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文学部中国文学科4年次生田中亮太さんが「日展」に入選 学部生では初
「改組 新 第4回日本美術展覧会」は、平成29年12月10日(日)まで六本木・国立新美術館にて開催中

二松學舍大学文学部中国文学科4年次生の田中亮太さん(広島城北高等学校出身)が、「改組 新 第4回日展」〔第5科 書〕の部で見事入選を果たしました。
応募総数8,457点の中から選ばれた田中さんの作品は「うつりゆく」という題名の仮名の書。万葉集から春夏秋冬で選んだ和歌十二首を、25×18センチの紙に書き、12枚貼り込んだ「折帖」で、流麗な書体に、それぞれの紙色の濃さにまでこだわった、田中さんの繊細さが伝わる作品です。

田中亮太さん
題名「うつりゆく」
作品の解説をする田中さん

「日展」入選について田中さんにインタビュー

入選したことに対する気持ちや二松學舍大学で学んでよかったことなど、田中さんにインタビューを行いました。

―入選の知らせを聞いたときの気持ちを教えてください。
田中:日展への出品は初挑戦でしたので、率直に驚きましたし、しばらくは信じられませんでした。昨年までは憧れの眼差しで見ていた舞台ですし、芸術を志すものにとってはとても高い壁だと感じていました。しかしながら、「挑戦する」と決めたからには、作品を発表するまでの過程も含めた全てを大切に、丁寧に取り組もうと思っていたので、このような評価をいただけて大変光栄に感じるとともに、ご指導くださった福島先生、地元広島で応援してくれる家族や周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

―書道を始めたきっかけは?
田中:書道教室に通ったこともありませんでしたし、それまではバレーボールをしていたので書道は学校の授業でしかやっていませんでした。授業では、上手く書けた時に教室の後ろに貼ってもらえるのが嬉しくて、真剣に書いていました。今振り返ると墨の匂いや筆で文字を書くことが好きだったなと思います。中学3年生の時に書道の先生から声をかけていただき、書道部に入ったのがきっかけです。

―二松學舍大学で、そして指導教員の福島一浩教授のもとで書道を学んで良かったことなど教えてください。
田中:二松學舍で書道を学んでよかったと思えることは、文学部の中に書道専攻があることで文学的アプローチの大切さに気づけたことです。私は仮名の書に軸足を置いて学んでいますが、仮名の場合、作品の題材となるのは多くの場合和歌や俳句です。これらをただ書いていくのではなくそれらが生まれた風土や背景、文学的な景色を少しでも理解したうえで作品を創っていくことが、作品の深さや奥行きに繋がってくるのだと思います。また福島先生からは他ジャンルの芸術や建築、舞台などから様々な要素を取り入れ書に昇華していくことの大切さを日頃からご指導いただいています。どのようにして学んでいくかという「学び方」を大学で知ることができてよかったと感じています。

―今後の目標、将来についてお聞かせください。
田中:これからは書道の教員をしながら、自分自身が書家として命ある限り書き続けていくことが夢であり、目標です。私にとって書くことは生きることそのものです。高い志を持って、絶えず挑戦していくことを楽しみながら、好きな書の道を歩んでいきたいと思っています。いつの日か誰かの心に残るような作品を書くことができれば嬉しいです。

一つ一つの質問に丁寧に答えてくれた田中さん。優しい笑顔の中にも、しっかりした「芯の強さ」を感じる田中さんの姿勢が、作品にも反映されていることが、このインタビューを通じてよくわかりました。

福島一浩教授よりメッセージ

担当教員の福島教授に、田中さんについて伺うと「日々『書三昧』、書に浸りきっているという表現がぴったりです。何をどのように学ぶか、やるべきことをしっかりやってきている。それに加えて、書だけではなく多くの美的体験を積んできたことがわかります。そのことが活きたのでしょう。やろうと思っても、なかなかできることではないですよ」と語る様子から、今回の入選をとても喜ばれていることが伝わってきます。
そして、何よりも一番大事なことは「書を好きという気持ち」という福島教授。田中さんの将来について、「“書人”として成長するために自分をプロデュースし続けてほしい。きっとその姿を見て“書の道"に進みたいと思う人が増えるはずです」とエールを送りました。

今後の作品の展示について

「改組 新 第4回日本美術展覧会」は、平成29年12月10日(日)まで六本木の国立新美術館にて開催中です。また、田中さんの作品は、来年3月に開催される書道部の学外展でもご覧いただけます。学外展の情報は以下の通りです。ぜひ、足をお運びください。

第52回 二松學舍大学書道部学外展

  • 期間:平成30年3月9日(金)~11日(日)
  • 時間:10時~19時(ただし、初日13時から最終日17時まで)
  • 会場:北とぴあ(東京都北区王子1丁目11−1)