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第1回 若さ溢れるベトナム 文学部国文学科 教授 塩田 今日子

2015年5月、ベトナムのホーチミンとハノイで開かれた日本私立大学協会の日本留学フェアに参加しました。
近年中国を追い越す勢いで日本へのベトナムからの留学生が急増していますが、とにかくベトナムの日本語熱には圧倒されます。ベトナムのあらゆる街を埋め尽くすホンダのバイクに象徴されるように、日本に対する好感度は高く、信頼も厚いようです。完成したばかりだというハノイの国際空港の新ターミナルとそこからハノイを結ぶ道路も、日本の企業によって手がけられたそうです。
道路には1日中若者が乗ったバイクが溢れ、街は活気に満ちています。ベトナム戦争、インドシナ戦争と長く続いた戦争の時代が終わり、その後に生まれた若者が多いため、人口に占める若年層の割合が高いのです。交差点の多くはラウンドアバウト(環状交差点)になっていて、バイクや車が停止することなく走り続けるので、歩行者が道路を渡るのは容易ではありません。緩やかに走り続けるバイクや車の隙をねらって、そろりそろりと渡り出します。ここで一番やってはいけないのは、立ち止まることと走ることです。バイクや車も、渡る人のスピードを計算して、その隙を走り抜けようとするからです。最初は怖くて渡れませんでしたが、ちょうど渡ろうとしている女子高校生に教えてもらって、なんとか渡りきることができました。注意深く、しかし、慌てず、止まらず、毅然と渡らなければならず、そのスリルはなかなかのものです。日本人もかつてはこのように道路を渡っていたことがあったはずですが、今では「安全な信号」に守られてしまって、「自力で渡る」すべを忘れてしまったような気がします。
肝心の留学フェアは、急遽参加が決まったため準備がままならなかったのですが、我々のブースにも、100人を超える高校生がやってきて、熱心に話を聞いてくれました。そのとき通訳をしてくれた学生が通うハノイ大学も訪問し、授業見学させてもらいました。

現在はたくさんの日本語学校ができ、その多くが日本人教師不足に悩んでいるそうです。ホーチミンにあるドンズー日本語学校では、二松学舎大学の日本語教員養成課程を修了した卒業生の藤城規子さんがこの春から元気に日本語を教えています。

(塩田 今日子)