2019年1月28日(予定)、『アンドロイド基本原則―誰が漱石を甦らせる権利をもつのか?』が出版されます。
本書は、2018年8月に本学で開催された漱石アンドロイドをめぐるシンポジウム「誰が漱石を甦らせる権利をもつのか?――偉人アンドロイド基本原則を考える」で展開された議論を一つの核としつつ、アンドロイドが本格的にわたしたちの社会に入ってくる未来についてさまざまな観点から考えていく一冊です。夏目漱石のアンドロイドを制作し運用していくなかで、わたしたちはさまざまな課題や疑問にぶつかることになりました。その経験から出発して、そもそもアンドロイドとは何か、そこにはどのような可能性があり、どのような問題が潜んでいるのかについて、本書は掘り下げていきます。本書のハイライトは、これから社会がアンドロイドとどのように付き合ってくべきかを考えていくための足場となる「アンドロイド基本原則」案です。わたしたちはアンドロイドの制作と運用に対して、いかなる権利と義務をもっているのでしょうか。この正解のない問いをめぐっての格闘の成果が、「アンドロイド基本原則」の提案としてまとめられています。
なお本書末尾の特別付録として、シンポジウムのオープニングアクトとして上演された、演出家で劇作家の平田オリザ氏作・演出の漱石アンドロイド演劇『手紙』の脚本が収録されています(『手紙』は、本サイトの「動画」欄からもご覧いただけます)。
『手紙』動画 ⇒ https://www.nishogakusha-u.ac.jp/android/movie/index.html
目次
- はじめに
- 刊行に寄せて
- 第1章 アンドロイドとは何か
- 1 アンドロイドとは何か
- 2 アンドロイド制作において考慮すべき問題
- 3 アンドロイドの基本原則の必要性
- 第2章 我々はアンドロイドを作った
- 1 漱石アンドロイド計画―発案から本体完成まで
- 2 漱石アンドロイドの制作
- 3 動きはじめる漱石
- 第3章 アンドロイドをめぐるいくつかの論点
- 1 漱石と出会う体験の創出(1) アンドロイド×心理
- 2 漱石と出会う体験の創出(2) アンドロイド×心理
- 3 再生ロボットに権利はあるのか? それは誰が行使するのか? アンドロイド×法
- 4 アンドロイドによる進化 アンドロイド×社会
- 5 アンドロイドの発話行為、どこまでホンモノに近づけるか アンドロイド×ことば
- 6 アンドロイドとのコミュニケーションと体験の価値 アンドロイド×ビジネス
- 第4章 アンドロイド基本原則はどうあるべきか
- ・偉人アンドロイドの基本原則(1) アンドロイド制作の自由原則
- ・偉人アンドロイドの基本原則(2) アンドロイド運用の自由原則
- ・偉人アンドロイドの基本原則(3) アンドロイドの尊厳原則
- ・偉人アンドロイドの基本原則(4) アンドロイドの無権利原則
- ・基本原則案のまとめ
- ・ガイドラインを越えて
- ・「漱石の偶像化」への疑義
- 第5章 人がアンドロイドとして甦る未来
- 特別付録
- ・漱石アンドロイド演劇台本・二松学舎大学版 『手紙』
- ・漱石アンドロイド演劇『手紙』解説
書籍概要
- 名称:『アンドロイド基本原則――誰が漱石を甦らせる権利をもつのか?』
- 著者:漱石アンドロイド共同研究プロジェクト
- 出版社:日刊工業新聞社
- 発行日:2019年1月28日予定
- 定価:1,728円(税込)