幽霊の歴史文化学 二松学舎大学学術叢書一覧

『幽霊の歴史文化学』

幽霊の歴史文化学
編者:小山聡子・松本健太郎(二松学舎大学 文学部)
出版社:思文閣出版 2019年2月28日
四六判 344頁 2,500円+税
ISBN:978-4-7842-1964-3

『幽霊の歴史文化学』紹介

 本来、目に見えないはずの幽霊―しかしこれまで日本人は、それを文学作品や絵画、映像によって描いてきた。
 「幽霊」という言葉の意味は時代によって変遷し、それはときに現代人の多くが想像するものと大きく異なる。
 人びとは幽霊をどう感知し、それを表象するためにいかなる工夫をしてきたのか、幽霊になにを求めたのか。歴史学、メディア学、文学、美術史学、宗教学、社会学、民俗学等さまざまな研究分野から日本人の精神世界の一端に迫る。

目次

  1. 第Ⅰ部 幽霊の存在論―それはどう生起するのか
    1. 生と死の間―霊魂の観点から―(山田雄司)
    2. 幽霊ではなかった幽霊―古代・中世における実像―(小山聡子)
    3. 死霊表象の胚胎―記紀・万葉集を中心に―(松井健人)
  2. 第Ⅱ部 幽霊の表現論―それはどう描かれるのか
    1. 化物振舞―松平南海侯の化物道楽―(近藤瑞木)
    2. 『新釈四谷怪談』のお岩が映しだすもの―占領期の日本映画検閲と田中絹代のスターイメージをめぐって―(鈴木潤)
    3. 祟りきれない老婆と猫―中川信夫『亡霊怪猫屋敷』のモダニティ―(山口直孝)
    4. 幽霊とゾンビ、この相反するもの―肉体と霊魂の関係性と価値観の伝播について―(岡本健)
    5. 予見者・反逆者・哲学者―大塚睦の「幽霊」―(足立元)
  3. 第Ⅲ部 幽霊の空間論―それはどこに出没するのか
    1. 上から出る幽霊―地上七・八尺の異界―(山本陽子)
    2. 立ち現れる神霊―御嶽講の御座儀礼―(小林奈央子)
    3. 大都市江戸の怪異譚―『耳袋』と『反古のうらがき』から―(内田忠賢)
    4. デジタル時代の幽霊表象―監視カメラが自動的/機械的に捕捉した幽霊動画を題材に―(松本健太郎)
    5. 現代社会の幽霊(ゴースト)的読解―ホラー映画の表象とメディアの物質性(マテリアリティ)―(遠藤英樹)