
著書紹介
説話と横笛――平安京の管絃と楽人――

- 著者:磯 水絵(二松学舎大学文学部)
- 出版社:勉誠出版
- 四六判、256頁、2,800円+税
- ISBN:978-4585291145
- 発売日:2016年1月5日発行
著書の内容
平安・鎌倉時代、天皇や貴族たちには、政治学の勉強に次いで「詩歌管絃」(つまり漢詩・和歌・音楽ですが)、その中でも特に「管絃」の力が養成されました。宮中や院の御所では、政務に加えて諸行事のあとには、必ず天皇や貴人の主催する「御遊」という管絃の遊びが催されて、天皇や貴族は楽器演奏か歌唱に参加するのが役目でしたから、音楽は完全に表芸で、それができなければ仲間はずれになり、笑いものにもなったのです。
本書は、そのような時代に伝承された音楽説話を、管絃者・楽人・法師数寄者と、演奏家別に、また横笛の名器別等に分類して、わかりやすく著したものです。これまで知らなかった古代の音楽世界を、音楽史の流れに沿って読めるようにしてあります。
目次は次の通りです。
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序に代えて――昔の貴族は「一に学問、二に音楽」――
- 1 管絃者列伝①……貞保親王
- 2 管絃者列伝②……敦実親王
- 3 管絃者列伝③……源博雅
- 4 名器譚①…………朱雀門の鬼の笛「葉二」
- 5 管絃者列伝④……双調の君――十世紀の音楽一家、博雅三位の流れ――
- 6 楽人列伝①………大戸清上と尾張浜主――最後の遣唐使――
- 7 楽人列伝②………尾張浜主――本朝笛の囊祖、尾張氏異聞――
- 8 名器譚②…………「大水龍」と「小水龍」
- 9 管絃者列伝⑤……藤原保昌――頼光四天王保昌と横笛――
- 10 管絃者列伝⑥……源義経――牛若丸と横笛――
- 11 楽人列伝③………笛の一流、消えた清原氏
- 12 楽人列伝④………戸部正清VS大神基政
- 13 楽人列伝⑤………笛の一者、戸部清延――平等院一切経会の舞楽――
- 14 法師数寄者①……覚能上人の逸話――天上の音楽――
- 15 管絃者列伝⑦……勘解由次官明宗のこと――臆病な笛吹――
- 16 楽人列伝⑥………大神惟季――《放鷹楽》の伝承――
- 17 法師数寄者②……明暹と堀河天皇
- 18 管絃者列伝⑧……京極大納言宗輔――生陵王に遭うこと――
- 19 管絃者列伝⑨……堀河天皇は笛がお好き
- 20 楽人列伝⑦………大神景賢、ムササビを退治する
- 21 法師数寄者③……石清水八幡宮の永秀の話
- 22 管絃説話①………賀茂の秘曲合せの事――鴨長明と大神景賢――
- 23 名器譚③…………青葉の笛「名笛小枝」
- 24 名器譚④…………横笛の珍器「紅葉」
- 25 管絃説話②………説話から謡曲へ――「清経」《恋之音取》――
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以上に、楽器のカラー口絵・笛の楽家系図・索引等が付されています。