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歴史スポット5 「江戸」にある隅田川神社と石碑 王 宝平教授

 江戸とは「入江の口」の意味で、「江の門戸」の略語といい、東京の旧名として熟知されています。しかし、この「江の門戸」はどこにあるのでしょうか。
 東京都の東部を流れる一級河川―隅田川を北へ溯っていくと、「水神大橋すいじんおおはし」にたどり着きます。その東岸に「隅田川神社(水神宮)」があり、周辺は東白鬚ひがししらひげ公園となっています。この辺りは、隅田川の落ち口(終点)で、昔、ここから入江が始まり、海となっていたことから「江の口」、すなわち「江戸」の語源ともなったといわれています。
 神社にいくつかの碑が建っていますが、境内を散策していると、思わず「吟香岸田翁碑」に邂逅しました。
 岸田吟香(1833~1905)は画家岸田劉生の父。ジャーナリストで事業家。銀座に楽善堂を設けると同時に、上海にも支店を開き、薬や書籍を販売しました。清国文化人とも交誼を結び、清末の学者兪曲園(1821~1906)に依頼して編集された日本人の漢詩集『東瀛とうえい詩選』は、今日でも人口に膾炙かいしゃしています。
 碑は明治44年(1911)6月に建立されたものです。二松学舎の創立者三島毅(1830〜1919)の撰文、明治、大正の書家日下部東作(鳴鶴)(1838~1922)の書丹、外交官として来日し、『日本訪書志』『古逸叢書こいつそうしょ』などを残した楊守敬(1839〜1915)の篆額。
 碑文は、磯ケ谷紫江『墓碑史蹟研究』第5巻(後苑荘、1927年、488頁)にも全文掲載されているので、興味のある方は国立国会図書館ホームページからダウンロードできます。

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