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平成28年度 二松學舍大学入学式 式辞

 二松學舍大学に入学された新入生の皆さん、また、二松學舍大学大学院に進学された皆さん、おめでとうございます。本日、皆さんをお迎えできたことを、教職員および在学生一同、大変嬉しく思っております。また、これまで支えてこられた保護者の皆さま、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
 初めに二松學舍大学の歴史と建学の理念について、お話ししたいと思います。
 二松學舍大学は明治10年10月10日に、明治を代表する漢学者であり、明治の法曹界の重鎮であった三島中洲先生が、現在の千代田区九段の土地に漢学塾二松學舍を創設したことに始まります。明治維新から10年、西洋化の波が押し寄せる中で、中洲先生は西洋文明の進んだ部分を自分たちのものとするには、まず東洋の文化を学ぶことが重要であると主張し、新時代を担う人材の育成を目指しました。建学の理念は、「己ヲ修メ人ヲ治メ一世ニ有用ナル人物ヲ養成スルニ在リ」、すなわち自ら考え行動できる能力を鍛え、社会のために貢献する人物を養成するということです。漢学塾二松學舍は昭和3年に、中学校・高等学校の国語科教員を養成する二松學舍専門学校となり、戦後の昭和24年に新制大学へ移行しました。戦前より国漢の二松學舍と謳われ、今日まで日本全国の中学校や高等学校に大変多くの国語の教員を輩出してきました。長いこと文学部だけの単科大学でしたが、平成に入り、戦後の冷戦が終結し国際化が進む中で、平成3年に国際政治経済学部が新設され、現在は文学部と国際政治経済学部の2学部、約3、000名の学生が九段にある校舎で学んでいます。本年、二松學舍大学は創立139年を迎えます。
 次に、二松學舍の名前の由来についてご説明しましょう。「二本の松」とは、学問をする場所の象徴で、「二本の松を向い合せに植え、日々その松の樹の下で書物を読んだ」という中国は唐の時代の故事によります。自宅で漢学塾を開かれた三島中洲先生のお庭にも、二本の松が植えられていました。二本の松は、校舎が新しくなっても受け継がれ、現在も九段キャンパス1号館正面に植えられています。
 さて、「二本の松」は学問をする場所の象徴と申し上げました。皆さん、高校までの学習とは異なり、大学は学問の場です。高校までは教えられたことを素直に受け入れ、自分の中に取り込めば良かった。そして必ずと言ってよいほど明快な答えがありました。これは学習です。これに対して、学問は自発的な行為です。通説に対して自分で疑問点を見出し、自分で検討し、考察し自分なりの見解を示すことが求められます。教科書に書いてあることが正しくない場合もあるかもしれないのです。大学での学びでは、自らに問いかけ、試行錯誤を続けながら自らの力で自分なりの答えを導き出します。そして自分なりの見解、自分の考えをしっかり持つためには、確かな知識を多く身につける必要があるのです。
 文学部、国際政治経済学部共に、本学では豊富なカリキュラムが準備されており、ゼミナールを中心に少人数教育を行っています。1年生から早速、基礎ゼミナールがあります。10数名からなるゼミナールでは、他人の考えを尊重しながらも自分の考えをしっかり伝え、互いに理解し合うことを学んでください。両学部とも学科の中に複数の専攻が置かれ、皆さん自身で専攻を選ぶことになります。4年間を通して、基礎からしっかり学んで専門的な知識をつけていただきたい。そして専門的な知識と並んで幅広い教養も身につけ、是非視野を広げていただきたいと思います。
 先ほど大学とは学問の場と申し上げましたが、大学は自分を発見し自分を育てる場でもあります。そして皆さんの年頃、10代後半から20代初めは、まさに自己を確立する時期でもあります。教室の中の学びだけではなく、サークル活動やボランティア等の社会活動、美術館を回ったり音楽を聴いたり、さまざまなジャンルの本を読んだり、国内外を旅したり。こうした活動を通じて、多くの人と出会い人間としての幅も広げ、人格の陶冶に努めてください。大学時代に自分自身のアイデンティティをしっかり確立して、社会に巣立っていただきたいと思います。
 本学では、中国や韓国などアジアの国々からを中心に留学生が学んでいます。また中国の北京大学をはじめ、アジアやヨーロッパの諸大学と協定を結んでおり、交換留学を行っています。今日、グローバル化の時代です。皆さんには是非、異なった言語、文化、価値観を持つ多様な国々からの留学生と積極的に交わり、また自らも世界に出てほしいと思っています。4年後、皆さんが卒業して社会人になる時期には、さらにグローバル化が進んでいることと思います。変化の速い、グローバル化した社会をたくましく生きていくために、4年間の間に主体的に学び、自分の考えをしっかり主張できる論理的な思考を身につけてください。
 また、大学院に進学された皆さん。皆さんは研究者としての第一歩を踏み出されたことになります。日々研究に励み、日本の学会に寄与できる成果を収めていただきたいと思います。
 皆さんは、主に、多くの文教施設に恵まれた都心の九段キャンパスで学ぶことになりますが、本学には、ほかに柏にもキャンパスがあります。自然豊かで広い柏キャンパスにはもうひとつの図書館やスポーツ施設が整っています。柏キャンパスも是非訪れてみてください。
 最後になりましたが、二松學舍大学は新入生の皆さんを様々な形で、全力で応援致します。皆さんの学生生活が実り多いものとなりますよう祈念して、私の式辞といたします。

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