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歴史スポット4 「幻の第16代将軍」が晩年を過ごした「戸定邸」 野村 啓介先生

 松戸駅から15分ほど歩いたところ,閑静な一角に,徳川昭武が隠居後に過ごした私邸「戸定邸」があります。
 昭武は水戸徳川家の生まれで,兄である第15代将軍・慶喜から将来を嘱望され,1867年のパリ万国博覧会に将軍名代として派遣されました。欧州各国で「プリンス・トクガワ」と呼ばれた彼は,将軍の有力な後継者とみなされ,「幻の第16代将軍」ともいわれます。日本が初めて公式に参加したこの万博で,昭武は各国元首と親睦を深めました。1876年のフィラデルフィア万国博覧会に派遣されたのちにも留学生活を送るなどし,彼の西洋経験や在外ネットワークは,明治日本の外交にも一役買うことになったと考えられています。
 戸定邸は,明治17年(1884年),松戸の高台約7万㎡の敷地に完成しました。戸定邸の建物や庭園には,昭武の趣味がふんだんに反映しています。一見すると和風の建物が目につきますが,庭園は西洋風に設計されており,和洋がみごとに調和しています。兄・慶喜は折に触れて戸定邸の弟を訪れ,そこで多くの写真を撮影しました。これにより,当時の様子を映像で知ることができます。
 戸定邸の敷地は,昭和26年(1951年),松戸市に寄贈され,紆余曲折ののち,同じ敷地内にある戸定歴史館とともに平成3年11月に一般公開されました。戸定歴史館には,慶喜が撮影した写真をはじめ,幕末から明治にいたる激動の時代を証言する文書,写真,美術工芸品など貴重な史料が豊富に保管されており,その多くは私たちも実際に目にすることができます。幕末維新史好きなら必見です。

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