
戦後日本の国語教育 ―二松学舎に学んだ沖山光の軌跡―
編者:沖山光研究会(研究代表者:磯水絵 二松学舎大学 文学部)
出版社:東京学芸大学出版会 2018年3月31日
A5版 493頁 4,500円+税
ISBN:978-4-901665-54-4
『戦後日本の国語教育 ―二松学舎に学んだ沖山光の軌跡―』紹介
国語のアクティブ・ラーニングの源流はここにあり!
今、学校において当たり前のように教えられている国語にも、その教育方法を構築した人物がいる。それが沖山光(1905〜1990)である。青山師範学校卒業後、二松学舎大学で学んだ沖山は、戦後の教育改革のなかで、現代につながる新しい国語教育の確立に深く関わった。本書はこの沖山の伝記であるとともに、彼の提唱した読解の指導法や構造学修論を丁寧に説明した本である。
教育のなかで、子ども自身が学ぶことを重視した沖山の方法は、アクティブ・ラーニングが強調されている現代の教育改革に通じるものがある。一貫して教育現場に関わりながら、ソシュールの理論を取り入れて、教育方法論を構築していった沖山光の生涯と思想は、教育改革を真剣に考える教育者、実践の柱となる理論を模索する学校教員、そして何よりも子どものための教育を目指すすべての大人に、深い示唆を与えるであろう。
目次
- 第1章 教師を目指す
- 1節 沖山光の幼年時代
- 2節 青山師範附属小学校訓導時代
- 第2章 二松学舎専門学校時代
- 1節 二松学舎専門学校
- 2節 入学の経緯
- 3節 言語学との出会い
- 第3章 文部省時代
- 1節 敗戦直後の文部省
- 2節 教科書編纂
- 3節 学習指導要領
- 4節 実験学校
- 5節 筆順指導の手びき
- 第4章 諸家との交流
- 1節 国語教育と言語学 ―小林英夫
- 2節 号「一路」 ―山本有三
- 第5章 構造的読解指導の形成
- 1節 経験主義と単元学習
- 2節 総合主義批判から読解指導へ
- 3節 構造的読解指導の形成
- 第6章 構造的読解指導の提唱
- 1節 国語科における構造的読解指導提唱の背景
- 2節 小林英夫の言語学理論に立つ構造的読解指導の創造
- 3節 学習者の視点をより鮮明に、トレーニング学習の提唱
- 4節 構造国語教育的読解から構造学習論への発展
- 5節 構造学習の実践的展開
- 6節 「構造学習論」に対する評価
- 7節 沖山の願い
- 第7章 沖山光の教育思想
- 1節 国語教師を目指す
- 2節 「創作ノート」に著された沖山光の教育思想
- 3節 青年教師としての軌跡
- 4節 『一点凝視の読方教育』から読み取る国語教育思想の萌芽
- 5節 国語教育思想の確立と実践への道筋
- 6節 実験学校の教師と児童で創り上げた構造国語教育論
- 7節 構造国語教育から構造学習論への発展
- 第8章 『低学年における 総合的取扱の研究』について
- 1節 沖山光と大正自由教育 ―未完の草稿『総合的取扱の研究』を手がかりに
- 2節 附載 沖山光『低学年における 総合的取扱の研究』全文翻刻
- 沖山光略年譜
- 沖山光著作目録