理事長トピックス一覧へ

理事長トピックス

平成24年度 卒業式祝辞

平成25年3月 二松學舍大学 学位記授与式 祝辞

平成25年3月19日


 皆さん、ご卒業おめでとうございます。本日皆さんが手にされた学位記は、学士課程、修士課程、博士前期・後期各課程の学業を終えられた証であります。これまでの皆さんの努力を称え、敬意を表したいと思います。また卒業される皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、卒業式へのご列席を感謝いたしますとともに、心からお喜び申し上げます。さらに卒業生たちをこれまで熱心に指導してこられた先生方、就職や勉学、生活を支援されてきた職員の方々にも、この機会を借りまして改めて御礼申し上げます。多数の御来賓の方々、学校法人二松學舍顧問、役員、松苓会会長、父母会会長、同役員の方々その他二松學舍関係者全員が、本日の卒業式をお祝いするため集まっております。

 さて、皆さんがこれから出て行く社会の動きを見ますと、かつてない構造変化が生じております。すなわち、年初に政権を奪回した安部政権は20年以上継続した我が国のデフレ脱却を標榜し、財政・金融措置を講じての需要喚起を行ってきており、円安も是正されつつあり、株式市場も活況を呈してきています。しかしながら、末端の企業経営、家計には引き続き厳しいものがあり、就職難も続いているといった状況です。 また我が国で実に1000兆円を超える膨大な財政赤字、それに対応するための消費税を始めとする各種増税問題、少子高齢化進展に伴う年金・医療・福祉問題等、大きな課題が山積しており、解決の糸口が見いだされておりません。さらに最近ではTPPの問題も出てきています。また地球規模では温暖化や大気汚染、食料危機などが進展するという様々な局面で大きな構造変化が起こっております。まさに混沌とした世の中、将来が予測し難い世の中になっております。このような中に、皆さんはこれから出て行くわけですが、その中で必要なことは、皆さんが個人として自立するということです。自立した個人の立場を固めて行くということです。
 そのために、先ず第一点は、健康に気をつけて欲しいということです。これは極めて当たり前のことですが、学生の時は病気しても困るのは自分だけで、ノートも友人から借りて埋めることもできますが、社会人になると、病気は周りの人に迷惑がかかるわけです。また、それよりも自分自身の長い社会生活を歩き通すには、先ず健康でなければなりません。他人のノートを借りて埋め合わせるわけにはいかないのです。これは自己管理の問題です。忙しい仕事の合間を縫って、運動、読書、音楽その他なんでも良いので自分にあった気分転換を身に付けて、仕事上の心理的な疲労を蓄積させない工夫をしていくことが肝要です。
 第二点は、相手の立場を考えることです。社会生活は相手の立場を考えた上で行動することが非常に大事です。良く思われようとするのではなく、自分のできる事、例えば親切とか思いやりを、自分のペースで他人に示せばよいのです。相手の立場を考えるということは、相手の言いなりになることではありません。ましてや上司に諂うことでもありません。相手の立場を考えた上で、自分なりの立場なり主張をはっきりさせることが肝要です。
 第三点は、自分自身を常日頃磨く精神を忘れないことです。そのためには、先ず二松學舍精神である東洋の精神、人として踏み行うべき正しい道、「道徳心を基に、倫理観を持って行動する」ことを基本にして、自分を深め、人間の幅を拡げる努力をしていくことです。仕事を通じ、あるいは専門書を読んで、早くプロになることは勿論、それだけではなく、幅広く本を読むことです。仕事にかまけて一旦本を読む習慣をなくすと、それを取り戻すため相当の努力を要します。読書は心のひだを深くし、人間の幅を広めます。
 以上の3点は、極めて当たり前のことですが、この混沌とした、未来が予測し難い世の中で、皆さん個々人が自立していくための処方箋であり、こうした当たり前のことを実行していくことが大事なのです。そして、これらを念頭に入れて頂いて、皆さんの頭で考え、しっかりと仕事をし、研究を行う、人に頼らず、自らの能力を活かして収入を得て、独立した個人として家計を営む、その上で、そうした仕事やあるいは社会的な活動などを通じて、自分自身、自分の周り、もう少し大きな周り、惹いては日本や世界を明るく希望の持てるより良い社会にすることに貢献していく人材として活躍して欲しいと念願する次第です。
 そのような期待を込めて、改めて皆さんの卒業と、大きく開かれた前途を祝し、私の祝辞といたします。

平成25年3月附属高校、同柏高校卒業式祝辞

平成25年3月13日


 皆さん、ご卒業おめでとうございます。本日皆さんが手にされた卒業証書は、所定の学業を終えられた証であります。これまでの皆さんの努力を称え、敬意を表したいと思います。また卒業される皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、卒業式へのご列席を感謝いたしますとともに、心からお喜び申し上げます。さらに卒業生たちをこれまで熱心に指導してこられた先生方、その勉学や生活を支援されてきた職員の方々にも、この機会を借りまして改めて御礼申し上げます。
 本日ご列席のご来賓の皆様方と二松学舎関係者全員が、本日の卒業式をお祝いするために、集まってきておられます。

 さて、卒業される皆さん。皆さんはこれまでご両親に守られ、先生に守られ、学校という安全なところで、文字通り生活をしてきたわけですが、しかし、これからは1人前の大人として責任と自覚をもって行動することが求められます。
 今後、皆さんは大学生活を始める、就職する、予備校に通う、専門学校に通うなど、いろいろな生活を送っていきます。こうした生活のなかで、皆さんに是非いつも念頭において頂きたいこと、それは、附属高校の教育方針、校訓である「仁愛の心、正義の心、誠実の心、弘毅の心」〔柏高校は仁愛、正義、誠実〕という言葉です。
 先ず「仁愛」とは思いやりの心、相手の立場に立てる余裕を持つということです。友人やご両親、先生など、皆さんが接する人に対して、常に思いやりの心を持って接する、相手の立場に立つ心のゆとりを持つことが必要です。この結果、真の友人や仲間や、恩師など、皆さんを取り巻く人の輪が自然と膨らみ、いわゆる人脈が出来ていきます。その結果が皆さんに対する信頼感として徐々に固まってくるわけです。
 次に「正義」。これは正しいことを貫く、人として守るべきルールです。一番大切なのは、道徳心をもって行動すること、またいろいろな組織、大学、予備校、会社や家庭などで決められたルールを守って行動することであり、これを行うことにより、自然に人から尊敬されるようになるわけです。
 次に「誠実」は、私利私欲をまじえず、偽りがないこと、嘘を言わないことです。嘘つきは、友人や知人など人間社会から仲間外れにされます。
 最後に「弘毅」。度量の大きいこと、心の広い様をいい、人を許す、意志が強い、辛抱する、ということを意味します。皆さんにとってこれから暮らす世の中はいつもいい時とは限りません。自分の気に入らないことも多々あります。その時は腐らずに、辛抱して与えられたことをこつこつと努力していくことが必要です。
 卒業は次のステップへのスタートです。これから皆さんは、いろいろな進路を目指して旅立ちます。高校卒業を人生という山登りに例えれば、山の二合目辺りから頂上に向かって登山を開始するところです。途中は晴天や時には大嵐に会う、すなわち様々な困難や試練に会うと思いますが、是非その時は、この「仁愛の心、正義の心、誠実の心、弘毅の心」と言う言葉を思い出してください。そしてこの言葉が意味するとおり行動しください。そうすれば、どんな嵐でも乗り越えられると確信しております。
 最後になりましたが、卒業生ならびにご臨席の皆様のご健勝とご活躍をお祈りいたしまして、私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。