Greeting
理事長ごあいさつ

本学を応援してくださるすべての皆様におかれましては、日頃より本学法人の教育・研究活動に対して多大なるご理解とご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
本学は来る2027年10月、栄えある創立150周年という歴史的な節目を迎えます。明治10年の草創期以来、創設者三島中洲翁による「東洋の精神による人格の陶冶」という建学の精神を不変の礎とし、社会に有為な人材を数多く輩出してまいりました。今日まで絶えることなく歴史を紡ぎ重ねることができましたのは、ひとえに教職員、卒業生、在学生、保護者の皆様、そして地域社会の皆様の温かいご支援とご愛顧の賜物であり、深甚なる感謝を申し上げます。
本学はこれまで、創立140周年記念事業の一環として中長期ビジョン「N'2030 Plan」を掲げ、全学の叡智を結集してその推進に邁進してまいりました。足掛け9年に及ぶ不断の取り組みを結実させ、外部格付け機関からの健全かつ高評価の財務格付け継続や正味財産の大幅な拡充等他大学の追随を許さない堅固な経営・財務基盤を確立いたしました。教学面におきましても、この間の両学部での新学科や専攻科の新設、体系的キャリア教育の実践による極めて高い就職実績や奨学金制度の飛躍的拡充を達成し、少子化という激浪の中にありながらも、両附属校を含む学園全体の在籍規模は順調な拡大を見せております。
このように強固な財務が学生支援と大学九段3、4、5、6号館の校舎新設等九段キャンパス施設整備を支え、この間の大学学部・大学院の新学科や専攻科の新設や附属柏中高等学校の進学校化を背景としたブランドアップ等を背景に在籍増を生む好循環が形成されてきました。そうした意味合いで「N'2030 Plan」は十分なる成果を挙げたといえます。
こうした確固たる成果を基盤としつつ、本学は今、次なる飛躍に向けた未来への課題を真摯に見つめております。本学が提供する教育・支援の卓越した価値を社会の公正な評価とブランド力の向上へと着実に昇華させること、多様化する学生一人ひとりの精神的自立を温かく伴走支援すること、そして急速に発展するAIをはじめとする技術革新を見据え、「これからの時代に求められる新たな学びの形」へといかに進化を遂げるか。これらのテーマは、本学がさらなる高みへと上り詰めるための尊いステップでもあります。
「N'2030 Plan」の総括を通じて展望する各領域の進捗と未来への指針は、以下の通りであります。
大学教育・学生支援の領域では、両学部での新学科や専攻科の新設、新カリキュラムの定着や教学DXの進展を糧に、学修成果の多面的な可視化を通じた教育の質保証をさらに深めてまいります。併せて「学生相談センター」の機能拡充など、学生の心身に寄り添うきめ細かな支援体制を高度化いたします。また社会人の高度な学びの需要に即応するとともに、文理融合の知を見据えた新たな教育組織のあり方を探求いたします。
附属中高および法人運営の領域においては、進学校としての高いブランド力を堅持しつつ、次世代型の教育環境を継続的に整備いたします。中高大の一貫した接続教育をより魅力的なものへと昇華させるとともに、九段・柏両キャンパスの将来像を見据えた環境再整備、持続可能な経営基盤・ガバナンスの盤石化、ならびに本学の真価を広く社会に届ける広報戦略を力強く推進してまいります。
これら未来への歩みを固める中、私たちは「2040年問題」に象徴される高等教育の歴史的転換期に直面しております。18歳人口の大幅な減少という構造的変化に加え、生成AIをはじめとする先端技術の爆発的普及は、社会のあり方のみならず、「知識の修得」を主軸としてきた従来の教育観に根本的なパラダイムシフトを迫っております。知識の伝達を超え、AI社会に適合するための「全く新しい教育体制の構築」を果たすことは、高等教育機関として果たすべき喫緊の使命にほかなりません。
全教職員を対象として実施した昨年のSD研修の場におきましても、「AI社会において新たな教育体制を構築する上での最大の拠り所こそ、本学が150年培ってきた『東洋の精神に基づく人格教育』であり『人間中心の教育』である」という深い確信が共有されました。AIには決して代替し得ない「創造力」「共感力」「倫理観」を培う本学伝統の少人数教育の真価が、今まさに時代の要請として問われているのです。
私は、こうした全学の情熱と時代への鋭い洞察を深く受け止め、AI社会に適応する新教育・研究体制を確立する不退転の羅針盤として、教職員の皆さんへ、「N'2040 Plan」を策定する必要性を表明、以下の10項目に及ぶ提言・実行計画の具体的な構想を示し、意見を伺うこととしております。
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1. 基本理念の進化:「共創知によるウェルビーイングの涵養」
人間と技術、あるいは多様な他者が協働して新たな価値を紡ぎ出す「共創知」を育み、学生と社会の持続的な幸福(ウェルビーイング)を結実させる教育へと理念を進化させます。
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2. 学士課程教育の質の引上げと大学院教育の抜本的強化
主体的な思索を促す学びを深化させるとともに、高度な専門知をもって時代を牽引する大学院教育の再構築を断行いたします。
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3. 文理融合学部・学科(仮称)の創設
人文学の深い知見とデータサイエンス等の先端技術を高度に融合させた新たな教育領域を構想し、新時代を切り拓く人材を育成します。
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4. 新しい時代の教員養成
教育のデジタル化が進む時代にあっても、児童・生徒の心に深く寄り添い導く「伴走者」としての高度な教員を育成します。
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5. グローバル化の推進
43の協定校との交流充実を図り、研究拠点を「漢学の国際ハブ」へと昇華させるとともに、学術資産のデジタル発信とグローバルサウス等からの優秀な留学生の受け入れを強力に推進します。
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6. 社会連携の強化
社会人の学び直し(リカレント教育)の拠点を拡充し、自治体・企業・他大学とのさらに深い連携のもと、社会課題解決に資する知のプロジェクトを展開します。
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7. キャンパスと学生支援の革新
先進的な協働学習空間を創出するとともに、AIでは代替し得ない人間味あふれる温かな対話と伴走型サポート体制を確立します。
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8. 持続可能な経営基盤の確立と戦略的広報の推進
真の業務プロセス最適化(BPR)を伴うDXを推進し、教職員の能力を最大限に高め、揺るぎなき持続可能な財務・ガバナンス基盤を堅持します。漱石アンドロイド2.0版を擁しての広報展開を推進します。
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9. 「二松エクスペリエンス」制度の導入(附属中高・大連携事業)
附属中高から大学に至る独自の教育体験を体系化し、学園全体への帰属意識と誇りを育む一貫教育の魅力を飛躍的に高めます。また両附属高校の質的引き上げを図ってまいります。
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10. 実行計画の進捗管理と組織文化の醸成
かかる課題に対しては、現場の知恵を生かすボトムアップの対話を尊重し、確実な進捗管理のもとで、不確実な時代への果敢な挑戦を賛えるしなやかな組織文化を醸成します。
「N'2040 Plan」の策定におきましては、全構成員から寄せられた誠真なる声を礎とし、「創意を以って総意となす」精神のもとで不退転の作業を進めてまいります。学園の知恵と情熱を結集し、「2040年問題とAI社会」という新たな大海原を切り拓く強固な教育・研究体制と明確な航路を、共に創り上げようではありませんか。
創立150周年という佳節は、過去の栄光を称えるのみならず、次なる創立200周年への大いなる飛翔の起点であります。本学を応援してくださるすべての皆様におかれましては、今後とも変わらぬご薫陶と温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。共に、二松学舎の新たなる栄光の歴史を切り拓いてまいりましょう。
学校法人二松学舎理事長



