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平成23年度 教員免許状更新講習 講座内容一覧

必修講習 平成23年8月16日(火)~17日(水)<12時間>
1時限  9:00~10:20(講習:80分)
2時限 10:30~11:50(講習:80分)
昼休み 11:50~12:50
3時限 12:50~14:10(講習:80分)
4時限 14:20~15:40(講習:80分)
5時限 16:10~16:50(修了認定試験:40分)
8月16日(火)教育の最新事情①
  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
|
10:20
本学非常勤講師
堀江 忠道
「改正された教育法規
の体系」
我が国の教育は「法律主義」の立場に立って、さまざまな教育政策が施行されている。平成18年の「教育基本法」の改正に基づき、学校教育法・地方教育行政の組織及び運営に関する法律・教育公務員特例法・教員免許法の改正が行われた新たな教育法規の体系が作られた。その概要を教育基本法・学校教育法を中心に考察する。また、日々の授業を行う上で必要な著作権法、今回の学習指導要領の改訂で重視された「食育基本法」についても理解を深める。
2時限
10:30
|
11:50
本学非常勤講師
堀江 忠道
「新学習指導要領の
目指すもの」
現行指導要領は「生きる力」を育むことを目標とした画期的な内容であったが、学校週5日制の実施と重なったため、学力低下の責を負わされてしまった。果たして世の非難を浴びるような欠陥を持っているのであろうか。PISAの学力検査の内容・世の非難の内容から検証する。また、新たに提唱された「知育・徳育・体育・食育」の4分野について、新学習指導要領の総則を中心に考察する。
3時限
12:50
|
14:10
本学教授
松葉 幸男
学校を巡る状況の変化
と教員の役割
社会の激変ともいわれる大きな変化に伴い、これまでの価値観では理解しがたい状況が生まれている。食物を巡る偽装など破廉恥な事件、若者による「殺すのは誰でも良かった」という無差別殺人事件、モンスターペアレンツの出現等々、大人も子どもも変わってしまったのか。各種意識調査や教育社会学の研究成果などから、学校を巡る状況の変化について考察し、教員としての対応について検討を進める。
4時限
14:20
|
15:40
本学教授
松葉 幸男
今求められる教員の
能力・資質
学校教育法の改正により、教職員について、新たな職として副校長、主幹教諭、指導教諭が設けられた。東京都では、すでにこうした職とともにこれまでタブーとされていた教員の人事考課についても新たな展開が進められている。「学校の常識は世間の非常識」といわれてきた状況の変革が求められており、学校が組織として教育活動に取り組むために一人一人の教員がどのような意識と実践力を持つ必要があるかについて考察する。
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)
8月17日(水)教育の最新事情②
  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
|
10:20
本学教授
改田 明子
社会性の発達 子どもの心理的発達は、他者の気持ちや考えについての認識が広がり、人と関わる力が育つ過程を含んでいる。ここでは、「心の理論」の発達という観点から、人と関わる力の発達過程を概説する。さらに、子どもが体験する対人関係上の具体的な問題を取り上げ、人と関わる能力を育むための支援・指導の方法として、ソーシャル・スキル教育や自己表現トレーニングを紹介する。
2時限
10:30
|
11:50
東京都立
永福学園
校長
小林 進
特別支援教育の推進と
新たな課題
平成22年11月、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画が策定された。本計画の基本的なコンセプトは「すべての学校で実施する」「つながりを大切に」「自立と社会参加を目指す」であり、発達障害も含めて特別な支援を必要とするすべての児童・生徒を対象として、すべての小・中学校、高校での系統性と一貫性のある実施を目指している。 一方、国においては、国連の障害者の権利に関する条約の批准に向けて内閣府に「障がい者制度改革推進本部」が設置され、教育に関しては「インクルーシブ教育システム」(包容する教育制度)の理念とそれに向かっていく方向性について、保護者や学校、福祉等の様々な関係団体の意見をまとめる作業が続けられている。
本講習では、障害の有無やその他の違いを認識しつつ、様々な人々が活躍できる共生社会の形成の基礎づくりという先進的かつ実証的な役割を担っている特別支援教育の現状を踏まえながら、今後の新たな課題を整理・分析し、具体的な課題解決の方策を考察する。
3時限
12:50
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14:10
本学教授
大栁 勇治
保護者ならびに地域
社会との連携について
学校は閉鎖的であるといわれて久しいが、その閉鎖的な環境を打開し、学校を地域に開く、地域に開かれた学校としていくためには、今どのようなことが求められているのか、そして学校があるという視点から、地域と共に歩む学校として保護者と地域との連携ならびに共存はどうあるべきかを考え、地域と共に児童生徒を育てることの重要性について考えていく。
4時限
14:20
|
15:40
本学教授
大栁 勇治
危機管理のあり方や
評議員制度による
外部評価の活用等
について
危機管理が最も遅れている教育界と言われているが、学校の安全管理の基本的な考え方である「点で子どもを守る」「線で子どもを守る」「面で子どもを守る」等を通して、安全のチェックポイントの重要性を認識する。
また、地域に開かれた学校評議員のあり方や効果的な運営について探ると同時に、学校評議員制度による外部評価を学校と家庭・地域との情報共有により、その連携協力を深める良い機会とする必要性について考える。
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)
選択講習 平成23年8月18日(木)~20日(土)<18時間>
1時限  9:00~10:20(講習:80分)
2時限 10:30~11:50(講習:80分)
昼休み 11:50~12:50
3時限 12:50~14:10(講習:80分)
4時限 14:20~15:40(講習:80分)
5時限 16:10~16:50(修了認定試験:40分)
8月18日(木) 生徒理解に基づく支援と指導
  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
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10:20
本学教授
改田明子
不登校の
心理的支援
不登校の問題について、生徒の成長につながる心理的支援の在り方を考察する。特に、問題の原因追究にこだわりすぎず、生徒の状況に応じた柔軟な対応をそのつど構成していく姿勢は重要である。ここでは、具体的事例を使いながらスクールカウンセラーなどの心理専門職の関わり方を紹介し、生徒の状況を把握する観点や生徒を含む当事者の協力的な関係を育むための支援方法について解説する。
2時限
10:30
|
11:50
東京都立
永福学園
校長
小林 進
発達障害の生徒への
具体的な支援の在り方
都立永福学園高等部職業学科は、知的障害が軽い生徒全員(1学年100人)の企業就労の実現を目指して、平成19年度に開設された。
第一期生は96%の生徒が就職を果たし、今年度卒業する第二期生も本年二月末の段階で、就職内定者が80%以上となっている。このような高い数値結果は本学科の職業教育・進路指導を教職員が一体となって進めていることによるものであるが、数値には表れてこない個々の生徒への膨大な生活指導の積み重ねによるところが極めて大きい。
本学科は、知的障害が軽い生徒を対象としたことによって、発達障害の特性を併せ有する生徒が多数在籍することになり、対人関係上のトラブルや集団活動への不適応、学校外での反社会的な行為など、生活指導上の問題が頻繁に発生する現状がある。教員や臨床発達心理士、医師等が連携・協力して生徒や保護者の支援に当たっても、問題解決は容易でないものも多い。
本講習では、生徒の様々な障害特性や生活指導上の問題等を踏まえながら、自閉症やADHD、学習障害等の発達障害の理解を深め、具体的な支援の在り方を考察する。
3時限
12:50
|
14:10
本学教授
小渕 朝男
中・高校生の生活指導
、キャリア教育としての
進路指導の在り方に
ついて学ぶ
①中等教育学校における生活指導の位置と役割を考える。②中学校・高校における「学び」と生活指導の現実。③生活指導実践の諸側面の検討(学級指導・学年指導・行事の指導・生徒会指導・部活指導etc)。④生活指導と学校づくり・地域づくり。⑤現代の若者と人生設計の現状。⑥キャリア教育としての進路指導と共通教養への展望。⑦中学校における社会体験学習の現状。⑧高等学校における進路指導の現状。⑨進路指導の課題を考える。
4時限
14:20
|
15:40
本学教授
小渕 朝男
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)
8月19日(金)現代文の教材と指導法《中学国語・高等学校国語教諭向け》
  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
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10:20
本学教授
五井 信
小説の言葉、
詩の言葉
最近の研究状況のなかから、中学校・高等学校の先生方にも興味を持っていただけるような話をいくつかするつもりです。中学校・高等学校の教科書に掲載されている詩や小説を題材に、授業を行ううえで背景として知っておくと授業での幅が広がる、そのようなお話ができればと願っています。具体的には「タイトル」や「主人公」「地の文と会話文」「技法」「構造」……といった、「読み」の前段階ともいえることについてお話しします。
2時限
10:30
|
11:50
本学教授
五井 信
3時限
12:50
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14:10
本学准教授
瀧田 浩
近現代評論文 高等学校の教科書に採録されることの多い、丸山真男の『「である」ことと「する」こと』を、3時限、4時限連続でとりあげる。3時限においては、文脈の読解を中心に進めることとし、二項対立をはじめとした構造理解の方法をさぐる。
4時限
14:20
|
15:40
本学准教授
瀧田 浩
丸山真男の『「である」ことと「する」こと』を、3時限に引き続きとりあげ、他の教科書掲載作品(森鴎外「舞姫」・夏目漱石「こころ」など)と共有される問題意識に留意した上で、日本の近代化をめぐる問題との接続をはかりたい。いくつかの文献を紹介・検討しながら、どのような説明が現代の生徒たちに有効なのかを考えたい。
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)
8月20日(土)古典の教材と指導法 《中学国語・高等学校国語教諭向け》
  (注:「書道の教材と指導法」と同時に受講することはできません。)

  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
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10:20
本学教授
山崎 正伸
『伊勢物語』 多くの教科書に採られている『伊勢物語』について、初段から東下りまでを中心に、時間の制約で若干の省略をするやも知れないが、現在の研究とその資料を提示したい。
また、授業で活用できる資料のありかと、その資料の活用の実際も具体的に示したい。しかし、80分の授業時間のため、直接的に授業で扱う資料と、持ち帰って活用していただきたい資料も掲載する。それらの資料によって歌語り歌物語作品の本質を考える。
2時限
10:30
|
11:50
本学教授
磯 水絵
「中世散文について―
随筆作品を中心に―」
『徒然草』
1 作者研究の現在―ト部兼好伝について―
2 ト部兼好の文学―兼好の『徒然草』以外の作品についてー
3 『徒然草』の中古文学作品受容―『枕草子』を中心に―
4 『徒然草』の後代文学作品への影響について

ト部兼好の生地は一説に関東ともいわれ、神奈川県立金沢文庫には、彼に関わる史料も多く収蔵されている。関東周辺の教員、そのようなところから説き起こして、中世史と文学の交わるところを生徒に解説してほしいと思う。そこで、今回は兼好伝と、その中古文学受容について、関東を視座に論じてみたい。
3時限
12:50
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14:10
本学教授
吉崎 一衛
漢詩の指導 教科書に収録されている中国や日本の漢詩の殆どは、紀行詩である。それだけにその背景にある風土や文物などの理解が求められる。本講座では、これらを具体的に示しながら、教材研究をしていきたい。その上にたって、どのようにして生徒の興味や関心を抱かせることができるか工夫した授業について考えていきたい。
4時限
14:20
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15:40
本学教授
牧角 悦子
中国古典における
「文」
中国古典は、スタイルでいうと、大きく韻文と散文に分けられる。韻文は主に詩や詞や歌であるが、散文は更に内容で思想・歴史・文学に分けられる。本講座では、まず中国古典における「文」の意味を概論した上で、思想・歴史・文学それぞれの分野での代表作を解説する。併せて「文」の歴史と変遷にも触れていきたい。
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)
8月20日(土)書道の教材と指導法《高等学校書道教諭向け》
  (注:「古典の教材と指導法」と同時に受講することはできません。)

  講師 講座名 講座内容
1時限
9:00
|
10:20
本学准教授
高澤 浩一
隷書の指導法 隷書を指導する上での資料は、従来石刻関係のものが多く、肉筆史料は少ない状況にある。
しかし今年では木簡・竹簡の出土がおびただしく、書写活動における一次史料を提供してくれている。
よって、この講習のねらいは、それらの一次史料を考慮した上で、特に隷書体の筆順に着目し、隷書学習時における筆順指導をいかに行うかについて検討してみたい。
その上で従来指導してきた石刻関係の隷書を、いかに指導すべきかを考え直す内容である。
2時限
10:30
|
11:50
本学教授
福島 一浩
仮名の指導法 書道科授業の中で仮名の古典を実物大で臨書することは字数が多く容易ではない。漢字古典を学ぶように字数を減らし大きく臨書することにより線の内容が掴み易くなる。単に打ち込まれた形のみの一字ではなく刻々と変わる感情の機微を感じることや、連綿美も単なる連続に留まらず運筆から生み出される仮名美、複数文字による仮名美を自分の中に宿していくことにより仮名を愛好する心が養われる。今回は単体と連綿(文字群)を高野切、寸松庵色紙、本阿弥切、関戸本古今集などを中心としながら実物の200%~400%拡大を小筆や硬筆を用いて学び、この方法の習慣化により実物大での鑑賞や臨書に役立てたい。
3時限
12:50
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14:10
本学准教授
高澤 浩一
行書の指導法 行書については、日常書写活動の中で今日最も多く使用されているが、書の歴史を見る上では、その発生から発達段階に至るまで明白にされていない。更には、行書という語義についても不明である。よってこの講習においては、その語義について文献上より考究するとともに、近年出土の木簡や竹簡といった肉筆史料から、その発生を探り、どのように行書が誕生し発達してきたかを考察する内容である。
4時限
14:20
|
15:40
本学教授
福島 一浩
漢字仮名交じり
の指導法
心に響く言葉を集め暗唱したり書くことを反復することによって自分に染みこみ心の力となる。この言葉を今回は漢字と仮名の古典から文字を選択し、構成では元永本古今集や三色紙を応用、さらに他ジャンル<音楽、建築、写真など>にも拠り所を求めながら書の表現に生かしてみたい。漢字仮名交じりの書の学習では限られた字数での表現のみでなく手紙や日常にも生かすため硬筆による学習も併せて検討する。
5時限 修了認定試験(16:10~16:50)