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二松學舍新聞

タブロイド版
6ページ
年3回発行(5月、10月、1月)

二松學舍新聞 第70号 2016.10.20

1面

創立140周年に向けて ― 周年記念事業進捗報告 ―
「漱石アンドロイド」プロジェクト

プロジェクト概要

周年記念事業の一環として、既に取り組みが始まっている「漱石アンドロイド」プロジェクト。
このプロジェクトは、本学の卒業生であり、日本を代表する文豪・夏目漱石(以下、漱石)のアンドロイドを製作し、朗読や講義用のプログラムを開発、搭載し、大学生や高校生、中学生へ講義や授業を行うというもので、二松學舍大学大学院文学研究科と大阪大学大学院基礎工学研究科との共同研究として行っている。漱石が職業作家として働いていた朝日新聞社からも資料提供などの協力を得、現在、順調に製作が進んでいる。
アンドロイド本体の監修は、ロボット工学者として世界的に有名で、「マツコロイド」などでも知られる、大阪大学の石黒浩特別教授。また、漱石の子孫で、学習院大学の夏目房之介教授の協力を得て、「漱石アンドロイド」の声のもととなる音素を抽出。それを解析し、アンドロイドの声を創る。アンドロイドの顔は、朝日新聞社が所蔵する漱石の「デスマスク」を3Dスキャンして得られたデータから制作した。
言語や動作プログラムは、現在制作中で、漱石作品の朗読や講演を再現するプログラムを搭載する。

漱石と二松學舍

漱石は、明治14年、本学の前身、漢学塾二松學舍に入学、創立者である三島中洲から漢学などを学んだ。
当時のことを漱石は、談話『落第』(明治39年初出)の中で「何事も徹底して漢学式で、輪講の順番を決めるくじも漢学流だった」「机もない古い畳の上で、かるた取りのときのような姿勢で勉強した」と回想している。
今年中には、いくつかのプログラムを搭載し、完成する「漱石アンドロイド」。今後、さらに授業用のプログラムが開発され、来年度には本格的に運用される。来年開催する140周年の記念式典イベントにも登場する予定。
記念式典
周年事業準備委員会では、平成29年10月10日、二松學舍大学九段1号館中洲記念講堂を会場に、二松學舍創立140周年記念式典を開催することを決定した。式典では、140年の歴史を振り返りながら二松學舍の「未来」のビジョンを映し出す映像作品の上映や、長期ビジョン「N΄2030 Plan」の公表などを予定している。講演会イベントも現在検討中。
校舎ラッピング
9月8日、1年後に控えた140周年を記念し、九段1号館を装飾する柱巻きや横断幕のラッピング工事が完了した。
ラッピングは二松學舍のシンボルカラーであるグリーンとブルーを基調にデザイン。内堀通りに面したエントランスにブルーの柱巻を、四本の柱をつなぐ壁面にはグリーンの横断幕を施し、それぞれに、「創立140周年二松學舍」「140th Anniversary NISHOGAKUSHA UNIVERSITY」と、周年のキャッチフレーズ「いままでの140年。これからの140年。」が記されている。夜にはライトアップも行われ、周年を迎えるキャンパスに彩りを添えている。
クラウドファンディングA-Portで支援募集開始
製作が順調に進む「漱石アンドロイド」。二松學舍では、世代を問わず多くの方に「漱石アンドロイド」に触れてもらい、今までに経験したことのない興味や未来に出会ってほしいと、「文豪・夏目漱石をアンドロイドとしてよみがえらせ、学校の教壇に立たせたい」をコンセプトに、朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト「A-Port」で支援を求め、「漱石アンドロイド」のプログラム開発を行っていく。
クラウドファンディングとは、研究や、製品、サービスの開発、もしくはアイデアの実現など、ある目的のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募るシステム。
「漱石アンドロイド」完成後は、支援金により、さまざまな授業や講義用のプログラムを開発、搭載。教育現場での、「漱石アンドロイド」の幅広い活用を目指す。
二松學舍では「A-Port」で平成29年1月31日まで、広く支援金を募集し、支援者には、講演会への招待など、「漱石アンドロイド」との触れ合いを体験できる特典を用意している。
平成29年4月二松學舍大学文学部に都市文化デザイン学科開設
平成29年4月、文学部に都市文化デザイン学科を開設する。
二松學舍大学では、創立140周年記念事業の一環として、平成27年度から、文学部の新学科開設に向け、学部改組の検討を行ってきた。今年4月、文部科学省に届け出を行い、6月28日に受理された。
国文学・中国文学・語学・文化などの素養を身に付け、さらに日本文化、東洋文化の本質を身に付けた、異文化に対する深い理解を備えた真の国際人を育成してきた文学部。「都市文化デザイン学科」では、こうした文学部の学びを基礎として、文芸文化における表現コンテンツに関する調査・分析をもとにした創造的企画力の高い能力を持った人材、および都市と地域の伝統・文化を理解し、その文化的受容性や新たな概念としての整理創造を通し、社会をどのように豊かにしていくかについて課題整理・解決に向けた行動ができる人材の養成を目指す。
具体的には、
①文芸文化における表現コンテンツを広く社会に発信する創造力、情報発信力を修得している。
②都市と地域の伝統と文化に関する理解を基にした国際的な共生社会を構築する力を修得している。
③多様な価値観を理解し、新たな概念として整理創造する力を修得している。
④現代情報社会の文化的状況を分析して優れた知見を発見・入手する幅広い知識とスキルを修得している
⑤表現や文化に関して修得したスキルおよび専門知識を生かし、実社会におけるさまざまな実務を通じて社会貢献に尽力しようとする豊かな人間性を持っている。
新学科では、こうした能力を身に付け、卒業後には、編集・出版・ジャーナリズムの他、民間企業、地方自治体、独立行政法人等の企画・広報・マーケティング・営業・福利厚生・製品開発部門などのジャンルで活躍する人材を育成していく。

2面

二松學舍賛助員称号授与式
平成28年6月28日、九段1号館で二松學舍賛助員称号授与式が開催された。
学校法人二松學舍では、二松學舍教育研究振興資金(以下、振興資金)の高額寄附者および振興資金以外の寄附金または現物寄附の寄附者で、称号を授与された者と同等以上の功績のある者に対し、「二松學舍栄誉賛助員」「二松學舍賛助員」の称号を贈る。
今年度は、振興資金高額寄附者2名が二松學舍賛助員として、表彰された。
【表彰者】(敬称略)
根本 義尚 学校法人二松學舍監事
深澤 賢治 学校法人二松學舍舍友
※深澤氏は所用のため、授与式は欠席されました。
永年勤続表彰
10月12日、九段1号館において永年勤続表彰が行われた。
本年は、勤続30年2名、勤続15年2名の計4名が表彰された。表彰者は次の通り。
(敬称略)
30年勤続
附属高等学校教員 戸井田晃尚
附属高等学校教員 木村 康子
15年勤続
大学文学部教授 五井 信
大学職員 篠原 貴
100円朝食
二松學舍大学では、「食育」の観点から、在学生に、朝食をきちんと取り、栄養バランスのとれた規則正しい食習慣を身につけてもらうことを目的に、九段1号館地下1階の学生食堂で、「100円朝食」を実施している。
これは、二松學舍大学の同窓会組織である「二松學舍松苓会」の支援により実現したもので、5月11日から、毎週水曜日と木曜日の2回、8時15分から9時30分の間、1日30食限定でスタートした。
スペイン風オムレツやさわらの西京焼、ミートボールなど、和洋おりまぜたメニューは、学生にも好評で、完売となる日も多い。
11月1日からは、月曜日、火曜日、金曜日について、大学父母会の協力を得て「100円朝食」を試験的に行う。
これにより、学生食堂で平日の毎日、栄養バランスのとれた朝食を学生に提供できることとなる。
熊本地震被災者支援
「平成28年熊本地震」募金活動報告
学校法人二松學舍では、熊本地震の被災者の皆さまを支援するため、大学、附属高等学校、附属柏中学校・高等学校で、それぞれ義捐金の募集活動を実施した。
二松學舍大学では、4月20日から5月31日の間、九段1号館地下1階学生ホールおよび13階展望レストラン Café soraに募金箱を設置し、学内関係者や、学生食堂、展望レストラン Café soraを利用されている外部の方々に対し義捐金の協力を呼び掛けた。
また、5月9日から13日の5日間には、文学部国文学科、原ゼミナールの学生を中心に、学生会執行部やボランティアサークル・グリーンワークスの学生も参加して、九段1号館前および地下1階学生ホールで募金活動も行った。毎日昼休みの時間に、15名から20名の学生が少人数のグループに分かれ、手作りの募金箱を手に、九段1号館前や地下1階学生ホールに立ち、募金の呼び掛けを行った。
附属高等学校では、4月21日から23日の3日間、「熊本震災義捐金のおねがい」 として、生徒会とボランティア同好会の生徒が中心となり、朝の登校時間と昼休みの時間、校門の前に立ち、募金活動を行った。
附属柏中学・高等学校でも、4月20日から5月31日の間、校内(大学柏キャンパスを含む)に募金箱を設置。さらに、附属柏高等学校福祉委員会の生徒は、柏駅周辺でも募金活動を行った。
寄せられた義捐金の総額は470,624円。内、大学と附属柏中学・高校については、6月30日に、西畑一哉学校法人二松學舍常任理事と、学生を代表し河野大地さん、磯田愛美さん(原ゼミナール3年)が、千代田区平河町の熊本県東京事務所を訪問、渡邉純一所長に面会し、361,304円をお届けした。
また、附属高等学校に寄せられた義捐金109,320円は、毎日新聞東京社会事業団を通し、被災地にお届けした。
二松學舍オリジナルマスコットキャラクター制作
学校法人二松學舍では創立140周年に向けて、オリジナルマスコットキャラクターを制作する。現在、立体化、各種PR媒体、グッズ開発などで使用するキャラクターの原案(デザインと名称)を募集中。
キャラクターは、二松學舍で学んだ夏目漱石の代表作『吾輩は猫である』にちなみ、「猫」をモチーフにしたもので、応募対象者は、二松學舍大学在学生、二松學舍大学大学院在学生、附属高等学校在校生、附属柏中学校・高等学校在校生、および学校法人二松學舍教職員。
応募締切は12月25日で、募集終了後、「キャラクター」選考委員会にて、第1次審査を行い、候補作品で人気投票を 実施し、採用作品を決定。それを基に、プロのデザイナーにキャラクターの制作を依頼する予定。採用作品(一点)には賞状と副賞を、また、応募者全員に二松學舍オリジナルグッズが贈られる。
※募集要項については、ホームページをご覧ください。
【お問い合わせ】
企画・財務課 TEL 03-3261-1298
平成28年度寄付者芳名
学校法人二松學舍は、大学、附属高等学校、附属柏中学校・高等学校の諸施設設備の充実を図るため、平成19年12月から「二松學舍教育研究振興資金」の募金活動を行っています。
今回は、「二松學舍教育研究振興資金」として、平成28年4月1日以降、平成28年9月30日までにご入金いただき事務処理などが完了した方のご芳名を掲載いたします。今回掲載できなかった方につきましては次号(71号)以降に掲載いたしますのでご了承ください。ご芳名は、申込書や振込用紙、インターネットなどの申し込みフォームに記入されたご依頼人氏名の表記(敬称略)とさせていただきました。また各種行事などへの寄付者のご芳名も併せて掲載いたします。(掲載を辞退された方々のご芳名は除かせていただいております。)
二松學舍教育研究振興資金
募金状況は、平成28年9月30日現在総額379,664,963円となりました。ご協力に心より感謝し、厚く御礼申し上げます。
二松學舍『創立140周年記念』募金のお願い
学校法人二松學舍では、これまで「二松學舍教育研究振興資金」の募集を行ってきましたが、本年度から創立140周年記念募金として募集いたします。
この募金は、寄付金の使途を左記の通り指定することができ、さらに、税制上の優遇措置が受けられます。
  ①大学の教育環境整備
  ②附属高等学校の教育環境整備
  ③附属柏高等学校の教育環境整備
  ④附属柏中学校の教育環境整備
  ⑤学生・生徒の奨学金の基金
  ⑥被災学生・経済的困窮学生への支援
  ⑦用途を指定しない
下記にご連絡いただければ専用払込用紙をお送りいたします。お申し込み方法の詳細につきましては、本学ホームページをご覧ください。
ホームページからのお申し込みも可能です。何とぞ、募金活動の趣旨をご理解いただき、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
【お問い合わせ】
企画・財務課 TEL 03-3261-1298

3面

二松學舍大学文学部 学生主体型プロジェクトを展開
二松學舍大学文学部(松本健太郎ゼミナール)は、「PBL(Project-Based Learning)と大学広報とを連携させるためのシステム構築、および映像メディアを活用した教育プログラム開発のための先端的研究の拠点構築」を目的に、学生主体型のプロジェクトを展開している。
8月19日には九段3号館にて、3名の講師(本学卒業生で俳優の大部恭平氏、本学大学院生の飯塚貴彦氏、PKシアターの伊藤秀隆氏)による、演技・脚本・映像制作のワークショップを開催した。
9月上旬には、沖縄県国頭郡本部町の瀬底島での学生による映画撮影や、地元青年会の方々を招いた文化交流イベントを実施した。交流イベントには、本学大学院文学研究科に留学経験のある関西大学大学院生の張万挙さんと浙江工商大学大学院生の黄碧波さんも参加した。
また、瀬底島滞在中には、学生ら全員でビーチ清掃のボランティア活動も行った。
さらに10月8日、9日には、文学部の江藤茂博教授、山口直孝教授のゼミナールと連携し、岡山県倉敷市美観地区の倉敷物語館で体感型推理ゲーム「刑部大輔の事件簿」を実施した。
これは毎年、日本を代表する推理作家横溝正史ゆかりの地である倉敷市で開催されているイベント「巡・金田一耕助の小径」の一環として、横溝正史の世界観を反映する二次創作的なコンテンツを学生主導で制作し、現地を訪れるファンに披露したもので、朝日新聞をはじめ複数の地元メディアに取り上げられた。
これらのプロジェクトの企画・立案は、アクティブラーニングおよびPBLのコンセプトに基づき、全て学生スタッフが担当した。
附属高校 ニュージーランド語学研修
附属高校では、初めてとなる英語圏への語学研修が7月11日から8月3日までの2週間、ニュージーランドで実施された。参加者は1年生8名、2年生12名、3年生5名の計25名、引率者として英語科教員2名が同行した。
成田空港から約10時間のフライト後、オークランドから国内線に乗り換え目的地である首都ウェリントンに到着。町の中心部にある語学学校に移動した一行は、緊張した面持ちで、ホームステイ先のホストファミリーに迎えられた。
今回、2週間のプログラムではホームステイでの体験を中心に、平日の午前中は語学学校で授業、午後は日替わりのアクティビティに参加した。英語を授業で学ぶだけでなく、現地の学校の生徒たちとの交流、また、インドアロッククライミングやチョコレート工房の見学などを通して全身で学ぶことができた。
出発時は緊張や不安でいっぱいだった生徒たちも、帰国後の成田空港では自信にあふれる表情で、それぞれの思い出を、迎えにきた保護者に話す様子がうかがえた。
この体験をきっかけに外国が身近になり、なにより英語を話せるようになりたいという気持ちが高まったようだ。
附属高校 夏の勉強合宿
毎年恒例の附属高校勉強合宿が8月19日から27日まで千葉県野田市で行われた。今年は、第2学年は53名、第1学年は57名の生徒が合宿に参加した。
第2学年で、昨年度と大きく違うのはコースが文系進学・理系・特進と3つのコースに分かれていることである。午前中は、講義形式の授業後に小テストを行う。順位がトップから最下位まで発表されるため、生徒たちは常に良い緊張感に包まれながら学習できた。
午後は、講義形式ではなく、AL(アクティブラーニング)が主となる授業。各教科ともグループ学習を有効に使い、生徒同士で能動的に課題をこなしていた。
第1学年は、国・数・英の3科目の学力向上を目的に日程表が作成された。午前中は3科目の授業を各120分、授業後すぐに小テストを実施。午後は、休む間もなく40分ずつ授業が行われた。1日の終わりには各科目ごとと3科目合計の順位が張り出された。
初日こそハードスケジュールと初めての成績発表に疲れていた生徒たちであったが、日を追うごとに「昨日の自分よりも良い成績がとりたい」という気持ちが出てきて、集中力が増した。
第1学年も第2学年も、夜の自習時間では教員に質問したり、友人同士で教え合ったりと充実した自学自習が行われた。積極的に自習に取り組むようになった姿にたくましさを感じた。
勉強合宿期間だけでなく、この経験を糧に、さらなる研さんに努めてもらいたい。
附属高校野球部 大江竜聖投手、巨人からドラフト6位指名!
10月20日、プロ野球ドラフト会議が開催され、二松學舍大学附属高校野球部の大江竜聖投手が読売巨人軍から6位で指名された。
大江投手は、入部当初から活躍し、2・3年時には、エースとして野球部を支えた。最速で149キロの速球とキレのあるカーブ、スライダー、フォークなどの変化球を織り交ぜたピッチングが持ち味。
2014年の全国高校野球東東京大会決勝では、1年生ながらリリーフとして出場し、帝京高校との死闘の末、夏の甲子園への切符をつかみ取った。甲子園の大舞台でも、物怖じしない度胸の良いピッチングで、観客を湧かせた。
附属高校野球部で培った経験や自信を胸に、プロ野球選手としての今後さらなる飛躍が期待される。
附属柏高校 福祉委員会がボランティア活動
附属柏高校では、福祉委員会のメンバーが、ボランティア活動の一環として、幼稚園・養護施設でのお手伝いや赤い羽根共同募金・ユニセフ募金等の活動を、年間を通して行っている。
松陵祭(文化祭)では、近隣にある養護施設の方々が製作した品々を委託販売し、今年度はほぼ完売した。委員会の生徒が、校内を回り、直接来場者に販売することもあり、自分たちの活動の一つ一つが、「人の助けになる」ということを強く意識しながら、活動している。
校外活動としては、ユニセフの募金活動に参加。柏駅前で、附属柏高校の制服を着た大勢の生徒たちが「募金活動にご協力お願いします」と大きな声で、道行く人に呼び掛ける姿も恒例となっている。
毎年、12月に行っているこの活動。生徒たちは、「昨年の募金よりも多く集めて、もっと力になりたい」と意欲を持って取り組んでいる。
附属柏中学校 オーストラリア語学研修
今年で2回目となる中学3年生希望者対象のオーストラリア研修が、8月16日から28日までの約2週間、クイーンズランド州ブリスベンにて実施された。
今回から、グローバルコース2年生対象の研修も合同で行うこととなり、より一層充実した研修内容となった。
クリーブランドディストリクト州立高校で行われた研修では、日々の英語授業はもちろん、日本語を学ぶ生徒と一緒に日本語の授業にも参加。日本に興味を持つ現地の生徒たちと、日本語と英語で互いにインタビューし合い、日本の遊びを紹介するなど、共通の話題に花を咲かせていた。語学学習を通して、生徒同士の交流にもつながった。
また、オーストラリア先住民であるアボリジニの文化を学んだり、クイーンズランド大学を訪問したり、ホストファミリーとの楽しい週末を過ごしたりと、語学だけではなく、異文化に接する時間も多く持つことができた。
グローバルコースの生徒は、各自でテーマを決めて現地調査を行い、帰国後、学校でプレゼンテーションを実施。研修での学びをさらに深めた。
この研修に参加した生徒たちからは、「英語をもっと勉強して、もう一度オーストラリアを訪れ、ホストファミリーと英語でたくさん話したい」など、とても前向きな声が多く聞かれ、一人ひとりの成長がうかがえる2週間となった。

4面

平成27年度 決算の概要
二松學舍創立135周年(平成24年10月)を機に策定した長期ビジョン「N’2020 Plan」及びその実行計画「アクションプラン」の各課題について、施設設備整備をはじめ大学・両附属高校・中学校の具体的な改革を実行している。教育研究面においては、本学の研究プロジェクト『近代日本の「知」の形成と漢学』が、【文部科学省】平成27年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択された。また、大学九段校舎1号館に国際政治経済学部教員個人研究室を設置、3階学務局フロアの全面改修及び講師室の移設など既存校舎の改修、附属高校野球部柏合宿所の全面改修などの施設整備のほか各種事業を実施した。
当年度、入学者の募集定員充足率は、大学/学部116%、附属高校100%、柏高校144%、柏中学校42%であり、在籍者の収容定員充足率は、大学/学部118%、附属高校99%、柏高校133%、柏中学校53%であり、大学院および柏中学校で入学定員、収容定員ともに未充足となった。
大学では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災並びに福島第一原子力発電所事故、平成27年9月10日の北関東・東北豪雨に伴う被災学生に対し、授業料等の減免措置を実施し、全学的に被災学生支援のための募金活動を行った。
平成25年4月に学校法人会計基準が改正となり、財務計算書類の大幅な書式変更が行われ、文部科学大臣所轄の学校法人(本法人)は平成27年度決算から新基準が適用となる。
従来、学校法人における決算書は、事業年度の消費収入と消費支出の均衡状態や財政の健全度合いを示す「消費収支計算書」、学校法人の諸活動に関わるすべての資金の流れを示す「資金収支計算書」および年度末における資産・負債・正味資産の状態を示す「貸借対照表」の3つであった。
改正後、「資金収支計算書」は、多少の科目名の変更があるがほぼそのままである。新たな附属表として「活動区分資金収支計算書」が加わり、「教育活動」、「施設整備活動」、「その他の活動」に3区分し、資金収支情報の充実が図られた。
「消費収支計算書」は、「事業活動収支計算書」として名称が変わり、大きく書式変更となった。新基準では、「教育活動収支」(本業)と「教育活動外収支」(財務)の経常収支と臨時的な「特別収支」に区分され、基本金組入前当年度収支差額(従来の帰属収支差額)を表示する様式となった。
平成27年度の決算概況

1. 事業活動収支計算書について

事業活動収支計算では、事業活動収入合計が5,463,000,000円、事業活動支出合計は5,257,000,000円、基本金組入前当年度収支差額は206,000,000円の収入超過(前期比390,000,000円減少)となった。基本金組入額は829,000,000円(このうち九段校舎改修595,000,000円、柏合宿所改修整備180,000,000円)であり、当年度収支差額は623,000,000円の支出超過となった。
教育活動収入では、入学者数が大学院14名・学部697名・附属高校251名・柏高校358名・柏中学校43名、合計1,363名で前期比33名減少、在籍者数は大学院43名・学部2,826名・附属高校745名・柏高校997名・柏中学校162名、合計4,773名で前期比65名増加し、学生生徒等納付金は3,956,000,000円(前期比71,000,000円増加)となった。経常費補助金は893,000,000円(うち国庫補助金268,000,000円、東京都補助金251,000,000円、千葉県補助金327,000,000円)、事業収入が3,000,000円、雑収入は174,000,000円(うち退職金団体交付金119,000,000円)で合計5,200,000,000円となり、教育活動支出では、人件費が2,801,000,000円(柏高教員増加等、退職給与引当金減少等により前期比36,000,000増加)、教育研究経費は1,841,000,000円(校舎改修による修繕費及び減価償却額増加等により、前期比48,000,000円増加)、管理経費は505,000,000円(広報費等増加により前期比76,000,000円増加)であり、教育活動収支差額は46,000,000円の収入超過、資産運用収入及び借入金等利息等の教育活動外収支差額は149,000,000円、経常収支差額は195,000,000円、資産売却及び資産処分差額等の特別収支差額は11,000,000円であった。

2. 資金収支計算書について

収入の部では、有価証券の償還等により資産売却収入が2,288,000,000円(前期比486,000,000円増加)、借入金収入が大幅減少(前期は大学九段4号館建築資金を私学事業団から694,000,000円借入)し、学納金等の前受金収入は1,051,000,000円、その他の収入は退職給与引当特定資産等からの繰入収入、前期末未収入金収入等により372,000,000円、前期繰越支払資金2,998,000,000円を含め収入の部合計額は10,941,000,000円となった。
支出の部では、人件費支出が2,831,000,000円(柏高教員及び大学職員増加、前期比77,000,000円増加)、教育研究経費支出は1,208,000,000円(前期比27,000,000円増加)、管理経費支出は472,000,000円(前期比74,000,000円増加)、借入金返済および利息支出は342,000,000円となった。施設設備関連の支出は既存施設の改修整備として540,000,000円、図書・備品の購入等で89,000,000円、資産運用支出は退職給与引当特定資産繰入、有価証券等購入により2,698,000,000円となった。このほか前期末未払金の支出等168,000,000円があり、これらの結果、翌年度繰越支払資金は2,712,000,000円(前期末より286,000,000円減少)となった。
活動区分による資金収支の状況は、教育活動による資金収支差額は677,000,000円(収入超過)、施設整備等活動(設備投資とその財源)による資金収支差額が587,000,000円(支出超過)、その他の活動(財務活動等)による資金収支差額が376,000,000円(支出超過)、これにより支払資金の増減額は286,000,000円(減少)となった。

3. 貸借対照表について

資産の部は、有形固定資産が大学九段既存校舎及び附属高柏合宿所の改修整備、図書・備品の取得等により635,000,000円増加、除却及び減価償却678,000,000円等により18,443,000,000円(前期比43,000,000円減少)となった。特定資産は1,549,000,000円(19,000,000円減少)、その他の固定資産は、有価証券の償還や流動資産への振替等により1,372,000,000円(前期比129,000,000円減少)となり、流動資産は6,528,000,000円(前期比33,000,000円増加)となった。
負債の部は、長期借入金及び長期未払金の次年度返済(支払)額の流動負債への振替、退職給与引当金の減少により固定負債は2,564,000,000円となった。また、短期借入金及び短期未払金の返済(支払)等により流動負債は1,612,000,000円となり、負債の部合計額は4,176,000,000円(前期比3億6千3百万円減少)となった。
基本金の部は、第1号基本金(建物・図書・備品等固定資産の取得)及び第3号基本金(奨学基金)の組入額829,000,000円により26,422,000,000円となった。
これらの結果、平成27年度末における貸借対照表は、資産の部合計額27,882,000,000円、負債の部合計4,176,000,000円、基本金26,422,000,000円及び繰越収支差額2,715,000,000円(支出超過)により、純資産の部合計額23,707,000,000円(前期末より206,000,000円増加)となった。

5面

4. 主な財務比率について

事業活動収支関係比率では、人件費比率(経常収入に占める人件費の割合)、人件費依存率(学生生徒等納付金に占める人件費の割合)および借入金等利息比率が前期比減少となった。一方、教育の質向上を図るための各種事業の実施により教育研究経費比率(経常収入に占める教育研究経費の割合)、管理経費比率(経常収入に占める管理経費の割合)は上昇した。事業活動収支差額(帰属収支差額)比率は寄付金及び資産運用売却差額の減少により前年比減少となった。また、校地校舎の施設整備計画の進捗により基本金組入率は上昇傾向にあったが、当年度の既存施設改修整備を以って大規模整備が一段落し、前年度比減少となった。
貸借対照表関連比率では、私学事業団等借入金の返済により固定負債構成比率(総資金に占める固定負債の割合)及び総負債比率(総資産に占める総負債の割合)並びに負債比率(自己資金に占める総負債の割合)が低下した。固定資産構成比率(総資産に占める固定資産の割合)、固定比率(自己資金に占める固定資産の割合)等が低下し、流動資産構成比率(総資産に占める流動資産の割合)、流動比率(流動負債に占める流動資産の割合)の上昇など固定から流動へのトレンドにあり、良好といえる。また、自己資金構成率(総資金に占める自己資金の割合)、基本金比率、内部留保資産率(財政上の余裕度)、運用資産余裕比率(支出規模に対する資金の蓄積度)、退職給与引当金預金率等は良好な水準にある。一方、設備投資に伴う基本金組入などにより繰越収支差額構成比率(総資金に占める繰越収支差額の割合)は低下傾向にある。
平成28年度 予算の概要
平成28年度の状況
二松學舍創立135周年を機に「長期ビジョン(N’2020 Plan)」を定め、これに基づく行動計画である「アクションプラン」を平成25年度より推進しており、長期ビジョン(N’2020 Plan)及びアクションプランに則って、大学・両附属高校・中学校の改革を推進し、所与の成果をあげる。
大学・学部では、レベルの確保・向上を図りつつ可能な限り入学者の確保に努める。両附属高校及び附属柏中学校においては定員数を満たし、大学院は可能な限り入学者の確保に努める。附属柏中学校は設置6年目となり、附属柏高校との中・高を通じた教育の充実と生徒募集の強化を図る。大学・両附属高校・中学校とも効果的な学生・生徒募集及び広報活動を実施する。
私立学校への経常費補助金の大幅増加は見込めないが、私立大学等改革総合支援事業のほか新設の私立大学研究ブランディング事業(学長のリーダーシップの下、優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究に取り組む私立大学に対する経常費・施設設備費の一体的支援)、入学者選抜改革に向けた取り組みに対する支援等の事業に積極的に申請し獲得を図る。
教育活動収支については、収入面では在籍者数減少により学納金収入が減少する見込みである。また、支出面では人件費(退職給与引当金を含む)及び教育研究経費(減価償却額を含む)が増加する見込みである。
キャンパス整備については、大学九段4号館建設、既存校舎の改修など大規模整備は一段落し、今後は各学校校舎の経年劣化により必要となる修繕・保守整備と各種アメニティの充実・向上を計画立てて実行する。
N’2020 Plan(アクションプラン)に織り込まれていない投資は極力抑えることとし、特別事業費申請案件については厳しく査定し、経常的な経費についても見直し・削減を強力に実施する。既存事業の見直しを行い、スクラップ・アンド・ビルドにより事業を推進するとともに、不採算事業項目については縮小・廃止を検討し、収支改善を図ることを平成28年度の予算編成方針とした。
平成28年度の収支状況

1. 事業活動収支予算書について

(1)教育活動収支予算書について
【収入】
①収入の柱である学生生徒等納付金は、4,022,000,000円となる見込みである。
②手数料は、入学検定料を主として98,000,000円を見込んでいる。
③大学及び両附属高等学校並びに柏中学校の経常費補助金は893,000,000円を見込んでいる。
④雑収入は、退職金団体からの交付金82,000,000円と併せて127,000,000円を見込んでいる。
【支出】
①人件費は、2,828,000,000円となる見込みである。
②教育研究経費は、施設設備の維持管理、情報システム関連経費、図書館業務のアウトソーシングほか特別事業費および減価償却額などにより、1,910,000,000円を計上している。
③管理経費は、教育研究経費と同様に施設設備の維持管理費と事務システム関連経費および減価償却額などにより、501,000,000円を計上している。これらにより、教育活動による収支差額は47,000,000円(支出超過)となる見込みである。
(2)教育活動外収支について
教育活動外の収入として、資産運用による受取利息・配当金129,000,000円を、教育活動外の支出として借入金利息支払額23,000,000を計上しており、教育活動外収支差額は106,000,000円となる見込みである。
(3)特別収支について
施設設備の整備に係る補助金その他収入として18,000,000円を計上している。
これらにより、基本金組入前当年度収支差額は76,000,000を見込んでいる。当年度の基本金組入額は、施設・設備の整備及び教具・器具・備品の取得及び借入金返済などにより439,000,000円を計上している。この結果、当年度収支差額は364,000,000円の支出超過となる見込みである。

2. 資金収支予算書について

収入の部は、学生生徒等納付金収入、資産運用収入、退職金団体交付金を含む雑収入などにより、当年度収入額は7,813,000,000円となり、前年度繰越支払資金2,712,000,000円と合わせて収入額合計は10,524,000,000円となる見込みである。
支出の部は、人件費支出、教育研究経費・管理経費支出、借入金等返済支出、施設・設備関係支出等により、当年度支出額は7,561,000,000円となり、翌年度繰越支払資金は2,727,000,000円となる見込みである。

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柏キャンパスに二松學舍大学地域連携室設置
平成28年4月1日、地域連携および地域貢献活動の推進・強化を目的として、柏キャンパスに二松學舍大学地域連携室が開設された。地方自治体・地域団体などとの連絡調整や協定の締結、地域連携および地域貢献活動に係る情報収集・支援をはじめ、大学柏キャンパスにおける公開講座の開講や、地域活性化に関連する事業などへの支援を行う。
「二松學舍大学と柏市との包括的な連携に関する協定」締結
7月22日、二松學舍大学と千葉県柏市は、広範な分野で知的・人的・物的資源を相互に活用し、地域社会の持続的な発展に寄与することを目的とした包括的連携協定を締結。柏市からは、秋山浩保市長、高橋直資地域づくり推進部部長、藤田一郎太地域づくり推進部協働推進課課長の3名が、本学からは、菅原淳子学長、磯水絵副学長、小町邦明事務局長が出席し、柏校舎2号館で調印式が行われた。
地域連携室では、この目的実現に向け、柏市の施策の推進や地域の課題解決のための知的・人的および物的資源活用に関する事項、人材育成に関する事項、教育および文化振興に関する事項、町づくりに関する事項などについて、連携・協力の業務を行っていく。
~夏休みこども研究会「大学教授と奈良絵本を読む」を開催~
8月6日・7日、千葉県東葛地区の地域文化振興の一環として、柏キャンパスで、本学地域連携室主催、柏市教育委員会・我孫子市教育委員会後援による小学生(4年生以上)対象の「夏休みこども研究会」が開催され、連日の猛暑にも関わらず、両日とも、100名を超える多くの小学生とその保護者が参加した。
「大学教授と奈良絵本を読む」をテーマに、本学所蔵の貴重本「奈良絵本」を教材に、本学文学部の教員が講師となり、日本の古典文学を楽しく学んでもらうことを目的に実施したこの研究会。
両日とも、本学副学長の磯水絵教授による講演「昔の母と子 ―常盤御前と牛若丸―」を中心に、6日は、小山聡子教授のビデオ講習「雷神になった武士 ―恨みの悪源太義平―」、7日は、小井土守敏講師(大妻女子大学教授)のビデオ講習「いろいろな『保元・平治物語』と源為朝の武勇伝」が行われた。
ビデオ講習で上映された動画は、本学文学部映像・演劇・メディア専攻、松本ゼミナールの3年生が、効果音などを利用し、小学生にも分かりやすく工夫しながら制作した。
また、講演に先立ち行われた附属柏中学校・高校吹奏学部によるウエルカムコンサートや附属柏中学校グローバルコース2年生による英語の学校紹介、また、講演後に実施した柏キャンパスの見学会も好評を博した。
参加者からは、「少し難しかったが、先生のお話がとても良く、奈良絵本に興味がわき、勉強になった」、「普段見ることのない大学の内部を見たり、学校がどのような信念を持って教育にあたっているのかを理解できる良い機会だった」、「吹奏学部の演奏は、迫力があり、感動した」、「中学生の英語でのスピーチがとても素晴らしかった」などの感想が寄せられた。
地域連携室では、12月9日、柏キャンパスで開催する『論語で学ぶ「英語の基礎力」・論語で学ぶ「漢字の基礎力」』をはじめ、今後も地域文化振興の一助として、さまざまな催しを企画・実施していく。
平成28年度 『論語の学校』-RONGO ACADEMIA-開催
開催日時 11月19日(土) 13時~17時 (開場12時30分予定)
会    場 二松學舍大学 九段1号館 地下2階 中洲記念講堂
開催内容 ◇論語入門
  牧角悦子 (本学文学部中国文学科教授)

◇講演
  「中国における儒教の変遷と歴史」
  河田悌一氏 (日本私立学校振興・共済事業団理事長/関西大学前学長)
  「庶民の分度―上田秋成と『論語』―」
  稲田篤信 (本学文学部国文学科教授)

◇素読実践
  石川忠久 (本学顧問・名誉教授)
※詳細はホームページをご覧ください。
【お問い合わせ】
企画・財務課 TEL 03-3261-1298
祝・芥川賞受賞 村田紗耶香さん
7月20日、第155回芥川賞・直木賞の受賞者が発表され、『コンビニ人間』で、附属沼南(現柏)高校第27回卒業生[平成9(1997)年度卒業]の村田沙耶香さんが、芥川賞を受賞した。
村田さんは平成7(1995)年に附属沼南高校に入学。課外活動では美術部に所属し、3年生の時には部長も務めた。
芥川賞発表の朝には、附属柏高校に報道からの取材依頼があり、村田さんが高校2年、3年当時の担任だった野島淳一教諭が対応。在校時の村田さんの逸話を紹介しながら「いつも明るくて、にこにこしている、優しい子だった」と当時の印象を語った。また、村田さんが入学時に「理想」と題して書いた作文(平成7年度「双松」第23号掲載)も紹介。文中で村田さんは、私が小学校のころから私なりに考え続けてきた、「理想の自分」というものがある。それは今の私からはほど遠い自分である。だが、私は完璧な自分を求めているわけではない。むしろ山ほど欠点がある位でいい。ただ、芯に一本私の理想の人間性が備っていればいいのだ。
(中略)
いつか理想の自分に行きつけたらいいと思う。そしてそのために自分に自信がほしい。自分の自信がもてるくらい、しっかりした確かな何かをこの高校生活のうちで手に入れたいと思う。と記している。
今回の村田さんの芥川賞受賞は、附属柏高校の同窓生や後輩にとっても誇りであり、励みともなる。野島教諭とともに取材を受けた美術部の後輩たちも「大変誇らしいです」と喜んでいた。
今から100年前、芥川龍之介は『鼻』で、師と仰ぐ夏目漱石から絶賛の手紙を受け取った。明治の二松學舍で学んだ漱石が門下である芥川の作品を称賛。そして、平成の二松學舍に学んだ村田さんが芥川賞を受賞した。村田さんの今後の活躍が期待される。
私の一冊31
『どんぐり』 附属柏高等学校教諭 平田 立人
現代の社会は「わかりやすい」方向に流れている。その方向は現代の複雑な時代に立ち向かう一つの姿勢なのかもしれない。しかし、『どんぐり』で求められる想像力は「わかりやすい」とはいえない。ものごとを単純化しないことが求められているのだ。
オノ・ヨーコはニューヨークを拠点に活動する前衛芸術家である。『どんぐり』は、オノ・ヨーコ自身の言葉による指示が書かれている。読者が参加することでこの本がアート作品として成立するように構成されている。このようなスタイルはインストラクション・アートと呼ばれている。例えば「願いごとの作品Ⅱ」では、「物を修理する。修理作業をする時に、自分の魂も修理する。人生や世界の「ひび」について考える。物を修理しながらそれが癒えるように願う。」と書かれている。このような短い文章によって構成されており、読者に想像と思索を喚起し、読者は自分の想像力が試されるのだ。
現実のなかに凝り固まり世間に流され「常識」に染まりそうになったとき、この本を開いて自己と対話してみてはどうだろうか。意味がわからないと距離をとらず、想像のなかで自由に遊んでみることで新たな感覚がみつかるのかもしれない。
『どんぐり』 オノ・ヨーコ(著) ・ 越膳こずえ(翻訳) (河出書房新社)