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著書紹介

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『坊っちゃん』事典

  • 企画:今西幹一(元二松学舎大学学長)
  • 編者:佐藤裕子(フェリス女学院大学文学部教授)・増田裕美子(二松学舎大学文学部教授)・増満圭子(東洋学園大学人間科学部教授)・山口直孝(二松学舎大学文学部教授)
  • 出版社:勉誠出版
  • A5判 320頁+カラー口絵8頁 4,500円+税
  • ISBN:978-4-585-20024-6
  • 発売日:2014年10月20日発行

著書の内容

 夏目漱石の作品の中でも最も人々に親しまれている『坊っちゃん』を、あるゆる角度から徹底的に追究した事典。

 本書は3部構成からなり、第1部「作中用語篇」は、『坊っちゃん』に登場する人物や地名・風俗・施設など178項目を取り上げている。たとえば、「赤シャツ」や「マドンナ」といった登場人物、「うんでれがん」という流行語や明治期に寄席芸、座敷芸として流行した「かっぽれ」、タバコの銘柄である「敷島」、「師範学校」や「日露戦争」、「博多」や「湯島」といった地名などである。

 第2部「関連項目篇」は作者漱石の交友関係や足取りなども含め、『坊っちゃん』成立に関連する事項を90項目取り上げている。たとえば赤シャツのモデルとされる「横地石太郎」、マドンナのモデルとされる「西村小春」と「遠田ステ」、また『坊っちゃん』の舞台である「松山市」や松山にある「道後温泉」などの史蹟についての解説がある。他方、漱石の父「夏目小兵衛直克」や母「ちゑ」、妻の「夏目鏡子」といった家族たちや、「正岡子規」をはじめとする友人たちも取り上げられている。漱石が学んだ「東京帝国大学」や「二松学舎」はもちろんのこと、漱石や作中の坊っちゃんが中学校の教師だったことから当時の「中学教員の待遇と給与」についても説明されている。

 第3部「コラム篇」は『坊っちゃん』にまつわる16篇の多彩な話題を提供している。たとえば『坊っちゃん』の研究史を戦前、戦後、平成に分けて解説したり、『坊っちゃん』のパロディー作品を紹介したり、『坊っちゃん』の映画化や漫画化や翻訳も取り上げたりしている。その他、漱石の家族関係や松山市にある『坊っちゃん』の関連史蹟についてのコラムなどがある。

また巻頭には様々な『坊っちゃん』本の表紙や映画ポスター、松山市の関連史蹟の写真などがカラー口絵で紹介されている。

学生の皆さんへ

 事典というと堅苦しい印象を持つかもしれない。しかし本書は『坊っちゃん』の事典である。坊っちゃんという親しみやすいキャラクターからしても肩の凝るようなものではつまらない。むろん事典である以上は正確な記述でなければならないが、読んで面白く、かつためになるのが本書の特長である。調べものに利用するだけでなく、目についた項目、気になる話題を拾い読みするのも楽しい、そんな事典である。

(文学部国文学科 増田裕美子)
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