
著書紹介
源平の時代を視る
―二松学舎大学附属図書館所蔵 奈良絵本『保元物語』『平治物語』を中心に―

- 著者:磯 水絵(二松学舎大学文学部)・小井土 守敏(大妻女子大学文学部)・小山 聡子(二松学舎大学文学部)
- 出版社:株式会社 思文閣出版
- A5版 278頁 4,800円+税
- ISBN:978-4-7842-1735-9
- 発売日:2014年2月25日発行
著書の内容
二松学舎大学附属図書館には、江戸時代前期に制作された奈良絵本『保元物語』『平治物語』(以下、二松本)が所蔵されています。二松本は、大変豪華で美しい本であり、二松学舎の「お宝」の一つです。
宝の持ち腐れになってはいけませんので、二〇一一年に、磯水絵、小井土守敏、小山聡子によって、二松学舎大学東アジア学術総合研究所の共同プロジェクト「二松学舎大学附属図書館蔵 奈良絵本『保元物語』『平治物語』の翻刻と研究」が結成され、三年間にわたり二松本についての研究が行なわれてきました。本書は、このプロジェクトで開催したシンポジウム「源平の時代を視る」でご発表いただいた方々や、奈良絵本および軍記物語などに関して第一線で研究されている方々の論考によっており、プロジェクトの研究成果報告書としての意味を持つものです。
本書によって、奈良絵本『保元物語』『平治物語』における二松本の位置づけができ、さらには、奈良絵本の制作意義やその過程についても、ある程度浮彫にすることができました。本書の構成は、次のとおりです。
緒言 磯水絵
奈良絵本『保元・平治物語絵巻について』 石川透
- 第一部 二松学舎大学附属図書館所蔵の奈良絵本『保元物語』『平治物語』の諸相
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- 二松学舎大学附属図書館蔵奈良絵本『保元物語』『平治物語』について 小井土守敏
- 二松本『保元物語』挿絵についての一考察―「後白河院御即位の事」の挿絵を素材として― 小森正明
- 二松本『保元物語』『平治物語』挿絵の天皇表現について―庶民の描かれた「御即位図」との関連― 山本陽子
- 描かれた『保元物語』『平治物語』の世界―二松本を中心に― 出口久徳
- 奈良絵本『平治物語』の大路渡―二松本を中心として― 小山聡子
- 第二部 奈良絵本と軍記物語
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- 奈良絵本『保元物語』『平治物語』の襖絵について 磯水絵
- 奈良絵本・絵巻『保元物語』における崇徳院像 山田雄司
- 物語草子の制作と享受層―常盤の物語をめぐって― 恋田知子
- 『保元物語』『平治物語』の諸本展開と熊野信仰―近世挿図表現の問題に及ぶ― 源健一郎
- 金刀本保元物語の合拗音振仮名と『落葉集』 佐藤進
- 『愚管抄』と『保元物語』『平治物語』をめぐる試論 麻原美子
- 源平盛衰記と絵画資料―フランス国立図書館蔵『源平盛衰記画帖』をめぐって― 松尾葦江
- 編集後記 小山聡子
学生の皆さんへ
文学研究や文化研究において、絵画資料(史料)は非常に魅力的な素材です。その魅力を、本書を開くことによって感じてもらえると幸いです。ちなみに、二松本の詞書の翻刻と絵については、磯水絵・小井土守敏・小山聡子編『二松学舎大学附属図書館蔵 奈良絵本『保元物語』『平治物語』』(二松学舎大学東アジア学術総合研究所、2012年)にまとめてあります。ぜひ、そちらも参照して下さい。 (小山 聡子)