事業の概要

事業の概要

1.法人

(1)長期ビジョン「 N’2030 Plan 」による改革
 二松学舎創立140周年(2017(平成29)年10月)を機に策定した新長期ビジョンN’2030 Planにより、「いままでの140年、これからの140年」をテーマに、建学の精神に基づき「豊かな人間力を有し、自ら考え行動する人材、人々の長い歴史と英知を擁する古典から未来を学び、的確な国語力を備えた真の国際人の養成」を基本とし、複雑化する社会のニーズに応える教育体制を構築する。
 法人部門では、ガバナンスの充実・強化、財務の安定的な管理・運用、恒常的な寄付金募集体制の強化、補助金の獲得、適切な資金運用、法人財務格付の実施などにより、本学のブランド力の向上及び各設置校の志願者・入学者の増加・安定を目標とする。
  1. ①改正私立学校法の施行に向けたガバナンス改革
  2. ②大学学部・学科の改編に向けた検討
  3. ③設置校の2030年に向けたカリキュラム改革
  4. ④附属柏中学校の定員確保
  5. ⑤KPIダッシュボードによる長期ビジョン「N’2030Plan」の進捗管理
  6. ⑥DXの推進による各種業務の効率化
  7. ⑦日本私立大学協会「役員賠償責任保険」継続による危機管理
(2)キャンパス整備
  1. ①二松学舎大学
    • ・九段キャンパスの整備・拡充
    • ・柏キャンパスの整備・維持
  2. ②附属高等学校
    • ・九段校舎リニューアルの検討
    • ・柏グラウンド活用体制の確立
  3. ③附属柏中学校・高等学校
    • ・既存施設設備の整備・充実

2.大学(学部・大学院)

(1)教育の方向性と充実策
①新学科の設置
 2022(令和4)年度には文学部に新学科「歴史文化学科」を開設した。3年目を迎える本年度は、専門性の高いゼミナールを開講し、より充実した教育内容になるよう、教授会や学科会議等で他学科の事例も参考にしながら、検討、調整を進めていく。
②新カリキュラム
 2022(令和4)年度入学生から導入した新カリキュラムは、学生各自が所属する学部学科の専門性を身に付けるだけではなく、異なる学科の専門科目も履修することにより、多様な学びを実現できるようになっている。また、大学生としての基本的な教養や社会人としての基礎力を身に付けることを目的として、全学部生の共通科目として、基礎ゼミナール、自校教育科目、未来ビジョン科目、総合教育科目の区分を設けている。このカリキュラムにより、デジタル社会における素養を身に付け、さらに多様な視点をもって複雑化する課題に対応できる学生を輩出する。
③IR(インスティテューショナル・リサーチ)
 大学の諸活動に関する情報収集・分析を行い、大学の教育改善と教育改革につなげることを目的に、IR推進室を中心にIR活動を推進する。
 また、学修成果測定プログラム(PROGテスト)の実施とポートフォリオへの掲載により、学修成果の客観的測定と可視化、自らの特性・適性を踏まえた就職活動指導などに活用する。
④学生へのアンケートの実施
 大学の自己点検・評価活動の一環として学生による授業アンケートを実施し、学生の意識を調査・分析することにより、個々の授業の改善や今後の教育改革に役立てる。また、大学の諸制度に関する学生の実態・満足度調査を行い、問題意識と課題を共有し業務改善およびCS向上に繋げる。
⑤学術研究支援等の充実
  • ・本学卒業現職教員の教育実践発表の場を提供し、研修・情報交換の場とするため「教育研究大会」を開催するなど教育支援を行う。
  • ・東アジア学術総合研究所では、陽明学・日本漢学に関する研究や共同研究プロジェクトの推進を支援し、研究成果報告書の刊行を助成する。陽明学関係資料データベースを5ヵ年計画で構築する。
  • ・「漱石アンドロイド」に係る大阪大学との共同研究により、大学・高等学校・中学校等での活用、講演・授業プログラムの開発ほか、シンポジウムの開催、次世代AIシステムの調査等を行う。
  • ・研究室に設置の教員用パソコンを刷新し、オンラインやハイブリッド授業に対応できる性能のものを配置することで教育効果を高める。
(2)施設・設備の整備
①教育研究環境の整備
 新入生用ノートパソコンの配付(1人1台)、Webプリントシステムの導入よるプリンター利用環境の向上、アクティブラーニング等に対応するPC教室の改修、各教室設置の教卓PCの更新、教学システムの更新、九段1号館地下3階トイレの改修、柏1号館の内装工事、柏キャンパス構内の舗装工事などを実施する。
②大学資料展示室の充実
 二松学舎関係者の軸・書簡や近現代作家の初版本・草稿類など文学界にとっても貴重な資料の収集と修復を行い、コレクションのさらなる充実を図る。収集した資料の常設展示、テーマを設けた企画展示や講演会を行う。
③図書館の充実
 図書館内外から利用できる電子書籍等のさらなる充実を図る。また、電子ジャーナル契約タイトルを見直し予算を効率的に執行する。図書館利用者の要望を把握するために図書館入口に設置した目安箱を活用し、図書館サービスの更なる向上を目指す。
(3)学生支援の強化
①教学DXの推進
 新カリキュラムの導入と併せ、「学習者本位の教育」の確立、また「教育の質保証」の観点から「学習成果の可視化」を推進するため、教学システムの入れ替えを行う。さらに学習支援ツールとして新たな「LMS」(Learning Management System)を導入し、2025年度からの運用を目指す。本システムの導入により、今まで以上に指導教員と学生間のコミュニケーションが促進されることが期待される他、ディプロマサプリメントとの連携により、学生各自が学習成果を客観的指標と共に容易に振り返ることが出来る仕組みを構築する。
②奨学金制度
 学生生徒の就学意欲の維持向上、退学者の減少や学生生徒募集のためにも奨学金制度の拡充が重要であり、「授業料減免制度」や「貸与奨学金制度」等を含めて学生を支援する。2007(平成19)年度から二松学舎教育研究振興資金の募集により、毎年度奨学基金を増額しているほか、本学100%出資の事業会社である「二松学舎サービス株式会社」からの寄付金を原資とした「二松学舎サービス株式会社奨学金」や給付型奨学金付入試などを実施している。さらに2024年度から大学院生向けの独自奨学金を設け、高度な研究に専心できる環境づくりの支援を行っている。今後も145周年事業の一環として奨学金制度充実のための見直しを図る。
③キャリア教育の充実
 2030年度の社会構造や就職環境を見据え、多様な分野で活躍できるようキャリア教育を充実させる。マイクロソフトオフィススペシャリスト取得講座(MOS)、ITパスポート、サービス介助士講座、秘書検定講座など資格教育の充実、業界セミナー、大学と外部機関との連携体制の確立や企業との連携による職業適正検査などの実施、自己分析セミナーやキャリア形成支援ワークショップのほか、インターンシップによる職業体験や社会人基礎力の向上など、出口教育の充実・強化を図る。
④進路・就職支援
 「キャリアデザイン」をはじめとする正課授業における各キャリア教育科目のほか、キャリアセンターにおいて、公務員試験およびSPI対策講座、就職サポートプログラムによる講座の実施、各種業界セミナーや企業説明会のほか、エントリーシート・履歴書の添削指導、面接・グループディスカッションなど実践的な対策講座の実施により就職力の強化を図る。さらにMOSやITパスポートの資格取得講座も展開し、学生のITスキル向上にも寄与する。また、企業訪問や企業開拓・就職採用情報の収集を効果的に実施している。就職情報の一元化による就職管理システムや常駐キャリアカウンセラーによる就職相談などのほか、オンラインも活用した面談や相談会の実施など学生の就職活動を支援する。
 教職関連では、学習指導案の作成、模擬授業の実践、論作文添削、個人面接・集団討論などの個別指導により、実績のある国語科、書道科のみならず社会科、地理歴史科、公民科の教員養成の充実・強化を図る。各自治体教育委員会採用担当者による説明会や卒業生の現職教員と教員採用選考合格学生との懇談会、教員採用選考合格学生による下級生向けの合格報告会などを学内で開催するほか、教職のインターンシップである教職実務研修の実施、教職対策講座の開講などの各種取り組みにより、教職課程センターを中心に教員志望学生を支援する。
⑤グローバル化の推進
 世界で広く活躍できる人材を育成するため、東アジアやその他地域の大学と提携し、留学生の派遣と受け入れ、相互交流のための環境整備と留学費用の助成制度の拡充、留学カウンセラーによる個別相談など留学支援体制を強化する。国際交流センターにおける外国語及び留学に係る自主的な学習機会の提供、語学検定試験費用助成、語学検定試験の単位化の積極的な運用、試験対策講座の実施などによって、外国語検定試験合格者の増強を図る。
 グローバルマインドを養うため短期海外語学研修(中国、韓国、アメリカ、英国、オーストラリア、カナダなど)の実施、文学研究科におけるダブルディグリープログラムの推進、相互留学支援や本学学生の留学機会を増やすため海外協定校の拡充を図ると共に、「認定留学制度」について検討を進める。本学は「JCSOS海外留学安全対策協議会」に加盟しており、危機管理体制の万全を期す。
 また、「日本語・日本学特別プログラム」として中国の協定校から留学生を受け入れるほか、大学院留学生を対象にした「国際日本学特別プログラム」を継続して実施している。
 関係省庁等が提唱する「留学生の就職支援」に係るプラットフォームの構築等を進める。
⑥学生相談室による支援
 専任カウンセラーと専任教員を配置し、修学と学生生活の支援、メンタルヘルスの維持・促進、人間的成長・発達を目的として、大学生活における諸問題に関するカウンセリング、フリースペース(居場所)の運営、心理教育プログラムのほか、学生相談室主催のFD・SD活動として教職員・保護者へのコンサルテーションや研修を行う。新型コロナウイルス感染拡大による社会不安がみられる中で、メンタル不調等を訴える学生に対応し、専門カウンセラーの人数を増強しており、引き続き細やかな対応を図る。
⑦学生サポートの充実
 「授業内容が聞き取れない、書き取れない」「板書や配布資料が読めない」など、障がいのある学生がより良い環境で授業を受けることができるよう、授業支援機材の導入、授業を筆記するノートテイカー養成講習や障がい学生支援講演会を実施し、サポートスタッフの育成と障がい学生等多様な学生に対する修学支援の充実を図る。
 学生の日頃の悩みや不安を教員と相談できるスペースを確保するほか、学外団体の協力を得て、対面での相談に抵抗のある学生へ配慮した24時間電話相談窓口やWEBで相談ができるシステムも導入し、学生生活を円滑に過ごすことができる取り組みを図る。
(4)社会貢献
①地域と連携した教育研究事業
 本学が所在する東京都千代田区や千葉県柏市との包括連携協定を締結し、その協定事業を行っている。千代田区内の6大学(大妻女子大学・大妻女子大学短期大学部、共立女子大学・共立女子短期大学、専修大学、東京家政学院大学、二松学舎大学、法政大学)と千代田区との高等教育連携強化コンソーシアムにより、ボランティア活動、共同FD・SD、千代田区をフィールドにした課題解決プログラム、公開講座、シンポジウム、地域の教育支援活動、単位互換など学生交流の活性化や地域・産業界との連携を推進する。柏市との連携においては、柏キャンパス施設の柏市民への開放、災害時に地域住民の避難場所となるなど利用方法の多様化を推進しているほか、大学図書館では特色ある本学図書館所蔵資料の公開や企画展、講演会の開催などを予定している。
②シンポジウム等の開催
 2005(平成17)年度より「シンポジウム『論語』」を開催し、さまざまな角度から『論語』へのアプローチを行っている。2009(平成21)年度から参加者の対象を広げ、『論語』と古典教養の普及を目指して「『論語』の学校 - RONGO ACADEMIA - 」を開催している。また、文学部、国際政治経済学部、大学院文学研究科、大学院国際日本学研究科、東アジア学術総合研究所において、シンポジウムや公開講座などを開催する予定である。
③産学連携への取り組み
 民間企業との連携事業を推進し、相互の立場を尊重し対等平等の立場から、連携協定締結企業を対象とした産学連携による事業創造、人材育成、学術研究交流をはじめとする協力事業を行う。
(5)学生募集対策
 少子化が進む中で、アドミッションポリシーに基づいた選抜方法の確立、給付型奨学金付入試における入学者の追跡調査と制度の効果測定、学生募集広報戦略検討会議による募集広報の見直しと強化、学部・学科の実情に即した広報戦略の立案など、多方面から学生募集対策を行う。また早期募集活動の拡充、オープンキャンパス、模擬授業や見学会等の充実、高校教員や本学卒業生教員への積極的な情報提供、大学案内『VISION』や各種リーフレット、ホームページでの情報発信、SNSによる広報活動と併せ、特に関東地区の高校生に向けた広報展開など学生募集対策の充実を図る。2025年度入試からは、新しい高等学校学習指導要領に則った入学者選抜の適切な実現を目指す。大学院研究科では、新たに導入した本学独自奨学金制度のPRを積極的に行い、学内・学外からの進学希望の増加を目指す。
(6)広報活動
  1. ①オフィシャルホームページ、中国語特設サイトの開設や受験生特設サイトを更に充実させる。学部学科ごとに専用のページを充実させ、学校紹介超短編動画を製作しWEBでの動画配信、SNSの活用などによる様々な情報の発信と学内外への掲示伝達機能を高め、対外広報の強化を図る。
  2. ②本学独自のブランドイメージの確立と向上のため、「漱石アンドロイド」プロジェクトをはじめ、各種メディア対策を実施する。学生募集広報と法人広報の連携強化により、広告媒体の効果測定や見直しにより効果的・効率的な活動を行う。各種媒体を用いた直接的な広報活動のみならず、各種シンポジウムや講演会の実施など総合的な広報活動を展開させる。
(7)卒業生情報の把握
 松苓会(同窓会)と連携協力し、組織的に卒業生情報の管理を行う。正確な卒業生データベースを整備・維持することを目的とし、卒業生の登録住所宛てに調査への協力依頼を郵送、回答フォームから住所変更等を受け付けることとし、卒業生データを整備する。

3.附属高等学校

(1)教育の方向性
 「心を育て 学力を伸ばす」というコンセプトの下、人格教育と社会で十分役立てられる学力養成を目指して教育活動を行う。
  1. ① 建学の精神の実践を全ての教育の基礎とし、二松学舎への愛校心を育てる。
  2. ② 『論語』を通して、東洋固有の道徳に基づいた人格を陶冶し、豊かな人間性を備え社会に貢献できる人物を育成する。
  3. ③ 学力の三要素を涵養するカリキュラムの構築とアクティブラーニングを通じた教育体制の充実に よる学力および進学実績の向上を図る。
(2)教育の充実
 アクティブラーニングや思考力、判断力および表現力の育成を意識した取組など授業内容の充  実を図る。また、外部講師等による学習プログラム「放課後学習支援プログラム(仮称)」、「学舎(まなびや)を実施し、1年生は学力の定着、2年生は2学期から大学受験を念頭に置いた学力伸長、3年生は特進・理系クラスを中心に通年で受験力の強化を図る。放課後の補習授業、夏季・冬季の長期休業中には講習会など特別講習を開講し、学力および進学実績の向上を目指す。さらに、英語力向上のため、英語4技能を測定する実力テストを1、2年生で実施する。
 教育のICT化を推進し、教員及び全生徒がタブレットを活用し、授業での教育ツール、生徒や保護者とのコミュニケーションツール、成績推移やポートフォリオなどの進路相談ツールとして、さらに遠隔授業のツールとして活用の習熟度を上げていく。また、校内研究授業の実施、外部研修会への積極的参加など教員研修の充実を図る。
(3)国際化への対応
 英語の授業において、ネイティブスピーカーのALTを配置し、ネイティブの英語に触れる時間を設けている。また、オーストラリアでの短期ホームステイによる海外語学研修を実施する。さらに、PC教室でのオンライン英会話レッスンにより語学教育を強化しレベルアップを図る。
(4)スクールカウンセラーの配置
 生徒のメンタルケアや保護者の相談に手厚く対応するため、スクールカウンセラーを校内に配置し、専門的立場から学校生活のサポートなどを教職員と連携して行う。
(5)生徒支援
 生徒の入学から卒業までの様々な状況に対応できるよう父母の会や同窓会等との連携を強化する。また、日常的な面接に加え、年2回の面談週間を設定し生徒のサポートを行なう。
(6)施設・設備の整備
 アクティブラーニングに対応したPC教室の再構築、野球部グラウンドフェンスの改修など教育環境整備を実施する。
(7)広報・生徒募集対策
 進学相談会、学校見学会、公開授業、部活動に参加する「学校体験会」などを開催し、9月より本格的な学校説明会を実施する。各取組の質量両面での拡充や、中学・塾等訪問スタッフの配置による緻密な生徒募集を行い、志願者の増加および定着化を図る。また、ホームページを充実させ、各種入試イベント情報やWEB出願システムなど入試情報を見やすくするとともに、学校や生徒の様子を毎日ブログ発信し、受験生への情報伝達を強化する。
(8)高大連携
 二松学舎大学の教員による模擬授業を1、2年生の生徒全員が受講する。また、2年生の希望者が受講する「二松学舎大学『学び』のコース」 (年8回の大学の各学部・学科の代表授業)を引き続き実施する。

4.附属柏中学校・高等学校

(1)教育の方向性
 校訓である「仁愛・正義・誠実」と共に「自問自答」をキーワードとし、『論語』による人間形成を促し、未来を切り拓く「学力」を身に付けた人材を輩出する。
  1. ① 建学の精神を全ての教育の基礎として、二松学舎への愛校心を育てる。
  2. ② 『論語』、東洋の道徳に基づいた人格の陶冶、豊かな人間性を備え社会に貢献できる青少年の育成。
  3. ③ 学力の三要素を涵養するカリキュラムの構築とアクティブラーニングを通じた教育体制の充実による学力および進学実績の向上。
(2)教育の充実
 柏中学校・高等学校では、ネイティブの英語授業、国語、韓国語、中国語の選択講座を設定し、さらに内外の多様な語学研修への参加機会を提供する。
 高校では、進学コースと特進コースに加えて、スーパー特進コースとして難関大学を目指すクラスを設置するなど目標・意欲の高い生徒を入学させ、生徒の学習に向かう態度と自己統率力の育成を行うなど、それぞれ特色ある教育の実践を図っている。中学校では、2022年度より「グローバル探究コース」、「総合探究コース」として、探究学習に重点を置くコース編成に変更し、充実を図っている。
 体験学習としては、中学校では、「沼の教室」、「都市の教室」、「古都の教室」、「雪の教室」、「世界の教室」等、様々な行事による実体験を通した教育を引き続き行うほか、生徒が企業にインターンとして参加し共同の課題に取り組むといった、より実践的な活動も進めていく。高校においては、芸術鑑賞会、2年次の海外研修体験を引き続き行っていく。座学では『論語』教育の実施を中心に、これからの時代に貢献できる十分な「思考力」「判断力」「表現力」「コミュニケーション力」を養成し、建学の理念の実現を目指す。また、中高ともにSDGsを軸とした「社会解決型PBL」、「SDGsコラボレーションプログラム」を通じて、具体的な社会貢献についての体験型学習を実施する。この他、オンライン授業等、通信環境の教育への活用についても積極的に推進していく。
(3)国際化への対応
 台湾の桃園市私立新興高級中学(高校)やオーストラリアのクリーブランドハイスクールと相互交流をより深めるため交流協定を締結しており、相互の短期留学やホームステイを計画している。さらにカナダ、フィリピン、イギリスなどでの語学研修を中・高の学年やコースまたは希望者を対象に実施していく。
(4)スクールカウンセラーの配置
 生徒のメンタルケアや保護者の教育相談に手厚く対応するため、スクールカウンセラーを校内に配置し、専門的立場から学園生活のサポートなどを教職員と連携して行う。
(5)キャリアプログラムの実施
 中学生、高校生に対し、社会における職業的・社会的自立をするための考え方や能力開発教育を実施し、早い段階からの自己理解、社会人とのディスカッションなどを通して、将来の職業観を育成する。高校2年次においては、自己が社会貢献できる進路実現のための計画書である「第一志望宣言書」を生徒に作成させ、学校全体で生徒のキャリアをバックアップする体制を取っていく。また、「二松柏キャリアデザインプログラム」に基づき、新しい進路指導の流れを明確化して指導に当たっているほか、「Google Classroom」・「スタディプラス」等を使った学習のPDCAサイクル確立の指導も行っていく。
(6)施設・設備の整備
 当年度は、南校舎空調設備交換工事、北校舎屋上等防水工事、北・南校舎トイレ改修工事、LL教室改修工事等、既存校舎の改修を順次実施し、教育環境の向上を図る。
(7)広報・生徒募集対策
 近隣の小・中学校や塾との関係強化、訪問スタッフの配置(業務委託を含む)、情報交換会など、情報収集と各種メディアを使用した広報活動を行うほか、例年行っているネイティブスピーカーによる小学生対象の英語教室や、地域の小学校高学年を対象とした勉強会など、積極的な地域活動により知名度の向上を図り、附属柏中学校の入学者獲得について法人全体で取り組む。また、創立145年記念事業として、2022年度にラッピングをリニューアルしたスクールバスを運行し、地域にアピールしている。バスのルートについては、柏駅・我孫子駅の他に新鎌ヶ谷方面に便を拡充しており、これまで通学が不便であった地域の受験者層開拓を進めている。
(8)生徒支援
 生徒による授業アンケート、卒業生と保護者の満足度調査、教員による学校評価(自己評価)を実施し、それに基づく教育の改善を図る。また、「主体的・対話的で深い学び」を目的とした「アクティブラーニング」による各教科における授業実践の継続実施を行う。ベネッセが提供する生徒の学力と学習習慣をチェックする「スタディーサポート」や模試のデータなどを活用して学習指導や進路指導を行なうプログラムである「ファインシステム」を使った担任の面談を増やし、タブレットで情報を共有するなど、学力不振者への補習、不適応者へのカウンセリングなどきめ細かな対応を行う。この他、外部講師や卒業生チューターを活用しながら「放課後学習センター」を継続実施し、生徒一人一人の放課後における学習サポートを更に強化する。
(9)高大連携
 高大接続改革への対応として、大学教員による高大一貫教育を高3選択授業(金5・6限)で実施している。二松学舎大学を第一志望とする生徒の受講指導を行う。