本学教員による研究不正行為について

1.経緯・概要

 本学の通報受付窓口宛てに、本学国際政治経済学部教員が執筆した著書及び論文等(計7点)について「捏造(3点)」及び「盗用(4点)」の疑いがあるとして2件の通報が寄せられた。
 これらの通報を受け、「二松学舎大学における公的研究費及び研究活動の不正防止に関する規程」(以下、「規程」という。)に基づき、調査委員会を設置し、調査を行った。
 以下、通報から認否までの時系列概略を示す。

(1)通報の受付

2023年4月28日  1件目の通報を受付(3点の論文等に対する「捏造」の疑い)

5月30日  2件目の通報を受付(4点の論文等に対する「盗用」の疑い)

(2)通報を受理するかどうかの協議

規程第12条に基づき、当該通報を受理するかどうかの協議を行った。

協議に際しては、「通報内容の精査」、「通報の対象となった研究者からの事情聴取及び事実確認」を行い、それらを踏まえて協議した結果、より専門的な見地からの調査が必要であるとの判断に至り、2件の通報を受理することとした。

◇1件目の通報に関する協議 2023年5月19日~5月26日

◇2件目の通報に関する協議 2023年6月20日~6月26日

(3)調査の要否の決定

規程第13条に基づき調査の実施を決定した。

◇1件目の通報に関する決定 2023年5月30日

◇2件目の通報に関する決定 2023年6月27日

※今回の2件の通報は、いずれも同一研究者の研究業績に関する不正を疑う内容であるため、2件の通報に対する調査委員会は共通のものとして1つの調査委員会を設置して調査を行うこととした。

(4)調査委員会の設置

規程第14条に基づき、外部有識者が過半となる調査委員会を設置し、調査を実施した。

(5)認定

調査の結果、疑いの指摘された7点の研究業績のうち、1点に対して「盗用」が認定された。

2.調査

(1)調査体制

規程第14条に基づき調査委員会を設置し、調査を行った。


≪委員構成≫

調査委員長
山口 志保 大東文化大学法学部 教授(外部委員)
調査委員
二松学舎大学国際政治経済学部 教授(内部委員)
二松学舎大学文学部 准教授(内部委員)
二松学舎大学文学部 准教授(内部委員)
明治大学情報コミュニケーション学部 教授(外部委員)
東京学芸大学教育学部 特任教授(外部委員)
弁護士・親和総合法律事務所(外部委員)
弁護士・慶應義塾大学 特任教授(外部委員)
東京理科大学経営学部 教授(外部委員)
高エネルギー加速器研究機構 ダイヤモンドフェロー(外部委員)

(2)調査期間

2023年9月5日~2024年2月2日

(3)調査対象者

中山 政義 国際政治経済学部 教授

(4)調査対象論文等

【「捏造」の疑い】

①U.S.NIKE STRATEGY IN CHINA、1987年3月、Armstrong University

②International Relation for Multinational Enterprises、1987年12月、Armstrong University(修士論文)

③『国際関係序説』61~173頁、2001年青孔社


【「盗用」の疑い】

①書籍『法学 ―法の世界に学ぶ―』(成文堂、2017年)

②書籍『法学 ―法の世界に学ぶ 改訂版―』(成文堂、2023年)

③論文「国際化時代の知的所有権をめぐる若干の考察」(国際政経、1992年)

④論文「アメリカ会社法における自己株式取得に関する考察」(秋田法学、1988年)

(5)調査方法・手順

調査対象者からの事情聴取、調査対象研究業績並びにその他関連資料の精査、その他必要となる事項の調査(出版社・関係機関への確認)が行われた。

3.調査結果

(1)認定した不正行為の種別

通報された上記7点の研究業績のうち、【「盗用」の疑い】の④の論文について「盗用」が認定された。

(2)認定した論文

「アメリカ会社法における自己株式取得に関する考察」(秋田法学、1988年)

(3)不正行為に関与した研究者

調査対象者が単独で執筆した論文につき、本人以外に関与した研究者はいない。

(4)不正行為が行われた経費・研究課題

対象となった論文は、科学研究費助成事業等の研究課題に関わるものではなく、公的研究費等の経費の対象となるものでもない。

(5)不正行為の具体的内容と認定理由及びその評価

4.本学がこれまでに行った措置の内容

 調査対象者に対し、自身の保有する研究業績から今回不正認定された当該論文を削除するよう勧告した。
 なお、調査対象者に対する処分等は、今回の調査結果を受けて学校法人が関係規程に則り対応する。

5.発生要因と再発防止措置

(1)発生要因

研究活動に携わる者として弁えるべき基本的な注意義務を著しく怠っていたことに起因して発生したと考えられる。

(2)再発防止策

各学部・研究科等に対して、改めて研究倫理遵守の徹底を指示し、教授会等を通じて全教員に周知する。また、今後、学内における研究倫理研修等において、注意喚起を強化する。


以 上