開催趣旨
人間にとって一番大切なものは何か。それは生まれた時に万人に天から賦与された真心(まごころ)であると考え、生涯それを実践し、学問によってその認識をたえず深め、そのものに化し
て死ぬことを願った思想家がいました。17世紀の中国を生きた李二曲(りじきょく、1627
〜1705)です。
彼は心を一番大切なものとし、心を大切にする者は、その心がたえず社会の中で発揮され、実
現されていくことに責任を持つと考え、経世致用にも深い関心を払いました。彼は儒学を明体適
用の学とし、明体(道徳)と適用(経済)が共に実践されて始めて真の学問であるとしました。
心と言うものを粗末にしている現代に、李二曲によって心が最も尊いものであることを考えさ
せられることは、とても意味があります。制度よりもそれを動かす人間が一番大事であることを
考えるに付け、李二曲から大いに学んで見ようではありませんか。彼は光になった儒者です。彼
によって歴史上の人物も、現代の我々も照らし出されます。学問の目的も、生きる目的もはっき
りさせられてきます。