国際シンポジウム開催
シンポジウム開催予定
これまで開催のシンポジウム
2008年12月6日開催の国際政経シンポジウム報告
手島茂樹
1. はじめに
2008年12月6日(土)、大学院国際政治経済学研究科主催の国際政治経済シンポジウムが、日本貿易振興機構、在日米国大使館東京アメリカンセンター、海外投融資情報財団の共催を得て、本学九段キャンパス中洲記念講堂において開催された。今回の国際政治経済シンポジウムは、2004年度以降、通算、第6回目となり(2005年度は2度開催)、2008年9月に大連市で開催した本学主催国際政治経済シンポジウムを加えると、第7回目の開催となる。
今回のテーマは「インフレ・国際マクロ経済ショック・環境・資源等、種々の制約を乗り越えた持続的発展のための東アジア協力」であり、2008年前半まで世界経済の大きな中長期的課題とされた資源制約及び地球環境保護と持続的成長の調和に加え、2008年後半以降特に深刻化した国際金融危機と世界同時不況の克服をいかにして達成するかが、国際政治経済セッション及び国際ビジネスセッションにおいて論じられた。
第一セッションでは、国際金融危機を契機とした世界同時不況の深刻化の中で、主に中国を事例として、積極的な財政拡大による内需拡大政策によって不況の克服を図ることが喫緊の政策目標となった一方、これまで中長期の課題として取り組まれていた「成長の質」の重視、特に、所得分配の不平等化の是正、省資源型であり環境保持と両立する成長への移行が、同時に達成可能であるかが大きな論点となった。
第二セッションでは、国際金融危機を契機とした世界同時不況の深刻化の中でも生き延びられる企業経営のあり方について、特に成功している日本企業の事例を中心に論じられた。議論の詳細は、2以下に述べられている。
2.主催校および共催機関挨拶
シンポジウムに先立ち、主催校である二松学舎大学・今西幹一学長より、シンポジウム開催の挨拶があり、続いて共催機関を代表して、海外投融資情報財団の神信一理事長、日本貿易振興機構の鷲尾友春顧問(前理事)、在日米国大使館東京アメリカンセンターのアン・カンバラ館長より、開催を祝う挨拶があった。
3.本シンポジウムの趣旨説明
シンポジウムの冒頭、二松学舎大学大学院国際政治経済学研究科長・手島茂樹より、次のような趣旨説明を行った。
これまで順調に経済発展を続けてきた東アジア諸国も、最近は、米国のサブプライム問題に端を発した国際金融危機・国際マクロ経済の不安定化、中長期的な課題としての成長に伴うインフレ、環境及び資源制約等、今後とも持続的な経済発展を続けていくためには、大きな課題を抱えている。本年は、こうした課題について、国際政治経済セッション、国際ビジネスセッションの二つに分けて、マクロの国際政治経済的な視点および実務の国際経営・ビジネス的な視点から、十分な経験ある専門家・実業人による議論・検討を行う。また、シンポジウムの後には、自由討論による分科会も実施する。
今回のシンポジウムで特に留意すべきは、2008年半ばごろまでは、アジアが持続的な経済発展を遂げるための中長期的な課題として、高度成長に伴うインフレ、環境及び資源制約等を如何に緩和していくかが重要と考えられていたところが、2008年9月以降、国際金融危機とそれによって引き起こされた世界同時不況が喫緊の課題としてクローズアップされてきたことである。
危機の背景には、膨大な投資超過ギャップとネットの対外債務を抱える米国の国内需要に、膨大な貯蓄超過ギャップとネットの対外債権を抱える日本が依存し、日本を含むアジア諸国・BRICs等の純輸出が米欧向けに拡大するという構図のもとに、世界経済が拡大したことがある。いわば、ロンドン・エコノミスト誌の指摘するように、「巨額の経常黒字を計上する国が、巨額の経常赤字を計上する国の消費・浪費に依存している。」状況があった。この危ういバランスの上に立った実体経済のメカニズムを成り立たせる国際資金循環を円滑に進めるためにサブプライム債券等、様々な金融手段が構築された。この結果、対外証券投資(FPI)および対外直接投資(FDI)の双方の形態で、国際投資は急速に拡大した(但し、日本の場合は、米欧ほど劇的な国際投資の増加は経験していない)。こうした、レバレッジを効かせた金融拡大に伴う問題点が今や、世界的に噴出しているわけで、過熱気味の国際金融拡大は一転して国際金融収縮へと向かった結果、IMFのWorld Economic Outlook, Oct. 2008(表1)にみるように、世界経済および主要国経済は、2008年および2009年共に、大幅な減速が見込まれる。
こうした国際金融危機への対応策として、第一に、国際金融システムの再建が挙げられる。国際公共財としての国際金融システムは守られなければならない。そうでなければ、国際金融危機に基づく世界同時不況は一層深刻化する。このため、米国の「総合金融安定化対策」(金融機関の保有する証券化商品の価格下落に対して、不良債権の買取りを実施)及び欧州主要国の公的資金注入による不良債権買取り・銀行間融資への政府保証等が打ち出されている。
第二に、国際金融危機によって毀損した実体経済の速やかな回復が図られなければならない。 そのためには、積極的な財政主導による景気対策と適切な 金融緩和政策が必要である。但し、米国の自動車ビッグスリー救済論議に見られるように、必ずしも国民及び議会の支持を得られない場合もある。また、各国の財政・金融政策の実施能力がどの程度残されているか、という問題がある。
表1 各国への国際金融危機の影響
 (出所: IMF, World Economic Outlook, Oct. 2008)
次に、東アジアへの国際金融危機の影響を考えると、従来からの懸案であった高度成長に伴うインフレの抑制及び天然資源・環境制約についての中長期テーマは、2008年夏以降、国際金融危機とそれに伴う世界同時不況という当面の課題の前に、やや色あせたものに映る。
これまで東アジアは、実体経済のグローバル化・国際金融のグローバル化の便益を最大限、享受してきた。国際的な資源の流動性が高まれば、要素価格均等化へのメカニズムは急速に働く。東アジアの将来性が高く、ビジネスチャンスが大きいと世界の企業・投資家から認識されたことから、資金・技術・知識が急速にかつ大規模に流入して、これまで、東アジアの経済の急成長を加速してきた。こうした恵まれた環境の下で、投資受入国側に、適切な政策実施能力があれば、上記の機会を生かして、高度成長を達成できる。中国・韓国・ASEAN諸国等、東アジア諸国にはおおむねそうした政策実施能力があった。高度成長を続ける東アジア諸国にとって、当面および中長期的な課題は、(1)インフレの抑制、(2)要素集約度の増加による成長(明らかな限界がある)に加え、イノベーションの推進する成長への移行、(3)資源制約の緩和、および(4)環境への負荷の緩和であった。
しかしながら、2008年夏以降顕在化した国際金融危機・世界同時不況の下では、喫緊の問題として、国際金融危機がもたらす成長へのマイナス要因をどのように見込むか、が重要となる。具体的には、(1)輸出市場の縮小・輸出乗数の低下を通じた実体経済への悪影響、および(2)外貨資産への悪影響、である。
したがって検討すべきは、第一に、国際金融危機が、日本経済および中国経済、その他のアジア経済に及ぼす影響、特に、経済成長、雇用、物価、国際収支への影響、であり、第二に、国際金融危機に対する日本およびアジアの対応策(アジア各国の国際協調による対応の可能性:1997年アジア危機の際の対応との対比)であり、第三に、中長期的なアジア経済の成長・発展の見通し、特に資源制約と環境への負荷である。
中国を例に取ると、2007年アジア危機の経験から突然の外資流入途絶に備えて、多額の外貨準備を蓄積してきた。
過去数年に及ぶ二桁成長に鑑み、2007年以降、2008年半ばまでは、中国政府は、景気過熱とインフレ抑制のため、金融引き締めの強化、地方政府の投資ブームや金融機関の貸出ブームの抑制をはかった。安定成長を維持しつつ、インフレを抑制することに政策の目標が置かれていた。しかし、2008年10月以降は、積極的な景気対策に政策の重点が移った。(世界銀行の2009年における中国の実質成長率見込み:7.5%)。このために、積極的な財政政策と適度な金融緩和政策の発動が必要であるとして、4兆元(57兆円相当)の景気対策(真水部分がどの程度かという問題はあるものの)の実施が表明されている。これは、2007 年の名目GDP の16%に相当する景気対策である。また、金融緩和(2008年11月27日には、1.08%の大幅な利下げ)も図られている。
中国にとっての課題は、第一に、中国の純輸出(輸出ー輸入)はそれほど大きくないが、輸出依存度は高いことである。このため、これまでは、貿易摩擦回避のため、内需への転換を図りつつあった。しかし、2008年に入り、輸出産業は、国際金融危機の影響を受けつつあり、経済成長の減速を生じつつある。このため、成長底上げのため、輸出振興に逆戻りする傾向が見られる。輸出の鈍化に加え、国内設備投資の鈍化により、雇用維持のための必要ラインといわれるGDP成長率8%を割り込めば、雇用等、国内経済に与える影響は深刻化しよう。これまで、最大の輸出先である米国およびEUとは多くのアンチダンピング措置等の貿易摩擦を繰り返してきたことを考えれば、今後、輸出環境は一層難しくなると考えられる。
第二に、中長期的には、外需依存から内需拡大への転換を図る必要がある。またインフレ再発を抑制しつつ、デフレ化への傾向も阻止して、スタグフレーションを回避する必要がある。
次に、マクロ経済に及ぼす影響と同様に、国際ビジネスに及ぼす国際金融危機の影響も重要である。第一に、国際金融危機以前の段階で、これまでの中国ビジネスに成功してきた要因、第二に、国際金融危機が中国事業に及ぼす影響およびそれに対する対応策、第三に、中長期的な中国ビジネスの課題・戦略について検討する必要がある。
加えて、これまで多くの日本企業は、輸出ビジネスから現地市場志向のビジネスへの転換を図っており、その過程で、現地人材確保に、注力してきた。国際金融危機は、こうした経営戦略にどのような影響を及ぼすか、についても検討する必要がある。
最後に、1990年代以降、ごく最近まで、日本の直接投資および証券投資は対外・対内共に、米国およびEU諸国に比して、不活発であった。その分だけサブプライム債券のリスクが相対的に少ないといえるかもしれない。一方、最近は、クロスボーダーM&Aを中心に、日本の対外投資の活発化が見られる。国際金融危機を契機に、日本の国際投資は活発化しうるかどうかは、注目されるところである。これは日本企業が、国際金融危機のダメージをどの程度受けているかの一つの目安となり、試金石になろう。
4.第一セッション:国際政治経済セッション
二松学舎大学教授・手島茂樹を、司会・モデレーターとして、4人の報告者による報告及びパネルデイスカッションを行った。報告者は、発表順に、北京大学教授・章政、日本貿易振興機構顧問・鷲尾友春、東京経済大学教授・片岡直樹、APCO Worldwide社・副会長(前米国大使館上海総領事)ケネス・ジャレットの各氏である。
<国際政治経済セッション>
(1)第一報告者:北京大学教授 章政氏
最初に、1978年の改革開放以降の中国マクロ経済の構造について論じ、第二に内外から見た中国経済が抱える最近の問題点について論ずる。第三に、今後の日本と中国の間の政策協調のあり方について論ずる。
第一の中国のマクロ経済の構造の特長について述べると、1978年以降、最近30年にわたって高度成長を続けてきた。そして膨大な外貨準備を蓄積してきた。この二つが最大の特徴であり成果である。これまで、中国経済成長のエンジンとなってきたのは、特に2000年以降は、輸出と国内固定資本形成(設備投資)である。その一方、最近は国内消費の成長への寄与は減少している。
設備投資の資金調達構造は過去27年間で大きく変わっており、民間資本(民営企業)によるものが、全体の55%から、80%へと、25ポイントも増大した。また銀行・金融資本による投資も大きい。一方、政府予算によるものは、全体の30%から5%へと、25ポイントも減少した。政府の中では中央政府の投資の役割が減退し、地方政府の役割が増加した。
設備投資に関する大きな問題は、固定資本投資効果係数(固定資本増加率/GDP増加率)が、急速に上昇していることである。これは、投資効率が低下していることに他ならない。生産コストの上昇によると考えられる(筆者(手島)注:いいかえれば、要素集約度の上昇による成長の限界であり、イノベーションによる成長への転換が必要である。)。また財政の管理費用も上昇しており、財政運用の効率が悪くなっている。
また、中国の輸出依存度、貿易依存度は、非常に高い。輸出はGDPの3割以上、輸出+輸入では、GDPの6−7割に達する。これは日本・米国等と比べ、格段に高い貿易依存度である。輸出の構造を見ると、中国企業の輸出の増加に比べ、外資系企業・国有企業の輸出の増加は少ない。沿海部の企業倒産もあり、中国は金利引き下げ、元の切り下げで対応しているが限界があろう。さらに、国際金融危機以降の先進国経済の減速により、主要輸出先であるEU、米国、日本の景気減速による輸出へのマイナスの影響が懸念される。
第二の論点である中国経済の問題点であるが、中国にとっては、2008年夏までは、インフレの抑制と安定成長への軟着陸とが当面の政策課題であった。これは、2003年以降、4年間にわたり続けてきた、年率10%以上の高成長とインフレの高進に鑑みたものであった。
胡錦濤政権では、成長の量ではなく、質への配慮(「和諧社会」「科学的発展観」)すなわち、環境・資源の制約、所得の不平等化の加速を如何に緩和するか、が大きな政策課題であった。所得の不平等化は、沿海と内陸の成長率の差から生じた。
2008年夏以降、国際金融危機とそれに誘発された世界同時不況に直面したことから、速報ベースで2008年1−6月には年率10%成長のペースを維持していたのが、7−9月は、8%台に減速した。さらにこの傾向を延長すれば一つの谷に落ちるかもしれない。中国経済は、雇用を維持するため、以前は年率7%の成長が必要といわれた。今は、8%が必要であるとされる。過去の経験では、1982年と1989年に4−6%台の低成長を経験している時期があるが、中国では5%以下の成長では安定は保てず、こうした低成長期には必ず大きな政治変革があった。
中国政府の4兆元の景気対策発表は、こうした状況に鑑み、成長維持のために、積極的財政政策を発動しようとする中国政府の意思を表している。さらに、大幅な金利引き下げ等の積極的金融政策もとられている。こうした政策によって8%成長を維持し、同時に、成長の質を高めようとしている。
第三に、今後の日本と中国の間の政策協調のあり方について簡単に触れると、今や世界の金融経済は実体経済よりもはるかに大きく、前者が24に対し後者が1とも言われるので、金融ショックから回復するためには、日本と中国は協力して、(1)安定的な地域金融通貨制度の構築、(2)FTA等を通じた貿易・投資の拡大による市場の一体化、(3)農業総合開発、(4)環境・省エネ技術の開発等で、協調すべきである。(2)(3)について、日本の高品質米の開発は、中国市場で大きな可能性がある。これらを達成するためには、日中間で、価値観と哲学の共有が必要である。
(2)第二報告者:日本貿易振興機構顧問、鷲尾友春氏
本講演のテーマを論ずる手順として、第一に、グローバルな金融経済危機とアジアの中の日本と中国の位置づけについて論ずる。さらに、第二に、グローバル化と地域化、APECのなかのアジアについて、最後に、日中のマクロ経済調整について論ずる。
第一に、国際金融経済危機には金融危機と経済危機がある。金融危機のアジアへの影響は、韓国・パキスタン等を除けば相対的に軽微である。例外である両国とも、経常収支が脆弱で、しかも対外債務支払い直前に危機が起こった。韓国では中国向け黒字は減る一方、日本向け赤字は減らないという構造的問題を抱えていた。さらに、香港・シンガポールはグローバルな国際金融センターであり、リーマン等の金融商品をベースにこれを再加工して、現地資本家に金融商品として、売ってきたこともあり、現地政府から投資家への損失補償を求められている。インドにも韓国同様の問題が出始めている。こうした例外はあるものの、ASEAN・中国への金融危機の影響は、比較的軽微であった。その理由は、ASEAN・中国では、欧米ほど金融商品が一般的でなく、伝統的な相対(アイタイ)金融が中心であったためである。しかもアジア全体として経常収支黒字国が多く、外部の金融ショックの影響を受けにくい。一方、中国や日本は膨大な外貨準備を積み上げているので、金融危機対策で資金の要る欧米からこれを狙われているともいえる。
今回の危機は二重の意味で米国発である。第一に、米国の経常赤字はロンドンのオフショアマーケットを通じてファイナンスを受けた。このため、これに参加した欧米銀行ほど大きな影響を受けた。第二に米国が、そもそも証券化による金融商品を大規模に作った。
実態経済面での影響が、アジアではこれから出てくると考えられる。中国は、経済成長維持のために、5859億米ドルの公共投資を発表した。このうち45%が公共事業であるが、真水部分がどのくらいあるかが問題である。中国はイメージの重要性を考えて、過大な声明をいち早く行ったとの見方もある。しかし、市場は中国の刺激策を、好感を持って受け止めているようだ。胡錦濤政権は、「和諧社会」ということで産業構造の高度化、成長の「量」から「質」への転換を目指していたが、今は、雇用確保に必要な8%成長達成のためには5859億ドルの景気刺激策が必要である。この刺激策がなければ5−6%成長に陥るかもしれない。20年後には中国の経済成長がピークアウトするとの見方もあり、地方政府はこの5859億ドルを奪い合うのではないか。出稼ぎ労働者が、地方に戻れば社会不安を引き起こすのではないかとの見方もあるので地方政府は、投資財源確保に必死になろう。また輸出維持のために、中央銀行の公定歩合の引下げ、人民元の切り下げ・輸出増値税の還付率を再度復活している。こういう状況のなかで、胡錦濤政権の「和諧社会」が実現出来るかどうかは、公共投資の使われ方次第であるが、地方政府の財源取り合い等により、容易ではないのではないか。中国同様に輸出依存度の高いASEAN諸国でも今後深刻な影響が出てくる可能性もある。こうしたなかで東アジア経済を守るためには、日本と中国が協力して、政策協調を行う必要がある。
第二のグローバル化と地域化であるが、これまで欧米間のルールセッテイング競争が進んでいた。国際金融危機に直面して、G20の場等で、今後の金融市場のあり方に関するルール設定競争がEUと米国との間で進行している。すなわち、金融市場への規制強化を強めようとするEUとそれに反対する米国である。EUは、金融商品等についての規制・ルールの厳格化を目指し、米国は出来るだけ、規制を減らそうとする。アジアは世界の工場であり、アジアは世界の貯蓄供給源であるにもかかわらず、域内の金融資本債券市場が未発達で資金はいったん欧米に流出し、再度アジアに再投資・還流するという欧米依存のメカニズムに陥っている。域内の貯蓄を域内に投資するメカニズムを確立すると共に、世界的な金融市場のルール作りにも参画すべきであるが、それが出来ていない。したがって、アジアの政策協調が特に必要なのは、この分野である。アジアの相対(アイタイ)金融を堅持し、金融商品化に歯止めを掛けることが必要である。また、外貨準備の運用ルールについて、日中間である程度、合意することも可能でないか。そのための政策協調のフレームも出来ている。東アジアサミット、日中韓の定期首脳会議等で、北米対欧州という構図の中でアジアの声を反映させるアジアの戦略を練ることも重要である。
一方、米国は、着々とアジア各国とFTA戦略を進めている。南北米大陸の太平洋側諸国、韓国(議会は未批准)・シンガポール・オーストラリア等と、FTAを結びつつある。これらによって、金融等競争力のある米国産業の市場を、これらの国に確保しようとしている。最終的には、米国は、中国国内に健全な金融市場を構築しようとしているのではないか。
最後に、日本と中国の経済政策協調について述べる。両国の体制・経済構造の違い(中国は、輸出・設備投資中心、日本は消費中心になりつつある)等から先進国間のような狭義のマクロ経済政策協調は難しいが、地域全体の産業・金融構造政策、特に、域内自由貿易体制の構築、域内債券市場の整備等の域内貯蓄の域内投資化メカニズム、相対(アイタイ)取引の堅持と金融商品の管理ルールの作成、省エネ・環境保全についてのルール、外貨準備の運用ルール、既に着手済みのチェンマイ・イニシアテイブの強化等の地域ベースの協力は、可能であるし、大いに強化すべきである。今後、一層政治の役割が重要となり、経済ファンクションのルール化が必要である。そのためには章政先生の言うように日中間の価値観と哲学の共有が必要である。
(3)第三報告者:東京経済大学教授・片岡直樹氏
中国環境法を四半世紀、研究している。これに基づき、最近の中国の環境法に対する私の考え方について述べたい。1997年からアジア環境白書が発行されている。日本社会及び世界に、アジアで起きている環境問題を知ってもらうためのものである。アジア環境白書の中心になっている一橋大学の寺西俊一教授は、環境問題解決のための国際協力を有効にするための4つの段階を提唱している。すなわち、第一段階の交流に始まり、第二段階は、相互理解、第三段階は、相互信頼、そして最後に、第四段階として協力というものである。本日の話は、日中間の環境問題についての第二段階、相互理解のためである。
砂漠化、黄沙、酸性雨等、中国の環境問題は日本でも良く知られている。中国政府(国務院)は、「現在の環境問題は、先進工業国が20世紀の100年間に経験した環境問題が、現在中国で集中的に発現している」と認識している。中国においても、環境問題の深刻化は、十分認識され、2010年目標に向けて汚染物質を減らすことが掲げられている。たとえば、二酸化硫黄を2010年に、2295万トンに抑える。また、中国における地表水の26%は、「どんな目的にも使えない水(「劣5類」)」とされているが、これを2010年までに、22%以下にする計画である。しかしこれらはいずれも中間的な目標と思われる。
現在、中国は環境に関する法制度の転換点にある。自分は、これを「緩やかな転形」と捉えている。2008年2月改正の「中華人民共和国水汚染防治法」によれば、これまで広く地方政府等の裁量に任されてきた汚染物質排出基準逸脱の排出はこの改正により、違法であるとされた。すなわち、従来は一定の金銭的支払いをすれば、排出を続けられたのに対し、この改正により、環境行政部門の改善命令によって一定期間内(最長1年)の事態の改善が図られることとなった。環境行政部門が汚染問題を放置しないように、懲戒制度も規定された。一方、改善できない場合、当該企業を閉鎖するかどうかは、環境行政部門ではなくて依然として政府の権限であるとされる。その意味では環境行政の権限は不十分である。
上記の背景にある中国の法形成の特徴は、「空洞化した存在としての法律」だったことである。すなわち、行政府が、制度実験を行ってその成果が法律に規定されること(「実験立法」)が大きな特徴である。具体的には、「排出許可証制度」、すなわち、「汚染源が許可証を持って、汚染物質を排出する」、との考え方は、1989年環境保護法案にはあったが、最終的には同環境保護法はその考え方をとらなかった。その後、1995年「大気汚染防治法」にも1996年「水汚染防治法」にも「排出許可証制度」は入っていない。しかし、国務院等行政府は、「排出許可制度」を法の細則等の形で進めてきた。すなわち、立法者が否定したにもかかわらず、行政府が、制度実験を行ってその成果が2008年に法律に規定される(「実験立法」)、ということが行われた。その意味では、立法機関の立法の裏づけがないにもかかわらず、行政府が、実験立法を進めてきたことになる。しかしこの手法もマイナスだけともいえない、多面的要素がある。
大きなトレンドとして、1978年からの30年間で、法制度の整備を支える専門法曹の数は急増しており、今後の環境法の拡充が期待される。具体的には、弁護士は、1986年には、2.2万人であったのが、2007年には、13万人を超えるまでになってきた。2002年から始まった司法試験は、現在、30万人が受験し、2万人が合格している。法律を学ぶ学生の数は、1977年の在校生576名から、2005年には、在校生は41万人を超え、卒業生は7.6万人に達している。在校生は41万人に達している。1980年の法学専門の教授は15名であったのが、2004年には3415名に達している。
(4)第四報告者:APCO Worldwide社・副会長(前米国大使館上海総領事) ケネス・ジャレット氏
今回のシンポジウムのテーマは非常に時宜に適っている。中国は30年にわたる改革・開放で成果を挙げている。それを踏まえ、現在移行経済の新段階につき検討中である。こうした状況にある中国について、アカデミックな視点及びビジネスの視点の両面から検討するシンポジウムは非常に有益である。
第1の論点は、テイップ・オニールの言葉である「政治は全て現地重視である」というものである。米中間の関係においても、貿易と通貨の問題は複雑な政治問題であり、特定の利害グループを代表する中国批判派は声高に中国批判を言うが、新中国派は余り極端な中国支持者と思われたくないという心理が働く。両者を共に満足させつつ、米中の共通利益を模索しなければならないという状況を踏まえ、米中間には戦略的経済対話(SED:Strategic Economic Dialogue)の場があり、重要事項について協議している。中国にとっては、欧州との間、および、日本との間にもこうした対話を行うことが重要であろうが、米中間ほどは行われていないようだ。
中国政府の政策は、第一に共産党支配を維持することであり、中国国民に対して共産党の権威・正当性を確立するために行われている。その際、重要なのは、中国共産党員7000万人という数ではない。上海等で株の取引を行っている中国人は1億人以上おり、7000万人という数にはそれほど重要性はない。イデオロギーではなく、むしろ、オリンピック、人工衛星、経済ナショナリズム等の国威発揚、経済政策に成功し、国民の生活向上を達成できることが、政権の正当性獲得のためには必要である。インターネット等により国民の意見を聞くことも重要である。国際調査によれば、中国国民の多くは、国の発展方向・経済状態について、他の国(例えば、日本や米国)に比べて自国政府を支持しているように見える。この調査では、政府への支持という点で、中国は第1位、米国・日本は、それぞれ20数位であった。しかし、統制経済から市場経済に移行するにつれ、ひずみが生じ、広州等、地方を中心に社会的騒擾の数は増加しているし、チベット問題等もある。
こうした社会的騒擾の原因として、中国の人が公的権利を意識するようになってきていることを背景に、賃金の不払い等による労働争議、地方の違法課税・違法土地収用・違法選挙操作等、判決の不履行、強制移住、汚職、環境汚染等の問題(世界銀行によれば、中国の大気汚染・水質汚染が健康その他に及ぼす社会的コストは、年間1000億米ドル(中国のGDPの5.8%)に達する)がある。その根底に、不均一な成長、高齢化、汚職、環境汚染、エネルギー制約から持続的発展が可能であるか不確実、といった問題がある。ビジネスの面では、「メイドインチャイナ」製品の品質への不信、労働コスト・不動産価格等の上昇、ナショナリズム・保護主義の強まり(独占禁止法の条項を外国企業の中国市場参入阻止のために用いる等)等の問題がある。
第二に、こうした中国政府が、抱える課題に対する政策としては、まず8%成長は雇用維持のために、絶対に達成しなければならない目標である。
さらに、胡錦濤政権は、8%成長だけではなく、成長の質を重視している。バランスの取れた成長を目指し、格差の是正、環境保護を重視した政策を実施する。胡政権は、新しい価値観を重視した「和諧社会」を実現するための「科学的発展思想」を提唱し、高度成長よりもバランスの取れた成長、内需主導型成長への移行、貧富の差の是正、保健・教育・住宅等の公共サービスの充実、環境保全、内生的なイノベーション能力の涵養、沿海中心の発展から地域的にバランスの取れた発展へのシフト、社会的弱者(農民、出稼ぎ労働者、都市の失業者、高齢者等)の保護へと、政策の重点をシフトさせるとしている。
第三に、中国は、規模的には十分な経済大国の一つになったが、国内問題で手一杯であり、国際的なルールメーキングに役割を果たすまでには至っていない。この姿勢は、ケ小平のときから現在まで変わっていない。国内の反対派を抑えて改革を進める際にはWTO加盟を利用したし、人民元改革に当たっても、外圧を利用した。
人民元改革について、固定相場制を放棄した後、人民元は増価した。固定相場制放棄はSEDの成果で、貿易にはそれほど影響を与えなかったが、政治的には成功であった。今週、人民元は下落したので、今後、新たな政治問題になるかもしれない。SEDについても最初中国は消極的であったが、現在は、高いレベルで両国が長期の戦略について話し合い、中国経済の移行を達成し、危機を乗り越えるために必要な場として、積極的に捉えているようだ。
国際金融危機の影響は他国に比べて中国への影響は比較的軽微とされている。グローバルな金融にそれほど参加していないし、外貨準備を厚く積んでいるためである。しかし、中国南部での工場閉鎖、消費の低下等、影響は出始めており、成長率確保のために、4兆元の財政支出計画を発表している。4兆元のうち、真水は25%ぐらいであろう。公共事業等によるインフラストラクチュア整備等の好機であるともいえる。大規模な国営企業にはプラスであろう。
胡政権は、国際金融危機に際して、中国の責任は、国内経済の安定を保ち、成長を維持することだとしている。すなわち、中国は、未だ経済規模に比して十分な国際的役割を果たしておらず、ルール・メーカーというよりは、ルール・テーカーである。こうした役割の小ささは一つには国内政策による制約によるものである。どこの政府も第一の責任は自国民に対してあるので、それはある程度やむをえない。多国間の交渉よりも有効な方法は、SEDのような二国間ベースの協議である。政治的な結びつきが不安定になれば、経済にも影響を与える。政治関係の安泰は、経済・ビジネスの紐帯を一層強めることにもなる。さらに、日米間の政策協議によって、対中国政策における相互の共通の利益を明らかにすることは、中国に対して非常に大きなインパクトを持つ。
(パネルデイスカッション及び質疑応答)
((会場からの質問))
1. 章政教授に対し:
最近中国30年間の経済政策の最大の問題は「格差構造」の深刻化だと思うが、余り、発表では触れられていない。これについての説明を伺いたい。
(章政教授)
格差問題は非常に重要である。根底には経済システムの問題がある。実態経済に比して金融経済が大きくなりすぎてこれに対する決定的な解決策はない。財政出動・金融緩和は根本的な解決策にはならない。あくまでも当面の手段である。根本的には、新しい国際金融制度が必要である。制度を作る際には、共通性と共に個性を尊重することが必要である。国際金融社会は、実は閉鎖的な面もあるし、今のIMF、世界銀行では国際金融危機に対処できない。ここで、三つの原則が必要である。第一に、世界共通通貨が必要である。そのモデルはEUであり、中国は台湾、香港との提携を行って地域的にこれを模索している。第二に、新しいIMFが必要である。第三に、為替調整の新しいメカニズムが必要であり、備蓄外貨の利用法も考えねばならない。発表でも述べたように格差は、沿海と内陸との成長率の違いから生じた。高度成長期を経て、今はそれを見直す時期に来ている。格差是正のためには、後進地域の発展速度を上げることが必要である。但し、インフレ・環境・資源等に配慮しなければならない。さらに、国際金融危機の結果、成長率の維持に政策の重点が移っている面もある。
2. 同じく、章政教授に対し:
世界金融危機の影響で、中国沿岸部から、韓国・台湾等の外資系企業からの撤退が相次ぎ、帰郷出稼ぎ労働者が増える結果、中国内陸部の社会不安も高まっている。一方、楽観的見方をする中国の学者は、「帰郷した労働者は、地方経済を活性化させ、東部沿海地域と内陸部の格差是正に貢献する可能性がある。」としている。こうした楽観的な見方の当否について伺いたい。
(章政教授)
こうした現象によって、都市部への流動人口の問題はむしろ軽減された。一方、地方に戻ってきた人の再教育が必要である。マクロ的には、1%の成長で120万人雇用が可能であり、中国では年間1000万人の新規雇用機会が必要であることを考えると、8%成長が必要である。各地方で、投資ブームが再現しつつあるのは事実であり、8%の成長を達成するのはその意味では難しくない。問題は、インフレの再燃を生ずることなく、地方の投資ブームを、どのようにコントロールするかである。
3. 同じく、章政教授に対し:
中国政府の経済刺激策は、中国国内消費の促進につながるか。また、これは胡政権の目指していた「和諧社会」の目標を否定するものか。
(章政教授)
4兆元の経済刺激策は、公共事業の拡大・インフラ整備に重点が置かれており、「和諧社会」と矛盾するものではない。最終的には消費拡大につながることを目指している。
4. 鷲尾顧問に対し:
発表資料にある4兆元の財政刺激策は「和諧社会の目標を吹き飛ばした」というのはどういう意味か。
(鷲尾顧問)
4兆元の使い道の45%が公共事業、25%が四川地震復興等である。これが和諧社会のイメージとどう結びつくか分からない。8%成長を達成するのに精一杯であり調和までは考えられないのではないか。思想としては、消費につながるような項目も4兆元のうちにはあるが、実効は不明である。倒産・夜逃げの問題、破産法の整備等はどのように整理されているか疑問である。リソースの制約から、中長期の成長の質の改善は、当面の成長の維持に道を譲ったと見ているという意味である。
((手島から、章政教授、鷲尾顧問、ジャレット副会長に対し))
国際金融危機に直面して、中国が、8%成長維持を優先したとき、「和諧社会」実現のための「成長の質の重視」は変わってくるか、後ろ倒しにしなければならないか、否か、伺いたい。
(章政教授)
西暦2000年より前の経済成長は実感のない経済成長であった。その時代の年率14%の成長は国民の実感と関係なかった。例えば、中国の電気の4分の一は世界のアルミに精錬に使われている。すなわち、ボーキサイトを輸入し、アルミを輸出する。しかしこれは殆どの中国人の生活に関係ない。これに対し、今回の4兆元の45%はインフラ整備、25%は震災対策、残りの25%は消費に関連する。どこまで実行できるかという問題はあるが、財政政策を出来るだけ、消費に関連させようとしている。もちろん、やればやるほど財政を圧迫する面はある。その意味で、現在の財政ポジションからはこうした支出は可能だが、将来の負担という意味では良くない。あくまでも当面の施策である。財政刺激策によって8%の成長を達成するのは難しくないが、これと「成長の質の改善」、「和諧社会の実現」、「インフレの抑制」等を両立させることが重要である。
(鷲尾顧問)
雇用の確保のために、8%の成長維持が優先的な目標になるだろう。
(ジャレット副会長)
かつては2桁成長を目指したが、現在は8%成長のもとで質の改善を目指す。景気刺激策の中には調和の取れた社会と一致した内容のものもある。雇用の確保、「和諧社会」の実現共に、政権の正当性を裏付けるために必要であり、その実現を図ろうとするだろう。
((手島から片岡教授に対し))
環境問題についての中国政府の取り組みについての日中協力は、国際金融危機の影響で変わるか。
(片岡教授)
先進国が100年間にわたって経験した問題を今後10年でやるのであれば、いっぺんにやらねばならない。循環経済促進法のもとで、かなりの資金を環境保全の方向に持っていくのであれば、日本企業にも協力の余地がある。環境問題の重要性は中国政府によって十分認識されており、4兆元の財政支出にも含まれている。環境問題が劣後されることはないと思う。
((鷲尾氏よりジャレット、章政両氏に対し))
8%成長できなければ中国執行部批判があるか、また、設備投資は以前ほど伸びるか。
(ジャレット)
いずれ、2008年には、8%成長達成したと新聞報道されるだろう。本当のところは分からない。しかし、4兆元の刺激策は地方政府にも大きな影響がある。地方の支出が拡大すれば、8%を超える可能性もある。
(章政)
8%成長は簡単にできる。GDP統計なので、生産すればよい。問題はそうした成長が質の改善につながるか、実感のある成長を達成できるかである。大きな可能性は消費である。特に、中国の農村市場の開発によって消費を開拓できると思う。
5.第二セッション:国際ビジネスセッション
二松学舎大学教授・手島茂樹を、司会・モデレーターとして、4人の報告者による報告及びパネルデイスカッションを行った。報告者は、発表順に、日本貿易振興機構(JETRO)・助川成也小松製作所・中国総代表・米山正博、桃山学院大学客員教授(元広州ホンダ・社長(総経理))門脇轟二、シーメンス・センサーズ&コミニケーションズ社(大連)総経理・アルフ・ジップスの各氏である。
(1) 第一報告者:日本貿易振興機構(JETRO)・助川成也氏
東南アジア全体でFTA,EPAがどの程度進行しているかをみて、日本企業に対するインパクトを考えたい。日本企業が新興市場の開発を行うにあたっては、進出・通商等、様々な手段がある。進出すれば、時間を節約できるが、資金面でのリスクもある。これらのリスクを補うのがFTA/EPAである。また、輸出するのであれば、FTA/EPAによって、関税コストを削減できる。
新興市場進出に際し、JETRO調査によれば、東アジアで事業を展開する日本の製造業企業には、克服すべき大きな課題がある。調査対象企業のほぼ2社に1社は大きな問題点に逢着している。例えば、インドでは、賃金上昇やインフラストラクチュア整備の不備が大きな問題であるし、通関手続きの煩雑さ等の問題もある。ベトナムでも同様に投資は増えるにもかかわらず、インフラストラクチュアの不備、特に、港湾キャパシテイの不十分さが大きな問題である。これらの問題には、現地政府のバックアップがないと解決できない問題も多い。
同様に関税は最大の問題である。国によって、二桁以上の関税率のところも多くある。関税が削減されれば、ビジネスコストを大きく引き下げることが出来る。AFTA主要5カ国の間では、CEPT(域内共通関税)によって、機械類についての関税率は大きく引き下げられた。2002−2003年には基本的に関税が5%以下になった。現在、主要5カ国については貿易品目の80%が、関税ゼロになっている。2010年には、先発6カ国の域内関税が撤廃される。その場合、例えば輸送機械については10%を超える関税メリットが生ずる。
具体的に、東アジアで、FTAのネットワークがどのように進んでいるかを考えると、「ASEAN +1」によって、ASEANと日中韓との間では、東アジア自由貿易圏が形成されつつある。2010年には、ASEANと中国およびASEANと韓国が関税撤廃する。日本の場合は、2010年よりは遅れる予定である。
日本企業はこれまで同じ土俵で戦ってきたが、こうした進展によって、その土俵が崩れつつある。エアコンを日本からタイに持ち込めば、30%の関税がかかるが、日本タイFTAによって、最終的には関税ゼロになる。日本ASEAN補完協定を用いれば、25%である。中国、韓国ともタイへの持込は、2018年までは30%の関税がかかる。どこからエアコンを持ってくるかで関税率が大きく異なる。タイとは逆に、マレーシアに輸出するのであれば、日本からは不利で、中国、韓国から輸出するほうが有利となる。
日本企業にとって有利なのは、ASEAN,中国、韓国に大きなネットワークを張りめぐらしているため、有利な輸出拠点を選べることである。
問題は、中長期的に有望な市場とされるインドをどのように自由貿易圏に取り込んでいくかである。日本企業にとって有望なビジネス先はインドであり、ASEANを拡充してインド市場を攻めることも考えられる。ASEAN−インドのFTAは署名延期中であるが、二国間レベルで、2003年に締結されたタイ・インドFTA協定に基づくアーリーハーベスト(EH)82品目(2004年9月)に注目して、タイからインドに進出する等の動きが見られる。日立製作所、ソニー、シャープ等は、このEHを利用して、両国における生産再編を行っている。
(2) 第ニ報告者:小松製作所・中国総代表・米山正博氏
コマツは「日経プリズム」で、2006年および2007年と、連続して、「優れた会社」の第一位に選ばれた。中国やロシア等の新興国での業績が伸び、高い収益を上げたことが評価されたようだ。2007年度実績で連結売上高が2.2兆円、営業利益が0.3兆円、総資産が2.1兆円。連結ベースで165社、従業員4万人、売上の9割以上が建設機械・車両であり、残りの殆どが産業機械である。建設機械・車両の売上のうち、2007年度では日本、北米、欧州・CISがほぼ55%を占める。しかし今後は、中国を含むアジア・オセアニア、中近東・アフリカ及び中南米の売上が一層伸びることが予想される。建設機械業界は2000年前後には不況業種に属していたが、第1次、第2次の構造改革を実施、コアビジネスへの注力と中国、ロシアを含むグレーターアジア市場でのシェア拡大、グローバルなフレキシブル生産体制の確立等によって、業績改善を見た。この10年間で、連結売上は倍増している。海外生産拠点は29から49工場に増え、海外売上高比率は54%から76%になった。本業に加え、世界中で、地雷除去等の様々な社会貢献活動を行っている。
コマツの中国との歴史的関係は古く、1972年の「日中国交正常化」以前、河合良成社長時代の1956年に、北京と上海で開催された日本商品見本市に遡る。また1975年には当時の河合良一社長が訪中した際に、時の周恩来首相から公式の場で初めて「井戸を掘ってくれた人の恩は忘れない」といわれた。
2007年度連結売上2.2兆円のうち中国における売上は、その1割程度で、今後さらに増える見込み(毎年2%増)である。現在、上海に統括拠点を持ち、工場を山東省・常州等に持っている。上海の統括企業が統括する子会社従業員2200人、建機代理店販売従業員3500人を合わせて、総合計5700人である。中国事業は極めて好調で、2002年以降2007年まで、2004年を除けばほぼ毎年、前年比50%以上の伸びを記録してきた。2008年は28%程度かそれを下回る程度であろう。また、中国では社会貢献活動を求められる。会社寄付と社員からの自主的な給与天引きの合計で、毎年150万元を原資とし、4つの小学校を寄贈し、さらに山東大学とは産学連携している。四川大地震に際してはコマツグループで、1000万元寄付した。社員の500万元とあわせ、1500万元の寄付を行ってきた。一方、震災寄付を出さなかった外資系有名飲料メーカー等はインターネットで、叩かれた。
中国建機市場は、これまで伸びた沿岸部が鈍化し、山西省・河北省の石炭等の需要が伸びている。建機市場はこのように大きく変動するし、季節性もある。特に、春節の後は、公共事業が大規模に発注されて年間の需要の約40%にもなる。中国建機市場のうち、3分の2は、ホイールローダー(WL)であるが、低価格・低機能の中国国産機が主力であり、海外メーカーは建機市場全体の4分の1を占め、より高価格の油圧ショベル(HE)市場に注力している。中国HE市場では、2008年1−10月で、韓国のドーサンがシェア22%でトップ、ついでコマツが20.6%で第二位である。但し、6トン以上のメイン機種では、コマツがトップである。
コマツは、事業戦略として、1省1代理店制を取り、代理店の責任を明確化し、地場資本の活用をはかったこと、GPS衛星通信を利用したユーザー管理を行っており、個別ユーザーの車両の位置・稼働時間を正確に把握することによって、盗難防止・レンタル管理・債権管理(契約上、支払い遅延の際、エンジンロックが可能)、補給部品の交換時期管理、需要予測等にも有効であることが好業績につながっている。
現時点では、国際金融危機の影響を受け、中国経済は短期的には減速傾向だが、中期的には、2010年末までに4兆元の景気刺激策を実施する(真水部分は1−2兆元と見る)ことによって、失速回避・上昇の見込みである。こうした景気刺激策には、インフラの整備、四川地震災害復興等が含まれ、建機需要は増加しよう。但し、どの程度実需になるかを正確に見込む必要がある。
より中長期的な中国事業の課題は、知的財産権の侵害、不透明で裁量の大きな行政による中国における資本固定化のリスク、労働法の改正、深刻な環境汚染・就職難・汚職等による社会不安である。
(3) 第三報告者:桃山学院大学客員教授(元広州ホンダ・社長(総経理))門脇轟二氏
1993年から中国に駐在し、1996年以降、広州乗用車プロジェクトに関わってきた。1998年広州ホンダ総経理となり、2004年に退任した。海外で事業を行ってきた経験から、いくつかの点が重要であると考えている。第一は、その国を冷静に見つめ、好きになること、第二は、目線を合わせ、一緒に仕事をすること、第三は、自分の考えをしっかり持ち、信念を貫くこと、第四は、短期的に結果を求めるのではなく、中長期的視点で、顧客にとって何がベストかで、判断すること、である。具体的には、一度政策を決めたら三年間はこれを変えない覚悟・気概が重要である。
1996年から、広州乗用車プロジェクトに関わってきたのは、第一に、広州プジョー(三大三小の三小の一つ)から広州撤退の話を聞き、これを引き継げば、もともと政府の認可したプロジェクトでやりやすい、と感じたことである。第二に、「小さく生んで大きく育てる」ことが可能であった。すなわち、3−5万台の生産規模の割りには、新規投資は比較的少額ですむと判断したことである。第三に、1992年から既に二輪合弁3件の経験あり、そのうちの一つは広州にあったことである。海外展開に際しての定石である、「二輪・四輪のシナジー効果」の発揮が期待できた。第四に、当時の中国自動車市場60万台くらいのうち、8割がタクシー、2割が個人で、今後新しく若い企業家・富裕層が育ってくれば、大きな市場になることが期待できたことである。第五に、当時輸入関税80%、輸入完成車は当時40万元で、国産化率40%を達成すれば、アコードを30万元以下で、3万台供給可能であると考えたことである。
東風汽車との1対1の合弁会社広州本田は、1998年7月1日に設立された。事業展開に際しては、本田宗一郎、藤沢武夫の「ホンダフィロソフイー」を企業文化として従業員に徹底し、ホンダのもの作りを理解してもらった。これには、タイ、米国、カナダ、日本等の工場を見てもらい、理解を深める等の手段もとった。また、日本とほぼ同様の社是を作った。「三つの喜び・人間尊重」であり、「クリーンな環境なくして良品なし」である。プジョーから工場を引き継いだとき、相当工場が荒れ果てていたので、職場環境改善のため、掃除を励行し、クリーンな環境を実現することでスタートした。食堂とトイレについては、自分(門脇氏)が責任を持って改善するので、生産ラインについては従業員が、クリーンにするよう説得した。また、「三現主義(現場・現物・現実)・三不主義」ということで、「三現主義」については、例えば、プジョーから引き継いだ、故障したフランス製の機械を完全にオーバーホールして利用した。「三不主義」については、自工程で不良品を作らない、前工程から不良品を受け取らない、後工程に不良品を流さない」を生産ラインに貫徹させている。
次に、「ガラス張りの経営」ということで、現地との意思疎通をどうするか、を検討した。トップ4人と従業員とは毎日、朝礼を行っている。トップ4人で意思統一したことのみを朝礼で社内に発信するということで合意した。また、どういうプロセスで意思決定したかを重視した。組合の委員長は部長会に出席して、意見を述べる。このため、組合とは良好な関係にある。休日出勤・休日振り替え等に協力してもらった。3年間で広州市の中の上くらいまでに給料を引き上げることを約束し、実現した。
企業イメージをいかに高めるか、また、「国産化率40%を達成した広州ホンダの車は中国で国産化しても高い品質を実現している」ことをPRするために、発表試乗会(国産化部品と輸入部品を色分けした)を行うほか、珠海の国際レーシングサーキットにも出場している。
自動車ビジネスの要諦は、顧客に3−5−10年間安心して利用してもらうことであり、そうした条件・環境を整備することである。顧客への徹底したサービスが重要である。
なお、2007年末までの広州ホンダの累計生産・販売台数は、125万台である。操業2年目に単年度黒字・累損解消を達成し、以降無借金である。2008年には、中国自動車市場の中で日本勢が5割を占めるまでになった。
顧客にとって何が最も望ましいかを見出し、従業員が心を一つにして信頼関係を深めれば、大きな力を発揮する。中国は現在世界第二の自動車市場(2008年、960万台くらい)であり、いずれ世界最大の市場になる。これを念頭に、環境・資源問題は全世界喫緊の課題であることを考慮して、先進技術を提供し、中国とウイン・ウインの関係を築いていくことが重要である。
(4) 第四報告者:シーメンス・センサーズ&コミニケーションズ社(大連)総経理・アルフ・ジップス氏
自分は、シーメンスに10年勤めている。本日は、欧州から中国への投資について及びシーメンスの中国向け投資についてお話しする。
ヨーロッパは一つの地域として、世界最大の直接投資を行っているが、欧州の中国向け投資は減退している。果たして、負けているのは欧州か中国か、どちらか、というのが最初の論点である。
世界の中国向け直接投資は1990−2005年の間、急増しており、特に、2000年以降は第二次投資ブームといわれる。その中で、主要な投資元である香港、米国、日本等の投資が多い。一方、EUの主要国、ドイツ、イギリス、フランス等のプレゼンスは比較的低い。逆にEUからみても、EUの対外直接投資のうち、中国向けは僅かに2%である。最近は、中国向けは、60億ユーロから18億ユーロまで減ってきており、むしろインドが増えている。一方、中間層の多い欧米市場を目指した中国の企業買収は今後益々増加しよう。
貿易面では、EUからみて、中国は、米国、スイス、ロシアに続く、第4位の輸出先でありそれほど大きくない(すなわち、スイスよりも小さい)。しかし、欧州の技術移転の恐らく4割は中国向けである。一方、欧州にとっての輸入先としては、輸出と全く異なり、米国、ロシアを抑え、中国が最大の輸入先である。特に、靴、TV、冷蔵庫、半導体等では、中国等アジアからの輸入が多い。その意味で、輸出入には不均衡がある。
中国で展開するドイツ企業は、1500社、その多くは、上海、江蘇、北京、珠江デルタ等のクラスターに集中している。その内、10−20%は、中小企業である。中小企業は、中国事業経験5年未満の比較的歴史が浅い会社が多い。10年以上の歴史があるのは大手企業である。中国で事業を行うドイツ企業の場合、自動車産業、機械産業、化学産業等に従事するものが多い。シーメンス、バイエル、VW等は、中国ビジネスの長い歴史を持つ。
また中国で事業を行う動機としては、中国市場へのアクセスを目指すものが最も多く、次いで、主要顧客の中国進出にしたがって中国投資を行うというものである。それらの企業がクラスターを形成する。中国の生産拠点としての強みは生産コストの低さであるが、生産拠点形成で進出した欧州企業は失敗することが多い。生産拠点としては、ロジステイックスからみて、ドイツ企業にとっては、東欧が有力である。こうした東欧の国も、外国企業に対して、中国と同様の便益を供する。中国と東欧との労賃の差は余りない。このため、中国向け直接投資は、ハンガリー向けとポーランド向けのちょうど間くらいの規模である。ドイツ企業は、海外生産拠点の展開を考える際には、労働コストだけでなく、生産コスト全体を考え、知的財産権が十分に保護されているか、環境問題に十分対応しているか、優秀な人材がおり、十分に訓練がなされているか、インフラストラクチュアが整備されているか等、を考えて投資をおこなう。
中国の課題は、欧州企業にとっては、労働コストの低さは、中国に立地するメリットにはならないことを認識し、ハイエンドの生産を中国で行うには知的財産権の保護が必要であることを知ることである。従業員教育についてのレベルアップ、環境問題にも厳しい基準を課す必要があることも重要である。
シーメンスについて述べれば、最近、大掛かりなリストラを完了した。いまや、産業、エネルギー、ヘルスケアの3分野で全体の50%の事業を行っており、それ以外の事業は縮小した。例えば、携帯は事業を売却、カーオーデイオ等の車事業にも関わることをやめた。世界全体で、40万人の従業員を擁するがドイツにいる従業員は今や全体の三分の一のみである。これまでドイツ、ドイツ以外の欧州、北米・中南米、アジア太平洋の各地域で、十分な事業成果を挙げてきた。中国では90以上の法人を保有し、5万人の雇用を行っている。2008年の売上は、57億ユーロであり、これは米国に次ぐ規模である。
将来の事業ポートフオリオとして、中国事業の50%は環境関係にすることを考えている。2010年には環境関係の売上で40%を達成したいと計画している。都市化、省エネ、高齢化、ヘルスケアを考えれば環境ビジネスは重要である。中国の風力発電は既に世界第二位になっている。中国では、優秀な人材を育成しつつ、高付加価値品の生産を現地市場向けに行い、環境保護と両立した持続的発展を実現したいと考えている。
経済危機は我々の事業全体には、大きな影響を及ぼしているが、中国事業には全く影響を感じていない。
(パネルデイスカッション及び質疑応答)
((会場からの質問))
1. 米山・コマツ中国総代表に対して:
中国現地法人の業容拡大のために、現地で生み出した利益の再投資は非常に重要と考える。2008年の経験に鑑み、これからの対応はどう考えるか、また、同業他社はどのように対応しているか?
(米山総代表)
中国行政当局への対応のためには、しっかりした弁護士が必要である。本来、ホールデイング・カンパニーの利益処分につき、介入する法的根拠は中国にはない。設備増強には、配当原資の再投資、増資、外貨借り入れがあるが、200億円の利益を再投資に使えないことになり、結局、外貨借り入れを行った。中国側も投資有限公司が再投資することを想定していなかったためにおきた事態である。
2. JETRO・助川氏に対して:
発表資料では、中長期の展望で、インドは 中国よりも有望な市場と考えられている理由は何か?外資政策の影響か?
(助川氏)
インド市場の潜在性は高いとみられている。一方、ASEANは第三国向け輸出拠点、中国は国内向け拠点、と位置づけられることが多い。インドには、中国と比べ、日系進出企業は少ないので、今後、ASEANからの輸出も想定される。
3. 米山・コマツ中国総代表に対して:
在中国18社のうちで、独資及びマジョリテイ出資を果たしている企業はどのくらいあるか?18社のうち、中国国籍の社員が社長または副社長をしている企業はどのくらいあるか?その他経営の現地化について伺いたい。
(米山総代表)
山東省の工場(日本コマツ出資70%)と常州の工場(日本コマツ出資80%)以外は100%子会社である。統括会社の総経理は中国人であり、20数年、コマツで勤務している。上海市には日本人が登録ベースで46,000人おり、世界で最も多い。中国とのかかわりを考えれば、現地化を一層すすめねばならない。課長以上の現地化率は現在、70%である。
4. 門脇・客員教授に対して:
「お客様中心」といった社内文化の継続性をどのように維持するか?門脇先生が経営から去った後、受け継がれるべき経営哲学の継続性はどのように担保できるか?
(門脇教授)
人によって振れ幅はあるが、ホンダ文化は継承されると思う。今までのところ中国の人が熱心にホンダ文化を引き継いでいる。
5. 門脇・客員教授に対して:
合弁パートナーの東風汽車は、日産とも合弁事業を行っている。ホンダのマネジメント、マーケテイング、生産、品質管理などのノウハウや知識は、東風汽車を通じて、日産東風や他の合弁事業にも移転・拡散されるリスクはないか?こうしたリスクに対してどのような対応策を講じているか?
(門脇教授)
東風を通じて技術拡散の危険はあると思う。ホンダは、東風汽車とも広州汽車とも合弁している。たぶん技術は流出するかもしれないがそれでも良い。海外事業・車の技術が日々進化をする中で、技術が出て行ってもプラスになればそれでよい。ホンダ自身の技術進歩が止まれば競争力がなくなると信じて企業努力を行っている。
6. 門脇・客員教授に対して:
中国国内でしか通用しないようなローグレードの安価な車が、中国メーカーによって生産・販売されていると聞いている。途上国市場であれば、こうした車でもニーズがあるようにも感ずる。こうした車の輸出の可能性はあるか、インドの30万円の車との比較でお聞かせいただきたい?
(門脇教授)
この種の車は、まだまだのレベルであるが、この五年間で大きな進歩を遂げている。今後五年間で国際水準に近づこう。
7. シーメンス・アル・ジップスGMに対して:
シーメンスの中国におけるIPR政策につき、伺いたい。
(ジップスGM)
基本は知的財産権を守ることだが、一つには中国生産にあたっては知財権を絡めないことが重要である。また、R&Dセンターを中国にも置き、中国からも特許の出願を行う。
8. シーメンス・アル・ジップスGMに対して:
シーメンスの中国における地域本社は北京にあるのか?ここから香港や台湾のオペレーションも統括しているのか?
(ジップスGM)
地域本社は北京にあり、中国本土のみ統括している。台湾・香港はカバーしていない。
9. 米山・コマツ中国総代表および門脇・客員教授に対して:
両者の強みとしてホンダは「ホンダフィロソフイー、コマツはIT化を強調しているように思われるが、相互のメリットを自社の視点で見て、どのように評価するか聞かせていただきたい。
(米山総代表)
建設機械業界のなで、中国でITが進んでいるのでそれを強調した。企業哲学のない企業はない。
(門脇教授)
ホンダはITを行っていない訳ではない。
10. 米山・コマツ中国総代表および門脇・客員教授に対して:
競争激化、顧客ニーズの多様化、技術の高度化等の面で、日本人出向者、日本人出張者と中国人スタッフの協力が益々強化されることが求められると思う。中国で仕事をする日本人ビジネスマンが中国の人とうまくコミュニケーションを取って仕事を進めていく上で、どのような能力を身につける必要があると思われるか?
(米山総代表)
コミュニケーションは大事であり、目線の高い人には高く合わせよ、低い人には低く合わせよ、といっている。言葉の教育も重要である。
(門脇教授)
既にお話したとおりで付け加えることはない。
((手島から各発表者に質問。高度人材確保は企業経営上の根幹であるが、どのような人材確保・育成政策が考えられるか。))
(助川)
日本に来ている人材、インターン・留学生の人材確保も重要であり、就職活動に積極的にはたらき掛けること等が考えられる。
(米山)
この点は、永遠のテーマで、答えはない。中国人は、顔つきは同じであるが、考え方は、全く日本人と異ななり、欧米に似た個人主義の発想が強い。最近は、拝金主義の傾向もある。「発展空間」と称し、自分がどれだけ昇進するか、給料が多くなる可能性があるかが主要な関心事である。そうであれば、第一に、(現地化を前提に中国人をトップまで据えているので、)育成ステップを公にする。第二に、報酬を明示する。第三に、小松の文化を理解してもらう。コマツでも当社を辞めてキャタピラーに入ったものが8名おり、その内6名はキャタピラーを辞めている。彼らは、使い捨てされた、とみている。中国人も、30代なかばを過ぎると、考え方が変わるので、信用できる人間を如何に確保するか、が重要である。もちろん、情報漏洩にたいするリスク対策が必要となる。
(門脇)
ホンダは海外依存度80%であり、海外従業員のほうが多いので、社是・運用方針が世界に通ずるものかどうか、常日頃から見直し、世界に通用するホンダ・マンを育成したい。しかし、具体的な人材という意味では、私を含めて日本人のホンダ・マンが世界に通用するものがいないので、世界の優秀な人材を集めるまでには至っていない。その意味でホンダはまだ発展途上である。自らグローバル化をもっと進めれば、真のグローバル人材を集められる。
(ジップス)
シーメンスをローカル企業から差別化したい。人材に関しては、全ての国で同じアプローチをとっている。同じ、キャリアプラン、プロモーション・プランをモロッコにも中国にも適用する。北京の委員会だけでなく、ミュンヘンにも中国人の同僚がいる。中国人だけでなく、全ての従業員に、同じチャンスを開く。また、お金・待遇だけでなく、シーメンスという企業を好きになってほしいと思う。そうでないと長く働いてくれない。
以上
平成20年度 二松学舎大学・国際政治経済シンポジウムのご案内
インフレ・国際マクロ経済ショック・環境・資源等、種々の制約を乗り越えた持続的発展のための
東アジア協力
日時 : 平成20年(2008年)12月6日(土)12時30分から18時まで。
場所 : 二松学舎大学九段キャンパス中洲記念講堂
主催 : 二松学舎大学
共催 : 海外投融資情報財団、日本貿易振興機構(ジェトロ)、米国大使館東京アメリカンセンター
後援 : (財)日中経済協会、(財)交流協会
平素、私ども二松学舎大学の教育・研究活動に対しては、多大なご理解・ご援助・ご協力を賜り、誠に有難うございます。
本年、二松学舎大学では、海外投融資情報財団、日本貿易振興機構(ジェトロ)、 米国大使館東京アメリカンセンターのご共催を得て、国際マクロ経済ショック・環境・資源等、種々の制約を乗り越えた持続的発展のための東アジア協力についての国際シンポジウムを実施致します。
これまで順調に経済発展を続けてきた東アジア諸国も、最近は、米国のサブプライム問題に端を発した国際マクロ経済の不安定化、アジア各国のインフレの顕在化、高度成長に伴う環境及び資源制約の深刻化等、今後とも持続的な経済発展を続けていくためには、大きな課題を抱えています。本年は、こうした課題について、国際政治経済セッション、国際ビジネスセッションの二つに分けて、マクロの国際政治経済的な視点および国際経営・ビジネス的な視点から、十分な経験ある専門家・実業人による議論・検討を行います。また、シンポジウムの後には、自由討論による分科会も予定しております。
日本と東アジアの関係が益々緊密化している今日、本シンポジウムは多くの実務家、研究者・専門家、政策担当者、学生の方々にとって、有意義なものになると、確信しております。
ご高承のように二松学舎大学は国文・漢文の分野で130年の歴史を有する大学であります。こうした伝統を踏まえて、大学院国際政治経済学研究科は、東アジアの政治経済分野の教育・研究に注力しており、特に、平成16年度からは九段キャンパス(千代田区三番町)で、主に社会人を対象とする大学院東アジア経済ビジネスプログラムを開設しております。
東アジアの経済・ビジネス・政治の研究・教育の深化の視点から、平成16年度より既に、5度にわたり(平成17年度は2回)、国際政治経済シンポジウムを開催しております。今回のシンポジウムは、これまでの成果を踏まえ、当面する最大の課題について、その分野の第一人者をお招きして議論を深めようとするものであります。必ず、研究者・学生、実務家、政策担当者のお役に立つものと確信しており多数の参加をお待ちしております。
プログラム
参加ご希望の方は、FAXにてお申し込みください。
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<開会の辞> 12:30−12:50
今西幹一・二松学舎大学 学長
神信一・海外投融資情報財団理事長
アン・カンバラ・米国大使館・東京アメリカンセンター館長
鷲尾友春・日本貿易振興機構顧問(前理事)
<趣旨説明>
12:55−13:15
手島茂樹・二松学舎大学・大学院国際政治経済学研究科長
<国際政治経済セッション> 13:15−15:15
(各セッション、発表20分×4人、質疑応答パネルデイスカッション40分)
(司会・モデレーター)
手島茂樹・二松学舎大学教授
(報告者)
章政・北京大学経済学院教授
「中国経済及び日本経済の直面するマクロ経済問題」
鷲尾友春・日本貿易振興機構顧問(前理事)
「日本及び中国間のマクロ経済政策調整」
片岡直樹・東京経済大学現代法学部教授(中国環境法)
「環境問題についての日中間の調整」
Kenneth Jarrett・Vice Chairman, APCO Worldwide(前在上海米国総領事)
"China's leadership-- prospects for future cooperation with the US and Japan"
<国際ビジネスセッション> 15:30−17:30
(各セッション、発表20分×4人質疑応答パネルデイスカッション40分)
(司会・モデレーター) 手島茂樹
(報告者)
助川成也・日本貿易振興機構・アジア太平洋課課長代理
「東アジアにおけるFTA/EPA,東南アジア・中国事業の課題・将来展望」
米山正博・株式会社小松製作所取締役・中国総代表・小松(中国)投資有限公司 董事長
「中国事業の現地経営の成果と課題・将来展望」
門脇轟二・桃山学院大学客員教授(元広州ホンダ・社長(総経理))
「中国事業の現地経営の成果と課題・将来展望」
アルフ・ジップス・シーメンス・センサーズ&コミニケーションズ社(大連)総経理
「シーメンスの中国事業経営」
ワークショップ (発表者及び参加者による自由討議) 18:00−18:40
以上
2007年度二松学舎大学国際政治経済シンポジウム報告
手島茂樹
1.はじめに
2004年度以降通算第五回目の大学院国際政治経済学研究科主催の国際政治経済シンポジウムが、日本貿易振興機構、日中経済協会、米国大使館東京アメリカンセンター、海外投融資情報財団の共催を得て、2007年12月1日(土)、本学九段キャンパス中洲記念講堂において開催された。今回は「再考:東アジアの協調と競争」というテーマで、第一に、東アジアの経済発展を補完する制度的統合推進、特に、貿易と投資の自由化の問題、第二に、中国を中心としたアジア市場開拓を目的とした各国企業の直接投資を通じた事業推進に当たっての、国際経営上の留意点について、白熱した討議が行われた。
第一のテーマの国際政治経済セッションでは、台頭する中国を、アジア及び世界の多国間ベースの自由化枠組みに取り入れていくことが重要であり、そのために日本の果たす役割が大きいこと、日中間の提携は、経済面からのアプローチ中心に行うべきことが確認された。また、大メコン准地域のような准地域ベースの国際協力やEUに倣った機能主義的統合のアプローチの重要性も指摘された。次に、第二のテーマの国際ビジネスセッションでは、アジアの現地市場開拓のためには現地人材の有効活用が必須であり、最上級の人材を確保する要件は、第一に、社会的意義の高い重要な仕事を与えること、第二に、仕事を通じて能力形成・キャリア形成が出来ること、第三に、報酬の額であることが示された。また、一般的な人材確保の場合には、上記の逆の順序であることが確認された。
今回特筆すべきは、米国、中国、韓国、香港、オーストラリア、ドイツ、タイ、シンガポール、そして日本から12名という、かつてない多数の研究者、政策担当者、企業家・実務家等を報告者とし、多様な視点から東アジアを検討したことである。また、初めての試みとして、二つのセッションのあと、自由討論のための分科会を設け、発表者と出席者との間で忌憚のない意見交換を行った。
議論の詳細は、2以下に述べられている。
2.主催校および共催機関挨拶
シンポジウムに先立ち、主催校である二松学舎大学・今西幹一学長より、シンポジウム開催の挨拶があり、続いて共催機関を代表して、日中経済協会の清川佑二理事長、米国大使館東京アメリカンセンターのジェフリー・ジェイムソン館長より、開催を祝う挨拶があった。
3.本シンポジウムの趣旨説明
シンポジウムの冒頭、二松学舎大学・大学院国際政治経済学研究科長・手島茂樹より、次のような趣旨説明を行った。
1970年から2005年までの東アジア諸国の経済成長は、先進国及び他の発展途上地域と比べて、卓越した勢いを示している。その最大の要因は、貿易と直接投資の自由化の効果、特に、日米欧先進国の多国籍企業によるアジア諸国の輸出産業部門への積極的な対内直接投資の拡大である。その結果、アジア諸国は、進出した多国籍企業によって競争力を高めた輸出部門が牽引する急速な経済発展を遂げている。一方、先進国の多国籍企業もアジアのネットワークを通じて競争力を強化した。しかしこうした相互依存による発展関係も、新たな段階を迎えている。
第一に、多国間の自由化枠組みがそれほど進展しない中でFTAやEPAによる二国間及び地域間の自由化枠組みが世界中で盛んになっている。これまで、こうした制度的な自由化枠組みの進展が遅れていたアジアでもこうしたFTA/EPAを通じた自由化を含め、一層のアジア地域の自由化・統合の方策を考えるべきであり、これを第1セッションである国際政治経済セッションで様々な角度から検討してほしい。多国籍企業を中心とした企業・市場の力によってこれまで進められてきた東アジアの経済的統合を補完するために、貿易・投資の自由化を制度的に確立するということ、すなわち、東アジアにおける公共財の構築をいかに進めるかというのは東アジアの経済発展を考える際に、今や、最も重要である。
第二に、多国籍企業の推進するネットワークの性格が大きく変わってきている。先に述べたように、もともと多国籍企業の展開する東アジアのネットワークは、日本・米国・EU市場への供給を目指す、輸出重視の効率追求型のネットワークであった。しかし最近は、中国をはじめとする東アジア域内市場の成長性に注目した、域内市場重視型のネットワークへの転換が図られている。日本の自動車産業はその典型例である。しかし、アジア現地市場開拓には、現地人材の有効利用等、課題も多いので、様々な分野で成功を収めている各国企業の成功事例に学ぶことは非常に重要である。この視点から、第二セッションである国際ビジネスセッションでは、香港・米国・ドイツ・台湾・韓国等様々な基盤を持つ多国籍企業の経験を踏まえて日本企業への教訓を検討してほしい。
4.第一セッション:国際政治経済セッション
二松学舎大学教授・手島茂樹を、司会・モデレーターとして、6人の報告者による報告及びパネルデイスカッションを行った。報告者は、発表順に、オーストラリア国立大学教授・ピーター・ドライスデール、マイヤー・アンコビック・スコット法律事務所・デニス・アンコビック、日本貿易振興機構参与・西村英俊、経済産業省経済連携交渉官・田中耕太郎、シンガポール国際問題研究所上級研究員・ヨー・レイ・ウイー、チュラロンコン大学安全保障国際問題研究所上級研究員・ミヤ・タンの各氏である。
(1) ドライスデール教授報告
日本・中国・ASEAN等の東アジアはオーストラリアにとって最も重要である。したがって東アジアの動向はオーストラリアにとって最も気になるところであり、東アジアにとっても、東アジアを見る第三者の見方は、参考になろう。東アジア地域における経済的繁栄と政治的安定性の達成のためには、日本と中国の役割が最も重要である。特に、政治・経済面での中国の急速な拡大をしっかり受け止めて、中国に、東アジア地域における責任を果たさせることが重要であり、そのためには、日本と中国が経済及び政治の面で関係を緊密化させることが必要である。東アジア地域全体の成長の結果として、グローバルな影響も大きいので、その経済的拡大に見合う世界的な責任を果たす必要がある。ASEANプラス3や、東アジアサミットのベースで、東アジア経済協力を強化することは、重要な第一歩であるが、それだけで決して十分だというわけではない。中国の急速な経済的・政治的台頭は急激であることに特に注目すべきである。このために日本と中国の経済協力を一層強化して、中国の台頭に伴う経済面、政治面及び安全保障面での緊張を和らげる必要がある。そもそも日中間の経済関係は、1978年の日中枠組み協定(「日中平和友好条約」)がベースになっているが、このときは中国の原材料を日本企業が確保することが主内容であり、中国側の当事者は国有企業であった。今は日本の民間企業と中国の民間セクターが経済関係の当事者であり、日中の経済関係は堅調に急拡大しつつも安定している。日中経済関係の重要性は益々高まっており、これは第三者にとっても重要である。日中間の政治課題(中国の政治的台頭・靖国・台湾)については、冷戦時代よりも現在は一層不安定であり、慎重な対応が必要である。中国にとっても政治的な制度変革の必要性と危険があり、また、今後10−15年のうちには、米国一極集中は困難となり、国際政治上の新しいパワー・バランスが必要になろう。オーストラリアは日本に協力してこうした日中間の関係強化の努力を促進することが出来る。アジア太平洋における共通の利益を考えれば、日本とオーストラリアの二国間関係は重要である。こうした共通の利益を追求し、政治的・制度的な一体化を図ろうとする場合、政治的な難しさを考えれば、まず、経済的な協力を通じて一体化を図るべきであり、日本と中国の二国間の連携強化を機軸に、東アジア経済共同体の構築を行うべきである。その形は、ASEANプラス3でも、東アジアサミットでもAPECでも、また、それらを超えるものでも良い。結局は、日本と中国が連携して、多国間の経済的・政治的枠組みを構築することが重要である。緊密な経済関係強化をベースに日中間で、安全保障の対話も成り立つ可能性もある。
(2)デニス・アンコビック氏報告
経済統合は重要である。東アジア経済統合を考える際に、日本と米国にとって、中国の台頭は重大な意味を持つ。(1)現在の中国の高成長の実績、(2)胡錦濤政権は、近年最も強力な政権であり、その政権は環境等への配慮よりも高成長を重視する経済政策をとっていること、(3)中国元の国際化を遅らせ、人民元安を維持しようとする攻撃的な中国政府の為替政策、(4)アジア各国との二国間関係強化を通じて、政治的・経済的影響力を強化しようとする中国政府の外交政策等、を考慮すると、民間部門が東アジア統合推進に大きな影響を及ぼすことは期待できない。民間部門の力で、アジアにおける貿易と直接投資の自由化、通貨・金融面での協力、資源及び環境の保全といった重要なテーマが、達成される可能性は少ないと考える。では、公的部門にはこれが出来るかというとやはり難しい面がある。日本と米国は、APECのような多国間の枠組みを通じて、アジア太平洋地域の自由化のリーダーシップを確立しえなかった。この結果、アジアでは二国間ベースの統合が進んでいる。現在中国がとっている二国間関係強化主導のアジア各国との関係強化が先行する限り、アジア太平洋地域での多国間自由化の枠組み形成は遅れることとなろう。こうした事態は、中国の国益には適うかもしれないが、アジア全体のためにはならない。取り残されたアジアの国は一層貧しくなる可能性がある。
インドも二国間ベースの協力推進を行っている。そのために地域ベース・多国間ベースの自由化が一層出来なくなっている。例えば、シンガポールは中国・インドの二国間主義に耐えられるかもしれないが、カンボジアは耐えられないのではないか。
もう一つ深刻なのは多国間ベースでしか解決できない環境問題である。
日本政府も今や二国間ベースの連携を推進しているが、もしも、日本と米国がAPECを通じてアジア太平洋地域に多国間の貿易と投資の自由化の枠組みを確立し得なければ、これは他の国にとっても良いことではなく、地域ベース・多国間ベースの自由化を推進すべきである。
このまま、二国間主義を放置すればアジアは、各々、中国またはインドとの二国間関係を強化するという、数百年来の歴史的状況に戻ることになろう。APECも弱体化し、ASEANも弱体化する。
(3) 西村英俊氏報告
近年の東アジアの経済発展は素晴らしいが、東アジア全体として、それ以上に急拡大するEUおよびNAFTA経済の恩恵を受けている。東アジア諸国間には、日本企業等による生産・サービスのネットワークが張り巡らされているが、それらは全体として、EUおよびNAFTAへの輸出基地として機能しているためである。このため、東アジア諸国間の貿易は中間財取引が多く、また、工程間分業が盛んである。上記の事情を考えると、東アジアには、最終需要地を域外に仰ぐという、大きな脆弱性がある。加えて、地域内所得格差は非常に大きい。所得格差が地域内国際分業・生産サービスのネットワークの強化に寄与している面もあるが、脆弱性の原因となっていることも間違いない。またアジアのネットワークにおいて、関税・輸出入手続きに要する時間等のサービス・リンク・コストが高いと、ネットワーク形成を阻害する面もあり、これを削減する必要がある。特にカンボジア、ラオス等の後発国では、これらのコストは高く、ネットワークに参加するためにはこれらを引き下げねばならない。東アジア諸国は、EUおよびNAFTAの恩恵を受けるだけでなく、早急に、生産・サービスのネットワーク強化、域内の所得格差是正、エネルギー確保と環境維持、FTAの増殖に伴うスパゲテイボール問題の回避、企業による東アジア域内ネットワークを補強する制度的な地域自由化の枠組みの構築等の錯綜する課題の解決を行っていかなければならない。APEC、ASEANプラス3、ASEANプラス6といった場で、地域ベースの自由化を強化しなければならない。その一つとして、本年(2007年)11月21日の日本ASEAN首脳会議で、日本ASEAN包括協定の交渉を推進し、日本ASEAN賢人会議を設置すること、また、東アジア包括的経済連携構想研究の促進のための東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)を設立すること等が合意された。
(4) 田中耕太郎氏報告
東アジアでは、企業の経済活動を通じた相互依存関係が深化しており、いわば実態ベースでの経済統合が進んでいる。したがって、制度的にこれを補強すべき時期に来ている。東アジアの貿易に占める域内貿易比率は上昇しており、EUに迫り、すでにNAFTAを凌駕している。日本にとっても東アジアとの貿易・投資の関係は、電子電機産業・自動車産業を中心に、大きく拡大している。
投資動向を見ると、従来の主力であった米国向けが減り、中国・ASEAN向けが多くなっている。個別ケースでは、キャノンは生産工場を東アジアに展開する一方、高付加価値部門は日本国内に残す。自動車企業は現地市場向け生産拠点を積極的に展開している。今後とも、有望投資先である中国、インド、ベトナム、タイ等を中心にこうした経済関係強化が進められよう。中国とASEAN諸国はそれぞれ有力な投資先としての独自のメリットを持つ。
これらを補強するためにASEAN自由貿易地域の関税引き下げやASEANを中核とする様々なFTA交渉が行われてきた。日本としては、市場アクセス中心のFTAよりもサービス・投資・人の交流も含む包括的な経済関係強化を達成するEPAを用いて、積極的に各国と交渉を行い、既に、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイとEPAを締結・発効済みであり、本年(2007年)11月には日本ASEAN包括的経済連携協定交渉を妥結した。この協定はASEAN全体を対象として捉えるので、スパゲテイボール状態回避を目指すのに有効である。今後、ASEANおよび日本・中国・韓国・インド・オーストラリア・ニュージーランドを含む東アジア包括的経済連携(CEPEA)の締結を目指す。また、東アジア経済統合推進への知的貢献を目指す東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)を創設する。
(5) ヨー・レイ・ウイー氏報告
自分はEUの研究者であり、EU統合の経験から、東アジア統合への教訓を探りたい。東アジアと欧州はおかれている状況は全く異なるがアジアには人材も多く、21世紀はアジアの世紀とも言われるので大きな期待が持てる。EU統合は順調にすすんできたように見えるかもしれないが、現実には、多くの困難に出会っており、それを乗り越えてきた。そもそも、1951年の石炭鉄鋼共同体という非常に限定された分野の統合から始まったものであり、EUの創設者であったジャン・モネとロベール・シューマンも壮大なコンセプトではなく、特定分野の統合が有効な結果を生ずれば他の分野にも波及するはずであると考える機能主義的な思想を持っていた。アジアでも機能主義的な統合を考えるべきである。
同時に、一般国民の考え方も、極端なナショナリズムから国際協調を望むという方向に転じていく必要があるし、協調・統合は、利他的な動機よりも、自己の利益にかなうことが動機として認識されなければならない。これによってはじめて、国家権力を超国家的な権力に委譲する用意ができることになる。第二次大戦後、その被害から国家主義の権威は欧州では失墜したのでこうしたことが受入れられ易い環境があった。しかし欧州と違いアジアは現在でも積極的に国民国家の建設に励んでいるので、これが超国家的な地域統合と両立するかどうかは疑問である。
また、欧州統合の場合には、常に強いリーダーシップが、明確なヴィジョンをもって、これを主導した。創設時のジャン・モネとロベール・シューマン、コンラート・アデナウワー、1980年代の欧州の動脈硬化といわれた停滞期の、ジャック・ドロール、フランソワ・ミッテラン、ヘルムート・コール等である。しかし、アジアでは、日本と中国に和解が成立しない限り、欧州統合におけるドイツとフランスのような求心力を期待できない。これは嘆かわしいことである。日中がリーダーシップをとらなければ、アジア統合は限られたものになってしまうので、その場合には、問題解決ごとに、対応したほうが良いかもしれない。例えば、経済問題については、日中韓の協力、安全保障問題については、アセアン諸国等が、集団でリーダーシップをとるほうが良いかもしれない。環境保全・災害の救済ということでも緊密な協力が重要である。
第三に制度面で、東アジア共同体の内容・モデルについては何のコンセンサスも存在しないために、非公式なベースでのコンセンサス形成に頼ろうとしている。問題は、こうした非公式な方法で制度的な統合を形成するに十分であろうか、ということである。そうではなく、明確な制度構築は、アイデンテイテイの確立・目的の明確化のために重要である。
第四に、EU統合では、人の移動の自由、例えば、学生が欧州全域の大学を自由に行き来できることから、統合に伴う「欧州市民」としてのメリットを一般大衆が実感していることが大きい。アジアでも、人の移動を簡単にする、すなわち、ビジネスマンの移動の自由、学生交流等、具体的な統合のメリットを実感させる制度構築が重要である。
(6) ミヤ・タン氏報告
東アジア地域におけるASEAN諸国と中国との統合の関係について、自分の専門分野である大メコン准地域経済協力(GMS)という、国際協力枠組みをベースにこれを検討し、発表する。中国のメコン流域に対する政策は、メコン川流域の近隣諸国との関係強化を図りたい、ということである。これは、ある中国軍幹部の「中国は上流にありCLMV(カンボジア、ラオス、ミヤンマー、ベトナム)諸国は下流にあって、同じ水を飲む。」との言葉に集約されている。
1990年代、中国のトウ小平は、改革開放政策とともに、大西部政策及びタイ、CLMV諸国を含む南西政策を打ち出した。現在実施中の大西部開発等のプロジェクト遂行のためにも、これら諸国との関係強化が必要である。
また、現在の胡錦濤政権は、「豊かな、安定した地域」の構築を打ち出している。CLMV諸国は、ASEANのメンバーであって、中国が、これら諸国と緊密な関係を結ぶことはASEANとも紐帯を強めることにもなる。
関連諸国にはお互いに猜疑心・不信感もあったが、カンボジア、ラオス、ミヤンマー、中国・雲南省の4者による非公式協議は、1991・1992年に始まった(「黄金の四角形」)。これは、1992年には、同年発足した、大メコン准地域経済協力(GMS)に吸収された。参加国はカンボジア、中国(雲南省・広西省)、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムである。目的は、准地域の開発、モノ・ヒト・カネの自由な移動、インフラストラクチャの整備、直接投資の呼び込みである。中国とCLMV諸国の両者は、関係強化のための強い意思を相互に持つ。中国とラオス、ベトナムの3ヶ国は同じ社会主義国である。ミャンマーは軍事政権であり、1990年代以降、米国と西欧から経済制裁措置を受けている。カンボジアは、民主主義国家への転換を図っている。ベトナムはかって中国と交戦したが、いまは正常な関係を保っている。中国は、CLV諸国から石油・ガスを輸入しており、中国とCLMV諸国の間の国境貿易は1992−2000年の間、年平均185%で伸びている。GMSが、当事国の経済発展に大きく寄与していることは間違いない。問題点があるとすれば、CLMVは中国と比べて直接投資をひきつけにくい、国境紛争、麻薬等の密輸、不法移民、インフラの不足、環境汚染等である。しかし両者には関係強化に向かっての強い政治的意思がある。
(パネルデイスカッション:質疑応答)
(会場からの質問1)
アジア太平洋FTAについての、ドライスデール教授およびアンコビック氏の考え方は如何。
(回答)
アンコビック氏は米国の考え方については、在京米国大使館・東京アメリカンセンター所長、ジェイムソン氏のほうが適切であると指摘した上で、現在は、二国間でなく、多国間主義につながる地域ベースのほうが望ましいと述べ、NAFTAはASEANに似ている性格を持つとした。
ドライスデール教授は、アジア太平洋FTAについては、ハノイの国際会議で提起されたが東南アジア、特に、インドネシアにはこれに対する疑いがある、余り地域のメリットにはならないし、世界のメリットにもならないとの考え方である、と述べた。しかし、現実には、貿易自由化はなかなか進まないなかで、エレクトロニクス・自動車等の産業の世界規模での経済統合が進んでいる。これを考えれば、多角的な自由化枠組みが最も望ましい。APECは地域的だが、多国間の自由化を想定していた。東アジアの課題は孤立したFTAを作ることではなく、中国を含むアジア諸国がグローバルに、多国間での国際的な責任を持つことである。それ以外に、環境、貿易、投資等について、協調・自由化を可能にする枠組みは存在しない。東アジア全体として多角的な改革を進めていくことが重要である。
(会場からの質問2)
多角的なアプローチが効果的であれば、何故アジアではこれを有効に利用できないのか。
(回答)
ドライスデール:
その認識は誤解である。マルチの枠組みが存在しているので日中の急速な貿易拡大が存在している。日中の二国枠組みだけではない。現在の日中の二国枠組みは、限定的な役割しか果たしていないので新しい枠組みが必要である。なぜなら、一般的な投資・ビジネスについての自由化・規制緩和の保証、環境問題に対する取り組み等、新しい要素を加えることが必要だからである。
アンコビック:
環境・サブプライム等の国際金融の問題、これらについては、二カ国枠組みだけで取り組むのは不可能である。中国も犠牲を払ってグローバルな責任を果たすことが必要であり、そのために、リーダーシップをとらねばならない。
(会場からの質問3)
オーストラリア新政権のアジア太平洋統合についての政策をどうみるか、ドライスデール教授にうかがいたい。
(回答)
マルチの包括的なアプローチを取る点で、前政権とは異なる。日本との自由貿易協定・EPAを越えてより広範な、より深い統合を目指す。他の域内国及び域外に対してもそうした政策を打ち出す。新政権は野心的に積極的な政策を打ち出すと思う。東アジアとアジア太平洋は競合するのではなく、補完性を持たせることが重要である。東アジアは、北米を除外しては考えられない。その意味で、APECを通じた地域間の協力も重要である。新政権はこうした考え方に基づき、行動すると思う。
(会場からの質問4)
域内のサービス・リンク・コストをいかに削減するか。中国とASEANとのジョイントとしてのベトナムをどう考えるか、西村氏に伺いたい。
(回答)
OECDではサービス・リンク・コストを計測しているが、アジアではそうした研究は行われていない。ERIAはこれを行っていく。ERIAはこうした知的な貢献をする組織であり、交渉する機関ではない。サービス・リンク・コスト削減にうまく対応できれば、後発国のCLMVでも、勝者になる可能性がある。
(司会・モデレーター)
アジアの強み(高成長・多くの潜在可能性)と脆弱性(他地域への依存、リーダーシップの弱さ等)を踏まえて、アジア地域の統合のあるべき方法論について各発表者の見解を聞きたい。
ミヤ・タン:
CLMVという貧しい国の出身者として、ドライスデール教授の考えを支持する。多角的な交渉が必要である。CLMV諸国もWTOへの加盟を準備中である。貿易の自由化等のハードルも高いが、メリットも大きく、これを達成しなければならない。WTOの紛争解決の場であれば、小国でもその利害を主張することが出来る。
ヨー・レイ・ウイー:
アジアでは異なる自由化の枠組みが幾つもあっても良いのではないか。好みの枠組みを必要に応じ使えばよい。ただ、東アジア首脳会議の雰囲気を考えれば、ASEANプラス3が最も現実的であろう。もし、日中の和解がなければ、ASEANを中心に統合・自由化を推進するのが現実的である。
田中:
自分はASEANプラス6が望ましいと思う。アジアの統合は経済統合であり、とりあえず政治や安全保障の話とは分けて考えるべきである。アジアにはアジアのやりかたもあり、統合に強力なリーダーシップが必要なのかどうか。各国の調整によるコンセンサス方式もあり得るのではないか。環境・金融の制約を急いでやるより、むしろ、マーケットアクセス、投資の自由化を先に推進するべきと思う。
西村:
ASEAN10カ国のエコノミックコミュニテイをいかに、完璧に成し遂げるかが最も重要である。他のアジアの国はこれを支援すべきである。
アンコビック:
マルチのベースで、真のコミットメントがこの地域の政府にあるのか疑問である。もしあるなら、二国間については一時中断して、今ある問題について、多国間で対応すべきである。そうすれば、ASEAN、APECの場で、環境、通貨、システムに対する危機への対応も可能になる。
ドライスデール:
アジアには、中心がたくさんある。ASEANプラス3、ASEANプラス6等の各アプローチの補完性を十分考慮すべきである。また、こうした地域統合とグローバルなシステムとの補完性も考えるべきである。
5.第2セッション:国際ビジネスセッション
日本貿易振興機構(JETRO)大連所長・藤原弘氏を司会・モデレーターとして、6人の報告者による報告及びパネルデイスカッションを行った。報告者は、発表順に、WKKインターナショナル・ホールデイングス・会長センタ・ウオン(王忠桐)、GEチャイナ・通信部長・ジョフ・リー(李国威)、TUVラインランドグループ・アジア・社長ラルフ・ヴィルデ、在日米国商工会議所専務理事・サミュエル・キダー、SMIC中芯半導体執行董事・張汝京、日本貿易振興機構海外調査部・李海昌の各氏である。
(1) センタ・ウオン(王忠桐)氏報告
中国における人材管理について、WKKの経験に基づいて報告する。45年の経験に基づけば、外国でビジネスするには、相手国の文化を知らなければならない。中国には13億人が住むがその半分は貧しく、簡単にお金をもうけることが人々の主たる関心である。広東省において工場で働く人は、殆どが他の省から来た人であり、会社に対する忠誠心はない。東完市に工場を立てたとき、従業員の施設を拡充して、やめたくなくなるような工場を作ろうと思った。コミットメントの気持ちを育成するためには投資が必要である。ヒトを大事にすることが基本であると考えている。このため、従業員に最善の条件を提供しなければならない。すなわち、良い製造現場・職場を提供するだけでなく、住環境も良好でなければならない。
簡単に会社の紹介をすると、WKKインターナショナルは1975年に、エレクトロニクスの商事会社としてバミューダに設立された、持ち株会社である。このWKKインターナショナルのもとに、香港で設立されたWKKがあり、香港WKKの100%所有による製造会社であるWKKテクノロジー、同じく100%保有の販売会社・投資会社、そして67%所有の台湾子会社(商事会社)がある。 製造会社であるWKKテクノロジーは、1986年に設立され、東京、カリフオルニアに、販売拠点・事務所を設けている。全部で6500人の従業員を擁し、うち、工場で5000人以上働いている。一言でいえばEMS(エレクトロニクス製造・サービス)企業である。OEMも行うし、ODMも行う。最初の顧客は日本のセガであった。同社は、今でも重要な顧客である。
WKKテクノロジーパークは125平方キロの敷地に、最新式の生産ライン、機械を備えたハイテク工場(80の製造ラインがある)を有するだけでなく、従業員のための高度の機能を備えた5000人以上を収容する社宅を擁している(一部屋8人)。2000人が一度に利用できる食堂(社員負担1日2ドル・会社負担1日5ドル)、美容室、診療所(殆ど24時間医療サービス:医療費無料)、コンピュータルーム、図書館、234席のムービーシアター、スポーツ施設、銀行、コンビニ等、どれをとっても他の追随を許さないフリンジベネフィットを提供し、従業員の定着、モラルの向上に資している。全ての工場は清潔で、24時間フル稼働している。屋根にはソーラーパネルを張って電力供給している。これらすべて快適な環境を提供し、他社に引き抜かれないようにするためである。従業員は、女性が9割、男性は1割であり、数年働いてから、結婚するために帰省する女性が多い。毎月1500人民元を稼ぎ、家族に送金しながら2−3万人民元稼ぐとやめて帰るものが多い。
週40時間労働(1日8時間、週5日)、残業は36時間以下、という労働基準を完全にクリアーしている。WKKは、残業させることもあるため、18歳以上のもののみ採用している。生産ラインの95%がローズ(環境基準)適合である。高品質・オンタイムの納入を確保するには、顧客も下請け企業も、従業員も十分な利益を得ることが必要である、というのを経営哲学としている。これは、漢字の「信」という言葉に集約される。口で約束したことは約束であるということを全員が了解しあうことが重要である。
(2) ジョフ・リー(李国威)氏報告
自分はGEチャイナの通信担当ダイレクターであり、GEの中国事業が中国でどのように根付いているかを紹介する。GEは、世界で最も多角化された、最大規模の多国籍企業であり、2006年の総売り上げは、1634億米ドル(約18兆円)、伝統的な照明等民生用機器・重電等産業及びインフラストラクチュア用機器に加え、商業金融・消費者向け金融といったファイナンス部門及び医療機器等の健康保全産業等の新しい分野が、伝統的部門の売上に匹敵する。中国事業はまだ全体に占める割合は小さいが、急増しており、2001年の売上が10億米ドルであったのに、2006年の売上は5倍増の54億米ドルになった。GEブランドは、コカ・コーラ、マイクロソフト、IBMに次ぎ、世界で4番目に大きなブランド価値を持つとの調査もあり、一般的にブランド力は高いが、その製品そのものは、中国では、一般に十分に認識されているわけではない。中国で消費者リサーチを行ったところGE製品についての消費者の正確な認識は少ない。GE自身も、消費者向けの販売から事業者向けのB2Bの業務へと方針を大きく変更しつつあることも影響しており、また、米国の会社として強力な企業とのプラスのイメージをもたれる面もあるが、同時に、米中関係が悪くなるとマイナス面もある。こうしたことを踏まえ、中国との戦略的提携を構築しようとしている。
顧客の70%は、中国政府であり、中国政府の戦略的なニーズに応える。すなわち、エネルギー効率、環境保全に注力する。会社の戦略を中国のニーズに合致させる。次のようなエコマジネーション等のプロジェクトで、GEが中国政府に働きかけて共同事業を行う。2005年から2010年のうちに、環境関連の研究開発支出を倍増し、環境関連の売上も倍増することを計画している。さらに、環境保全、再生可能エネルギー源、航空機エンジン等の分野で全面的な協力を行い、中国の大学への研究協力・支援も行う。GEは長期的なパートナーシップを有していることで政府発注を受けることもある。
中国トップ経営者・経営幹部に対する3ヶ月の研修を、GEトップ以下で行っている。こうした研修の同窓生のネットワーク強化によってビジネスのチャンスを広げる。
さらに北京オリンピックは、高成長の持続・一層のビジネスを拡大する機会と、捉えている。オリンピック関連の野心的なプロジェクトも種々ある。
米国企業と日本企業を比較すると、米国企業は、企画は良いが実行はまあまあであるのに対し、日本企業は、企画は良くないが実行は良い、とされる。たとえば、トヨタは中国政府と良好な関係を築いている。ただし、製造を超えて広い範囲の成功を得るためには、新しい戦略が必要である。日本企業は、中国の消費者の心をつかむ必要がある。日本企業は優れた製品をもち、生産面に優れているが、現地人材確保には保守的であり、より自己完結的である。中国人は日本製品を選好するが、日本人は嫌いであるので、マーケテイングに現地人材を活用すべきである。日本企業は非常に多くの事業を中国でおこなっているにもかかわらず、十分に認識されていない。日本企業はビジネス上の利益を確保するために、適切に中国に関与すべきであり、適切な影響力を持つような戦略を構築すべきであって、そのためには、中国のオピニンリーダーとか、メデイアをもっと重視すべきである。日本企業によるビジネスの成功物語を広めねばならない。また日本企業に学びたいという中国企業の要請に応えなければならない。
(3)
ラルフ・ヴィルデ氏報告
130周年おめでとうございます。当社は、サービスプロバイダーであり、製造業者と購入者の間でプロダクトライアビリテイを検査し証明することを業務とする。145年の歴史を持ち、自動車・医療・ライフケア・ITエレクトロニクス等の分野で品質検査・品質証明の大きな実績を持つ。品質証明等のリスクマネジメントは、重要である。たとえば、航空機の部品の15%は精巧な偽者である。
当社は、ケルンに本社を持ち、1983年に日本でアジア業務を始めた。アジア地区には、3000人の従業員がいる。中国では1800人が働く。トップ500社の世界企業の90%が中国で事業を行っており、ビジネス上の中国の重要性は高まっている。
中国の労働市場には、人材管理上、重大な特性があり、25−30歳の中国人の平均在職者は1.5年から2年であり、離職率6−8%から14−21%に上昇中である。ある調査では、中国社員の61%はすぐにやめる用意がある、給与は19−20%上昇している、高学歴のうちの10%のみが国際企業で働いている、とのことである。
当社の中国におけるスタッフの離職率は9%で悪くない。スタッフの構成は、女性45%、男性が55%である。人材をひきつけ、定着させることが重要であり、そのためには業務を特定すること、社風を理解させること、出世のチャンスがあることを認識させることが重要である。具体的には、プロジェクトのアサインメントにより、特別の仕事をする機会を与えること、成果型のシステムであること、リーダーシップ開発を行うこと、安全・健康な職場であることのほか、ブダペストで研修・勉強させる制度をもっている。当社は、顧客サービス等のソフトサービス会社であり、従業員に会社を信頼してもらわねばならない。
(4) サミュエル・キダー氏報告
現職の前、在京大使館、韓国、インドで商務公使をしていた。自分が専務理事として勤務する在日米国商業会議所(ACCJ)は1948年に設立された。現在、1400社の企業と3000人のメンバーをかかる組織である。ACCJ加入企業の日本における雇用は、数十万人の規模に達する。仕事の第一は、会員の声を代弁、特に日本政府・米国政府に対してこれを伝えることである。10月には、国会を訪問した。意見交換によるネットワークづくりは重要である。第二に、月次のジャーナル・様々なプログラムを行っている。
日本の労働市場については、1980年代、終身雇用制の下で新卒の大学卒エリートを採用することの難しさが米国企業には、あった。外資系企業はキャリアにならない、将来不安定との認識が一般的であったことも大きい。しかし2001年のACCJ白書によれば、こうした労働・雇用状況にも変化が見られ、若年層は、年功序列制度に不満を持ち、終身雇用制度そのものが信頼を失いつつある。また、就労者の高齢化が進み、労働市場の流動化が生じ始めている。自分の経験では、日本のほうが韓国よりも10年以上年齢が高い。
企業の経営幹部については、労働力はグローバル化している。米国企業幹部の国籍はまちまちであり、性別でも多様化している。幹部については、CSRは、日本においても重要なテーマである。すなわち、この会社のために働くことの社会的意味はなにかということで、単なる慈善ではない。
中国との比較をすると、専門職については、中国と日本では同じ課題に直面している。すなわち、専門分野で力を発揮する人材の不足である。固有の問題として、日本人の場合には英語能力、中国の場合には米国入国ビザである。これは、研修のために中国人を米国に行かせる際の深刻な問題点である。日本人に関してはビザの問題は少ない。
(5) 張汝京氏報告
SMICの経験を共有する機会を頂き有難い。中国の教育はかっては、官僚の地位を得るためのものだったが、最近は、科学技術教育に注力するようになった。ただし、大卒数、特許の数、引用された論文等から見て、投資は十分でない。将来の発展戦略として、資源搾取から人材育成へということで一層の努力が必要である。
当社については1998−2000にかけて中国についてポジテイブな戦略とるべく、設立された。資本の70%は米国、経営は台湾、技術パートナーは日本、欧州、シンガポール、米国である。現在、上海、北京、武漢、成都で事業展開を行い、現在でも株主の55%は米国人である。米国・香港で上場している。
人材のローカリゼーション戦略は大きなテーマである。現在、従業員1.1万人のうち、500人は台湾人、300人は米国人である。海外からの従業員派遣は安定化してきたが、中堅上層幹部に現地の人がなるには時間がかかる。しかし、2010年には、中堅上層幹部の40%ぐらいが現地人となろう。
調査によれば、知的従業員の殆どは現在の会社に留まる理由として、成長と学びの機会、出世の機会、社会的意義のある、もっと責任のある仕事、達成感等を挙げ、報酬を第一としたのはわずか7%であった。
一般社員については、報酬のほか、継続した教育プログラム、研修制度、生活環境等が挙げられている。研修制度は、具体的には、Off the Job Training、エンジンニア・研修プログラム、幹部マネジャーに対するプログラム等である。最後のものについては、「あなたは次世代のマネジャーだ」ということを知らせるシグナル効果がある。相手はこうした情報をキャッチし会社に留まる。
さらに、社員寮を充実させ、一つの大きなファミリーとして扱う。スイミングプール、レクリエーションセンター、クリニック、バスケットボールコートを完備する。
こうした施策のため、当社の離職率は非常に低く8%である。ちなみに他社の平均は12%である。自分たちで学校も作った。高成長市場で人材を確保することは中国では難しく、中国は人材開発にまだ多くの課題を残している。これまでのところ、SMICの諸制度は人材を多く引き付けており、中国にも多くのプラスの影響を及ぼしている。
(6) 李海昌氏報告
韓国の中国向け直接投資は、1992年の国交正常化以降、順調に増加しており、2006年には、香港、英領バージン諸島、日本に次いで、第4番目の直接投資国となっている。地域的には、山東省、上海 に進出。事業内容としては、生産拠点としての中国から市場としての中国へと変わりつつある。市場としての中国で成功するためには、品質・価格の競争力に加えて、現地でのマーケテイング・流通網確保・現地の制度の把握等のために、現地の優秀な人材の確保・育成・教育が、特に重要である。韓国企業の現地人材育成は欧米企業、日本企業よりも遅れている。ただし、サムソン、LG、現代の四大財閥に代表される韓国大手企業は、営業関連の中間管理職および最近は特にR&D人材の採用拡大等、人材の現地化を積極的に行っている。特に、内需中心の中国事業を行う大手企業の場合には、現地人材確保に積極的である。例えばサムソンでは、中国の工場の重要幹部の90%は、中国人で構成されているとされる。R&D、経営幹部を重視しており、現代も同様である。
一般的には、中間管理者までの登用は、増えつつあるが、トップマネジャーについては、欧米と比べれば遅れている。教育訓練の機会も少ない。
欧米企業は、欧米で教育を受けた中国人、台湾人を総経理や上級管理職まで登用する。
日系企業は教育訓練重視しており、中堅企業でも1年ー1年半の研修を日本で行う。中国の大学との連携で教育訓練を実施し、中長期的な企業内研修を行う。
韓国企業の場合、中堅企業では教育訓練は余り見られない。人材として活用すべき中国の朝鮮族と韓国企業との相互不信も問題である。
(7) アンコビック氏コメント
中国進出中小企業にとっての問題は、ブランド力が無いために社長、CFO、工場長の採用が難しい。報酬について25−50%の上乗せをする、4−5年勤続すれば家族にもグリーンカードを出す、チームの一員となるために本社に頻繁に出張させる等の措置が必要である。
質疑応答
(質問)
センタ・ウオン氏に伺いたい。WKKは少量多品種の発注をおこなう日本企業についてどう思うか。
(答え)
少量多品種のラインも少品種多量のラインも、どちらもつので、当社にとっては、少量多品種も少品種多量も余り大きな違いはない。大きな流れとして、日本には労働者がいないので、生産拠点は日本から中国に移っている。台湾系はノートパソコンに特化し、香港企業が生き残るためには、ノートパソコン以外の業種・分野を目指す必要がある。
(質問)
各氏に、中国沿岸のコスト上昇の結果、ベトナムへのシフトは生ずるか。
(張)
大学新卒の給与については、沿海で、文系、3000元、理系4000元であるが、500キロ西に行く毎に300元ほど下がる。成都では上海に比べて60%下がる。ただし、ベテランの採用が難しい。
(アンコビック)
西のほうに移る場合、幹部の採用が難しい。
(張)
デニスの方法とわが社の方法は異なる。ヘッドハンテイングでなく、良い人材がいないか、人に聞く。アメリカで中国に行くエンジニアを採用したが、教会に行くと良い人を採用できる。ミッション精神をもつためである、派遣者は外部から採用せず、内部人材を派遣する。
(ウオン)
ベトナムは広東省よりも人口が少ないのでシフトは生じまい。ただし、インドについては心配している。10−15年後、インドはライバルになる。
(質問)
中国の人権問題等で、ドイツの議員に対する働きかけ等を行うか。
(ヴィルデ)
国連のグローバル・コンパクトに参加している。125年前には、ドイツでも児童労働はあった。議員に働きかけるのではなく、別の方法があろう。
以上
平成19年度 二松学舎大学国際政治経済シンポジウムのご案内
再考:日本と東アジアの協調と競争
| 日時: |
平成19年(2007年)12月1日(土)午後12時30分から6時30分まで |
| 場所: |
二松学舎大学九段キャンパス中洲記念講堂
|
| 主催: |
二松学舎大学 |
| 共催: |
日本貿易振興機構、日中経済協会、米国大使館東京アメリカンセンター、
海外投融資情報財団 |
| 後援: |
香港貿易発展局、台湾貿易センター、在日米国商工会議所、(財)交流協会 |
平素、私ども二松学舎大学の教育・研究活動に対しては、多大なご理解・ご援助・ご協力を賜り、誠に有難うございます。
本年、二松学舎大学では、日本貿易振興機構、日中経済協会、米国大使館アメリカンセンター、海外投融資情報財団のご共催、在日米国商工会議所、(財)交流協会、台湾貿易センター、香港貿易発展局のご後援を得て、「再考:日本と東アジアの協調と競争」についての国際シンポジウムを下記要領にて、実施致します。
ご高承のように、日本と東アジアの経済・ビジネス関係の強化には目を見張るものがありますが、各国間の政治経済的な協調は十分であるとは言いがたく、このため、地域全体をカバーするFTA・EPA、環境保全・資源節約のための国際枠組、といった国際公共財の分野では今後、確立・整備の努力が一層必要であります。日本と東アジアの一層の発展を促すために、こうした国際政治経済的な協調の可能性・方法論について深く吟味する必要があります。
一方、多国籍企業のグローバルな活動の中で、アジアが益々重要な地位を占めるようになっていることは明らかで、その事業内容も、生産拠点の設立、市場の確保から研究・開発拠点の設置まで、多様化しております。特に、中国に対しては、コスト・価格競争力のある生産拠点に加えて、急成長する市場の確保のための事業展開の重要性が近年、特に高まっています。日本企業は、こうした海外事業展開の中で現地の立地の優位性と自社の強みを十分に融合させて競争力を高めるという課題に常に直面しており、人的資源の有効な活用は特に重要であります。この時期に、欧米アジア企業の中国市場における経験について検討することは意義深いと思われます。
以上の視点から、本年は、国際政治経済セッション、国際ビジネスセッションの二つに分けて、十分な経験ある専門家・実業人による議論・検討を行います。また、シンポジウムの後には、自由討論による分科会も予定しております。
日本と東アジアの関係が益々緊密化している今日、本シンポジウムは多くの実務家、研究者・専門家、政策担当者、学生の方々にとって、有意義なものになると、確信しております。
ご高承のように二松学舎大学は国文・漢文の分野で130年の歴史を有する大学であります。本年130周年を迎えます。こうした伝統を踏まえて、大学院国際政治経済学研究科は、東アジアの政治経済分野の教育・研究に注力しており、特に、平成16年度からは九段キャンパス(千代田区三番町)で、主に社会人を対象とする大学院東アジア経済ビジネスプログラムを開設しております。
更に、東アジアの経済・ビジネス・政治の研究・教育の深化の視点から、平成16年度より既に、4度にわたり、国際政治経済シンポジウムを開催し、また、平成18年度からは連続講演会も開催しております。今回のシンポジウムは、これまでの成果を踏まえ、当面する最大の課題について、その分野の第一人者をお招きして議論を深めようとするものであります。必ず、研究者・学生、実務家、政策担当者のお役に立つものと確信しており多数の参加をお待ちしております。 |
| プログラム |
| 挨拶 |
12時30分−12時50分 |
今西幹一・二松学舎大学学長
清川佑二・日中経済協会理事長
ジェイムスン・米国大使館東京アメリカンセンター館長 |
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| 趣旨説明・問題提起 |
12時55分−1時10分 |
| 大学院国際政治経済学研究科長・教授 手島茂樹 |
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| 国際政治経済セッション |
午後1時15分−午後3時15分 |
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(各発表者6名につき15分スピーチ、パネルデイスカッション・質疑応答30分)
司会・モデレーター:二松学舎大学教授 手島茂樹
(1)オーストラリア国立大学 P.ドライスデール教授
(2)マイヤー・アンコビック・スコット法律事務所 デニス・アンコビック氏
(3)日本貿易振興機構参与 西村英俊・
(前日中経済協会専務理事 / 現日本貿易振興機構参与 現日中経済協会参与)
(4)経済産業省 田中耕太郎・経済連携交渉官
(5)シンガポール国際問題研究所 上級研究員 ヨー・レイ・ウィー氏
(6)チュラロンコーン大学 安全保障国際問題研究所 上級研究員 ミヤ・タン氏 |
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| 国際ビジネスセッション |
午後3時30分−午後5時30分 |
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(各発表者6名につき15分スピーチ、パネルデイスカッション・質疑応答30分)
司会・モデレーター:日本貿易振興機構(JETRO)大連事務所 所長 藤原 弘
(1)WKK(香港の大手EMS企業グループ)Senta Wong 会長
(2)GE China Co.Ltd.Communication Director Geoff Li氏
(3)TUV Rheinland Holding(ドイツの多国籍品質認定企業)の
日本法人社長ラルフ・ヴィルデ氏
(4)在日米国商工会議所 専務理事 サミュエル・キダー氏
(5)
中芯半導体
(Semiconductor Manufacturing International:略称SMIC)
執行董事(Executive Director)
張汝京氏(Richard Ru Gin Chang)
(6)ジェトロ本部海外調査部 李海昌氏
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| 分科会 |
午後5時30分−午後6時30分
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| (第1セッションと第2セッションに分かれ、中会議室に場所を移動) |
| ・申し込み PDFファイルをプリントアウトし、必要事項を記入のうえ、FAXにて申し込みください。 |
2007 Nishogakusha University International Conference for International Politics and Economics, jointly held by Japan External Trade Organization (JETRO), Japan-China Economic Association, Tokyo American Center Embassy of the United States of America and Japan Institute of Overseas Investment.(JOI)
"Rethinking the Cooperation and Competition between East Asia and Japan---How to deepen/strengthen further linkages between Japan and East Asia through further cooperation and competition in both private and public sectors in Asia for achieving further prosperity
The recent prominent economic development of East Asia, including China, ASEAN, Asian NIEs, and the gradual recovery of Japan’s economy are good results of effective cooperation in the complementary relationship between East Asia and Japan.
It is noteworthy that we are now in a new stage for achieving further prosperity through new development of cooperation and competition, reflecting prominent business performances of growing Asian firms, Western firms and Japanese firms, which are trying a “optimum localization” of their global business in Asia. Future prospects for international division of labor in the field of R&D, brand making, production and marketing among those firms in Asia shall be thoroughly discussed in the conference, reflecting rapidly growing Asian markets.
On the other hand, however, it is notified that still we have constructed only insufficient international public goods in Asia, including insufficient infrastructure, pre-matured international currency system, financial and capital markets, under plural regional frameworks for liberalization of trade and FDI and still weak cooperation between Japan and Asian governments in the fields of energy/resource saving and environmental protection. How to strengthen governmental cooperation and how to construct sufficient international public goods shall be indispensable issues to be discussed from various points of view.
Therefore, we have two sessions in the conference.
The first session is the International Political Economics session, where we discuss how to strengthen governmental cooperation and how to construct sufficient international public goods from various points of view.
The second session is the International Business session. We discuss the ‘optimum’ regionalization strategy in Asia under their globalization strategy. In other words, future prospects for international division of labor in the field of R&D, brand making, production and marketing among Asian, Western and Japanese firms in Asia shall be thoroughly discussed.
In this year of 130th anniversary of Nishogakusha University, we open the international conference, following 2004, 2005 and 2006 conferences, for seeking good solutions for the above issues, jointly held by Japan External Trade Organization (JETRO), Japan-China Economic Association, Tokyo American Center Embassy of the United States of America,Japan Institute of Overseas Investment.(JOI) and other organizations on December 1st (Saturday), 2007 in Tokyo, Japan.
Title and Subject of the Conference:
"Rethinking the Cooperation and Competition between East Asia and Japan---How to deepen/strengthen further linkages between Japan and East Asia through further cooperation and competition in both private and public sectors in Asia for achieving further prosperity---
Date and Place:
Date: December 1st (Saturday), 2007 Place: Nishogakusha University, Kudan campus, Tyuusyuu Memorial Hall in Sanbancho 6-16, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
Program
Opening Remarks 12:30 to 12:50
President, Nishogakusha University, Professor Dr. Kanichi. Imanishi
President, Japan-China Economic Association, Mr. Yuji. Kiyokawa
Director, Tokyo American Center, Embassy of the United States of America, Mr. Jeffrey Jamison
Introduction and General explanation 12:55 to 13.10
Dean of Graduate School, Nishogakusha, Professor Dr. S. Tejima
Session One International Politics and Economics: 13:15 to 15:15
How to strengthen governmental cooperation and how to construct sufficient international public goods shall be discussed from various view points.
(Moderator: Shigeki Tejima)
(15minutes presentation by each speaker and discussion)
Speaker
Professor Dr. Peter Drysdale, Australian National University
Mr. Dennis Unkovic, Partner, Meyer, Uncovic & Scott, LLP
“Asian Economic Integration: The Future of the Chinese Economy and Opportunities and Challenges for the U.S. and Japan”
Mr. H. Nishimura, Special Advisor to the Chairman of JETRO on ERIA Matters (former Executive Managing Director, Japan-China Economic Association)
“The Recent Trend and Future Prospects of East Asian
Community”
Mr. Kotaro Tanaka, Director for Economic Partnership, Ministry of Economy, Trade and Industry, Japan
"Progress in East Asia’s Economic Integration and Trend of
Japanese-affiliated Firms"
Dr. Yeo Lay Hwee
Singapore Institute of International Affairs.
Dr. Mya Than, Senior Fellow Institute of Security and International Studies (ISIS), Chulalongkorn University, Thailand.
"China's Integration with Southeast Asia: A case of China - CLMV?Economic Relations".
Session Two International Business: 15:30 to 17:30
Future prospects for international division of labor in the field of
R&D,Brand making, Production and Marketing among Asian,
Western and Japanese firms shall be thoroughly discussed.
Above all, Japanese MNCs are changing their strategy from
“constructing competitive production bases in Asia” to “preserving
growing markets of Asian countries”. On the way to reaching a
new goal, they have to deepen “localization” of their management
in Asia, especially, regarding management of human resources,
although they are always facing with a dilemma between
“application” of Japanese management and “adaptation” of local
manners. Successful experiences of Hong Kong firms, Taiwanese
firms, Korean firms, all other Asian firms and Western firms
shall give precious lessons to Japanese firms.
(Moderator: Mr. Hirosi Fujiwara of JETRO)
(15minutes presentation by each speaker and discussion)
Speaker
Mr. Senta Wong, Chairman & CEO, WKK International (Holdings) Ltd.
Mr. Geoff Li, Communication Director, GE China Co. Ltd.
“Building Strong Business-to-business Brand in an Emerging Market -- The General Electric Story in China”
Mr. Ralf Wilde, Executive Vice President Products, TUV Rheinland Holding AG;
President & CEO TUV Rheinland Group Asia
“Strategic human resource management of the TUV Rheinland Group in China”
Mr. Samuel H. Kidder, Executive Director, The American Chamber of Commerce in Japan;
“The Experience of American companies in Japan in Human Resource Management”
Mr. Hae Chang Lee, Senior Researcher, JETRO Head Office
“The Experience of Korean Firms in East Asia”
Mr. Richard Ru Gin Chang, Executive Director, Semiconductor
Manufacturing International
After the sessions, workshops for questions/answers and discussions to be held from 18:00 to 19:00
A cocktail party hosted by Chairman of the board of directors of Nishogakusha: 19:00
平成18年度 二松学舎大学国際政治経済シンポジウムのご案内
平素、私ども二松学舎大学の教育・研究活動に対しては、多大なご理解・ご援助・ご協力を賜り、誠に有難うございます。
本年、二松学舎大学では、日中経済協会のご共催、日本貿易振興機構、海外投融資情報財団、台湾貿易センター、交流協会のご後援を得て、東アジアと日本の相互依存的なダイナミズム強化の方途を探るための「日本と東アジアの対話−東アジア・トライアングル(日・中・韓)のダイナミズムと中国市場を機軸とした関係強化」についての国際シンポジウムを下記要領にて、実施致します。
国際政治セッションにおいては、東アジアの相互理解の可能性について、日本・韓国・中国の専門家の視点から分析、討論します。
国際経済ビジネスセッションにおいては、主に、中国市場を中心とした関係強化について、今後の可能性・課題を、台湾企業、香港企業、欧米企業、そして日本企業の視点から、分析し、討論するものであり、多くの実務家、研究者・学生、政策担当者にとって意義の深いシンポジウムになるものと存じます。
ご高承のように二松学舎大学は国文・漢文の分野で130年の歴史を有する大学であります。こうした伝統を踏まえて、大学院国際政治経済学研究科は、東アジアの政治経済分野の教育・研究に注力しており、特に、平成16年度からは九段キャンパス(千代田区三番町)で、主に社会人を対象とする大学院東アジア経済ビジネスプログラムを開設しております。
更に、東アジアの経済・ビジネス・政治の研究・教育の深化の視点から、平成16年度より既に、3度にわたり、国際政治経済シンポジウムを開催しております。今回のシンポジウムは、これまでの成果を踏まえ、当面する最大の課題について、その分野の第一人者をお招きして議論を深めようとするものであります。必ず、研究者・学生、実務家、政策担当者のお役に立つものと確信しており多数の参加をお待ちしております。
| 1. シンポジウム名称 |
平成18年度 二松学舎大学 国際政治経済シンポジウム
「日本と東アジアの対話−東アジア・トライアングル(日・中・韓)のダイナミズムと
中国市場を機軸とした関係強化」 |
| 2. 開催の目的 |
東アジアの経済・ビジネス・政治の総合的視点からの研究・教育の深化
|
| 3. 開催月日、時間 |
平成18年12月2日(土) |
12:30〜18:30 |
| 4. プログラム |
開会・挨拶
今西幹一学長
手島茂樹大学院国際政治経済学研究科長
鈴木朝生国際政治経済学部長
国際政治セッション
休憩
国際経済ビジネスセッション
閉会・挨拶
|
12:30〜12:45
12:45〜15:15
15:45〜18:15
18:15〜18:30 |
| 5. 会場 |
二松学舎大学 九段キャンパス 中洲記念講堂
(〒102-8336 東京都千代田区三番町6番地16) |
6. 講演者、
パネリスト等 |
国際政治セッション 東アジア・トライアングル(日・中・韓)のダイナミズム
(1時間30分:プレゼンテーション、1時間:パネルデイスカッションおよび会場からの質疑応答)
<プレゼンテーション>
宋成有(北京大学教授、東北アジア研究所長)
田中均(東京大学客員教授、前外務審議官)
趙宏偉(法政大学教授)
伊藤一彦(宇都宮大学教授)
<パネルデイスカッション>
座長:尾崎重義(二松学舎大学教授)
参加者:上記発表者4人、松田康博・防衛研究所主任研究官、
二松学舎大学非常勤講師
国際経済・ビジネスセッション 中国市場を機軸とした関係強化
(1時間20分:プレゼンテーション、1時間10分:パネルデイスカッションおよび会場からの質疑応答)
<プレゼンテーション>
浦上 清(元日立アジア(香港)社・社長、二松学舎大学大学院非常勤講師)
卓振偉 ((株)大昌貿易行 代表取締役社長)
井藤忠男(FOXCONN PCEBG MGC 軽金属開発センター技術開発主幹)
アンジェロ・ポンツエッタ(Angelo Ponzetta)
(在日スイス会議所会頭、カラン ダッシュ ジャパン (株) 代表取締役社長)
<パネルデイスカッション>
座長:手島茂樹(二松学舎大学教授)
参加者:上記発表者4人、藤原弘・日中経済協会調査部長
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7. 参加対象者と
参加者数 |
ビジネスマン、研究者、ジャーナリスト、学生
合計 300−400名(予定) |
| 8. 参加 |
無料 |
| 9. 主催 |
二松学舎大学 |
| 10.共催 |
(財)日中経済協会 |
| 11.後援 |
日本貿易振興機構、台湾貿易センター、
(財)交流協会、(財)海外投融資情報財団、光洋物産(株) |
| 12.申し込み |
PDFファイルをプリントアウトし、必要事項を記入のうえ、FAXにて申し込みください。 |
2006 Nishogakusha Conference for International Politics and Economics
Title and Subject of the Conference:
Further deepening the communication between East Asia and Japan---The Dynamism of East Asian Triangle (China, Korea and Japan) and Strengthening Economic Linkage through the Development of Markets, Human Resources, Technology and Management
Date and Place:
December 2nd, 2006, Tyuusyu Memorial Hall, Kudan Campus, Nishogakusha University
Program
Opening Remarks 12:30 to 12:45
President Professor Dr. Kanichi Imanishi
Dean of Graduate School Professor Dr. Shigeki Tejima
Dean of Faculty Professor Dr. Asao Suzuki
Session One International Politics:
Dynamism of East Asian Triangle (China, Korea, Japan) 12:45 to 15:15
(Presentation) (12:45 to 14:15)
Speakers:
Professor Son (宋成有教授) Peking University
Professor Hitoshi Tanaka Tokyo University,
Former-Vice Minister of Foreign Affairs
Professor Tyo (趙宏偉教授) Hosei University
Professor Kazuhisa Itoh Utunomiya University
(Discussion) (14:15 to 15:15)
Moderator:
Professor Shigeyoshi Ozaki Nishogakusha University
Discussants
Speakers plus Dr. Matuda of Nishogakusha University
Session Two International Economics and Business:
Strengthening Economic Linkage through the Development of Markets, Human Resources, Technology and Management---Lessons from Asian, European and Japanese companies in markets of China, Japan and East Asia 15:45 to 18:15
(Presentation) 15:45 to 17:05
Speakers
Mr. Kiyosi Urakami Former President of Hitachi Asia (HongKong) Ltd.
Mr. Simon Cheuk President Dah Chong Hong (Japan) LTD.
Dr. Bin-Lung Ou Japan Business Group CEO of Foxconn Technology Co., Ltd.
Mr. Angelo Ponzetta President Asia Pacific CARAN d'ACHE OF SWITZERLAND
(Discussion) 17:05 to 18:15
Moderator
Professor Shigeki Tejima Nishogakusha University
Speakers plus Mr. Hiroshi Fuziwara of JCEA
Closing Remarks 18:15 to 18:30
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海外投融資情報財団との相互交流協定に基づくセミナー開催
「ウィーン売買条約シンポジウム」開催のご案内
〜 法務省、ウィーン売買条約の批准に向けて本格的に検討開始! 〜
「ウィーン売買条約」は、米国、中国、韓国、ロシア、豪州、欧州各国など、日本とイギリスを除く日本の主要な貿易相手国によって既に批准され、国際売買法のスタンダードとして発展しつつあります。こうした中、そのイギリスでも批准が検討中で、日本の法務省も批准に向けて本格的な検討を開始しました。ウィーン売買条約の今後の動向は、債権法改正など、日本民法が国際取引を視野に入れた現代的な契約法へと改正していくための議論への契機にもなり得るものです。
このような中で、実務面でも、日本が批准した場合のインパクト、例えば売買契約約款をウィーン売買条約に合わせて見直すなど、を検討する必要があると思われます。
そこで、日本を代表するウィーン売買条約の研究者を一堂に集め、特に実務家を対象に、
ウィーン売買条約を様々な角度から検討するシンポジウムを開催いたします。
法務省・外務省の後援を受け、実務的な関心の高い分野を中心に5本の報告を行うほか、質疑応答の時間も豊富に設けて皆様のご期待に沿うよう努めております。万障お繰り合わせの上、是非ともご出席頂きますよう、お願い申し上げます。
| 1. 日時 |
2006 年 11 月 17 日(金) 13:00 〜 17:00 |
| 2. 場所 |
二松学舎大学 中洲(チュウシュウ)記念講堂
(東京都 千代田区三番町 6 番地 16 ) |
| 3. 主催 |
国際取引法フォーラム |
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| 4. 後援 |
法務省、外務省、 (株)商事法務、
(財)海外投融資情報財団(JOI) 、二松学舎大学
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| 5. 参加費 |
無料 |
| 6. 使用言語 |
日本語 |
| 7. 問い合わせ |
国際取引法フォーラム事務局・久保田隆(早稲田大学法務研究科教授)
Email: t-kubota@waseda.jp
TEL: 03 − 3208 − 8452 / FAX:03 − 5286 − 1720 |
プログラム |
13:00-13:15
13:15-13:30
13:30-13:40
13:40-14:10
14:10-14:30
14:30-14:45
14:45-14:55
14:55-15:25
15:25-15:45
15:45-16:05
16:05-16:45
16:45-17:00 |
開会挨拶「CISGを巡る世界動向」
曽野和明(北海道大学名誉教授)
来賓挨拶 / 法務省
開催校挨拶
手島茂樹(二松学舎大学 理事・大学院国際政治経済学研究科研究科長 )
報告1「CISGの概要」
杉浦保友(一橋大学 法学研究科教授)
報告2「CLOUT判例の紹介」
富澤敏勝(山形大学 人文学部教授)
質疑応答
休憩
報告3「CISGと日本民法との比較」
曽野裕夫(法務省民事局参事官)
「報告3に対するコメント」
内田貴(東京大学 法学政治学研究科教授)
報告4「実務から見たCISGのインパクト」
柏木昇(中央大学 法務研究科教授)
全体質疑応答
閉会挨拶「売買法の国際化とCISG」
澤田壽夫(ICC国際仲裁裁判所副所長) |
以上 |
海外投融資情報財団との相互交流協定に基づくセミナー開催 BTMU上海外高橋保税区セミナー
当局関係者と現地有力弁護士事務所に聞く
『8号令の運営状況と区外事務所問題』
| 1.日時・場所 |
平成18年5月15日(月)13:30〜16:00 (13:00受付開始)
二松学舎大学中洲(チュウシュウ)記念講堂 |
| 2.主 催 |
三菱東京UFJ銀行、上海外高橋保税区聯合発展有限公司、
上海市外高橋保税区管理委員会、上海外聯発商務咨詢有限公司、
弁護士法人キャスト糸賀、財団法人海外投融資情報財団(JOI) |
| 3.後 援 |
二松学舎大学国際政治経済学研究科 |
| 4.参 加 費 |
無料 |
| 5.講演内容 |
○「上海外高橋保税区の第十一次五ヶ年企画内容
上海外高橋保税区聯合発展有限公司 経営部副経理 壽 暁h
○「商業領域管理弁法(8号令)許認可権限の上海市政府移管以降の許認可状況
外高橋保税区管理委員会または工商行政管理局
○「76号令適用企業のオペレーション状況」
上海外高橋保税区聯合発展有限公司 経営部副経理 壽 暁h
○「保税区貿易会社の浦西連絡事務所問題」
弁護士法人キャスト糸賀上海事務所 弁護士 谷本 規
○ 質疑応答 |
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東アジア共同体の可能性 −経済における協調と競争の深化と政治の追走−
日時: 平成17年12月3日(土) 9:00開場
会場: 二松学舎大学 九段校舎 中洲記念講堂
参加費: 無 料 *同時通訳つき
近年における東アジアの目覚しい経済発展は、対内直接投資を成長の梃子とした投資受入国の経済発展戦略と世界規模での競争力確保を目指す多国籍企業のグローバル戦略との補完関係構築の顕著な成果である。しかし、台頭するアジア企業の競争力強化という現実を踏まえて、日米欧等の多国籍企業がアジア企業とどのように競争と協調の関係を今後構築していくかは、根源的な問題である。また、アジアの急速な経済的一体化の中で、喫緊の最大の課題として残されているのがこの地域での安定的な国際金融・体制の構築であり、早急な対応が迫られている。
いずれにせよ、東アジア経済の急速な一体化の一方で、東アジアの政治・安全保障には大きな課題が残されており、こうしたアンバランスの解消、政治・安全保障面でのキャッチアップ・協力の基盤の醸成こそが、来るべき東アジア共同体構築への最大のポイントになると考えられる。本年12月の東アジアサミット開催等を控え、上記の問題意識から、政治の視点、経済・ビジネスの視点から、各分野の専門家を集め国際シンポジウムを開催することは、時宜にかなった有意義なことと考えられる。
9:15〜9:30 開会 司会 木村英亮(二松学舎大学教授)
挨拶 二松学舎大学 学長 今西幹一
国際政治経済学部長 鈴木朝生
大学院国際政治経済学研究科長 手島茂樹
9:30〜12:30 国際政治セッション
司会 尾崎重義(二松学舎大学教授)
国際政治セッションでは、(1)のテーマとして、中国の「平和的台頭」(大国化)と東アジア共同体構想、という喫緊の具体的テーマが取り上げられる。(2)のテーマとして、北朝鮮の核保有と六カ国協議の常設化、さらにそれを踏まえて、(3)のテーマとして「東アジア共同体の必然性と可能性」について包括的に論ずる。
(1)中国の「平和的台頭」(大国化)と東アジア共同体構想
【報告者】 朱建栄 (東洋学園大学教授)
【討論者】 松田康博(二松学舎大学非常勤講師)
(2)北朝鮮の核保有と六者協議の常設機構化
【報告者】 李鐘元 (立教大学教授)
【討論者】 玄武岩 (二松学舎大学非常勤講師)
(3)東アジア共同体の必然性と可能性 −その政治経済学的理論づけ−
【報告者】 進藤栄一(江戸川大学教授、筑波大学名誉教授)
【討論者】 尾崎重義(二松学舎大学教授)
13:30〜16:30 国際経済ビジネスセッション
司会 手島茂樹(二松学舎大学教授・大学院研究科長)
国際経済セッションでは、(1)のテーマとして、今後の東アジア経済ビジネスを考える際の大きな課題である、東アジア地域の国際金融・通貨体制の整備・確立の問題を取り上げる。(2)のテーマとして、アジア企業の中でも特に成長の著しい中国企業の成功・発展の要因を考え、日本企業等外国企業との競争と協調の現状と展望について検討する。(3)のテーマとして、日米欧韓等、外国企業の中国ビジネスにおける成功のための要件を中国側の視点から展望する。
(1)東アジアにおける国際金融為替秩序の形成
【報告者】 河合正弘(東京大学教授)
【討論者】 手島茂樹(二松学舎大学教授)
(2)起業成功の理由 −東軟集団のケース
【報告者】 劉積仁 (東軟集団董事長・総裁)
【討論者】 浦上清 (浦上アジア経営研究所代表、前日立アジア香港社長)
(3)大手外資系(欧米日)の中国パワフル経営ヒント
【報告者】 周躍h (ユーレカコンサルティング代表取締役)
【討論者】 平沢健一(日中協力機構会長、前日本ビクター中国会長)
16:30〜17:00 休憩
17:00〜18:30 取りまとめセッション
司 会 手島茂樹、尾崎重義
李鐘元 (立教大学教授)
朱建栄 (東洋学園大学教授)
進藤栄一(江戸川大学教授)
河合正弘(東京大学教授)
劉積仁 (東軟集団壷事長・総裁)
周躍h (ユーレカコンサルティング代表取締役)
平成17年12月3日(土)、国際政治経済学部・大学院国際政治経済学研究科主催、国際政治経済シンポジウムを
下記要領で開催します。同時通訳つき。
International Conference of Nishogakusha University in 2005, Dec. 3rd
"A New Stage of Cooperation and Competition in East Asia toward East Asian Community---How to deepen further prosperity based on equal partnership in the cooperation of international economy and business, followed by the possible cooperation of international politics "
The recent prominent economic development of East Asia is a good result of effective cooperation in the complementary relationship between East Asian economy and foreign private firms, including Japanese firms. Above all, the high economic growth of China in the past twenty years and the emergence of many competitive local firms in China are truly impressive among all successes of "East Asian Miracle."
It is noteworthy that we are now in a new stage for constructing new form of cooperation and competition, reflecting advantages and disadvantages of growing Asian firms, Western firms and Japanese firms and future prospects for international division of labor in the field of R&D, brand making, production and marketing among those firms. Lack of sufficient international financial and currency system in the region in comparison with the EU is also to be considered.
Finally, sustainable cooperation in the international politics in the region, which is the most important international public goods in East Asia, shall be reconstructed as soon as possible.
In one day conference, we discuss the above important issues to obtain a positive perspective for further prosperity in East Asia.
Date: December 3rd (Saturday), 2005
Place: Nishogakusha University, Kudan campus, Tyuusyuu Memorial Hall
<<Program>>
9:00 Opening Remarks
(1) Professor Kan-ichi Imanishi, President of Nishogakusha University
(2) Professor Asao Suzuki, Dean of the faculty of International Politics and Economics
(3) Professor Shigeki Tejima, Dean of the graduate school of International Politics and Economics
9:30-12:30 International Politics Session: Chaired by Professor Shigeyoshi Ozaki, Nishogakusha University
(1)"China as a superpower and forthcoming East Asian Community"
(Speaker) Professor Syu Ken Ei (朱建栄 ), Toyo Gakuen University
(Discussant) Dr. Yasuhiro Matuda, Nishogakusha University
(2)"Nuclear issue in North Korea and International Negotiation for it"
(Speaker) Professor Li Shoo Gen (李鐘元), Rikkyo University
(Discussant) Dr. Gen Bu Gan (玄武岩), Nishogakusha University
(3)"A possibility of East Asian Community"
(Speaker) Professor Eiichi Sindo (Tukuba University)
(Discussant) Professor Shigeyoshi Ozaki, Nishogakusha University
<Lunch Break>
13:30-16:30 International Economics/Business Session: Chaired by Professor Shigeki Tejima, Nishogakusha University
(1)"Forming international finance and currency framework in East Asia"
(Speaker) Professor Masahiro Kawai, University of Tokyo
(Discussant) Professor Shigeki Tejims, Nishogakusha University
(2) "the way to grow: Neusoft practices in China"
(Speaker) Professor Liu Jiren, Chairman and CEO of Newsoft
(Discussant) Mr. Kiyoshi Urakami, Former President of Hitachi Hong Kong
(3)"The reasons of business success of foreign firms in China"
(Speaker) Dr. Zhou Yue Ki, Head of Eureka Consulting
(Discussant) Mr. Kenichi Hirasawa, Former President of Japan Victor China
<Break>
17:00-18:30 Concluding Session: Chaired by Professor Tejima and Professor Ozaki
(Panel discussants) Professor Shu, Professor Li, Professor Sindo, Professor Kawai, Professor Liu and Dr. Zhou
19:00 <Reception>
二松学舎大学/ドイツ日本研究所 国際政治経済シンポジウム
東アジアのイノベーション(技術革新)創発への道
製品・生産システムのイノベーションとイノベーション振興のための政策対応
二松學舍大学国際政治経済学部は、平成16年度より専門課程の九段キャンパス移転、学部カリキュラムの改革を実施し、学部教育の充実を図っております。さらに、大学院国際政治経済学研究科においては、従来の大学院に加え、社会人を主対象とする大学院サテライト「東アジア経済・ビジネスプログラム」を九段キャンパスにて開設するなど、一層の社会貢献を目指しています。
その一環として、昨年9月には国際政治経済シンポジウム「東アジア協調の新段階―経済、産業・ビジネス、国際政治の視点から―」を九段キャンパス中洲記念講堂で開催しました。また11月には、同じ中洲記念講堂にて、海外投融資情報財団と日本ASEANセンターの主催する「ベトナム投資セミナー」を後援して開催しました。
このたび本大学院研究科の主たる関心領域である「東アジア」を舞台に、ドイツ日本研究所との共催で、本年5月に国際シンポジウム「東アジアのイノベーション創発への道」を開催することにいたしました。なお、本シンポジウムには、在日本ドイツ大使館、財団法人海外投融資財団、二松学舎大学国際政治経済学会のご後援を得ております。
今回のシンポジウムでは、現代のグローバル経済の中にあって、企業・産業・国家の競争力の源となるイノベーション(技術革新)をどのようにして活発化することができるかについて、新製品のイノベーション、新生産システム・新生産技術のイノベーション、イノベーションを生み出す組織・制度・政策対応、イノベーテイブな新製品に対する市場開拓等、さまざまな角度から検討します。特に、東アジアにイノベーション創発の力が生まれつつあるといえるのか、そうだとすれば、それは今後どのようなインパクトを東アジアと世界にもつことになるかについて、検討します。これによって、ますます東アジアを中心に世界規模でのイノベーション創発が促進され世界経済のいっそうの活性化へとつながる道を探ります。実務家にとっても、研究者にとっても今回のシンポジウムが有益であり示唆に富むものであると確信しておりますので、多数のご参加を歓迎いたします。
(使用言語は英語です。)
日時: 2005年5月20日(金)及び21日(土)9:30〜17:00
会場: 二松学舎大学九段キャンパス中洲記念講堂
主催: 二松学舎大学、ドイツ日本研究所
後援: 在日本ドイツ大使館、財団法人海外投融資財団、二松学舎大学国際政治経済学会
参加費: 無料(一般参加可:先着500名)
プログラム 第1日目(5月20日(金))
※報告書はpdfファイルで作成されております。
9:30-10:00 開会挨拶
今西 幹一(二松学舎大学 学長)
Florian Coulmas(ドイツ日本研究所長)
Thomas Schroder(ドイツ大使館参事官)
10:00-10:30 第1セッション:イノベーション創発への道
司会 : デニス立木(玉川大学教授)
報告者 : 手島茂樹(二松学舎大学教授・大学院国際政治経済学研究科長)
Rene Haak(ドイツ日本研究所副所長)
10:00-10:30 第1セッション:イノベーション創発への道
司会 : デニス立木(玉川大学教授)
報告者 : 手島茂樹(二松学舎大学教授・大学院国際政治経済学研究科長)
Rene Haak(ドイツ日本研究所副所長)
10:30-11:00 休憩
11:00-12:30 第2セッション:各国のイノベーションの状況(日本、韓国、アジア)
司会 : 手島茂樹(二松学舎大学教授)
報告者 : Dieter Ernst(米国イーストウエストセンター上級研究員)
元橋一之(東京大学教授)
Martin Hemmert (高麗大学教授)
12:30-14:00 昼食
14:00-15:30 第3セッション:実業界から見た新製品、新市場のイノベーション(情報、バイオ、ナノ)
司会 : Rene Haak(ドイツ日本研究所副所長)
報告者 : 浦上清(浦上アジア経営研究所代表)
Wolfgang Beitz(シーメンス)
Wiessmeier (Bayer AG)
15:30-16:00 休憩
16:00-17:30 第4セッション:イノベーション創発のための政策対応
司会 : 洞口治夫(法政大学教授)
報告者 : Klaus Bellman(マインツ大学教授)
中山一郎(信州大学教授、内閣官房知的財産戦略推進事務局)
17:30-17:45 第1日目の総括 : 手島、Haak、立木
プログラム 第2日目(5月21日(土))
10:30-12:00 第5セッション:民間と政府の協調:地域・産業別クラスター、国内・国際企業間の連携
司会 : Rene Haak(ドイツ日本研究所副所長)
報告者 : 舛山誠一(中部大学教授)
手島茂樹(二松学舎大学教授)
R&D and innovation by the Japanese firms in Japan and foreign countries, especially in
Aian countries
12:00-13:30 昼食
13:30-15:00 第6セッション:イノベーションを起こす組織
司会 : Lorenz Granrath(フラウンホーファー協会)
報告者 : Holger Ernst(Otto Beisheim経営大学院教授)
Monika Friedrich-Nishio(カールスルーエ大学)
石山嘉英(千葉商科大学教授)
15:00-15:30 休憩
15:30-17:00 第7セッション:イノベーションの結果
司会 : Manfred Hoffman(在日ドイツ商工会議所)
報告者 : 辻正次(大阪大学教授)
田村紀之(二松学舎大学教授)
China Phenomena and South Korean Turmoil: What's Wrong
with Traditional Theories of Development?
Markus Pudelko(エデインバラ大学経営大学院)
17:00 最終総括 :手島、Haak、立木
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