果を収めていただきたいと思います。

 最後になりましたが、二松学舎大学は新入生の皆さんを様々な形で、全力で応援して参ります。皆さんの学生生活が実り多いものとなりますよう祈念して、私の式辞といたします。

平成30年4月2日

二松学舎大学学長 菅原淳子

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