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教員紹介

中所 宜夫 NAKASYO Nobuo特任教授

専門

能楽師、観世流シテ方

自己紹介

新宿区矢来町の矢来能楽堂を本拠地とする観世九皐会に所属する能楽師です。年間に数番のシテを勤め、60から80程の能楽公演に参加しています。
古典の作品を演じる他、新しい作品の創作、他分野との共演・共同制作(コラボレーション)を手掛け、また謡と仕舞の稽古指導、及び独自の視点からの体験講座や講演を各地で行っています。
この大学では、謡と仕舞の実技指導を通して、能の中に伝えられている自然との対話や武士道的価値観・美意識を、若い皆さんに体験してもらいたいと考えています。

受験生・在学生へのメッセージ

最近になって、明治以降の近代化が、必ずしも良い事ばかりでは無かったと、多くの人が考える様になって来ました。江戸期の文化の豊穣に目を向ければ、その根幹にあった武士階級の世界観を知る事は、大変に興味深く楽しい事でしょう。武士道というと「死ぬ事と見つけたり」ばかりが知られていますが、能にはその実際を知る手がかりが、溢れています。この先益々混迷を深める未来に向けて、能を学ぶことは生き延びるための一助となると、私は信じています。

座右の銘

初心忘るべからず。なお年々に初心あり
(世阿弥の初心は、未熟で何も出来ない頼りなさを意味しています。いくら修行や勉強を積んでも、その時その時に次なる課題は必ずあります。それをその都度自覚して、絶えず自己修練を心掛けなければなりません。『論語』の「仁」などもこれに近い言葉の様です。)

古典芸能①ゼミナール(中所ゼミ)

 このゼミナールは能の実技を学ぶことによって、日本文化の真髄に触れながら、身体感覚・言語感覚を鍛えることを目指しています。三年生では実技の基礎を学び、四年生では卒業研究制作として行う実技の発表公演に向けて稽古を重ねます。

 室町初期に観阿弥・世阿弥によって大成された能は、江戸時代に至り武士の式楽となり、文化文政期に完成されました。そこには武士の価値観や美意識が集約されています。明治になり武士がなくなって百五十年経った今なお、能が盛んに行われているのは、能が人間存在の本質に少なからず触れているためです。若い二年間に能を深く学ぶことは、その後の人生に大きな力となると信じています。身体表現に興味のある人に特にお勧めします。

 これまで合宿は行っていませんが、歴史の浅いゼミですので、今後検討します。卒業公演の前には相当の稽古が必要で、それなりの心構えを望みます。