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教員紹介

和久 希 WAKU Nozomi専任講師

専門

中国哲学、形而上学、中国古典文学

教員からのメッセージ

たとえばベルベット・モンキーは、異なる捕食者の出現に応じて、異なった警告音を鳴き分けることで知られている。そしてそれは、原初的な言語に相当するとみられている。でも彼らの発する音声は、目の前の現実に対する反応にすぎない。だから直面する危機を伝える以外に、彼らがなにかを推測したり、因果関係を導いたりすることはできない。そしてもちろん、そこから対話が深まることもない。
私たちの言語は複雑な構造をもっている。そして私たちは、それらを組み合わせることで複雑に現実を語り、あるいは現実の外側だって語ることができる(あんなに寝坊しなかったら、1限の単位を落とさなかったのにな!)。そうやって私たちは対話を重ね、自分や他者を理解することに努めてきた。そこにはどうしても複雑な言語が必要だった。
さらに私たちは、文字資料を通じて、過去に生きた人々の思いを受け取ることだってできる。同じようにして、私たちがいつかいなくなっても、誰かが私たちの思いを受け止めてくれるかもしれない。こんなことができるのは、きっと、人間だけだ。
古典を丁寧に読もう。そして真剣に語ろう。私たちが人間であり続ける限り。

私のオススメ

授業、サークル、バイト、恋愛、友人関係……。
大学生の日常は案外忙しくて、長期休暇だって、免許を取ったり資格のための勉強をする人もいるらしい。
でもたまには、立ち止まってみてほしい。
たとえば文庫本を片手にいつもと反対の電車に乗って、終点で乗り換えて、そうやってたどりついた小さな街を散策してみたらどうだろう。きっと眠たげな大型犬とか、折れ曲がった石段とか、運がよければ、都心では見慣れない地酒と郷土料理に出逢えるかもしれない。
そういう光景や、その時の匂い、そしてその頃に考えていたことまで、何年経っても必ず思い出せるから、今、なんとなく過ぎてしまう日常からあえて離脱してみよう。立場上、私の授業までには戻ってきてほしいけれど。

最近の活動

●著書(単著)
和久希『六朝言語思想史研究』、汲古書院、2017年
●著書(共編著)
渡邉義浩・井川義次・和久希『はじめて学ぶ中国思想:思想家たちとの対話』、ミネルヴァ書房、2018年

私のゼミナールや研究に関心のある学生は、以下の学内誌を読んでみてください。
和久希「境界線」、『人文論叢』112号、2024年

中国哲学①ゼミナール(和久 希)

ゼミ生が、以下の文章を寄せてくれました。ちょっと恥ずかしいですが、そのまま掲載します。

和久ゼミでは、毎年唐代以前の思想文献を取り上げて、ゼミ生全員で議論しながら丁寧に読み進めていきます。毎回の文章量は決して多くありませんが、そのぶん言葉の背景や、思想史上の位置づけなど、より深い学修ができます。古典文法が苦手でも、先生が基礎から教えてくださるので心配いりません。毎週、美味しい紅茶と現代哲学に関するお話も楽しめます。希望すれば、ゼミコンやゼミ合宿もあります。普段の授業で、和久先生の濃密な講義内容や軽快なトークに魅了された皆さん!そしてもちろん先生の人柄に魅了された皆さんも!ぜひ和久ゼミへ!お待ちしております!

ゼミに関しては、学内広報誌『學』第67号にも紹介記事を載せていただきました。あわせてご覧ください。